「ふるさと納税」制度の創設

「ふるさと納税」制度の創設
 すったもんだのあげく、平成20年度税制改正案は衆議院での再議決により成立致しました。改正の重要な項目については、当FAX NEWSでも順次お伝えしていく予定です。
 今回のFAX NEWSは、個人住民税で創設された「ふるさと納税」制度についてです。
 個人住民税は1月1日に住民票がある自治体に全額納付することになっていますが、そうではなく、その一部を生まれ育った「ふるさと」にも納税したい・・・。
主に都市部で暮らす納税者のそうした願いに配慮して「ふるさと納税」制度は導入されました。加えて、地方格差により生じている地方税の減収是正という政治的事情もあったようです。
ふるさと納税は、ふるさと(別にふるさとにこだわる必要はありません。要は自分が応援したい地方に、ということです)に納税したとしてお金出せば、これを寄付金とみなし、住民票がある自治体の個人住民税所得割額が最大1割控除される仕組みで、具体的には下表のように計算されます。

控除の対象となる地方公共団体の範囲 全国の都道府県又は全国の市町村
控除方式 税額控除方式
控除額 (1)と(2)の合計額 (1)(寄付金-5,000円)×10%
(2)(寄付金-5,000円)×(90%-寄付者の所得税率)
(2)の控除限度額 個人住民税の所得割額×10%
控除対象限度額 総所得金額の30%
適用下限額 5,000円

例えば、所得500万円の人がふるさとへ10万円を寄付した場合、所得税の寄付金控除約19千円と個人住民税寄付金控除約59千円の計78千円が軽減されます。つまり22千円(10万円-78千円)は持ち出しとなります。上表の諸々の限度額が働いて「全額控除」とはなりません。それでも「ふるさと」の役に立つということで、「ふるさと」に寄付する人が増えるのではとの算段ですが、さてどうでしょうか。