代表取締役の退職金算出の目安

【Q】代表取締役の退職金算出の目安は?

長年、経営してきた会社を後進に譲りたいと考えています。代表取締役を退くにあたり、退職金をどのくらい受け取ることができるでしょうか?

【A】一般的には、役員退職金は以下の算式で求めます

功労加算金は退職慰労金の30%を超えない程度に

 役員退職金を支払う場合の認定額目安は、在任年数などの変数を加味して、次のような計算式で求めるのが一般的です。
・役員退職金(勇退退職金)=退職時の役員報酬月額×役員在任年数×功績倍率(+功労加算)
(功労加算金は一般的に退職慰労金の30%を超えない範囲とされています。)

・役位別功績倍率の例

会長社長専務常務取締役監査役
3.03.02.52.32.01.5

(実際は法人の資本金・業種・従業員数により様々です)

 また、弔意金を支払う場合の目安は以下の通りです。
・業務上による死亡=退職時の役員報酬月額(ボーナスを除く)×36ヶ月
・業務外による死亡=退職時の役員報酬月額(ボーナスを除く)×6ヶ月

あらかじめ規程を作っておくことが望ましい

 経営上の注意事項としては、退職金支払時には、会社の利益が必要なこと(赤字決算では意味が無い)、退職金の支払いに関して、運転資金や借入金を使わないこと(支給後の資金繰りを悪化させない)が重要です。また、金額が多額になる場合は、保険などを利用した準備が必要かもしれません。
 税務上、勇退・死亡退職金は過大な額ですと損金算入できません。役員退職金も役員報酬同様、株主総会の決議によって決定されますが、その際、過大と判断されない算出基準を明確にするためにも「役員退職慰労金規程」を制定しておくのが良いでしょう。規定がないと、総会で株主の中から反対者が出て、支払いが不可能になるなどの危険性があります。

 ちなみに、受取退職金の退職所得金額は次の算式で求めます。退職所得控除額は勤続年数によって変わってきます。
・退職所得金額=(退職金支給額-退職所得控除額)×1/2
 (分離課税です)

・退職所得控除額

勤続年数 退職所得控除額
2 年以下の場合 80万円
2年以上20年以下の場合 40万円×勤続年数
20 年超の場合 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

そのほかの詳しいことは最寄りの税務署や税理士などにご相談下さい。