損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期
損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期
[平成26年4月1日現在法令等]
法人税法においては、法人が納付する租税公課のうち次の1に揚げる租税公課以外の租税公課は損金の額に算入され、また、その損金算入の時期は次の2のとおりです。
1 損金の額に算入されない主な租税公課
損金の額に算入されない主な租税公課は次のとおりです。
(1) 法人税、都道府県民税及び市町村民税の本税
(2) 各種加算税及び各種加算金、延滞税及び延滞金(地方税の納期限の延長に係る延滞金は除きます。)並びに過怠税
(3) 罰金及び科料(外国又は外国の地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含みます。)並びに過料
(4) 法人税額から控除する所得税及び外国法人税
2 租税公課の損金算入時期
損金の額に算入される租税公課の損金算入時期については、それぞれ次のとおりです。
(1) 申告納税方式による租税
イ 酒税、事業税、事業所税などの申告納税方式による租税については、納税申告書を提出した事業年度です。また、更正又は決定のあったものについては、その更正又は決定のあった事業年度となります。
ただし、その事業年度の直前事業年度分の事業税及び地方法人特別税については、その事業年度終了の日までにその全部又は一部につき、申告、更正又は決定がされていない場合であっても、その事業年度の損金の額に算入することができます。
ロ 収入金額又は棚卸資産の評価額に含めた申告期限未到来の酒税などや、製造原価、工事原価その他これらに準ずる原価のうちに申告期限未到来の納付すべき事業に係る事業所税を損金経理により未払金に計上したときは、その損金経理をした事業年度となります。
(2) 賦課課税方式による租税
不動産取得税、自動車税、固定資産税、都市計画税などの賦課課税方式による租税については、賦課決定のあった事業年度となります。
ただし、納期の開始日の事業年度又は実際に納付した事業年度において損金経理をした場合には、その損金経理をした事業年度となります。
(3) 特別徴収方式による租税
ゴルフ場利用税、軽油引取税などの特別徴収方式による租税については、納入申告書を提出した事業年度です。
また、更正又は決定のあったものについては、その更正又は決定のあった事業年度となります。
ただし、収入金額のうちに申告期限未到来のこれらの租税の納入すべき金額が含まれている場合において、その金額を損金経理により未払金に計上したときは、その損金経理をした事業年度となります。
(4) 利子税・延滞金
国税の利子税や地方税の納期限の延長に係る延滞金は、納付した事業年度となります。
ただし、その事業年度の期間に対応する未納額を損金経理により未払金に計上したときは、その損金経理をした事業年度となります。
(法法38、40、41、55、法基通9-5-1、9-5-2)
国税に関するご相談は、国税局電話相談センター等で行っていますので、税についての相談窓口をご覧になって、電話相談をご利用ください。
※ 下記の電話番号では、国税に関するご相談は受け付けておりません。
【租税公課】
〔1〕 損金算入、損金不算入の区分 損金算入となる租税公課のうち、主なものは次の通りです。 ・事業税(及び地方法人特別税、以下単に事業税とします) ・事業所税 ・自動車税、固定資産税 ・消費税(税込経理の場合)及びその他の間接税 ・利子税、延滞税(確定申告期限の延長の場合) (補足: 事業税は「前期確定申告額」と「当期中間申告額」が当期の損金になります。) 損金不算入の租税公課のうち、主なものは次の通りです。 ・法人税、住民税の本税 ・法人税にかかる延滞税及び各種の加算税 ・地方税にかかる延滞金及び各種の加算金 ・罰金、過料、科料 ・税額控除を受ける場合の所得税 〔2〕 納付税額の処理 1.租税公課の経理処理 別表5(2)の「当期中の納付税額」欄は「充当金取崩による納付」「仮払経理による納付」「損金経理による納付」に区分されています。この区分は難しくはありませんが、それぞれどうような場合が該当するかは、押さえておく必要があります。 〔別表5(2)の上部〕
法人税・住民税・事業税等中間申告制度が採られている税金の経理方法には、中間申告額と確定申告額をそれぞれ別個に処理する方法と、年税額を一括して処理する方法があります。 別個に処理する方法 ●中間申告額を費用に計上し、確定申告額を未払計上する方法
一括して処理する方法 ●中間申告額を「仮払金」で処理し、年税額を未払計上する方法
●中間申告額を「未払法人税等」で処理し、年税額を未払計上する方法
●翌期の処理は、いずれも「充当金取崩による納付」に該当します。
2.充当金取崩しによる納付
法人税等損金不算入税の納付に伴い納税充当金を取崩しても(損金不算入税を損金経理していませんから)所得金額は変動しません。しかし、納税充当金は減少しますから、別表5(1)のいわば「内部振替え」をします( 前節 参照)。 附帯税は社外流出の扱いですから、別表4と別表5(1)の関連から、別表4で加算・減算の両建処理をします。法人税・住民税の本税は前事業年度終了時点で、マイナスの利益積立金額になっているのに対し、附帯税はそうはなっていませんから社外流出とします。 損金算入税を納税充当金を取崩して納付した場合は、未処理のままでは損金に算入されませんから別表4で減算、別表5(1)で納税充当金の当期減少の処理をします。 〔例〕前期確定分の法人税・住民税・事業税を納付し「未払法人税等」「未払事業税」を消却した。
〔別表4〕
〔別表5(1)〕
「納税充当金から支出した事業税等の額」は、納税充当金の当期減少額の一部になります。 3.損金経理による納付 事業税等の損金算入税は、当然申告調整不要です。
〔例〕当期中間申告額を納付し、いずれも費用に計上した。
〔別表4〕
〔別表5(1)〕
別表5(1)の当期増加欄は、別表4と無関係です(前節参照)。別表4で加算(留保)した金額は、当期減少欄の金額に加算されます。なお、「未納道府県民税」欄の金額は利子割を含んだ金額です。 4.仮払経理による納付
損金不算入税を納付し、仮払金に計上しても所得金額は変動しませんが、本税等の場合は未納法人税等が減少し、仮払法人税等が増加します。別表5(1)との関係から、別表4では加算・減算の両建処理をします。また、附帯税は社外流出の扱いですが、△の利益積立金額が増加します。 次にように考えると、理解しやすいと思います。
損金算入税は法人が損金経理していなくても損金になりますから、別表4で減算し別表5(1)で△の利益積立金額の増加の処理をします。 〔例〕当期中間申告額を納付し、いずれも仮払金とした。
〔別表4〕
〔別表5(1)〕
なお、仮払経理した中間申告額を決算で費用に振替えた場合は、当然ですが損金経理に該当します。 〔3〕 仮払税の消却 仮払税を翌期以降に消却した場合は、消却方法によりそれぞれ次の処理をします。全ての税目について、処理方法は共通です。 ●納税充当金による消却 未払○○税 ****** 仮払○○税 ******
●損金経理による消却 ○○税 ****** 仮払○○税 ******
〔4〕 当期確定申告額 法人税・住民税の当期確定申告額は、中間申告額と同様別表4を経由することなく別表5(1)の「利益処分増減」欄に記載します。これは、法人の経理処理(未払計上するか否か)に関わりません。 〔例〕当期の確定申告額は以下の通りです。
〔別表5(1)〕
法人税・住民税の当期確定申告額は、別表5(1)以外に別表5(2)の該当欄にも記載しますが、事業税の確定申告額は記載しません。これは事業年度終了時点では、事業税は租税債務が発生しないためです。 当期確定申告額を未払計上(納税充当金繰入)した場合は、次の処理が必要です。 〔別表4〕
〔別表5(1)〕
|