教育不熱心のススメ

教育不熱心のススメ

  ・・・・(株)総務システムサービス 
                  代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)

 秋葉原で無差別殺傷事件が起きました。被害者の方たちのご冥福をお祈り申
し上げます。ご遺族の容疑者への怒りは察するにあまりあるものがあります。

 これから容疑者の犯行に至るまでプロセスについて様々な分析がなされると
思いますが、筆者なりの浅薄な分析をすればこうなります。近代化は社会的分
業を進展させ、技術革新は極端なまでもその分業を細分化します。それによっ
て社会生活を営む人間は、モノカルチャーとしての家庭や地域と関わりを薄め
ながら多くのサブカルチャーに依存しなければなりません。ところが、家庭や
地域の学校化に伴い、疎外感を強めた人間はネット上にサブカルチャーを求め
ます。しかし、仮想社会としてのネットは、生身の人間との関わりと違って
“実感”は極めて希薄です。ところが“現実”は仮想社会に依存する者にとっ
てはあまりにも過酷です。

 もう一点言えば、彼の母親が極めて教育熱心だったことです。筆者の私事で
言えば、高校時代に大学進学について疑問を持っていました。大学で何を学ぶ
べきか見えなかったのです。それにもかかわらず何故大学に進学したか?今か
ら思えば、決して教育熱心な母親ではなかったのですが、ただ母親の“承認”
が欲しかっただけのような気がします。

 “承認願望”この言葉は現代人特に今の若者の特徴を典型的に表しています。
“承認願望”の強さとその反作用としての“社会性の欠如”。この絶望的状況
に年配者として同情を禁じえません。極端な“承認願望”を作り上げるのは親、
特に母親です。“親の愛”は“無条件の愛”が原則です。“他者の愛”は条件
付です。“無条件”から“条件付”への転換が“大人になる”ことです。しか
し、親からの“無条件の愛”を十分に受けていない子は無意識にイビツな“承
認願望”を持ったまま大人になります。

 「勉強しなさい!」=「勉強しなければ、あなたを子供として認めませんよ!」
という警告=条件付愛

 「塾へ行きなさい!」=「塾へ行かなければ、あなたを子供として認めませ
んよ!」という警告=条件付愛

 世の母親達に警告します。学歴社会は崩壊しています。教育熱心はムダです。
あなたの子供を健全に育成するため、“無条件の愛”に満ちた教育不熱心で不
良な母親になって下さい。

 親の愛は“無条件”が理想ですが、常に不完全(不良)です。何故なら誰も
親を経験したことがなく親になるからです。子は自分の親の“不完全性”によっ
て社会性を身につけるのです。

●心地よい職場

                   ・・・・小島 麻希(こじままき)

 新入社員が入ってから2か月がたち、そろそろ慣れてきたころでしょうか?
「こんなはずではなかった」「もう、あきてしまった」「毎日がつまらない」
などと感じている新入社員の方もいるのかもしれませんね。

 最近では大卒の新入社員の3割は入社3年で転職をしていると言われていま
す。その理由は「上司とあわなかったから」「人間関係がうまくいかなかった
から」「仕事がつまらなかったから」など理由はさまざまですが、人間関係を
理由に転職をする人は少なくありません。

 先日、厚生労働省から仕事のストレスが原因で精神障害となり自殺をはかっ
た「過労自殺」として労災認定をされた人が過去最高と発表されました。
 精神障害の労災認定268人を年齢別でみると、30歳代が100人、次い
で20歳代が66人だということです。
 30代は上司と部下に挟まれて「サンドイッチ状態」になり精神のバランス
を崩すケースが多いといわれています。

 最近の若手社員と上司のコミュニケーションは確かに簡単ではないように思
います。

 上司は「見守っていた」つもりが部下は「放っておかれた」と感じてしまっ
たり、「間違いを注意」したら「ひどく叱られた」など、気付かないうちに溝
ができてまったりするというのは、珍しくありません。

 上司である世代は仕事が最優先が当たり前、今は過労死などの問題から「ワ
ークライフバランス」という言葉が日常的に使われるようになり、今の人生を
楽しみたいう若者が多くなっています。

 世代による「当たり前」の違いからお互いに職場におけるストレスを感じて
しまっていることは否定できません。

 「最近の若者は使えない」と切り捨ててしまっては次世代が育っていきませ
ん。若手社員をいかに育てるかは今の社会の問題でもあります。

 上司は「持っている感覚が違う」「当たり前」が違うと認識をした上で指導
していかなくてはいけません。
 部下である若手社員は「仕事とは厳しいものだ」「上司は愛情があるから、
自分を教育してくれているのだ」という認識をもって素直に受入れる必要があ
ります。

 何かの縁があって同じ職場になったのです。拒絶するのではなく、少しずつ
近づく努力をしてみましょう。見えなかった素敵なところがたくさん、みつか
るはずです。世代の違いがあるからこそ、新鮮に感じられることが、たくさん
あるはずです。それが見つかれば今の職場は、きっと心地よい場所になるので
はないでしょうか。

●昼寝で記憶力が向上?

                  ・・・・齋藤 里英(さいとうりえ)

 仕事中にうたた寝・・・zzz
そんな事をしたら絶対に怒られてしまいますよね。
ところが、近い将来、就業時間中に昼寝が当たり前になるかもしれません。

 ドイツの大学で、こんな実験が行われました。
1:被験者たちは午後1時に集合する
2:30個の単語を2分で記憶する
3:1時間後にどれだけ覚えているかのテストを受ける

 テストを受けるまでの1時間は
1)起きたまま
2)6分間昼寝
3)35分間昼寝
の3パターン。

 この結果、被験者の覚えていた単語は次の通りになりました。
1′)起きたまま →平均で7語弱
2′)6分間昼寝 →8語以上
3′)35分間昼寝→9語以上
僅差ではあるが、確実に記憶力に差が出ているのです。

 では、眠っている間に何が起こっているのでしょうか?

 睡眠中の脳は単なるスタンバイ状態ではなく、“ある”活動を行っています。
短期記憶が形成される「海馬」から長期記憶が格納される「皮質」へと向かっ
て神経活動が行われているのです。
昼寝で記憶力が向上するのは、この活動のおかげかもしれない、とのことです。

 イギリスの睡眠研究者ホーン(JimHorne)は
「戦略立案型の思考は睡眠欠如によって特に損なわれる」
「考え方の幅が狭まり、新しいことに対応できず、リスクを評価しにくくなる」
と提唱しています。

 たった6分の昼寝が、記憶力にとどまらず、想像力、判断力に影響を及ぼすと
いうことなのです!

・・・ということは。
昼寝をすると、仕事がデキルようになるかもしれませんね!

それだけではないとは思いますが、試してみる価値はありそうです。