清算期間が1ヶ月超3ヶ月以内の場合

清算期間が1ヶ月超3ヶ月以内の場合

この場合、少し計算が特殊になります。法定外残業時間は、以下の2つの労働時間の合計となります。

   1ヶ月ごとに週平均50時間を超えた労働時間
   フレックスタイム制では、法定労働時間を超えた分の労働時間を翌月に繰り越すことが可能ですが、労働者を繁忙月などに極端に多く働かせることを防ぐため、1月あたりで週平均50時間を超える分は時間外労働として法定外残業時間に数えられます。この労働時間は各月で計算され、各月の法定外残業時間となります。
   清算期間を通じて法定労働時間を超えた労働時間(上記1.でカウントした労働時間を除く)
   この労働時間は、清算期間の最終月の法定外残業時間となります。

次の具体例を元に、法定外残業時間を計算してみましょう。

   4月~6月の3ヶ月が清算期間で、実労働時間が4月:225時間、5月:170時間、6月:150時間である場合
   まず、上記1.の「1ヶ月ごとに週平均50時間を超えた労働時間」を求めます。歴日数は4月:30日、5月:31日、6月:30日なので、各月の週平均50時間の労働時間は、4月:214.2時間、5月:221.4時間、6月:214.2時間となります。このうち、実労働時間が超過しているのは4月の10.8時間分だけですので、4月の法定外残業時間が10.8時間となります。
   次に、上記2.の「清算期間を通じて法定労働時間を超えた労働時間」を求めます。4月から6月までの歴日数の合計は91日ですので、法定労働時間は520時間です。この事例における3ヶ月の実労働時間の合計は545時間ですので、実労働時間から法定労働時間を引き、さらに1.でカウントされた法定外残業時間を引いた、545時間-520時間-10.8時間=14.2時間が2.の法定外残業時間となります。これは最終月の6月の法定外残業時間に数えられます。
   したがって、各月の法定外残業時間は、4月:10.8時間、5月:0時間、6月:14.2時間となります。

時間外労働の上限規制について

時間外労働は、2019年4月(中小企業は2020年4月)から上限規制が強化されます。具体的には、時間外労働は月45時間以内、年360時間以内となります。特別な事情がある場合は、年6回まで上限を超えることができ、年720時間まで時間外労働ができるようになる特別措置もあります。これは、フレックスタイム制でも当てはまるので、注意しましょう。

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