給与(賃金)の話 第43回(退職金第3回)

給与(賃金)の話 第43回(退職金第3回)

  ・・・・細口 桂三(ほそぐちけいぞう)

 前回は退職金の歴史的経緯を紹介しました。 今回は退職金制度の改革の目
的を紹介したいと思います。 

 第一回でご紹介した通り、平成24年3月末にて税制適確年金(企業年金
が廃止され、現在、この制度を運用している企業は退職金の外部積立方法を変
更しなくてはなりません。 それ以外の企業でも外部積立を行っていると思わ
れます。 これら外部積立の場合、ほとんど全ては金融市場にて運用されてい
ます。 昨今の金融市場の動向で安定した運用はありません。 税制適確年金
制度がはじまった時代は、右肩上がりの経済成長下で、極端な言い方をすると
少ない外部拠出で充分な退職金資金が得られた時代であったのです。 これを
前提した制度であるため、現在の低成長、低金利時代の金融状況とはかなり異
なります。 未だに年率5.5%という運用利回り設定のままで、問題を先送
りしている企業は多く存在します。 こういった実情に合わない制度を政府は
廃止し退職金資金の保全をさせようというのが税制適確年金制度の廃止です
。 これに対応を迫られていますが、あなたの会社は何を目的に退職金制度を
改革するのか明確になつていますが?
  
○退職金制度改革で何を解決したいのか?

 まず、退職金改革をしたい理由として次の2つに集約できるのではないで
しょうか?
1.従業員の労働条件として退職金制度を健全化し維持したい。
2.とにかく労働債務の負担を平準化し毎期負担を軽減し将来に備えたい。

1.の場合、退職金制度のあり方を含め、如何なる退職金制度を持つことで、
 従業員の安心、納得できる労働条件にするかというアプローチとなります。
 この視点に立つと抜本的な退職金改革となり、かなり労力を要します。

2.の場合は、制度はそのままで労務コストをなるべく軽くしたい。 損せず
 、退職金を楽に支払いたいので、積立方法を考え直すアプローチです。
 このアプローチは現在最も多いニーズと言えます。 

 しかし、現在いずれの方法でも充分な解決方法はありません。 それは、退
職金制度が30年~40年の長期労働条件であり、外部積立運用方法が金融商
品市場に委ねられているから、絶対安定はないということです。 その時点に
おける預入れる方法で最も最善な方法を選んでいても、状況が変われば、その
負担は企業に掛かって来ます。 その性質は労働条件としての退職金が持つ性
質なのです。

 長期勤続を促す、退職金制度であれば、そのコストを如何なる状況でも想定
した上で、負担していくことになります。

 短期雇用施策で問題ないのであれば、退職金ではなくペイナウの思想で給与
制度を打ち出せばよいのです。 

 折衷的には色々な制度を持つことは有効であると思いますが、各企業におい
て、基本的な人事の考え方を含め、労働条件として明確化し、周知徹底するこ
とが重要ではないでしょうか?

 今回は退職金改革で何を目的に解決するのかを探りました。 次回は現時点
での退職金の外部積立方法をご紹介したいと思います。 ご期待下さい。

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●H&Mってご存知ですか?

                 ・・・・横井 良典(よこいよしのり)

 H&Mは、1947年、スウェーデンで創業され、世界各地の28カ国に展
開し、およそ1,500店舗で衣料品と化粧品を販売しています。
 そして、68000名を超える社員を雇用しています。2007年の売上高
は、92,123百万スウェーデン・クローナでした。(1スウェーデン・
クローナ=17円[2008年2月20日現在])
 日本円にすると1兆円を超える売上規模を持っているにも関わらず、日本で
はほとんど知られていないのではないでしょうか?

 ファッション業界の流れとして、世界的な流れとしてGAP、H&MやZA
RAを中心とするSPA戦略(企画から製造、販売までの一貫体制。日本で言
うとユニクロ等)を取るビジネスモデルとルィヴィトンやDiorを持つ、L
VMHグループを代表とするといったブランド企業に分かれています。
 H&MはSPA企業において、有名デザイナーを起用した商品を限定で発売
するといった戦略で、ファッション性の高いものを安価に提供することで成長
してきました。この戦略は、SPA戦略をとる企業とブランド企業との垣根を
取り払っていくでしょう。

 また、ファッション業界は、労働環境や地球環境問題、また企業イメージア
ップの施策に先進的な企業が多くあり、学ぶべき部分が多いと感じます。
 ブランドを多く抱えるLVMHの戦略としては、地球温暖化に比例して、冬
物衣料の落ち込みが懸念されるため、アパレル以外のお酒や車といった企業を
買収し、グループに入れる戦略をとっています。冬のダウンジャケットの代名
詞ともいえる仏・モンクレーはブランドとしての知名度を活かして、夏物衣料
に進出し、業績を伸ばしています。
 労働環境という面では、いち早く改正・パートタイム労働法に応じた登用制
度等の施策を発表しました。

 話をH&Mに戻しますと、そのH&Mが今年の秋に日本に上陸します。
当面は名古屋に来る予定はないですが、日本のアパレル市場に大きな風を吹か
せるでしょう。
 秋に新聞やテレビでH&Mと報道される前に、覚えておいて損はないです。
そして、アパレル企業の次世代の戦略や施策に注目して頂ければと思います。

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●地球温暖化現象

                 ・・・・三橋 綾子(みつはしあやこ)

 世界各地の天気予報が伝えています。
「きょうの最高気温は47℃でした。
あすは、きょうより高く、50℃近くまで上がるでしょう。」

 そんな暑さ、想像できますか?

 日本の夏、一番暑い時期の最高気温の平年値は、せいぜい31℃。
それより15℃以上も高いなんてありえません。

 そんな所で過ごしたら、灼熱地獄ではないか・・・・・・・。
 日ざしが痛くて、外を歩けないのでは・・・・・・・。
 そんな思いが頭をよぎりました。

 ところが、似たような熱波は、すでに起きているのです。

 2003年の夏、フランス・パリでは、最高気温が40℃に達しました。
パリは日本と比べると、北海道より北に位置しているのにですよ。
パリの真夏の最高気温は平年ですと25℃~26℃なので、それより15℃く
らい高かったことになります。

 地球温暖化でまずいのは、気温の上昇だけでなく、気候のバランスが崩れて
しまうことです。極端に暑かったり、極端に寒かったり、やたら雨が降ったり
全然降らなかったり。

 そんな異常気象が当たり前になってしまうのです。

 異常気象が、私達に与える影響はとても大きいです。動植物の絶滅、海面上
昇による水没・・・・・・。

 身近のところで考えれば、最近、小麦の値段が上がったことは、皆さんご存
知ですよね!?

 これは、地球温暖化による干ばつが原因で小麦がとれない為だそうです。

 30年に一回しか起きない現象というのが異常気象の定義であるそうですが、
毎年、どこかで異常現象が起きています。

 記録的、観測史上初、統計を取り始めてから一番高い、なんて言葉を聞いた
ことがない人の方が少ないですよね。

 最近では、テレビや新聞などで、地球温暖化が叫ばれています。
 企業も地球温暖化に対する取り組みが問われる時代になってきていると思う。
地球温暖化を前提とした商品・サービスを提供できている会社と、そうでない
会社では取引先や消費者からの評価に大きな差が生じるであろう。

 企業の環境に対する取組み、それは今後、企業活動において大きなテーマに
なるでしょう。