2.1.2.今までの有限会社について

2.1.2.今までの有限会社について

 会社法施行前に有限会社法に基づき設立された今までの有限会社は、会社法施行日以降は、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下整備法という。)2条により、会社法の規定による株式会社として存続することになる。
 
 ただし、株式会社として存続することになっても、整備法3条から44条に下記のような会社法の特則が規定されており、この規定が今までの有限会社に適用される結果、今までの有限会社と同一の制度が維持される。
 
【整備法の主な特則】
・その商号中には有限会社という文字を用いなければならない。(整備法3条1項)
・取締役の任期を定めた会社法332条の規定は適用しない。(整備法18条)
・決算書の公告を定めた会社法440条の規定は適用しない。(整備法28条)
 
 つまり、今までの有限会社は、整備法の特則が適用された株式会社(以下、この会社を「特例有限会社」という。)として存続する。
そして、特例有限会社は、今までの有限会社と全く同じであり、改正前も改正後も、制 度上何ら変わらないようにするために、整備法で特例が規定されているのである。
 
 したがって、会社法施行後でも今までの有限会社は「有限会社○○○」と商号に有限会社の文字をを付けなければならない。もし、「株式会社○○○」などと株式会社と誤認されるような表示をすると100万円以下の過料に処せられる。(整備法3条4項)
 
 「株式会社○○○」としたいのであれば、まず株主総会で商号の変更の手続をし、その後、特例有限会社解散の登記と商号変更後の株式会社設立登記をすることになる。(整備法45条・46条)
 
 商号の変更をすると、正真正銘の株式会社になり、整備法の特則を受けなくなるので、商号の中に株式会社の文字が入るかわりに、取締役の任期が有期となり、決算公告も必要になる。
 つまり、会社法施行後に設立した株式会社と同じとなり、二度と特例有限会社に戻ることはできない。
 
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