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■ 南極大陸の氷、「実は増加していた」 NASA2015.11. 5

(CNN) 南極大陸で年々失われていく氷よりも、増えている氷の量の方が多いとの研究結果を、米航空宇宙局(NASA)のチームがこのほど発表した。事実ならば、南極氷床の融解が海面上昇につながっているという従来の説は覆される。

NASAのチームは南極氷床の高さを人工衛星から計測したデータを調べ、その変化の様子から結論を導き出した。

南極大陸は米国とメキシコを合わせたほどの面積。氷の増減は大陸全体で一律に起きているわけではない。南極半島を含む西南極の一部で氷床の融解が進む一方、東部や内陸部の一部で氷が増加傾向にあることは、かねて指摘されていた。今回の研究では、この増加分が減少分を上回ることが明らかになったという。

氷が増加しているのは、1万年前から続く降雪の増加が原因とみられる。雪は年月を経て積み重なり、圧縮されて氷となる。

チームによれば、こうして1992〜2001年には年間1120億トンの氷が新たに加わった。02〜08年はペースが下がり、年間820億トンの増加となった。

過去10年以上にわたる研究では、南極大陸やグリーンランド、世界各地の氷河から溶け出した氷が、海面の上昇を引き起こしているとされてきた。西南極の氷床が融解すると、地球の海面は約3メートル上昇するといわれている。しかし新たな研究結果では、南極大陸は差し引き計算すると全体として氷が増えているため、海面上昇の要因ではないことになる。

これは必ずしも喜ばしい結果とは言えない。グリーンランドで起きている融解などの影響が、従来の推定より大きいことを意味している可能性もあるからだ。

また研究チームの指摘によれば、西南極での氷床融解は次第に加速している一方、氷の増加傾向は近年緩やかになってきた。そのため今後20年のうちに、減少分が増加分を上回ることが予想されるという。