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世界遺産「古都京都の文化財」は有名な17か所

!!!世界遺産「古都京都の文化財」は有名な17か所

桜が咲きほころび、京都の町は春らんまん。国宝の特別公開や夜桜ライトアップなど、大勢の観光客でにぎわっています。世界的にも有名な京都が、「古都京都の文化財」として世界遺産に登録されたのは、平安建都1,200年を迎えた1994(平成6)年のこと。日本で5番目(文化遺産としては3番目)の世界遺産で、京都府京都市、宇治市、滋賀県大津市にある17の寺院や神社、歴史的建造物がその対象となっています。

「賀茂別雷(かもわけいかづち)神社」(上賀茂神社)と「賀茂御祖(かもみおや)神社」(下鴨神社)は、京都市の北に位置する神社。下鴨神社の境内にある糺(ただす)の森は、『源氏物語』にも登場する貴重な森林です。
「高山寺(こうざんじ)」は、京都市北西の山中に建てられた寺院。境内には、日本最古と伝えられる茶園があり、また、国宝の「鳥獣人物戯画」など、多くの貴重な美術工芸品を所有することでも有名です。
「本願寺(ほんがんじ)」(西本願寺)は、浄土真宗本願寺派の本山。豊臣秀吉の寄進を受け、華麗な桃山文化の粋を今に伝える寺院です。
「清水寺(きよみずでら)」の始まりは、今も境内にある音羽の滝に、僧の延鎮が観音様をまつり、後に坂上田村麻呂が仏殿を建立したことによるそうです。
“清水の舞台”として知られる本堂は、1633年に再建されました。
「鹿苑寺(ろくおんじ)」(金閣寺)は、室町時代に3代将軍の足利義満が別邸として、ぜいを尽くして金ぱく張りの別邸に改築したもの。義満の死後、禅寺となりました。
「慈照寺(じしょうじ)」(銀閣寺)は、義満の孫で8代将軍・足利義政の別邸でした。金閣寺とセットで語られることが多いですが、実際にはずいぶん離れています。
「龍安寺(りょうあんじ)」は、石庭で世界的に有名な禅寺。長方形の白砂の庭園に15個の石が配置され、見る者を哲学的な世界へと誘います。
「仁和寺(にんなじ)」は、宇多天皇の勅願により創建され、皇子・皇孫が住持したことから、「御室(おむろ)御所」とも呼ばれています。後に、御所の紫宸殿(ししんでん)と御常御殿(おつねごてん)が移築されたことから、宮殿建築の趣を残す寺院でもあります。
「天龍寺(てんりゅうじ)」は、嵐山の渡月橋近くに立つ寺院。後嵯峨天皇の離宮を、足利尊氏が、後醍醐天皇の菩提を弔うために、夢窓疎石を招いて禅寺に改築しました。貴族文化と禅の思想が融合した、名高い寺として知られています。
「西芳寺(さいほうじ)」(苔寺)は、奈良時代に開かれたと伝えられる寺院で、境内を覆う緑のコケの美しさから、別名「苔寺」と呼ばれています。枯山水の庭園は禅宗寺院の一つの極致として、後の日本庭園のあり方に大きな影響を与えたそうです。
「醍醐寺(だいごじ)」は、空海(弘法大師)の孫弟子が開祖と伝えられる寺院。国宝の五重塔は、京都府内でも最古の木造建築だそうです。1598年に豊臣秀吉が、1,000人を超える参列者を集めて催した「醍醐の花見」で有名です。
「教王護国寺(きょうおうごこくじ)」(東寺)は、平安京の南の入り口・羅城門のそばに造られ、空海に下賜された真言密教の寺院。国宝の五重塔は、日本に現存する塔の中では最も高いものです。
「二条城(にじょうじょう)」は、徳川幕府が、京都御所の守護と将軍上洛の際の宿泊所として造営したもの。幕末にはここで、徳川慶喜大政奉還を行いました。

以上が、京都市内にある14か所。残る3か所は、宇治市と大津市にあります。

「平等院(びょうどういん)」は、藤原道長の別荘だったことで知られる宇治市の名所。中堂の大屋根に1対の鳳凰が飾られている国宝の鳳凰堂は、その優美さと華麗さで、藤原一族の栄華を今に伝えています。
「宇治上(うじがみ)神社」は、宇治川の東岸に位置し、現存する日本最古の神社建築です。応神天皇や仁徳天皇がまつられており、平等院の鎮守社でもあります。
「延暦寺(えんりゃくじ)」は、平安京の鬼門を鎮護するために、最澄(伝教大師)が、琵琶湖を望む大津の比叡山に開いた天台宗の本山。法然、親鸞、日蓮ら多くの高僧たちを輩出した、日本仏教の母山とも言える寺院です。

こうして見ていくと、世界遺産「古都京都の文化財」は、皆さんもよくご存じのところばかりではないでしょうか。でも、さすがに17か所すべてを見て回るとなると、3日や4日の滞在では足りないかもしれませんね。
一気に見ようとは考えずに、足しげく京都に通って、四季折々の風情とともに、1か所ずつじっくりたんのうしながら、平安貴族の気分を味わってみるのが、「古都京都の文化財」の一番ぜいたくな楽しみ方かもしれませんよ。

!!!見どころいっぱい!「源氏物語千年紀」

「古都京都の文化財」を巡るのも楽しそうですが、今年は、さらに別の京都の楽しみ方もあります。それは「源氏物語千年紀」にちなんだイベント巡りです。

『源氏物語』は、言わずと知れた日本が世界に誇る古典文学の至宝。天皇の皇子として生まれながら臣に下った、光源氏を主人公に繰り広げられる長編恋愛小説です。英語やフランス語などに翻訳され、世界中に多くのファンと研究者を持ち、文学のみならず芸術・文化面でも大きな影響を与えてきました。

作者は、平安時代中期に女房として宮中で仕えていた女官・紫式部とされていますが、執筆年がいつであったかは定かでないそうです。ただ一説によると、紫式部が記していた『紫式部日記』には、1008年11月には、すでにこの物語が宮中で読まれていたらしい記述があるそうで、それを『源氏物語』の誕生年とすると、今年は、それからちょうど千年目に当たるというのです。
そこで、物語の誕生から千年を祝う「源氏物語千年紀」が企画され、京都はもちろん、『源氏物語』ゆかりの地、紫式部ゆかりの地などで、さまざまなイベントの開催が予定されています。

例えば、紫式部は、物語の発想を得るために、石山寺に7日間こもって祈念したと伝えられていますが、その石山寺がある滋賀県大津市では、『源氏物語』をさまざまな視点から読み解くフォーラムやセミナーが予定されています。
また、『源氏物語』の中で、光源氏は一時、須磨の海に近い寒村で不遇のときを送り、そこで明石の君と出会うのですが、そのエピソードの舞台となっている兵庫県明石市では、光源氏と明石の君を演じる舞い手を一般公募して、明石薪能を8月に開催するそうです。
そのほか、紫式部が、生涯に一度だけ都を離れて暮らした地と言われる福井県越前市でも、「源氏物語千年紀」にちなんだイベントが、年末までにいくつも予定されています。

全国で展開される「源氏物語千年紀」ですが、やはり最も力が入っているのは京都でしょう。京都府・京都市・宇治市・京都商工会議所などでは、協力して「源氏物語千年紀委員会」を組織し、さまざまな「源氏物語千年紀」関連イベントを計画するとともに、今年11月には、京都国際会館で記念式典の開催も予定しているそうです。

もし、ゴールデンウィークに京都を訪れるのなら、ぜひ足を運んでおきたいのが、京都府京都文化博物館で4月26日から開催される「源氏物語千年紀展~恋、千年の時空(とき)をこえて~」。国宝『紫式部日記絵巻』や、重要文化財の『源氏物語写本』などの展示をはじめ、『源氏物語』や紫式部にかかわるもの、中世の暮らしや文化をうかがい知ることができるものなど、絵画・書籍・工芸品など、貴重な約160点が一堂に展示されます。
この企画展は、6月8日まで開催されているので、5月15日に行われる京都三大祭りの一つ、「葵祭(あおいまつり)」に合わせて京都を訪れるというのもオススメです。
「葵祭」は、世界遺産にもなっている上賀茂神社と下鴨神社の例祭。最大の見どころは、平安貴族の装束を身にまとった総勢500名以上の行列が、牛車や輿(こし)を引いて、京都御所から下鴨神社を経て上賀茂神へと向かう路頭の儀です。平安朝のみやびな古典行列を眺めて、『源氏物語』に思いをはせながら京都の春を満喫してみてください。

!!!編集後記

「新たな一歩を踏み出す」というのは、現実の道ではなく、いわば心の中にある道の上でのことですが、現実の道路で距離を測る基点としてよく知られている場所といえば、お江戸・日本橋でしょう。そもそも日本橋は、徳川家康が将軍となって江戸幕府を開いた1603年に架けられた橋で、ここを基点として、江戸から延びる東海道や中山道などの街道が整備されていったのだそうです。
明治になって、県や市町村に道路の基点となる場所の設置が義務づけられたときに、多くは県庁や市町村役場の前の道路を基点としたのですが、東京だけは、歴史を重んじて日本橋にしました。その日本橋は、架設当初、木製の橋だったようですが、1911(明治44)年4月3日に、現在の石造りの橋に架け替えられました。これを記念して、4月3日は「日本橋開通記念日」となっています。この際、新たな一歩を日本橋から踏み出してみるというのも、心機一転になるかもしれませんよ。