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第1回「交際費課税と税務調査」

第1回「交際費課税と税務調査」

交際費課税

 企業が支出する交際費は、企業利益獲得のため必要な費用であり、企業の利益計算上は費用として控除されます。

 しかし法人税法では、冗費の節約(乱費の抑制)・企業の資本充実を図る観点から、企業が支出する交際費などは原則として損金の額に算入されず(制限損金といいます)、法人税の課税対象とされています。

 法人税法上、交際費等とは交際費・接待費・機密費その他の費用で、企業がその得意先・仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待・供応・慰安・贈答その他これらに類する行為のために支出するものとされています。

 なお、期末の資本等の金額が5,000万円以下の企業は、支出した交際費等の金額のうち次の金額が損金不算入とされ、残額は損金の額に算入されます。

期末の資本または出資の金額損金不算入額の算式
1000万円以下の法人支出交際費などの額が年400万円以下支出交際費などの額×20/100
支出交際費などの額が年400万円超支出交際費などの額のうち年400万円を超える額+年400万円×20/100
1000万円超、5000万円以下の法人支出交際費などの額が年300万円以下支出交際費などの額×20/100
支出交際費などの額が年300万円超支出交際費などの額のうち年300万円を超える額+年300万円×20/100

税務調査

 企業の税務調査では、交際費以外の勘定科目(たとえば会議費・福利厚生費・広告宣伝費など)に交際費に該当する支出があるか否かの確認が行われ、該当する支出があれば追加の税負担が生じます。

 従来の税務調査は、効果的・効率的に実施するため企業の支出のうち抽出基準を設け極少額の支出に対する調査を見合わせ、それによって生じる余力を不正発見のための調査に振り向けることが重要であるとされていました。

 しかし、交際費の抽出基準が各国税局によってことなっており(下記の表を参照)、地域によって企業の税負担に差異が生ずる恐れがあるため、交際費の抽出基準を廃止する措置が講じられました。

 したがって、今後の税務調査では、交際費以外の勘定科目で交際費に該当する支出があれば、少額であっても追加の税負担を求められる場合が有り得ます。

[交際費に関する抽出基準]

区分 支出 抽出する基準となる金額
東京国税局調査部 茶菓の接待費用 抽出しない
来客食事代 1人当たりおおむね3000円程度
得意先訪問の手土産代 おおむね3000円程度
業務に伴う従業員の飲食代 1人当たりおおむね3,000円程度
慰安のための従業員の飲食代
(1)忘年会・新年会・創立記念日など…抽出しない
(2)目標達成に際しての飲食…1人当たりおおむね3000円程度
広告宣伝用物品の贈答費 購入単価がおおむね3000円程度(ただし、中元・歳暮の贈答に代えて支出した場合は交際費)
大阪国税局調査部 タクシー代 少なくとも1回の料金が5000円を下回るものは否認しない
広島国税局調査査察部 すべての支出 1件当たりの支出金額が5000円以下
高松国税局調査査察部 東京国税局調査部に同じ 東京国税局調査部に同じ

※2000年11月総務庁(当時)行政監察局の調査によります