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重要書類の訂正ルール

重要書類の訂正ルール

押印と「見え消し」基本。修正液だけでは不十分
重要な書類を書<のは気が重い。責任の重さに加え書式が厳密なことが多<、名前も気軽に書けない。緊張して書き損じ、何度も書き直しということも。でも
間違いをおかさない人などいない。大目に見てもらえる範囲で、うま<訂正する方法はあるだろうか。書類の達人たちに聞いた。

「何か問題が起きた時、あなたが偽造したと思われかねない。送り直してもらつてください」。大手プロバイダーに勤めるKさんは最近ある取引先の請求書を渡した時、経理担当者の指摘に仰天した。金額は問題ないが、日付と品目に修正液で直した跡があった。

「大目に見てあげたつもりだったが、自分が疑われるとは」と、今は反省しきりだという。
事実でないことを書類に書けば文書偽造。公文書なら十年以下の懲役となる重罪で、誰もが許されないと知つている。ところが書類訂正の重さは意外に知られ
ていない。ルールに外れれば、直した本人はもちろん受け取つた人の信頼にも傷が付く。
「書類訂正の基本は『見え消し』。誰がどう直したのかを明示することが大切」。とある行政書士はこう指摘する。ポイント印鑑の使い方にあるという。
法務省の省令で、訂正方法が厳密に決められている商業・不動産登記の書類が参考になる。省令では訂正や加入、削除をした時はまずその字数を欄外に書<。
その上で訂正した部分と、加入・削除した字数を書いた部分に印鑑を押す。訂正・削除した字は読める状態にすることも定めている。
その規則を契約書に当てはめてみたのが、右上の訂正例だ。訂正個所には2本線を引き、正しい文字を書き入れた上で取引当事者の2人が押印する。欄外に削
除・加入した文字数も書き入れ、押印する。
印鑑は書類の署名印と同じものを使う。直しに備え事前に空きスペースに捨て印を押しておけば万全。まず疑念を抱かれる心配のない訂正といえるだろう。帳簿などの直しに使う小型の訂正印も市販されているが「あくまで帳簿専用。第三者と交わす書類には使わない」という。
もちろん何でも訂正できるわけではない。「金額や特許など権利にかかわる記述の訂正はダメ。ちゃんと書き直すべし」と話す。経済的リスクに加え、相手先
の信頼を損なうからだ。
捨て印にも注意が必要だ。捨て印はその書類を受け取つた相手が行うどんな訂正も認めるという証しだ。
「行政書士などに求められた場合以外は、押すのは避けるべきだ」という。
最近は修正テープや消えるボールペンなど便利な道具もある。公式書類には全<使えないのだろうか。修正テープなどはあくまで文書の不要部分を隠すために
使われている。その上で「将来、ミスの跡を完全に消す技術が開発される可能性はあるが、販売は別問題」と話す。跡が消えれば、偽造の懸念が生じる。印鑑
使つた今のやり方が変わる可能性は当面なさそうだ。
書類の訂正にはこのほか、訂正個所をできる限り少なくするなど、渡す相手への心遣いは様々にありそうだ。ビジネスで最も重要なのは、誠実さと相手に対する配慮。自分のミスをごまかさないではっきり示す姿勢こそが、書類訂正の王道と言えそうだ。

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訂正する前に

①役所などに提出する文書は、訂正の規則を確かめる
②行政書士らに任せる場合は捨て印が必要
③書類を点検し訂正個所を確認。多数の場合は書き直す
④金額や人名などに重要事実に間違いがある場合も書き直す
⑤内容証明など1ページの字数に制限がある書類は訂正で超過しないか確認

訂正のやり方

⑥文字を削除する場合は定規で二本緑を
⑦売買契約書などは、取引当事者双方の押印が必要
⑧書類の行間が狭い時は、訂正個所の押印を省略する場合もある。削除・加入字数に押印
⑨書類が2枚以上になる場合は、割り印があれば削除・加入字数は1ヵ所でOK
⑩割り印がない場合は1枚ごとに削除・加入字数を記入、押印
⑩個人の履歴書などでも修正テープなどは使わない