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2.1.1.有限会社がなくなる

第2章 株式会社関係

2.1 有限会社について

2.1.1.有限会社がなくなる

 資本金は5千万円、役員は取締役が6名、監査役1名、代表取締役1名、従業員は80名の地元(長野県上田市)では、結構有名な会社がある。
 当然、株式会社だと思っていた。ところが、この会社、実は有限会社であった。
 
 一方、有限会社より株式会社の方が格が上であると思ってか、有限会社で十分であるのに、名ばかりの株式会社を設立する人も多い。
 
 もともと株式会社は多くの株主から多くの資本を集め、大規模な事業を行う公開会社を前提にしており、有限会社は家族や友人など身近な人と小規模な事業を行う閉鎖的な会社を前提にしていた。
 ところが、現在設立される株式会社は、株式の譲渡制限をする閉鎖的な株式会社がほとんどで、限りなく有限会社に近い株式会社である。
 
 このように、理念どおりに株式会社有限会社の区分けができなくなっていることから、株式会社有限会社を統合して、ひとつの会社類型(株式会社)として規律することになった。
 
 ただし、理念どおりに区分けできなかった原因は有限会社に近い株式会社が多いことによるもので、株式会社側の制度問題である。有限会社制度については何ら問題が無い。
 したがって、有限会社が廃止されると言っても、有限会社という会社の種類がなくなるだけで、有限会社の制度自体は、株式会社制度のなかで存続する。
 つまり、定款で株式の譲渡制限の規定を設ければ、例えば取締役が1名だけの株式会社会社法326条1項)のように、今までは有限会社でしか認められていなかった機関設計が株式会社の機関設計として認められる。
 今までの有限会社と異なる点は、取締役・監査役任期が無期であったのが、最長でも10年までの有期になった(会社法332条・336条)ことと、決算公告が義務づけられた(会社法440条)ことぐらいである。その他の制度は、ほぼ今までの有限会社と同じ制度が株式会社制度の中で規定されている。
 したがって、有限会社という会社の種類は廃止されるが、有限会社制度自体は、株式会社制度の中に統合されたということである。
 
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▲ 第2章 株式会社関係
▲ 2.1 有限会社について
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