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2.2.1.最低資本金制度の廃止

2.2 最低資本金制度について

2.2.1.最低資本金制度の廃止

 今までは、株式会社を設立するには1000万円、有限会社を設立するには300万円の資本金が最低限必要でした。これが最低資本金制度です。
 今回の改正で、株式会社制度と有限会社制度が統合されたので、最低資本金は300万円になるのかと思いましたが、この最低資本金制度は廃止され、資本金1円から会社設立登記ができるようになりました。
 
 なぜ、最低資本金制度があったかというと、会社債権者保護のためです。
 株式会社有限会社は物的会社と呼ばれ、株主は出資した額以上に責任を問われない有限責任を負うだけなので、会社債権者を保護するために会社が最低限保有すべき財産を設立時に出資させていたのです。
 
 しかし、会社設立時に、最低資本金の出資を要求している一方で、会社設立後に会社の財産が資本金に満たなくなっても増資を要求していないため、会社の資本金よりも会社の財産が少ない会社がかなりありました。
 
 もともと会社債権者保護については、最低資本金制度、会社財産の開示制度、取締役の責任の3つの規定で行うことになっていました。
 このうち、最低資本金については設立時にのみ最低資本金を要求しても意味がないため廃止し、会社財産の開示制度と取締役の責任を強化することによって会社債権者を保護することになりました。
 
 具体的には、最低資本金制度を廃止して、会計参与制度の創設などで計算書類の適正を確保し、すべての株式会社に対し貸借対照表の公告を義務づける。(会社法440条)
 配当や自己株式の取得など株主に対する会社財産の払い戻しについては、統一的な財源規制(会社法461条)をし、これに違反して配当をした取締役の責任は、分配可能額超過分については、総株主の同意があっても免除できない(会社法462条3項)ことにした。
 また、会社の純資産額が300万円を超えるまでは、剰余金の分配はできないことにしています。(会社法458条)
 以上のような措置をとることにより会社債権者の保護をはかっています。
 
 最低資本金制度が導入されたのは平成2年でした。5年間の猶予期間の中で株式会社は1000万円にしなければ有限会社等に組織変更するか解散するしかありませんでした。
 零細な株式会社を資本金1000万円にすることは、大変苦労なことでした。
 ちょうど、司法書士になったばかりの時で、増資の登記がたくさんあって良かったのですが、最低資本金が廃止されることになり、一体あの時の苦労は何だったんだろうか?と今は思います。
 
▲ 新会社法の改正ポイント
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