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2.6.8.株主代表訴訟について

2.6.8.株主代表訴訟について

 株主代表訴訟については、下記のような変更が行われた。
 
 1.株主代表訴訟を提起することができない場合として、訴えの却下事由が法定された。
 
 責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、責任追及等の訴えの提起を会社に請求できないとした。(会社法847条1項ただし書き)
 これにより、もし株主が上記のような訴えを提起しても却下される。
 
 これは、総会屋等が株主代表訴訟を脅しとして使って、金銭等を会社に要求する場合に、訴権の濫用として訴え却下できるようにするためである。
 
 
 2.不提訴理由の通知制度が新設された。
 
 株主が会社に対し、役員等の責任を追求する訴えの提起を請求し(会社法847条1項)、会社が60日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合は、請求した株主が会社のために責任追及等の訴えを提起できる。(会社法847条3項)
 この場合に、当該株主又は取締役等の請求により、遅滞なく、当該株主又は取締役に対し、訴えを提起しなかった理由を、書面(不提訴理由書)をもって通知しなければならないとされた。(会社法847条4項)
 
 これは、訴えを提起しなかった理由を開示させることにより、会社側にしっかりとした社内調査をさせるためと、提訴後に必要となる訴訟資料を提供させるためだと思われる。この場合、会社の調査が取締役にとって有利な裁判資料になる可能性もあるので、当該株主以外に、取締役等からも理由の開示を請求できるようにしている。
 
 
 3.株主代表訴訟提起後に株主でなくなった者についての原告適格についての明文化の新設
 
 組織再編などにより、株式交換や株式移転が行われ、株主代表訴訟の原告である株主が、当該会社の株主でなくなった場合、原告適格を喪失するかどうかについて疑義があり、判例によれば原告適格を失うと解されていた。
 
 そこで、この点を解決するため、会社法では、完全子会社となる会社につき係属中の株主代表訴訟の原告が、株式交換・株式移転により完全子会社となる会社の株主たる地位を喪失する場合であっても、当該株式交換・株式移転により完全親会社となる会社の株主となるときは、当該原告は、当該株主代表訴訟の原告適格を喪失しない(会社法851条1項1号)とし、原告適格を喪失しない旨明確化した。
 
 これは、親会社株主として完全子会社に対する利害関係を有する以上、親会社を通じて原告適格は継続して保有していると考えられるためだと思われる。
 
 これと同じ理由で、合併の消滅会社につき係属中の株主代表訴訟の原告が、合併により消滅会社の株主たる地位を喪失する場合であっても、当該合併により存続会社等の株主となるときは、当該原告は、当該株主代表訴訟の原告適格を喪失しないものとしている。(会社法851条1項2号)
 
 したがって、組織再編行為の対価の柔軟化として、親会社の株式でなく現金などが交付されて、原告株主が親会社の株主にならない場合は、原告適格を喪失する。
 
▲ 新会社法の改正ポイント
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