歴史・人名

西アジア史(年表)

西アジア史(年表)(読み)にしあじあしねんぴょう

   年表西アジア史

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

610 イスラム教の創唱者ムハンマドが初めて神の啓示を受ける
622 ムハンマドと教友がメディナに移住。イスラム暦(ヒジュラ)紀元元年
624 イスラム軍、バドルの戦いで完勝
632 ムハンマド没。アブー・バクルが初代カリフに就任
637 イスラム軍の南イラク征服完了。バスラ(638)とクーファ(639)に軍事都市を設営する
640 イスラム軍のシリア征服完了
642 イスラム軍、ササン朝ペルシア軍に大勝。イスラム軍のエジプト征服完了
661 ムアーウィヤ(1世)、ウマイヤ朝を興す
717 ウマル(2世)が税制改革に着手
749 サッファーフがクーファでカリフ位就任宣言
750 アッバース朝軍、ウマイヤ朝軍に大勝。ウマイヤ朝のカリフが殺され、アッバース朝が正式に成立
751 タラス川の戦いでイスラム軍、唐軍を破る
756 ウマイヤ家のアブドゥル・ラフマーン(1世)、イベリア半島に後ウマイヤ朝を興す
762 マンスールがバグダードの建設に着手
789 モロッコにイドリース朝興る
827 チュニジアのアグラブ朝、シチリア島征服に着手
833 ムータシム、カリフに就任し、トルコ人奴隷(マムルーク)で親衛隊を組織
869 南イラクでザンジュ(黒人奴隷)らが挙兵(ザンジュの乱)
909 イスマーイール派のファーティマ朝興る
929 後ウマイヤ朝のアブドゥル・ラフマーン(3世)、カリフと称する
932 西部イランにダイラム人のブワイフ朝興る
946 ブワイフ朝がバグダードを占領
969 ファーティマ朝がエジプトを征服。カイロを建設
1031 後ウマイヤ朝滅び、小君侯時代に入り、イベリア半島のイスラム勢力が弱体化する
1038 セルジューク朝興る
1055 セルジューク朝、バグダードを占領
1056 モロッコにムラービト朝興り、北アフリカとスペインに勢力拡大
1071 セルジューク朝軍、ビザンティン帝国軍を破り、小アジアのトルコ化が確定
1099 十字軍がエルサレムを占領。エルサレム王国建国
1130 北アフリカにムワッヒド朝興る
1187 アイユーブ朝のサラディン、エルサレムを奪回
1194 ホラズム・シャー朝がイラン・イラクに進出
1212 ムワッヒド朝軍、キリスト教連合軍に大敗
1219 モンゴル軍、中央アジアに進出
1250 エジプトのマムルーク軍のクーデターでアイユーブ朝滅び、マムルーク朝を樹立
1253 フラグの率いるモンゴル軍が西アジアに進出
1258 モンゴル軍、バグダードを征服。イル・ハン国成立
1260 マムルーク朝のバイバルス(1世)、モンゴル軍を破る
1295 イル・ハン国のガザン・ハン即位。イスラム化と中央集権化に着手
1326 オスマン帝国のオルハンがブルサに進出
1370 ティームールが西トルキスタンの支配者となる
1389 オスマン帝国軍、ブルガリアを支配下に置く
1402 ティームールがオスマンのバヤジト(1世)にアンカラで大勝し、バヤジト(1世)を捕虜とする
1453 オスマン帝国軍、コンスタンティノープルを征服、ビザンティン帝国滅亡す
1492 グラナダのナスル朝滅び、イスラム勢力、イベリア半島から完全に追放される
1501 イランにサファビー朝興る
1517 マムルーク朝、オスマン帝国に敗れ滅亡。オスマン帝国は、エジプト、シリア、アラビア半島を領土に加える
1571 オスマン帝国、ベネチアからキプロス島を奪う。オスマン帝国軍、レパントの海戦でヨーロッパ連合艦隊に敗れる
1684 オーストリア、ベネチア、ポーランドが対オスマン帝国神聖同盟を結成
1699 オスマン帝国と神聖同盟がカルロウィッツ条約を締結。オスマン帝国衰退期を迎える
1774 ロシア・トルコ戦争に敗れ、オスマン帝国、黒海北岸域をロシアに割譲
1798 ナポレオン(1世)の率いるフランス軍、エジプトを占領
1805 ムハンマド・アリーがエジプトの実権を握る
1813 イランのカージャール朝がロシアに敗れ、ゴレスターン条約を結び北方領土を割譲
1826 オスマン帝国がイェニ・チェリを廃し、軍制改革に乗り出す
1829 オスマン帝国、アドリアノープルの和でギリシアの独立とセルビアなどの自治権を承認する
1839 オスマン帝国でタンズィマートを始める
1876 オスマン帝国でミトハト憲法が制定、発布される
1877 アブデュル・ハミト(2世)、ミトハト憲法停止し、専制政治を始める。ロシア・トルコ戦争起こる
1882 エジプトでアラービー・パシャを中心とする下級将校の反乱、イギリスに鎮圧される
1889 統一と進歩委員会(青年トルコ党)結成
1891 イランで、タバコ・ボイコット運動が成功
1906 イラン立憲革命が成功、憲法が発布される
1908 アブデュル・ハミト(2世)が憲法復活宣言
1912 第一次バルカン戦争起き、バルカンのトルコ領縮小
1914 トルコ、第一次世界大戦で同盟国側で参戦。イギリスはエジプトを保護領化する
1919 アフガニスタン独立
1920 サン・レモ会議でトルコ領アラブ地域のイギリス・フランス分割統治が決定
1922 ケマル・パシャによるトルコ革命が成功
1922 エジプト王国、独立を宣言
1923 トルコ共和国成立、ケマル・アタチュルクが大統領に就任
1925 レザー・ハーン(のちのレザー・シャー)によりパフラビー朝成立
1932 ヒジャーズおよびネジドがサウジアラビア王国と改称
1932 イラク王国、イギリス委任統治より独立する
1935 ペルシア、国号をイランと改称する
1936 イギリス・エジプト条約調印、イギリス軍がスエズ以外のエジプトから撤退
1943 レバノン共和国独立宣言(1944年独立)
1944 シリア共和国設立(1946年完全独立)
1945 アラブ連盟成立
1946 トランスヨルダン独立(1949年、ヨルダン王国に改称)
1947 国連総会において、パレスチナ分割決議を採択
1948 イスラエル共和国設立宣言、第一次中東戦争勃発
1951 イラン、石油国有化宣言
1952 エジプト、自由将校団によるクーデターにより王制廃止
1953 エジプト共和国成立
1955 バグダード条約機構結成
1956 エジプト、ナセル大統領就任
1956 スエズ動乱(スエズ戦争)、第二次中東戦争勃発
1958 イラク革命、王制を廃して共和制樹立
1960 石油輸出国機構(OPEC)設立
1961 クウェート独立
1962 イエメン・アラブ共和国成立
1964 パレスチナ解放機構(PLO)発足
1967 第三次中東戦争勃発、イスラエルがシナイ半島、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区、ゴラン高原を占領する
1968 アラブ石油輸出国機構(OAPEC)発足
1970 イエメン民主人民共和国成立
1971 バーレーン、カタール独立、旧トルーシャル地方の首長国がアラブ首長国連邦(UAE)を結成
1973 アフガニスタン、クーデターにより王制廃止、共和制樹立
1973 第四次中東戦争勃発、アラブ産油国による対米・オランダ石油全面禁輸決定により第一次石油危機(オイル・ショック)が起こる
1975 レバノン内戦勃発(1989年内戦終結)
1979 イランでイスラム革命が起こり、イラン・イスラム共和国が成立
1979 エジプトとイスラエルが平和条約を締結する
1979 アフガニスタンにソ連軍侵攻
1980 イラン・イラク戦争勃発(1988年停戦)
1981 湾岸協力会議(GCC)発足
1981 エジプトのサダト大統領暗殺
1982 イスラエル軍によるレバノン侵攻(1985年に撤退)
1987 イスラエル占領地でのパレスチナ人蜂起(インティファーダ)が始まる(パレスチナ問題)
1990 南北イエメン統合(イエメン共和国成立)
1990 イラクによるクウェート侵攻
1991 湾岸戦争勃発
1991 アルメニア共和国、アゼルバイジャン共和国がソ連から独立
1993 イスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)のあいだでヨルダン川西岸とガザ地区でのパレスチナ人による暫定自治実施に合意、PLOはイスラエルを承認
1996 対イラク国連制裁部分解除
1997 イスラエル政府とパレスチナ自治政府間でヘブロン合意調印、ヨルダン川西岸の都市ヘブロンからイスラエル軍撤退
1997 エジプト南部の観光地ルクソールでイスラム集団による観光客テロ事件発生
1998 イランが中距離弾道ミサイル「シャハブ3」の発射実験を実施
1998 イスラエル首相ネタニヤフとアラファトPLO議長との間でワイ合意(イスラエル軍の追加撤退に関する合意文書)調印
1998 国連大量破壊兵器廃棄特別委員会の査察をイラクが拒否、米英両軍がイラクを攻撃(砂漠のキツネ作戦)
1999 2月 ヨルダン国王フセイン死去
1999 3月 バーレーン首長イサ死去
1999 7月 モロッコ国王ハッサン(2世)死去
1999 トルコでマグニチュード7.8の大地震発生
2000 6月 シリアのアサド大統領死去
2000 7月11~25日 アメリカ・メリーランド州のキャンプ・デービッド(大統領公用別邸)で、クリントン大統領、パレスチナのアラファトPLO議長、イスラエルのバラク首相が会談(エルサレムの帰属問題について)
2001 2月 イスラエル首相選でリクード党首のシャロンが当選
2001 10月 アメリカ同時多発テロの容疑者ビンラディンの身柄引き渡しを拒否したアフガニスタン(タリバン政権)に対し、アメリカが報復攻撃を開始
2001 12月22日 アフガニスタン暫定行政機構発足
2002 3月 イスラエル、アラファト議長をパレスチナ自治区ヨルダン川西岸ラマッラーの大統領府に軟禁
2002 6月 アフガニスタン大統領に暫定行政機構議長のカルザイが就任
2002 11月 トルコの首相に公正発展党(AKP)のギュルが就任
2003 12月13日 イラクの大量破壊兵器問題にからみ、アメリカ軍によりフセイン拘束
2004 6月28日 イラクを占領統治していた連合国暫定当局(CPA)からイラク暫定政権へ主権移譲
2004 11月11日 ヨルダン川西岸ラマッラーで軟禁中だったアラファト議長死去。後任としてパレスチナ自治政府の前首相アッバスがPLO議長に就任
2005 アラファトの後任としてパレスチナ自治政府長官(Rais)にアッバスが選出され就任(1月9日)。イスラエルのシャロン首相とパレスチナ代表のアッバスが、エジプトのシャルムエルシェイクで初の首脳会談(2月8日)。イラク国民議会の選出により、タラバニがイラク移行政府の大統領に就任(4月7日)。レバノンに29年間駐留していたシリア軍が撤退(4月25日)。イスラエルがガザ地区から撤退を完了(9月12日)。バグダードでサダム・フセインの初公判が開かれるが、フセイン本人は罪状認否で無罪を主張(10月19日)
2006 イスラエルのシャロン首相が重度の脳卒中で入院(1月4日)、オルメルトが首相臨時代理となり、総選挙を経て正式に首相に就任(5月)。10年ぶりにパレスチナ評議会選挙が行われ、イスラム原理主義組織で武力闘争を掲げるハマスが勝利し第一党となる。一方、これまでパレスチナ自治政府の主流派であったアッバス率いるファタハは第二党に後退した(1月25日)。IAEA緊急理事会がイランの核問題について国連安全保障理事会へ付託する決議を採択(2月4日)。イラク中部のイスラム教シーア派の聖廟(せいびょう)が爆破(2月22日)。レバノンのイスラム教シーア派系武装勢力ヒズボッラーが、イスラエル軍兵士を拉致したことにより、イスラエル軍がレバノン領内へ侵攻(7月12日)、国連安保理の決議を受け停戦が発効(8月14日)。レバノン南部からイスラエル軍が撤退し国連レバノン暫定軍に支配地域を引き渡した(10月1日)。イラク高等法廷、人道に対する罪でフセインに死刑判決(11月5日。死刑執行は12月30日)。国連安保理、イランの核開発をめぐる制裁決議を全会一致で採択(12月23日)
2007 ハマスとファタハを中心とするパレスチナ挙国一致内閣が成立(3月17日)。国連安保理、イランの核開発をめぐる追加制裁決議を全会一致で採択(3月24日)。国連安保理決議により、元レバノン首相ハリリの暗殺事件の犯人を裁く特別法廷の設置が決定(5月30日)。パレスチナ、ハマス武装勢力がガザ地区制圧、アッバス大統領が自治区全域に緊急事態宣言(6月14日)、大統領からの指名・承認によりサラーム・ファイヤード新内閣発足(6月17日)。アフガニスタンでタリバンによる韓国人拉致(らち)事件(7月19日)。アフガニスタン北部、国会議員が訪問中の工場で自爆テロが発生、約90名が死亡(11月6日)。アメリカ・メリーランド州のアナポリスで中東和平国際会議開催(11月27日)