阿加流比売

阿加流比売

あかるひめのかみ
別:阿加流比売神阿加流比売

阿加流比売神
河出文庫 P.(古)306


日本の神々


阿加流比売神

あかるひめのかみ
別:阿加流比売神阿加流比売

製鉄、青銅に携わった人たちが祀る神を追跡した、谷川健一氏の「青銅の神の足跡」に登場。
日本神話に登場する、日の出の太陽を表す赤い瑪瑙の玉の化身とされる女神です。
古事記』では応神天皇記に記述がある。

『日本書紀』では垂仁天皇紀に記述がある。
都怒我阿羅斯等は自分の牛に荷物を背負わせて田舎へ行ったが、牛が急にいなくなってしまった。足跡を追って村の中に入ると、その村の役人が、「この荷の内容からすると、この牛の持ち主はこの牛を食べようとしているのだろう」と言って食べてしまったという。都怒我阿羅斯等は牛の代償として、その村で神として祀られている白い石を譲り受けた。石を持ち帰って寝床に置くと、石は美しい娘になった。
都怒我阿羅斯等が喜んで娘と性交しようとしたが、目を離したすきに娘はいなくなってしまった。都怒我阿羅斯等の妻によれば、娘は東の方へ行ったという。娘は難波に至って比売語曾社の神となり、また、豊国の国前郡へ至って比売語曾社の神となり、二箇所で祀られているという。
『摂津国風土記』逸文にも阿加流比売神と思われる神についての記述がある。
応神天皇の時代、新羅にいた女神が夫から逃れて筑紫国の「伊波比の比売島」に住んでいた。しかし、ここにいてはすぐに夫に見つかるだろうとその島を離れ、難波の島に至り、前に住んでいた島の名前をとって「比売島」と名附けた。
古事記』の阿加流比売神の出生譚は、女が日光を受けて卵を生み、そこから人間が生まれるという卵生神話の一種であり、類似した説話が東アジアに多く伝わっている。例えば扶余族の高句麗の始祖東明聖王(朱蒙)や新羅の始祖赫居世、倭より渡った新羅王族昔氏の伝承、伽耶諸国のひとつ金官国の始祖首露王の出生譚などがそうである。
*天之日矛(あめのひぼこ):
後に詳しく述べるが、記紀では新羅の王子として、『播磨国風土記』には神として登場する。
この事から、当然渡来系の氏族が奉じる神である。そして製鉄、製銅の地で祀られたり、話に登場することが多い。
*都怒我阿羅斯等(つぬがあらしと)=天之日矛の別名
岩波文庫 P.(古)169、313
学  研 P.(古)362


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