株式会社を設立する場合には、設立するまでにも、費用はかります。設立登記に関わる印紙や認証手数料他、創立事務所の賃貸料、登記の際の司法書士への報酬、設立事務に関わる人への給料、証券会社の取扱手数料などさまざまな費用がかかります。これらを創立費と言います。 会社は設立しただけでは事業をスタートできません。会社設立後、事業に必要な物を調達したり、事務所内の設備を整えたりすることもあるかもしれません。これらが開業費にあたります。 つまり、会社を設立するまでにかかった費用は「創立費」、設立してから事業をスタートするまでにかかった費用が「開業費」になります。 このうち創立費は、会計上および税法上において、どのような扱いになるのでしょうか。設立後に発生する「開業費」と違い、会社がまだできていな期間に使った金額は経費に計上できないのでは? と考えている人も多いようですが、そんなことはありません。 例えば、会社設立前に会議室を借りて、会社設立のための会議を実施した場合、その使用料も創立費として扱うことができます。必ず領収書を保管しておきましょう。 また、創立費を、長期的に価値が継続するモノに投資した資産である「繰延資産」として捉え、自身の好きなタイミングで費用を経費として計上できる任意償却とすることによって、節税できる仕組みをお教えします。 創立費は、登記をするまでの期間に会社設立のために支払う特別な費用です。会計上の範囲と税法上の範囲では、その定義がすこし異なっています。 会計上の範囲では、以下のような費用を指します。 ・会社を設立登記するために必要な登録免許税 税法上の範囲は、会社設立のために必要と判断された支出で、その金額を負担することが定款で決められていなかったり、定款に記された金額よりも多くの支出をしてたりしていても、設立した会社の負担と認められます。そして実務もこの認識に従って行われる、とされています。 繰延資産とは、その資産の効果が1年以上の長期にわたり継続するとされるモノへの出資を指します。そもそも、会社を設立するために支払った費用は、会社が存続しているかぎり、効果をもたらすと考えます。支出なのになぜ資産かというと、その支出により売上を生み出す「会社」ができたためです。 創立費は、法人税に関する処理において繰延資産として扱います。また、繰延資産の償却費は5年間の均等償却もしくは期限なしの任意償却のどちらかの方法を選択して計算することになります。 5年間の均等償却では、創立費を5年で均等に割った金額を償却額として毎年償却していきます。 任意償却では、償却額の最低金額が設定されていないので、黒字となった任意の年に未償却残高すべてを償却することも可能です。また、5年を超えて未償却として残っている残高を、必要経費として扱えないとする規定もありません。 5年間の均等償却では、赤字であろうと黒字であろうと一定の金額が償却されていってしまうことになります。赤字のときにはそもそも税金がかからないので、赤字の年に償却されてもそれ以上税金を減らすことはできません。つまり、赤字の年に償却された額は無駄になってしまうといことです。 一方、任意償却では、赤字の年には償却をせず、黒字に転じてから黒字の額に合わせて必要な金額を償却するというような方法もとることができます。さらに、任意償却には5年という期限も無いため、業績を鑑みつつ必要な分を適切なタイミングで、償却費として必要経費に計上できるのです。 いかがでしたでしょうか。創立費として計上可能な費用を正しく把握し計上することが節税につながります。会社がまだない場合に発生する費用も対象となるので注意が必要です。創立費と同様に経費計上が可能な、開業費について詳しく知りたい方は「開業費の範囲と償却による節税効果まとめ」を参考にしてください。 Post navigation 確定申告ソフト「MFクラウド確定申告」 個人事業主向け会計 個人事業主向け会計 個人事業主向け会計 個人事業主向け会計 |