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簿記講座入門編 目次

第1章 簿記とはどのようなものでしょうか

第2章 勘定科目と貸借対照表、損益計算書について

第3章 仕訳をやってみよう

第4章 勘定科目を整理して試算表を作成しましょう

第5章 決算処理①

第6章 決算整理②

第7章 まとめ ~ 総合問題をいっしょに解きましょう




















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第1章 簿記とはどのようなものでしょうか?


1. 簿記って何の為のものなのでしょうか?

会社を経営していく上でいくら儲かったのかということや会社の財産の状況
はどうなっているのかということを理解することはとても大切です。
会社では、商品を仕入れたり、販売したり、給与を払ったり、車を購入した
りと様々な活動を行っています。その活動一つ一つを記録し、会社の儲けや財
産の状態をあきらかにしていくことが簿記の目的です。この目的を達成する為
には日々の活動を記録し、集計していく必要がありますがその方法にはルールがあ
ります。このルールを簿記といいます。


2. 決算書

決算書は会社のもうけや財産の状況をあきらかにする報告書です。会社で起こって
いる様々な活動をまとめて最終的な報告書として決算書を作成します。決算書をつく
ることで、会社が儲かっているのか、損しているのかが分かり、建物などの資産や借
金の残高など財産の状況も分かります。それによって儲かればもうけに応じて税金の
計算や株主への配当金の計算が出来るようになります。
決算書には貸借対照表と損益計算書という2種類があります。貸借対照表はある
時点の会社の財産の状態がどうなっているのかをあきらかにし、損益計算書はある
期間での会社のもうけがどうなっているのかをあきらかにします。決算書を作る対象
期間は通常1年間ですがこの期間を会計期間といいます。例えば4月~3月の1年間
を会計期間とすると会計期間のスタートである4月1日を期首、ゴールである3月31
日を期末といいます。会計期間は企業の任意で決めることができますが、3月末を決
算日とする企業が多いです。





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3. 複式簿記

簿記の目的は会社の財産や経営状態をあきらかにすることですが、家計簿なども
簿記の一種で単式簿記といいます。一般的に言われている簿記とは複式簿記という
方法です。
なぜ、複式簿記というのかというとあるひとつの取引を2つの側面から捉えていくか
らなのです。取引とは会社の中で起きている様々なお金やものの動き全てをいいま
す。例えば、500円のビールを現金で販売したという取引があるとします。この取引
は500円という現金が増えたという面とビールを販売して売上が増えたという面から
見ることができます。次に、30万円の借金をしたという取引があるとします。この取引
は30万の現金が増えたという面と借金30万円が増えたという面からみることができ
ます。このように取引を2つの側面からみて記録していくのが複式簿記の特徴です。


4. 資産、負債、資本、費用、収益というグループを理解しましょう

決算書には貸借対照表と損益計算書という計算書があります。貸借対照表には資
産、負債、資本のグループがあります。損益計算書には収益と費用のグループがあ
ります。
又、資産、負債、資本、費用、収益のグループにはそれぞれの勘定科目がありま
す。例えば資産グループの中には現金や建物などの細目があり、これを勘定科目
いいます。勘定科目とは取引を記録する際に誰もが理解できるようにする為にありま
す。例えばある建物を A さんは「ビル」と書いたり、B さんが「鉄筋コンクリートビル」と
書いたりするとわからなくなるので、この場合の勘定科目は建物という勘定科目を使
用しましょうとなっています。大切なことは様々な勘定科目が資産、負債、資本、費用、
収益のどのグループに属するのかをよく理解することです。

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5. 仕訳 ~ ルールを覚えるととても簡単です

仕訳は簿記を学習していく上で基本となるものです。仕訳とは1つの取引を2つの
側面から見て、勘定科目と金額を利用して記録することをいいます。取引の仕訳は伝
票に記録しますが、次のような形をしています。

借 方 貸 方

  

左右に分かれて、それぞれ借方、貸方となっていますね。この借方、貸方という言葉
には特に意味はありません。
1つの取引を2つの側面から見て記録するのが仕訳ですが、2つの側面を左と右
に分けます。この時の左側を借方、右側を貸方といいます。借方や貸方という言葉に
意味はないので、左側が借方、右側が貸方と覚えてください。
簿記が理解できるか理解できないかの一番の分岐点が仕訳のルールが理解でき
て仕訳をすることができるかどうかですので、ここでの仕訳のイメージをしっかり持っ
ておくようにしましょう。


6. 簿記一巡の流れ

会社では簿記はどのように行われているのでしょうか?
会社では主に経理部で簿記を行っています。日々の取引を仕訳し、伝票に記帳しま
す。次に仕訳の記録を各勘定科目ごとに整理していきます。この時に使う帳簿を総勘
定元帳といいます。ここまでが日々の業務となります。
会計期間が終わると決算を行います。決算とは会社が1年間に起こった取引をまと
めて決算書を作成することです。まず、1年間の売上はいくらか、1年間の消耗品費
はいくらかといった勘定科目別の残高を集計していきます。その結果、全ての勘定科
目をまとめた表を作成します。この表を試算表と言います。試算表とは試しに算出し
た表という意味です。試算表が出来ると各項目において修正が必要な部分を修正し
ていきます。この手続きを決算整理といいます。決算整理が終了すると貸借対照表
と損益計算書を作成し、完了となります。決算は1年間の取引全てを整理するので決
算の時期の経理部はとても忙しくなります。

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~ 簿記一巡の流れ ~

現在ではパソコンソフトを利用して経理を行うので仕訳を入力すると総勘定元帳や
試算表は自動的に作成されます。しかし、試算表に誤りがある場合に簿記の知識が
ないとその原因が分からないのでどんなにパソコンソフトが進化しても簿記の技術は
必要となってきます。

  

















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第2章 勘定科目と貸借対照表、損益計算書について

1.資産、負債、資本、収益、費用とは何か?各グループの説明と具体例

   資  産   

資産とは・・・
現金や、預金、土地など一般的に財産と呼ばれるものを簿記上資産といいます。
ほかにも、他人にお金を貸した時に生じる貸付金などの権利も含まれます。
一般的に「人材こそ、わが社の資産です」などいうことがありますが、簿記上は人材は
資産ではありません。それは、人材の価値は金額があいまいですし、換金できるもの
ではないからです。簿記上の資産は現金に換金できるものだという理解をしておくと分
かりやすいと思います。

代表的な勘定科目

現 金 … 紙幣、硬貨など

普通預金 … 銀行や郵便局の預金

売 掛 金 … 商品を販売してその代金を後日受け取るという取引を行い、まだ代金をもらっ
ていない時に使用する科目です。商品をいわゆるツケで販売した時の未回収
の金額のことです。通常、月末締めの月末払いという商取引をしているところ
が多いのですが例えば9月に販売した商品代金を10月末日に支払いますと
いう内容です。こういった販売方法を掛け売りといいます。

貸 付 金 … 他人にお金を貸したときの貸金

繰越商品 … 決算日までに仕入れた商品のうち販売できずに売れ残った商品

未 収 金 … 商品以外のもの、例えば建物や土地などを売却し、その代金を受け取ってい
ない時の未回収の金額
【ワンポイント】 売掛金も未収金も物を掛けで販売した時の未回収の金額ですが
商品を販売した時と商品以外を販売した時で分けることにより、会社本来
の営業活動の債権とそれ以外を区分することが出来ます。 7

建 物 … ビル、店舗や倉庫など

土 地 … 会社の営業活動で購入したものだけでなく、投資用の土地も含みます。

備 品 … 事務用机、パソコン、コピー機、棚など

車両運搬具 … 車やバイクなど



   負  債 

負債とは・・・
借金など会社が将来支払わなくてはならない義務をいいます。

代表的な勘定科目

借入金 … お金を借りた時の借金をいいます

買掛金 … 商品をツケで仕入れた時のまだ代金を支払っていない金額をいいます。
なお、商品をツケで購入することを掛仕入といいます。

未払金 … 商品以外のものをツケで購入し、その代金を支払っていない金額をいいます。

預り金 … 会社が一時的に現金などを預った場合の預り額を言います。例えば会社が給料
を支払う時に所得税などを差し引きますが、会社はこの所得税を後日税務署
納める義務があります。このような時に使用します。


☆セットで理解すると分かりやすい勘定科目
売掛金と買掛金、未収金と未払金、貸付金と借入金はセットで理解するようにしましょう。




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       資    本 

資本とは・・・
会社をスタートした時に出資してもらう資本金と今までの利益の累積額の合計です。


代表的な勘定科目

資本金 … 会社をスタートするに当たって最初に株主に出してもらう出資金です。

【ワンポイント】 会社をスタートするにあたり、いろいろな費用や敷金などが必要にな
りますが、そのお金を株主に出資してもらうと資本金となり、銀行など
から借り入れると借入金となります。会社にとって借入金を借りると
元金と利息の支払義務が当然生じますが、資本金は返済義務があ
りません。そのかわりに会社で利益を出すと配当金という形で株主に
分配します。

繰越利益剰余金…いままで会社でもうけてきた利益の累積額です。



       収    益 

収益とは・・・ 利益のもとになる収入をいいます。

代表的な勘定科目

売 上 … 商品を販売した時の販売額

受取利息 … 銀行の普通預金で計上される利息です。

受取手数料 … 自分の会社が他社の取引を仲介することで得られる手数料です。



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   費    用 

費用とは・・・
商品の仕入代金や給料など収益を生み出すために必要な出費です。
ただし、支出したもの全てが費用ではありません。例えば借入金の返済や土地の購
入は支出ですが費用ではありません。費用とはあくまでも収益を生み出すために直接
かかった支出になります。

代表的な勘定科目

仕 入 … 商品を仕入れた時の仕入代金

給 料 … 従業員へ支払う給与

通 信 費 … 電話代、携帯電話代、切手代、ハガキ代、インターネットの接続料など

旅費交通費 … タクシー代、電車代、バス代、飛行機代などの交通費

水道光熱費 … 水道料金、電気代、ガス代

広告宣伝費 … 新聞の折り込みチラシや TV 広告料などの宣伝費

保 険 料 … 火災保険料や自動車保険や損害保険などの保険料

支払利息 … 借入金を借りた時に発生する利息

支払家賃 … 事務所や店舗の家賃

接待交際費 … 取引をスムーズに行うために取引先を接待した時の食事代やお土産代






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2.貸借対照表と損益計算書

 貸借対照表 

貸借対照表は資産と負債と資本から構成されています。

資産 = 負債 + 資本 という関係で貸借対照表は構成されています

      

貸借対照表

  

貸借対照表とは会社の財産の状況を表すと説明しましたが、上記の図のような形をしていま
す。借方、貸方は左側と右側という意味だけです。









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次に具体的に勘定科目をいれて見てみましょう。

貸借対照表

  

貸借対照表を改めてみると、負債と資本は会社がどこから資金を調達したのかを表して
おり、資産はその調達された資金がどのように運用されているかを表していることが分かりま
す。このように貸借対照表は会社の期末時点における資産や負債などの状況を表していま
す。

 又、ここで資本というものは資産? 負債で求められます。つまり、実質的な自己の資産を

意味していますので純資産とも呼ばれます。一般の会社でよく資産が 10 億あるなどといいま
すが、負債が 9 億あると資本は 1 億しかありません。同じ資産 10 億でも負債が2億だと資本
は 8 億となります。会社の純粋な財産とは資本ですので資産だけ見ていても正味の財産がい
くらあるのかは分からないのです。




現金 1,000
売掛金 500
繰越商品 200
建物 3,000
土地 10,000
合計 14,700
資本金 2,000
繰越利益剰余金 400
合計 2,400
買掛金 300
借入金 12,000
合計 12,300
借方 貸方
合計 14,700 合計 14,700 12


 損益計算書 

損益計算書は収益と費用、利益から構成されています。

損益計算書

  

損益計算書は会社の儲けを表すといいましたが、もうけ(利益)は収益-費用で求められます。
例えば 50 万円で車を仕入れて 70 万円で販売したとします。すると収益グループの売上が 70
万円、費用グループの仕入が 50 万円となり収益 70 万円-費用 50 万円=利益 20 万円となり
ます。次に具体的な勘定科目を入れて見てみましょう。






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損益計算書

  

損益計算書とは会社の1年間の活動の経営成績を表しています。



 損益計算書と貸借対照表の関係 

損益計算書と貸借対照表をもう一度見ていただくと、貸借対照表の繰越利益剰余金と
損益計算書の当期純利益が一致しているのがわかります。
会社をスタートして1年目は同額となります。
2年目に当期純利益が800円となると貸借対照表の繰越利益剰余金は 1,200 円となります。
つまり、当期純利益は当期の利益額を表示しており、繰越利益剰余金は今までの利益の
累積額を示しています。ここから、損益計算書は当期の経営成績を表しており、貸借対照表
は現在の財産状態と今までの利益の累積状況を示していることが分かります。




仕入 10,000
給料 5,000
旅費交通費 2,700
接待交際費 2,300
消耗品費 2,600
合計 22,600
当期純利益 400
売上 20,000
受取利息 300
合計 23,000
借方 貸方
合計 23,000 合計 23,000 14

第3章 仕訳をやってみよう

1 日目の講義で複式簿記は 1 つの取引を 2 つの面から把握して借方と貸方に分けていくと
いうことをお話ししましたが、取引を借方と貸方に分ける作業を仕訳といいます。

仕訳は簿記の流れのスタートであり、一番つまずきやすいところです。逆にいうと仕訳を理
解することでかなり簿記の理解は深まっていきます。仕訳にはグループ毎にルールがありま
すので、まずはそのルールから見ていきましょう
貸借対照表

  

損益計算書

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貸借対照表と損益計算書をみると借方に資産、費用グループが、貸方に負債、資本
収益グループがあります。仕訳のルールの基礎はそれぞれの属する方が増えた場合増加し
た方に記入することです。
例えば、資産が増加したら借方、費用が発生したら借方、負債が増加したら増えたら貸方、
資本が増加したら貸方、収益が発生したら貸方と記入するというのがルールです。
逆に、減少した場合には逆の側に記入します。つまり、資産が減少したら貸方、負債が減
少したら借方、資本が減少したら貸方に記入するというのがルールです。これを整理すると次
のようになります。
仕訳のルール

  

勘定科目や仕訳のルールについてはあまり細かく理由を考えるよりも簿記のルールとはこ
うなっているんだと暗記するような形で頭に叩き込むことが大切です。
では、具体的に仕訳をやってみましょう!






借方 貸方 16

1. 商品を 10,000 円で販売し、現金を受領した。

仕訳には必ず2つ以上の勘定科目が関わってきますし、上記の表の2つの状態が発生しま
す。
まず、この取引で使用する勘定科目は現金と売上です。
次に現金と売上という勘定科目がグループで何に属するのかを考えてみましょう。
現金は資産グループ、売上は収益グループです。
次にこの取引を2つの面からとらえましょう。
現金という資産グループの増加と売上という収益グループの発生と捉える事が出来ます。
結果として資産の増加と収益の発生という組み合わせに取引を捉える事ができます。
仕訳のルール

  

仕訳すると、資産の増加は借方、収益の発生は貸方に記入しますので
借方に現金 10,000 円、貸方に売上 10,000 円と記入します。

伝票上では
借 方 貸 方
現金 10,000 売上 10,000
となります。
2.土地 50,000 円を購入し、現金で支払った
3.商品 20 円を仕入れ、現金で支払った
4.商品 30 円を掛にて仕入れた
5.商品 20 円を掛けで販売した。

借方 貸方 17

6.土地 50,000 円を掛けで購入した。

7.机を 10 円で購入し、現金で支払った。

8.車 100,000 円を掛けで購入した。

9.出張に向かうために飛行機のチケット 30,000 円を現金にて購入した。

10.銀行より 100,000 円借り入れ、現金にて受領した。

11.銀行から借りていた借入金 50,000 円を現金にて返済した。

12.現金 30,000 円を普通預金へ入金した。

13.普通預金より現金 20,000 円を引き出した。

14.k商店に対する未払金 20,000 円を現金で支払った。

15.会社を設立するにあたり株主より現金 10,000 円の出資を受けた。

16.s商店に対する売掛金 20 円を現金にて回収した。

17.新聞折込 30,000 円分を掛けで実施した。

18.k商店への買掛金 50,000 円を銀行振り込みにて支払った。

19.普通預金に利息 5 円が入金された。

20.取引先と懇談を居酒屋で行い、食事代 20,000 円を現金で支払った。

21.K 商店へ商品 10,000 円を販売し、現金で 6,000 円受領し、残額は掛とした。

22.C 商店より商品 8,000 円を仕入れ、現金で 3,000 円支払い、残額は掛とした。

23.給与を 200,000 円支払い、源泉所得税 10,000 円を差し引いて 190,000 円現金で支払っ
た。 18

第4章 勘定科目を整理して試算表を作成しましょう

伝票への仕訳が終わったら、次は総勘定元帳という帳簿へ記録します。
総勘定元帳とは仕訳を勘定科目ごとに集計した帳簿です。
仕訳から総勘定元帳へ勘定科目ごとに集計する作業を転記といいます。
総勘定元帳へ転記をすることで、勘定科目ごとの動きや残高を分析することが出来ます。
又、総勘定元帳への転記で各勘定科目の残高が分かりますので、この残高をもとに試算
表を作成し、決算整理を行って決算書を作成することが出来ます。現在のほとんどの会社で
はパソコンソフトで会計処理を行うため、転記作業は自動的に行われるようになっていますが、
元帳への転記の仕組みを理解することで誤りを見つけたり、各勘定科目の動きを分析して問
題を発見したりして解決していくことが出来ます。

それでは総勘定元帳への転記を実際にやってみましょう。

1. 3 月 5 日 商品 800,000 円を現金で仕入れた。

仕訳は、
借 方 貸 方
仕入 800,000 現金 800,000

 となります。 

次に、この仕訳を仕入勘定と現金勘定へ転記します。

転記の方法は借方に仕訳したものは借方へ記入し貸方へ仕訳したものは貸方へ記入し、
日付と相手勘定を書きます。

           仕  入                            現  金   

3/5 現金 800,000 円 3/5 仕入 800,000 円

                               

基本はこれだけです。

次に時系列的に見る為に3つの仕訳を転記していきます。

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1.2 月 3 日 A 商店へ商品 800,000 円販売し、代金を現金で受領した。
借 方 貸 方
現金 800,000 売上 800,000

2.2 月 5 日 B 商店より商品 600,000 円を仕入れ、代金を現金で支払った。

    

借 方 貸 方
仕入 600,000 現金 600,000

3.2 月 7 日 K 商店へ商品 400,000 円を販売し、代金を現金で受領した。

    

借 方 貸 方
現金 400,000 売上 400,000

さあ、ここで 2 月の元帳の動きを集計してみましょう。

 仕    入   

2/5 現金 600,000 円

        
        

 売    上    
   2/3    現金      800,000 円 
   2/7    現金      400,000 円 
      
      
 現    金   

2/3 売上 800,000 円 2/5 仕入 600,000 円
2/7 売上 400,000 円

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まずは、仕入勘定ですが、仕入の合計は 600,000 円です。
売上勘定は 800,000 円と 400,000 円の合計で 1,200,000 円となっています。
現金勘定は 2 月 3 日に 800,000 増加し、5 日に 600,000 円減少し、7 日に 400,000 円増加して
いますので 2 月末日の残高は 800,000 円 - 600,000 円 + 400,000 円 = 600,000 円となって
います。
こういった集計作業を勘定を締め切るといいます。

決算では、各勘定科目を締め切り、その締め切った残高を集計した試算表を作成します。
試算表では借方と貸方の合計額は必ず一致します。
それは、仕訳をするときも転記をするときも常に借方と貸方は同じ金額で作業しているからで
す。



では上記の各勘定科目を集計して次に試算表を作成すると次のようになります。

 試算表   

現金 600,000 売上 1,200,000
仕入 600,000
合計 1,200,000 合計 1,200,000

      











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第5章 決算処理①

 決算とは 

決算とは、1年間の会社の取引を全てまとめて決算書を作成し、帳簿を全て締め切る手続
きです。決算とは、1年間の会社の経営の成果をみるものといえます。

~決算の流れ~


試算表とは、あくまで試して算出する表という意味ですから、
決算整理を行うことで正しい決算書が作成されます。
ということは、試算表って正しくないの?という疑問があるかと思います。
例えば印刷用紙を期中に 10,000 枚 10,000 円を現金にて購入して

 【借】  消耗品費  10,000 円  /  【貸】  現金  10,000 円 

という仕訳を行っている場合で、期末にまだ未使用分が 4,000 枚あったとします。
その場合未使用分の 4,000 円分は来期以降の費用とすべきものです。
こういったことを修正していき、正しい決算書を作成する手続き(決算整理)が必要だというこ
とになります。

決算整理では主に次のような事項について行っていきます。
減価償却、売上原価、費用や収益の繰延など

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減価償却

それでは、まず 減価償却から見ていきましょう。
資産グループの中で建物、備品、車両運搬具など会社が使用する目的で購入し、1年以上使
う資産を固定資産といいます。
まず、例示として車両運搬具を現金 100,000 円で購入した時の仕訳を考えてみましょう
【借】 車輌運搬具 100,000 円 / 【貸】 現金 100,000 円 となりますね。
この車輌運搬具の 100,000 円の価値は使用していくことにより減少していきます。
その価値の減少分は当然会社の費用となりますがどのように計算していくのでしょうか?
実は固定資産にはそれぞれの物品ごとに耐用年数というものが決まっています。
耐用年数とはそれぞれの物品ごとの寿命と考えてもらうと分かりやすいと思います。
車輌運搬具の耐用年数は 5 年となっています。
ということは 100,000 円の資産価値が 5 年間でなくなるということです。

  








                                              

購入時 1 年目 2 年目 3 年目 4 年目 5 年目

    

そうすると車輌運搬具は購入時は 100,000 円ですが、1 年後に 80,000 円、2 年後に 60,000
円と減少していき、5 年後には資産の価値がゼロになります。
価値の減少分を表す費用グループの勘定科目を減価償却費といいます。
仕訳は
【借】 減価償却費 20,000 円 / 【貸】 車輛運搬具 20,000 円
となります。
減価償却の計算式は 購入時の値段 / 耐用年数となります。又、固定資産を購入した時の
値段を取得原価と簿記上はよびます。
100,000 円 80,000 円 60,000 円 40,000 円
20,000 円 0 円
△ 20,000 円
△ 20,000 円
△ 20,000 円
△ 20,000 円
△ 20,000 円 23


次に、会計期間の途中で資産を購入した時の計算式を説明します。
会計期間が 4 月~3 月で 1 月に車を購入した時はどうなるのでしょうか?決算末まで 3 ヶ月し
か使用していないので 3 ヶ月分しか価値は減少していません。このように期中に資産を購入
した時は月割りで計算していきます。
今回の減価償却額は 100,000 円/5 年×3 ヶ月/12 ヶ月=5,000 円となります。
仕訳は
【借】 減価償却費 5,000 円 / 【貸】 車輌運搬具 5,000 円
となります。

最後に残存価格というものを考えてみましょう。
5 年後に車輌の価値は先ほどの計算を続けていきますとゼロになります。しかし 5 年後の自
動車の価値ってゼロでしょうか?中古車として販売するといくらかの価値がありますよね。
建物や備品も同じですが、減価償却が完了した時の資産の価値を残存価格といいます。
残存価格は客観的に見積もることが難しいので、一律に取得価格の 10%と考えます。
つまり、先ほどの例に当てはめると 100,000 円×0.1=10,000 円が残存価格となります。
5 年後の車輌運搬具の価値が 10,000 円になるために、減価償却の計算をおこなうときに
取得原価から残存価格を差し引いて行う必要がありますので正しい計算式は、

減価償却費=(取得原価 - 残存価格) / 耐用年数となります。
(100,000 円 - 10,000 円) / 5 年=18,000 円となります。









                                              

購入時 1 年目 2 年目 3 年目 4 年目 5 年目

                                                        
   車輌運搬具の価値は 1 年目 82,000 円  2 年目 64,000 円となり、5 年後に 10,000 円となり

ます。

100,000 円 82,000 円 64,000 円 46,000 円
28,000 円
△ 18,000 円
△ 18,000 円
△ 18,000 円
△ 18,000 円
△ 18,000 円
10,000 円 24



     売上原価 

決算期に売れ残った商品(在庫)はどのように処理するのでしょうか。会計期間が 4 月~3
月のリンゴを販売する会社があるとします。この会社では 1 年間でリンゴを 100 円で 10 個現
金で仕入れました。そして 1 年間でリンゴを 200 円で 7 個現金で販売できました。その場合の
仕訳はどのようになりますか?
【借】 仕入 1,000 円 / 【貸】 現金 1,000 円
【借】 現金 1,400 円 / 【貸】 売上 1,400 円

ここでこの会社が決算期を向かえた時の利益を考えてみましょう。売上 1,400 円で仕入が
1,000 円だから 400 円の利益となるのでしょうか?実際の費用は販売できたリンゴ 7 個に対応
する仕入 700 円だけとなるべきです。つまり利益は 700 円となります。
このように実際に販売した分に対応する仕入部分を売上原価と言います。
又、売れ残った 3 個のリンゴ(在庫)は資産グループとなります。
この勘定科目を繰越商品といいます。従って決算整理で次の仕訳を行います。

【借】 繰越商品 300 円 / 【貸】 仕入 300 円
















25 

第6章 決算整理②

     消耗品の処理 

期中に印刷用紙を 10,000 円分現金にて購入したが、期末時点で未使用分が 3,000 円分あ
るとします。
期中では

 【借】  消耗品費  10,000 円  /  【貸】現金  10,000 円 

となっています。

しかし、当期の正しい費用は使用した分の 7,000 円で未使用分の 3,000 円は来期に繰越す
必要があります。未使用分は資産となりますが、この時使用する勘定科目を消耗品といいま
す。消耗品費という費用科目と似ていますのでご注意ください。
仕訳は

 【借】  消耗品  3,000 円  /  【貸】  消耗品費  3,000 円 
 となります。 

 費用、収益の繰延 

当期に費用として支払っているが、実はその一部が来期の費用とすべきものであるという
ことがあります。このような場合は決算整理で来期部分の経費を差し引いて来期に繰り延べ
る処理を行います。これを費用の繰延といいます。繰延は費用だけでなく、収益においてもお
こります。
会計期間を 4 月~3 月とします。1 月に火災保険 1 年分 12,000 円を現金で支払ったとします。
その時の仕訳は

 【借】  保険料  12,000 円  /  【貸】  現金  12,000 円 

となります。

  

しかし、当期の費用となるのは 1 月~3 月分の 3,000 円だけで 4 月~12 月分の 9,000 円分
の保険料は来期の費用となります。この様に期間に応じて支払う費用のうち、
未到来部分を繰り越す為の資産の勘定科目を前払費用といいます。
仕訳は
【借】 前払保険料 9,000 円 / 【貸】 保険料 9,000 円
となります。

26 


 費用、収益の見越し 

まだ、支払っていないので費用に計上していないが実は当期の費用とすべきものがあります。
この様な場合は決算整理でこれを見越して、当期の費用として計上する仕訳を行います。
これを費用の見越しといいます。見越しは費用だけでなく収益においてもおこります。
会計期間が 4 月~3 月とします。10 月に S 銀行より年利 10%で 36 万円を借りたとします。
借入期間は1年で1年後の元本返済時に利息も返済するとします。
期中の仕訳では
【借】 現金 360,000 円 / 【貸】 借入金 360,000 円
となります。

決算時点では支払利息は計上されていませんが、6 ヶ月分の利息 18,000 円は発生していま
すので費用に計上する必要があります。支払利息という費用に対して未払利息という負債グ
ループの勘定科目を相手科目として仕訳します。
【借】 支払利息 18,000 円/ 【貸】 未払利息 18,000 円



















27

【簿記の流れ】
まずは、簿記の流れについて学習しましょう。詳しい内容は次の単元から学習しますので、基礎講座は、この順序で学習するんだなと言う程度でOKです。導入講座では、図1の最後の部分、貸借対照表と損益計算書について解説をしました。簿記の目的は日々の取引を記録して決算書(貸借対照表・損益計算書)を作成することです。〔いくら儲かったのか、またはいくら損をしたのかを確認する為です。〕決算書を作るには、仕訳という作業からはじまり、仕訳帳の作成→総勘定元帳の作成→試算表の作成→精算表の作成→貸借対照表、損益計算書の作成の順番になります。〔図1参照〕基礎講座2からの学習では、今どこを説明しているのかを押さえながら学習しましょう。
また、導入講座での最後に掲載した図と比べておいて下さい。ここからの基礎講座では下図の流れに沿って学習していきます。
それでは、簿記の流れに沿って学習していくことにしましょう。
【簿記上の取引】
簿記上の取引とは、資産・負債・純資産が増えたり減ったりする取引のことをいいます。ですので、資産・負債・純資産が増減しなければ簿記上の取引にはなりません。(資産・負債・純資産の意味がわからなければ、導入講座の[解説]にもう一度戻って学習してください。)
例えば、「土地を借りる契約を結んだ」場合は取引が成立したといいますが、簿記では、契約を結んだだけでは「簿記上の取引」が成立したとはいえません。契約を結んで、土地を借りるためにお金などを支払った時に「簿記上の取引」が成立したとみなされます。また商品や現金などが盗難にあった場合は、商売上の取引ではありませんが、盗難により資産が減少するので「簿記上の取引」に該当します。
図1簿記の流れ


図1



貸借対照表(B/S)





損益計算書(P/L)
契約や商品の注文
商品の売買
盗難・損傷など
【簿記の専門用語】
簿記を学習する上で、いくつかの専門的な用語があります。初めて学習する人がまず疑問に思う専門用語に借方(かりかた)・貸方(かしかた)という言葉があります。簿記は、数字を扱うのでお金の貸し借りと思ってしまう方が多いですが、金銭の貸借とは考えないで下さい。簿記では、借方は左側、貸方は右側という意味なのです。
図2
借方(かりかた) 貸方(かしかた)
かり
かし
※ 借方・貸方の覚え方はひらがなで「かり・かし」を書いたときに「り・し」のはらいの向きで覚えましょう。
勘定科目とは】
勘定科目とは、資産・負債・純資産・収益・費用の各分野をさらに細分化したそれぞれに名称をつけているといえます。例えば、資産のなかにも、現金であったり、銀行預金であったり、備品などいろいろあります。また負債の項目では、借入金などの勘定科目があり、収益の項目では売上、費用の項目では仕入や給料などがあります。〔勘定科目の説明は、導入講座の解説でも行っていますのでそちらも参照して下さい。〕
簿記では、商取引(簿記上の取引)をおこなったときに発生するときに種類別にわけて作業します。勘定科目で細分化されていないと、取引の状況が把握しにくくなります。そのような観点からも勘定科目は重要なものといえます。
まとめ
1.簿記の流れは取引から始まり仕訳帳の作成→総勘定元帳の作成→試算表の
作成→貸借対照表、損益計算書の作成となる。
2.簿記の専門用語に借方(かりかた)・貸方(かしかた)がある。
まとめ
1.簿記上の取引には、必ず資産・負債・純資産の増減が伴うものである。2.勘定科目とは、資産・負債・資本・収益・純資産の各分野をさらに細分化
したものに名称を付けたものである。
基礎講座1 簿記の流れ・専門用語を理解しよう
基礎講座2 簿記上の取引の意味を理解しよう


簿記上の取引の意味が理解できると、仕訳という作業になります。この作業は簿記の学習の基本になります。
【仕訳】
仕訳とは発生した取引を簿記用に翻訳し、帳簿等に記録する作業をいい、取引の内容を借方・貸方に分けて記入します。例えば「店の商品が70,000円現金で売れたとしましょう。」この取引を簿記用に記録すると例1のようになります。〔借方・貸方の意味がわからない人は基礎講座1まで戻って下さい。〕
簿記上の取引内容、仕訳が終わると、次は総勘定元帳の作成になります。
【総勘定元帳とは】
仕訳は、1つの取引に1つ作成しますが、仕訳の数が大量になってくると、これを整理する必要があります。例えば売上がいくらあるのか?また現金がどれだけ増えた(減ったのか)などです。そこで、それらを集計するための帳簿を作成するのです。この帳簿を総勘定元帳といい、仕訳から総勘定元帳に移すことを転記といいます。総勘定元帳は科目別に作成します。
例1(借方)現金70,000(貸方)売上70,000
例1基礎講座3の下段の仕訳を例にして総勘定元帳へ転記すると以下の
ようになります。
(借方)現金30,000(貸方)売上30,000(取引が12月1日)(借方)備品5,000(貸方)現金5,000(取引が12月9日)
また、商品を売るために、広告を30,000円で出したりする人もいるでしょう。この場合は次のようになります。
この例では現金の総勘定元帳・売上の総勘定元帳、備品の総勘定元帳がそれぞれ1冊ずつの計3冊あると考えてください。
例2(借方)広告費30,000(貸方)現金30,000
総勘定元帳
現金
また上記の例をまとめて以下のように書くこともあります。
売上
【仕訳初心者のために】
仕訳をするときには、どちらを借方に(どちらを貸方に)記入するのか、初心者はわからないでしょう。仕訳は、現金の増減を中心にして考えましょう。現金が増加したら借方に記入。
備品
現金が減少すれば貸方に記入します。これは簿記での決まりなので覚えましょう。どうです?これで迷うことはなくなったでしょう。
仕訳例①商品を30,000円で販売し、代金は現金で受け取った。
②ペンや鉛筆などの備品を現金で5,000円購入した。
現金が増加したので借方へ記入、その後貸方を埋める。
現金が減少したので借方へ記入、その後借方を埋める。
簿記の学習では以下のようにTの字を使い簡略する場合が多いです。
現金売上
備品
売上30,000 備品5,000
現金30,000 現金5,000
【転記初心者のために】
転記の際に借方と貸方の位置関係を間違わないようにしましょう。仕訳と同様に現金を基準に考えます。現金の転記では、現金収入があった場合借方へ、支出があった場合は貸方への記
まとめ
1.仕訳とは発生した取引を簿記用に翻訳し、帳簿等に記録する作業をいう。2.仕訳の基本は現金の増減から考える。(現金が増加すれば現金を借方へ)
(現金が減少すれば、現金を貸方へ)その後、相手勘定科目を埋める。
入になります。(現金の総勘定元帳参照)また、現金収入があった場合の相手勘定科目の総勘定元帳では貸方へ( 売上の総勘定元帳参照)、現金支出があった場合の相手勘定科目の総勘定元帳では、借方へ(備品の総勘定元帳参照)記入します。ここの導入編では、簿記の一連の流れを理解するのが目的ですので、まずは現金を中心とした形だけをしっかりマスターして下さい。
借方 貸方
科目 金額 科目 金額
現金 70,000 売上 70,000
広告費 30,000 現金 30,000

	借方 		貸方 	
	科目 	金額 	科目 	金額 

① 現金 30,000 売上 30,000
② 備品 5,000 現金 5,000
平成14年 摘要 借方 貸方 借・貸 残高
12 1 売上 30,000 借 30,000
12 9 備品購入5,000借25,000
平成14年 摘要 借方 貸方 借・貸 残高
12 1 現金売上30,000貸30,000
平成14年 摘要 借方 貸方 借・貸 残高
12 1 現金で購入5,000借5,000
基礎講座3 仕訳について理解しよう
基礎講座4 総勘定元帳について理解しよう


本科講座3仕訳(現金・当座預金)
現金の仕訳
ねらい現金・当座預金をともなった仕訳を覚える。
【現金】
ここから当分の間(本科講座3?15)、様々な仕訳の方法を学びます。基礎講座では現金を伴った仕訳を学習しましたが、日常の取引では、手形取引などさまざまな方法があります。取引の方法によって、勘定科目が変わりますので注意が必要です。まずは、基礎講座で学習した現金の仕訳を学習しましょう。仕訳の基本は、現金を伴った取引です。現金が増加した時には
現金の増加
借方に記入し相手勘定科目を貸方へ記入します。
例1店の商品、300,000円分、現金で販売した。
(借方)現金300,000(貸方)売上300,000
現金の減少
現金の増加なので、借方へ現金を記入します。そして相手勘定を貸方へ埋めます。
また、逆に現金が減少した場合は、貸方へまず記入し、相手勘定科目を借方へ記入します。
例2 販売用の商品100,000円を現金で仕入れた。
(借方)仕入100,000(貸方)現金100,000
小切手の仕訳
(注)商品仕入時は勘定科目は仕入ですが、販売した時には、勘定科目は売上になります。【当座預金】
次に小切手での取引を見てみましょう。小切手の仕訳も、現金と同じように考えます。つまり増加すれば借方へ、減少すれば貸方へ記入します。ただし現金とは違い、小切手を振り出した場合(支払いに小切手を渡した場合)小切手代金は当座預金から引き落とされますので、勘定科目は当座預金を使用し、振り出した時点で当座預金が減少したとして処理します。ですから貸方は小切手ではなく当座預金になります。
小切手の受取
例3 商品100,000円を購入し、代金は小切手で支払った。
(借方)仕入100,000(貸方)当座預金100,000
上記例3の小切手を現金に置き換えて問題を考えて見ましょう。そうすると、上記の例2と同じ問題になりますね。違うところは現金で支払うのを小切手で支払っただけです。( 貸方が小切手ではないので注意しましょう)ですから、小切手の場合の仕訳は、現金と同じような考え方でいいのです。では逆に小切手を受け取った場合はどうなるでしょう?
小切手で支払
例4店の商品300,000円を販売し、その代金を小切手で受け取った。
(借方)現金300,000(貸方)売上300,000
小切手を受け取ったときは、現金をもらったとして処理します。小切手は銀行へ持って行けばすぐに現金になりますので勘定科目は現金となるのです。
小切手を受取る際に、他人が振出した小切手を受取った場合は、現金勘定で処理するのは既に学習しましたが、時には、自ら発行した小切手を受取る場合があります。その場合は、当座預金勘定で処理を行います。
借方 貸方
最初に埋める

	次に埋める 

現金
借方 貸方

	最初に埋める 

次に埋める

	現金 

借方 貸方
最初に埋める 次に埋める
現金

	 

借方 貸方
次に埋める 最初に埋める

	当座預金 
	

本科講座4仕訳(掛取引)
掛取引の仕訳
ねらい掛取引の仕訳を覚える。
商品を取引した時点より後に、支払いや代金回収を行うことを掛取引といいます。よく飲み屋などで「つけといてくれ」というのも掛取引ということができます。本試験では「代金は掛とした」と書かれている場合が掛取引になります。掛取引には売掛金と買掛金の2種類あります。まずは売掛金を説明します。
売掛金とは、商品を販売して相手に渡したが、代金の回収が後日である(翌月10日など)、ことをいいます。例えば、「S社に売掛金が10,000円ある」ということはS社から回収すべき売上代金が10,000円あるということです。売掛金の仕訳は、売上代金の未回収の部分を売掛金勘定を使用して行います。売掛金は将来現金の増加に伴いますので、現金の仮の姿として考えるとよいと思います。つまり売掛金が増加した時には現金と同じように借方に書き、減少した時には貸方に記入します。
掛取引での商品の販売
売掛金の回収
例1 商品30,000円を販売し、代金は掛けとした。
(借方)売掛金30,000(貸方)売上30,000
※ すぐに解答が出ないときには、代金は掛けとした。のところを現金で考えて見ましょう。
そうして現金として仕訳してから最後に現金のところを売掛金に換えればいいですね。次に売掛金を回収した場合について考えて見ましょう。
掛取引での商品の仕入
例2上記の売掛金を現金で回収した。
(借方)現金30,000(貸方)売掛金30,000
この場合の仕訳は・・・。そうですね。すでに学習しました。現金が増えたときにはどうするのでしたか?借方に現金を記入し貸方へ相手勘定科目を記入でしたね。
買掛金の返済
売掛金とは逆に、掛で仕入れた場合は買掛金という勘定科目になります。たとえば「T社に対して、買掛金が20,000円ある」といった場合には、T社に支払うお金が20,000円あるということです。買掛金は将来、現金の流出をもたらしますので、現金のマイナスの仮の姿として考えるとよいと思います。したがって買掛金が増加した時には貸方にかかれ、減少した時には借方に記入されます。
例3 商品10,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
(借方)仕入10,000(貸方)買掛金10,000
買掛金の回収は現金とは限りません。小切手で支払う場合もあります。
例 買掛金10,000円を小切手を振り出して支払った。
(借方)買掛金10,000(貸方)当座預金10,000
買掛金の代金を支払ったときを考えて見ましょう。売掛金の回収と同じように考えます。仕訳は現金の減少ですから、貸方をまず埋めて借方を埋めます。
まずは小切手を現金と考えてから最後に勘定科目を変えるのも考え方の一つです。
例4上記買掛金を現金で支払った。
(借方)買掛金10,000(貸方)現金10,000
借方 貸方
売掛金 相手勘定科目
借方 貸方
相手勘定科目 売掛金
借方 貸方
相手勘定科目 買掛金
借方 貸方
買掛金 相手勘定科目


重要書類の訂正ルール

押印と“見え消し”基本
修正液だけでは不十分

 重要な書類を書<のは気が重い。責任の重さに加え書式が厳密なことが多<、名前も気軽に書けない。緊張して書き損じ、何度も書き直しということも。でも間違いをおかさない人などいない。大目に見てもらえる範囲で、うま<訂正する方法はあるだろうか。書類の達人たちに聞いた。
  「何か問題が起きた時、あなたが偽造したと思われかねない。送り直してもらつてください」。大手プロバイダーに勤めるKさんは最近ある取引先の請求書を渡した時、経理担当者の指摘に仰天した。金額は問題
ないが、日付と品目に修正液で直した跡があった。
  「大目に見てあげたつもりだったが、自分が疑われるとは」と、今は反省しきりだという。
 事実でないことを書類に書けば文書偽造。公文書なら十年以下の懲役となる重罪で、誰もが許されないと知つている。ところが書類訂正の重さは意外に知られていない。ルールに外れれば、直した本人はもちろん受け取つた人の信頼にも傷が付く。
  「書類訂正の基本は『見え消し』。誰がどう直したのかを明示することが大切」。とある行政書士はこう指摘する。ポイントは印鑑の使い方にあるという。
 法務省の省令で、訂正方法が厳密に決められている商業・不動産登記の書類が参考になる。省令では訂正や加入、削除をした時はまずその字数を欄外に書く。
その上で訂正した部分と、加入・削除した字数を書いた部分に印鑑を押す。訂正・削除した字は読める状態にすることも定めている。
 その規則を契約書に当てはめてみたのが、右上の訂正例だ。訂正個所には2本線を引き、正しい文字を書き入れた上で取引当事者の2人が押印する。欄外に削除・加入した文字数も書き入れ、押印する。
 印鑑は書類の署名印と同じものを使う。直しに備え事前に空きスペースに捨て印を押しておけば万全。まず疑念を抱かれる心配のない訂正といえるだろう。帳簿などの直しに使う小型の訂正印も市販されているが
 「あくまで帳簿専用。第三者と交わす書類には使わない」という。
 もちろん何でも訂正できるわけではない。「金額や特許など権利にかかわる記述の訂正はダメ。ちゃんと書き直すべし」と話す。経済的リスクに加え、相手先の信頼を損なうからだ。
 捨て印にも注意が必要だ。捨て印はその書類を受け取つた相手が行うどんな訂正も認めるという証しだ。
  「行政書士などに求められた場合以外は、押すのは避けるべきだ」という。
 最近は修正テープや消えるボールペンなど便利な道具もある。公式書類には全く使えないのだろうか。修正テープなどはあくまで文書の不要部分を隠すために使われている。その上で「将来、ミスの跡を完全に消す技術が開発される可能性はあるが、販売は別問題」と話す。跡が消えれば、偽造の懸念が生じる。印鑑を使つた今のやり方が変わる可能性は当面なさそうだ。

 書類の訂正にはこのほか、訂正個所をできる限り少なくするなど、渡す相手への心遣いは様々にありそうだ。ビジネスで最も重要なのは、誠実さと相手に対する配慮。自分のミスをごまかさないではっきり示す姿勢こそが、書類訂正の王道と言えそうだ。

重要書類を訂正するときの注意点
訂正する前に
①役所などに提出する文書は、訂正の規則を確かめる
②行政書士らに任せる場合は捨て印が必要
③書類を点検し訂正個所を確認。多数の場合は書き直す
④金額や人名などに重要事実に間違いがある場合も書き直す
⑤内容証明など1ページの字数に制限がある書類は
 訂正で超過しないか確認
訂正のやり方
⑥文字を削除する場合は定規で二本線を
⑦売買契約書などは、取引当事者双方の押印が必要
⑧書類の行間が狭い時は、訂正個所の押印を省略する場合もある。削除・加入字数に押印
⑨書類が2枚以上になる場合は、割り印があれば削除・加入字数は1ヵ所でOK
⑩割り印がない場合は1枚ごとに削除・加入字数を記入、押印
⑩個人の履歴書などでも修正テープなどは使わない


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Last-modified: 2024-04-09 (火) 10:19:53