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2.3 設立手続について

2.3 設立手続について

1.類似商号規制の廃止

 会社設立手続の中で一番面倒であったのが「類似商号調査」と「目的の適格性調査」である。
 
 改正前は、商法に「他人が登記した商号は、同一の市町村内において同一の営業のために、これを登記することができない」と記載され、商業登記法にも 「商号の登記は、同一市町村内においては、同一の営業のため他人が登記したものと判然区別することができないときは、することができない」と規定されていたので、会社を設立する時は、商号と本店・目的を決めた段階で、本店所在地を管轄する法務局で、同一市町村に同一営業の類似商号が登記されているかどうか調査する必要があった。
 
 また、会社の目的は、類似商号調査の関係で、「同一営業」であるかどうか判別することが容易にできるように、具体的で明確に記載しなければならないとされていた。
 この具体的で明確に記載する基準が大変曖昧だったため、既に登記されている目的を参考に目的を決める必要があり、新規に行われるようになった事業などは、会社の目的としてなかなか認められない傾向にあった。
 そのため、事前に法務局で目的表現が適格かどうか調査する必要があり、類似商号調査とともに、迅速な会社設立手続をするうえで障害になっていた。
 類似商号規制が廃止されると、目的の適格性についてもかなり規制が緩和されると思われる。
 
 このように、迅速な会社設立手続の障害になっているのに加えて、実際の企業活動が広域化しており同一市町村という規定が実態にそぐわないため類似商号規制は廃止された。
 ただし、改正後にも「何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない」(会社法8条)との規定があるので、不正の目的をもって他の会社であると誤認させる商号の使用は当然できない。あくまでも類似の商号があっても会社設立登記をすることができるようになっただけなのでその点は注意が必要だ。
 
 ただし、類似商号規制は廃止されたが、設立しようとしている会社と同一住所に同一商号の会社が既にある場合は、住所を変えなければ同じ商号の会社を設立することはでない。(商業登記法27条)これは同一住所に同一商号の会社が複数存在すると会社の特定が難しくなるためである。
 
 余談であるが、法務局職員の接客態度はあまり良くないので、調査に行って喧嘩してくる人もいるぐらいで、結構精神的にも負担のかかる調査であった。
 類似商号規制の廃止により、実際に目的の適格性がどの程度緩和されるかにもよるが、類似商号と目的の適格性調査をしなくてもよくなれば、かなり手続的に楽になることは間違いない。
 
▲ 新会社法の改正ポイント
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