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2.7 その他の機関

2.7 その他の機関

1.監査役について

 今まで、資本金1億円以下の株式会社及び有限会社の監査役権限は、会計監査権限だけで、業務監査権限はなかった。
 改正後は、すべての監査役は、業務監査権限を有する(会社法381条1項)と規定され、会計監査権限だけでなく業務監査権限も有するようになった。
 これは、大会社以外でのガバナンス強化を狙ったものだと思われる。

 ただ、大会社でない譲渡制限会社では、業務監査を監査役にさせるよりも、株主が直接取締役を監視・監督した方が会社のガバナンスが向上することもある。
 特に、取締役会設置会社では、取締役会を置くと株主総会における株主の権限が制限されてしまう(会社法295条2項)ので、直接株主が取締役を監視・監督する方がいい場合もある。

 そこで、会社法では、公開会社でない株式会社(監査役会設置会社又は会計監査人設置会社を除く。)は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる(会社法389条1項)と規定してる。
 この場合、大会社は会計監査人の設置義務がある(会社法328条2項)ので、この旨の規定を定款に定めることができる会社は、大会社でない譲渡制限会社のみである。

 業務監査権限のある監査役を置かない場合、会社法上、監査役設置会社ではないので(会社法2条9号)、以下のように株主の権限が強化され、株主が取締役の監視・監督をすることになる。

 1 株主は、裁判所の許可を得ることなく、取締役会の議事録を閲覧することができる。(会社法371条3項・2項)

 2 株主は、取締役が株式会社の目的の範囲内にない行為その他法令若しくは定款に違反する行為を行い又は行うおそれがある場合には、取締役会の招集を請求すること、及び一定の場合(会社法366条3項参照)には、自ら取締役会を招集することができる(会社法367条1項・3項)。

 3 株主は、自己の請求又は招集により開催された取締役会については、これに出席し、意見を述べることができる。(会社法367条4項)

 4 定款に基づく取締役の過半数の同意(取締役会を設置する場合には、取締役会の決議)による取締役等の責任の一部免除制度は、適用しない。(会社法426条1項)

 5 取締役は、株式会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見した場合には、株主にこれを報告しなければならない(会社法357条1項)。

 6 株主の取締役の違法行為差止請求権の行使要件につき、監査役が同請求権を行使する場合の行使要件(会社法385条)と同様、「回復することができない損害」でなく、「著しい損害」に要件に緩和する。(会社法360条1項・3項)

 また、補欠監査役・補欠取締役を予選することができること及びその手続等(定款の定めがなくても補欠監査役等の予選をすることができること、予選の効力は選任後最初に到来する定時株主総会の時までとすること等)を明確化するため、この点を法務省令で定めるとしている。(会社法329条2項)

 監査役会を設置しない株式会社において二人以上の監査役を設置する場合には、今までは監査役会の同意又は決議を要するものとされている事項については、監査役の過半数の同意を要するものとして規定するものとしている。(会社法343条1項・344条1項)

 なお、監査役の任期については、原則として4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時までとされている(会社法336条1項)が、取締役と同様、譲渡制限会社においては、定款に規定することによって10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時までに伸張することができる(会社法336条2項)とされている。
 
▲ 新会社法の改正ポイント
▲ 第2章 株式会社関係
▲ 2.7 その他の機関
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