0o0dグッ

2.5 株主・株主総会

2.5 株主・株主総会

1.取締役会を設置しない会社の株主総会

 取締役会を設置していない会社は、有限会社型の株式会社である。
 したがって、取締役会を設置していない株式会社の株主総会の規定は、今までの有限会社法の規定と可能な限り同じにしてある。
  
 取締役会を設置しない株式会社の株主総会は、下記の規律に従うことになる。
 
 1.株主総会は、会社法に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。(会社法295条1項)
つまり、一切の事項について決議することができるので、株主総会は万能の機関ということになる。これは、今までの有限会社と同じ規律である。
 ちなみに、取締役会を設置すると会社法で規定する事項と定款に定めた事項のみしか決議することができなくなる。(会社法295条2項)
 
 これは、株式の譲渡制限をしていない会社(以下公開会社という)には、必ず取締役会を設置しなければならないことと関係している。
 公開会社の場合、株式の譲渡により頻繁に株主の変動が起こるので、株主が直接会社経営に参画することは少ない。
 そこで、取締役会と監査役の設置を義務づけた上で、取締役や監査役の選任解任を通じて間接的に会社経営に参画させることが適しているので、株主総会の権限を限定している。
 一方、株式の譲渡制限をしている会社(取締役会を設置する義務がない)では、株主の変動が少なく、会社との利害関係が長期にわたることが多いので、株主に直接会社の経営に参画させる機会を与えようと株主総会が万能の機関となっている。
 
 2.株主総会の招集通知は、会日の1週間前(定款で短縮可能)までに発すれば足りるとしている。
 原則は2週間前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。(会社法299条1項)
 この原則を譲渡制限会社の場合は1週間前までにすれば良く、且つ取締役会設置会社でなければ定款でこの期間を短縮できると規定して、今までの有限会社と同じ規律にしている。(会社法299条1項)
 
 3.取締役会を設置していない会社では、株主総会の招集通知は、書面又は電磁的方法によらないことができる(会社法299条2項)。したがて、口頭ですれば足りる。これについても、今までの有限会社と同じ規律である。
 
 4.取締役会を設置していない会社では、招集通知を発送する必要がないので、株主総会招集通知への会議の目的事項の記載又は記録は要しないことになる。(会社法299条4項参照)
 
 5.株主提案権は、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の100分の1以上の議決権又は300個以上の議決権を6ヶ月前から(非公開会社の場合は6ヶ月前という規制はない)引き続き有する株主が、総会の8週間前に議題(株主総会の目的)を提出することになっている。(会社法303条2項)
 これに対して、取締役会を設置していない会社では、各株主は単独株主権として総会における議題提案権を有し、いつでも株主提案権を行使できる。(会社法303条1項)つまり、議題提案権の行使に制限はない。
 したがって、会議の目的以外の議題を当日提案することも可能である。(会社法309条5項)
 
 6.前記3番に記載したとおり、取締役会を設置していない会社は、招集通知を発送する必要がないので、当然株主総会招集通知への計算書類及び監査報告書の添付を要しない。(会社法437条)
 
 7.株主が議決権を統一しないで行使する場合は、取締役会設置会社では、総会の3日前までに議決権を統一しないで行使する旨及び理由を通知しなければならない。(313条2項)
 これに対して、取締役会を設置していない会社では、前記4番のとおり会議の目的が通知されず、また株主総会に万能の権限があり株主に強い権限が与えられているため、議決権の不統一行使については、事前通知を要しない。(会社法313条2項)
 
 以上が、取締役会を設置していない会社の株主総会についての特則である。
 
▲ 新会社法の改正ポイント
▲ 2.5 株主・株主総会
< 
>