古事記 下-1
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古事記 下の卷
一、仁徳天皇
后妃と皇子女
オホサザキの命(仁徳天皇)、難波の高津の宮においでにな...
聖の御世
――撫民厚生の御事蹟を取りあつめている。聖の御世というのは...
この御世に大陸から來た秦人を使つて、茨田の堤、茨田の御...
或る時、天皇、高山にお登りになつて、四方を御覽になつて...
吉備の黒日賣
――吉備氏の榮えるに至つた由來の物語。――
皇后石の姫の命は非常に嫉妬なさいました。それで天皇のお...
沖の方には小舟が續いている。
あれは愛しのあの子が
國へ歸るのだ。
皇后樣はこの歌をお聞きになつて非常にお怒りになつて、船...
ここに天皇は黒姫をお慕い遊ばされて、皇后樣に欺つて、淡...
海の照り輝く難波の埼から
立ち出でて國々を見やれば、
アハ島やオノゴロ島
アヂマサの島も見える。
サケツ島も見える。
そこでその島から傳つて吉備の國においでになりました。そ...
山の畑に蒔いた青菜も
吉備の人と一緒に摘むと
樂しいことだな。
天皇が京に上つておいでになります時に、黒姫の獻つた歌は、
大和の方へ西風が吹き上げて
雲が離れるように離れていても
忘れは致しません。
また、
大和の方へ行くのは誰方樣でしよう。
地の下の水のように、心の底で物思いをして
行くのは誰方樣でしよう。
皇后石の姫の命
――靜歌の歌い返しと稱する歌曲にまつわる物語。それに鳥山の...
これより後に皇后樣が御宴をお開きになろうとして、柏の葉...
そこで皇后樣が非常に恨み、お怒りになつて、御船に載せた...
山また山の山城川を
上流へとわたしが溯れば、
河のほとりに生い立つているサシブの木、
そのサシブの木の
その下に生い立つている
葉の廣い椿の大樹、
その椿の花のように輝いており
その椿の葉のように廣らかにおいでになる
わが陛下です。
それから山城から※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)つて、奈良...
山また山の山城川を
御殿の方へとわたしが溯れば、
うるわしの奈良山を過ぎ
青山の圍んでいる大和を過ぎ
わたしの見たいと思う處は、
葛城の高臺の御殿、
故郷の家のあたりです。
かように歌つてお還りになつて、しばらく筒木の韓人のヌリ...
山城に追い附け、トリヤマよ。
追い附け、追い附け。最愛の我が妻に追い附いて逢えるだろう。
續いて丸邇の臣クチコを遣して、御歌をお送りになりました。
ミモロ山の高臺にある
オホヰコの原。
その名のような大豚の腹にある
向き合つている臟腑、せめて心だけなりと
思わないで居られようか。
またお歌い遊ばされました御歌、
山また山の山城の女が
木の柄のついた鍬で掘つた大根、
その眞白な白い腕を
交わさずに來たなら、知らないとも云えようが。
このクチコの臣がこの御歌を申すおりしも雨が非常に降つて...
山城の筒木の宮で
申し上げている兄上を見ると、
涙ぐまれて參ります。
そこで皇后樣がそのわけをお尋ねになる時に、「あれはわた...
そこでクチコの臣、その妹のクチ姫、またヌリノミが三人し...
山また山の山城の女が
木の柄のついた鍬で掘つた大根、
そのようにざわざわとあなたが云うので、
見渡される樹の茂みのように
賑やかにやつて來たのです。
この天皇と皇后樣とお歌いになつた六首の歌は、靜歌の歌い...
ヤタの若郎女
――八田部の人々の傳承であろう。――
天皇、ヤタの若郎女をお慕いになつて歌をお遣しになりまし...
ヤタの一本菅は、
子を持たずに荒れてしまうだろうが、
惜しい菅原だ。
言葉でこそ菅原というが、
惜しい清らかな女だ。
ヤタの若郎女のお返しの御歌は、
八田の一本菅はひとりで居りましても、
陛下が良いと仰せになるなら、ひとりでおりましても。
ハヤブサワケの王とメトリの王
――もと鳥のハヤブサとサザキとが女鳥を爭う形で、劇的に構成...
また天皇は、弟のハヤブサワケの王を媒人としてメトリの王...
メトリの女王の織つていらつしやる機は、
誰の料でしようかね。
メトリの王の御返事の歌、
大空高く飛ぶハヤブサワケの王のお羽織の料です。
それで天皇はその心を御承知になつて、宮にお還りになりま...
雲雀は天に飛び翔ります。
大空高く飛ぶハヤブサワケの王樣、
サザキをお取り遊ばせ。
天皇はこの歌をお聞きになつて、兵士を遣わしてお殺しにな...
梯子を立てたような、クラハシ山が嶮しいので、
岩に取り附きかねて、わたしの手をお取りになる。
また、
梯子を立てたようなクラハシ山は嶮しいけれど、
わが妻と登れば嶮しいとも思いません。
それから逃げて、宇陀のソニという處に行き到りました時に...
その時に將軍山部の大楯が、メトリの王の御手に纏いておい...
雁の卵
――御世の榮えを祝う歌曲。――
また或る時、天皇が御宴をお開きになろうとして、姫島にお...
わが大臣よ、
あなたは世にも長壽の人だ。
この日本の國に
雁が子を生んだのを聞いたことがあるか。
ここにタケシウチの宿禰は歌をもつて語りました。
高く光り輝く日の御子樣、
よくこそお尋ねくださいました。
まことにもお尋ねくださいました。
わたくしこそはこの世の長壽の人間ですが、
この日本の國に
雁が子を生んだとはまだ聞いておりません。
かように申して、お琴を戴いて續けて歌いました。
陛下が初めてお聞き遊ばしますために
雁は子を生むのでございましよう。
これは壽歌の片歌です。
枯野という船
――琴の歌。――
この御世にウキ河の西の方に高い樹がありました。その樹の...
船のカラノで鹽を燒いて、
その餘りを琴に作つて、
彈きなせば、鳴るユラの海峽の
海中の岩に觸れて立つている
海の木のようにさやさやと鳴り響く。
と歌いました。これは靜歌の歌い返しです。
この天皇は御年八十三歳、丁卯の年の八月十五日にお隱れな...
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古事記 下の卷
一、仁徳天皇
后妃と皇子女
オホサザキの命(仁徳天皇)、難波の高津の宮においでにな...
聖の御世
――撫民厚生の御事蹟を取りあつめている。聖の御世というのは...
この御世に大陸から來た秦人を使つて、茨田の堤、茨田の御...
或る時、天皇、高山にお登りになつて、四方を御覽になつて...
吉備の黒日賣
――吉備氏の榮えるに至つた由來の物語。――
皇后石の姫の命は非常に嫉妬なさいました。それで天皇のお...
沖の方には小舟が續いている。
あれは愛しのあの子が
國へ歸るのだ。
皇后樣はこの歌をお聞きになつて非常にお怒りになつて、船...
ここに天皇は黒姫をお慕い遊ばされて、皇后樣に欺つて、淡...
海の照り輝く難波の埼から
立ち出でて國々を見やれば、
アハ島やオノゴロ島
アヂマサの島も見える。
サケツ島も見える。
そこでその島から傳つて吉備の國においでになりました。そ...
山の畑に蒔いた青菜も
吉備の人と一緒に摘むと
樂しいことだな。
天皇が京に上つておいでになります時に、黒姫の獻つた歌は、
大和の方へ西風が吹き上げて
雲が離れるように離れていても
忘れは致しません。
また、
大和の方へ行くのは誰方樣でしよう。
地の下の水のように、心の底で物思いをして
行くのは誰方樣でしよう。
皇后石の姫の命
――靜歌の歌い返しと稱する歌曲にまつわる物語。それに鳥山の...
これより後に皇后樣が御宴をお開きになろうとして、柏の葉...
そこで皇后樣が非常に恨み、お怒りになつて、御船に載せた...
山また山の山城川を
上流へとわたしが溯れば、
河のほとりに生い立つているサシブの木、
そのサシブの木の
その下に生い立つている
葉の廣い椿の大樹、
その椿の花のように輝いており
その椿の葉のように廣らかにおいでになる
わが陛下です。
それから山城から※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)つて、奈良...
山また山の山城川を
御殿の方へとわたしが溯れば、
うるわしの奈良山を過ぎ
青山の圍んでいる大和を過ぎ
わたしの見たいと思う處は、
葛城の高臺の御殿、
故郷の家のあたりです。
かように歌つてお還りになつて、しばらく筒木の韓人のヌリ...
山城に追い附け、トリヤマよ。
追い附け、追い附け。最愛の我が妻に追い附いて逢えるだろう。
續いて丸邇の臣クチコを遣して、御歌をお送りになりました。
ミモロ山の高臺にある
オホヰコの原。
その名のような大豚の腹にある
向き合つている臟腑、せめて心だけなりと
思わないで居られようか。
またお歌い遊ばされました御歌、
山また山の山城の女が
木の柄のついた鍬で掘つた大根、
その眞白な白い腕を
交わさずに來たなら、知らないとも云えようが。
このクチコの臣がこの御歌を申すおりしも雨が非常に降つて...
山城の筒木の宮で
申し上げている兄上を見ると、
涙ぐまれて參ります。
そこで皇后樣がそのわけをお尋ねになる時に、「あれはわた...
そこでクチコの臣、その妹のクチ姫、またヌリノミが三人し...
山また山の山城の女が
木の柄のついた鍬で掘つた大根、
そのようにざわざわとあなたが云うので、
見渡される樹の茂みのように
賑やかにやつて來たのです。
この天皇と皇后樣とお歌いになつた六首の歌は、靜歌の歌い...
ヤタの若郎女
――八田部の人々の傳承であろう。――
天皇、ヤタの若郎女をお慕いになつて歌をお遣しになりまし...
ヤタの一本菅は、
子を持たずに荒れてしまうだろうが、
惜しい菅原だ。
言葉でこそ菅原というが、
惜しい清らかな女だ。
ヤタの若郎女のお返しの御歌は、
八田の一本菅はひとりで居りましても、
陛下が良いと仰せになるなら、ひとりでおりましても。
ハヤブサワケの王とメトリの王
――もと鳥のハヤブサとサザキとが女鳥を爭う形で、劇的に構成...
また天皇は、弟のハヤブサワケの王を媒人としてメトリの王...
メトリの女王の織つていらつしやる機は、
誰の料でしようかね。
メトリの王の御返事の歌、
大空高く飛ぶハヤブサワケの王のお羽織の料です。
それで天皇はその心を御承知になつて、宮にお還りになりま...
雲雀は天に飛び翔ります。
大空高く飛ぶハヤブサワケの王樣、
サザキをお取り遊ばせ。
天皇はこの歌をお聞きになつて、兵士を遣わしてお殺しにな...
梯子を立てたような、クラハシ山が嶮しいので、
岩に取り附きかねて、わたしの手をお取りになる。
また、
梯子を立てたようなクラハシ山は嶮しいけれど、
わが妻と登れば嶮しいとも思いません。
それから逃げて、宇陀のソニという處に行き到りました時に...
その時に將軍山部の大楯が、メトリの王の御手に纏いておい...
雁の卵
――御世の榮えを祝う歌曲。――
また或る時、天皇が御宴をお開きになろうとして、姫島にお...
わが大臣よ、
あなたは世にも長壽の人だ。
この日本の國に
雁が子を生んだのを聞いたことがあるか。
ここにタケシウチの宿禰は歌をもつて語りました。
高く光り輝く日の御子樣、
よくこそお尋ねくださいました。
まことにもお尋ねくださいました。
わたくしこそはこの世の長壽の人間ですが、
この日本の國に
雁が子を生んだとはまだ聞いておりません。
かように申して、お琴を戴いて續けて歌いました。
陛下が初めてお聞き遊ばしますために
雁は子を生むのでございましよう。
これは壽歌の片歌です。
枯野という船
――琴の歌。――
この御世にウキ河の西の方に高い樹がありました。その樹の...
船のカラノで鹽を燒いて、
その餘りを琴に作つて、
彈きなせば、鳴るユラの海峽の
海中の岩に觸れて立つている
海の木のようにさやさやと鳴り響く。
と歌いました。これは靜歌の歌い返しです。
この天皇は御年八十三歳、丁卯の年の八月十五日にお隱れな...
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