古事記 下-3
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古事記 下の卷
三、允恭天皇
后妃と皇子女
弟のヲアサヅマワクゴノスクネの王(允恭天皇)、大和の遠...
八十伴の緒の氏姓
――氏はその家の稱號であり、姓はその家の階級、種別であつて...
初め天皇、帝位にお即きになろうとしました時に御辭退遊ば...
ここに天皇が天下の氏々の人々の、氏姓の誤つているのをお...
木梨の輕の太子
――幾章かの歌曲によつて構成されている物語。輕部などの傳承...
天皇がお隱れになつてから後に、キナシノカルの太子が帝位...
山田を作つて、
山が高いので地の下に樋を通わせ、
そのように心の中でわたしの問い寄る妻、
心の中でわたしの泣いている妻を、
昨夜こそは我が手に入れたのだ。
これは志良宜歌です。また、
笹の葉に霰が音を立てる。
そのようにしつかりと共に寢た上は、
よしや君は別れても。
いとしの妻と寢たならば、
刈り取つた薦草のように亂れるなら亂れてもよい。
寢てからはどうともなれ。
これは夷振の上歌です。
そこで官吏を始めとして天下の人たち、カルの太子に背いて...
大前小前宿禰の家の門のかげに
お立ち寄りなさい。
雨をやませて行きましよう。
ここにその大前小前の宿禰が、手を擧げ膝を打つて舞い奏で...
宮人の足に附けた小鈴が
落ちてしまつたと騷いでおります。
里人もそんなに騷がないでください。
この歌は宮人曲です。かように歌いながらやつて來て申しま...
空飛ぶ雁、そのカルのお孃さん。
あんまり泣くと人が氣づくでしよう。
それでハサの山の鳩のように
忍び泣きに泣いています。
また歌われた歌は、
空飛ぶ雁、そのカルのお孃さん、
しつかりと寄つて寢ていらつしやい
カルのお孃さん。
かくてそのカルの太子を伊豫の國の温泉に流しました。その...
空を飛ぶ鳥も使です。
鶴の聲が聞えるおりは、
わたしの事をお尋ねなさい。
この三首の歌は天田振です。また歌われた歌は、
わたしを島に放逐したら
船の片隅に乘つて歸つて來よう。
わたしの座席はしつかりと護つていてくれ。
言葉でこそ座席とはいうのだが、
わたしの妻を護つていてくれというのだ。
この歌は夷振の片下です。その時に衣通しの王が歌を獻りま...
夏の草は萎えます。そのあいねの濱の
蠣の貝殼に足をお蹈みなさいますな。
夜が明けてからいらつしやい。
後に戀しさに堪えかねて追つておいでになつてお歌いになり...
おいで遊ばしてから日數が多くなりました。
ニワトコの木のように、お迎えに參りましよう。
お待ちしてはおりますまい。
かくて追つておいでになりました時に、太子がお待ちになつ...
隱れ國の泊瀬の山の
大きい高みには旗をおし立て
小さい高みには旗をおし立て、
おおよそにあなたの思い定めている
心盡しの妻こそは、ああ。
あの槻弓のように伏すにしても
梓の弓のように立つにしても
後も出會う心盡しの妻は、ああ。
またお歌い遊ばされた歌は、
隱れ國の泊瀬の川の
上流の瀬には清らかな柱を立て
下流の瀬にはりつぱな柱を立て、
清らかな柱には鏡を懸け
りつぱな柱には玉を懸け、
玉のようにわたしの思つている女、
鏡のようにわたしの思つている妻、
その人がいると言うのなら
家にも行きましよう、故郷をも慕いましよう。
かように歌つて、ともにお隱れになりました。それでこの二...
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古事記 下の卷
三、允恭天皇
后妃と皇子女
弟のヲアサヅマワクゴノスクネの王(允恭天皇)、大和の遠...
八十伴の緒の氏姓
――氏はその家の稱號であり、姓はその家の階級、種別であつて...
初め天皇、帝位にお即きになろうとしました時に御辭退遊ば...
ここに天皇が天下の氏々の人々の、氏姓の誤つているのをお...
木梨の輕の太子
――幾章かの歌曲によつて構成されている物語。輕部などの傳承...
天皇がお隱れになつてから後に、キナシノカルの太子が帝位...
山田を作つて、
山が高いので地の下に樋を通わせ、
そのように心の中でわたしの問い寄る妻、
心の中でわたしの泣いている妻を、
昨夜こそは我が手に入れたのだ。
これは志良宜歌です。また、
笹の葉に霰が音を立てる。
そのようにしつかりと共に寢た上は、
よしや君は別れても。
いとしの妻と寢たならば、
刈り取つた薦草のように亂れるなら亂れてもよい。
寢てからはどうともなれ。
これは夷振の上歌です。
そこで官吏を始めとして天下の人たち、カルの太子に背いて...
大前小前宿禰の家の門のかげに
お立ち寄りなさい。
雨をやませて行きましよう。
ここにその大前小前の宿禰が、手を擧げ膝を打つて舞い奏で...
宮人の足に附けた小鈴が
落ちてしまつたと騷いでおります。
里人もそんなに騷がないでください。
この歌は宮人曲です。かように歌いながらやつて來て申しま...
空飛ぶ雁、そのカルのお孃さん。
あんまり泣くと人が氣づくでしよう。
それでハサの山の鳩のように
忍び泣きに泣いています。
また歌われた歌は、
空飛ぶ雁、そのカルのお孃さん、
しつかりと寄つて寢ていらつしやい
カルのお孃さん。
かくてそのカルの太子を伊豫の國の温泉に流しました。その...
空を飛ぶ鳥も使です。
鶴の聲が聞えるおりは、
わたしの事をお尋ねなさい。
この三首の歌は天田振です。また歌われた歌は、
わたしを島に放逐したら
船の片隅に乘つて歸つて來よう。
わたしの座席はしつかりと護つていてくれ。
言葉でこそ座席とはいうのだが、
わたしの妻を護つていてくれというのだ。
この歌は夷振の片下です。その時に衣通しの王が歌を獻りま...
夏の草は萎えます。そのあいねの濱の
蠣の貝殼に足をお蹈みなさいますな。
夜が明けてからいらつしやい。
後に戀しさに堪えかねて追つておいでになつてお歌いになり...
おいで遊ばしてから日數が多くなりました。
ニワトコの木のように、お迎えに參りましよう。
お待ちしてはおりますまい。
かくて追つておいでになりました時に、太子がお待ちになつ...
隱れ國の泊瀬の山の
大きい高みには旗をおし立て
小さい高みには旗をおし立て、
おおよそにあなたの思い定めている
心盡しの妻こそは、ああ。
あの槻弓のように伏すにしても
梓の弓のように立つにしても
後も出會う心盡しの妻は、ああ。
またお歌い遊ばされた歌は、
隱れ國の泊瀬の川の
上流の瀬には清らかな柱を立て
下流の瀬にはりつぱな柱を立て、
清らかな柱には鏡を懸け
りつぱな柱には玉を懸け、
玉のようにわたしの思つている女、
鏡のようにわたしの思つている妻、
その人がいると言うのなら
家にも行きましよう、故郷をも慕いましよう。
かように歌つて、ともにお隱れになりました。それでこの二...
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