古事記 下-5
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古事記 下の卷
五、雄略天皇
后妃と皇子女
オホハツセノワカタケの命(雄略天皇)、大和の長谷の朝倉...
ワカクサカベの王
――以下、多くは歌を中心とした短篇の物語が、この天皇の御事...
初め皇后樣が河内の日下においでになつた時に、天皇が日下...
この日下部の山と
向うの平群の山との
あちこちの山のあいだに
繁つている廣葉のりつぱなカシの樹、
その樹の根もとには繁つた竹が生え、
末の方にはしつかりした竹が生え、
その繁つた竹のように繁くも寢ず
しつかりした竹のようにしかとも寢ず
後にも寢ようと思う心づくしの妻は、ああ。
この歌をその姫の許に持たせてお遣りになりました。
引田部の赤猪子
――三輪山のほとりで語り傳えられた物語。――
また或る時、三輪河にお遊びにおいでになりました時に、河...
御諸山の御神木のカシの樹のもと、
そのカシのもとのように憚られるなあ、
カシ原のお孃さん。
またお歌いになりました御歌は、
引田の若い栗の木の原のように
若いうちに結婚したらよかつた。
年を取つてしまつたなあ。
かくて赤猪子の泣く涙に、著ておりました赤く染めた袖がす...
御諸山に玉垣を築いて、
築き殘して誰に頼みましよう。
お社の神主さん。
また歌いました歌、
日下江の入江に蓮が生えています。
その蓮の花のような若盛りの方は
うらやましいことでございます。
そこでその老女に物を澤山に賜わつて、お歸しになりました...
吉野の宮
――吉野での物語二篇。――
天皇が吉野の宮においでになりました時に、吉野川のほとり...
椅子にいる神樣が御手ずから
彈かれる琴に舞を舞う女は
永久にいてほしいことだな。
それから吉野のアキヅ野においでになつて獵をなさいます時...
吉野のヲムロが嶽に
猪がいると
陛下に申し上げたのは誰か。
天下を知ろしめす天皇は
猪を待つと椅子に御座遊ばされ
白い織物のお袖で裝うておられる
御手の肉に虻が取りつき
その虻を蜻蛉がはやく食い、
かようにして名を持とうと、
この大和の國を
蜻蛉島というのだ。
その時からして、その野をアキヅ野というのです。
葛城山
――葛城山に關する物語二篇。――
また或る時、天皇が葛城山の上にお登りになりました。とこ...
天下を知ろしめす天皇の
お射になりました猪の
手負い猪のくいつくのを恐れて
わたしの逃げ登つた
岡の上のハンの木の枝よ。
また或る時、天皇が葛城山に登つておいでになる時に、百官...
春日のヲド姫と三重の采女
――三重の采女の物語を中に插んで前後に春日のヲド姫の物語が...
また天皇、丸邇のサツキの臣の女のヲド姫と結婚をしに春日...
お孃さんの隱れる岡を
じようぶな※(「金+且」、第3水準1-93-12)が澤山あつたらよい...
鋤き撥つてしまうものを。
そこでその岡を金※(「金+且」、第3水準1-93-12)の岡と名づ...
また天皇が長谷の槻の大樹の下においでになつて御酒宴を遊...
纏向の日代の宮は
朝日の照り渡る宮、
夕日の光のさす宮、
竹の根のみちている宮、
木の根の廣がつている宮です。
多くの土を築き堅めた宮で、
りつぱな材木の檜の御殿です。
その新酒をおあがりになる御殿に生い立つている
一杯に繁つた槻の樹の枝は、
上の枝は天を背おつています。
中の枝は東國を背おつています。
下の枝は田舍を背おつています。
その上の枝の枝先の葉は
中の枝に落ちて觸れ合い、
中の枝の枝先の葉は
下の枝に落ちて觸れ合い、
下の枝の枝先の葉は、
衣服を三重に著る、その三重から來た子の
捧げているりつぱな酒盃に
浮いた脂のように落ち漬つて、
水音もころころと、
これは誠に恐れ多いことでございます。
尊い日の御子樣。
事の語り傳えはかようでございます。
この歌を獻りましたから、その罪をお赦しになりました。そ...
大和の國のこの高町で
小高くある市の高臺の、
新酒をおあがりになる御殿に生い立つている
廣葉の清らかな椿の樹、
その葉のように廣らかにおいで遊ばされ
その花のように輝いておいで遊ばされる
尊い日の御子樣に
御酒をさしあげなさい。
事の語り傳えはかようでございます。
天皇のお歌いになりました御歌は、
宮廷に仕える人々は、
鶉のように頭巾を懸けて、
鶺鴒のように尾を振り合つて
雀のように前に進んでいて
今日もまた酒宴をしているもようだ。
りつぱな宮廷の人々。
事の語り傳えはかようでございます。
この三首の歌は天語歌です。その御酒宴に三重の采女を譽め...
この御酒宴の日に、また春日のヲド姫が御酒を獻りました時...
水のしたたるようなそのお孃さんが、
銚子を持つていらつしやる。
銚子を持つならしつかり持つていらつしやい。
力を入れてしつかりと持つていらつしやい。
銚子を持つていらつしやるお孃さん。
これは宇岐歌です。ここにヲド姫の獻りました歌は、
天下を知ろしめす天皇の
朝戸にはお倚り立ち遊ばされ
夕戸にはお倚り立ち遊ばされる
脇息の下の
板にでもなりたいものです。あなた。
これは志都歌です。
天皇は御年百二十四歳、己巳の年の八月九日にお隱れになり...
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古事記 下の卷
五、雄略天皇
后妃と皇子女
オホハツセノワカタケの命(雄略天皇)、大和の長谷の朝倉...
ワカクサカベの王
――以下、多くは歌を中心とした短篇の物語が、この天皇の御事...
初め皇后樣が河内の日下においでになつた時に、天皇が日下...
この日下部の山と
向うの平群の山との
あちこちの山のあいだに
繁つている廣葉のりつぱなカシの樹、
その樹の根もとには繁つた竹が生え、
末の方にはしつかりした竹が生え、
その繁つた竹のように繁くも寢ず
しつかりした竹のようにしかとも寢ず
後にも寢ようと思う心づくしの妻は、ああ。
この歌をその姫の許に持たせてお遣りになりました。
引田部の赤猪子
――三輪山のほとりで語り傳えられた物語。――
また或る時、三輪河にお遊びにおいでになりました時に、河...
御諸山の御神木のカシの樹のもと、
そのカシのもとのように憚られるなあ、
カシ原のお孃さん。
またお歌いになりました御歌は、
引田の若い栗の木の原のように
若いうちに結婚したらよかつた。
年を取つてしまつたなあ。
かくて赤猪子の泣く涙に、著ておりました赤く染めた袖がす...
御諸山に玉垣を築いて、
築き殘して誰に頼みましよう。
お社の神主さん。
また歌いました歌、
日下江の入江に蓮が生えています。
その蓮の花のような若盛りの方は
うらやましいことでございます。
そこでその老女に物を澤山に賜わつて、お歸しになりました...
吉野の宮
――吉野での物語二篇。――
天皇が吉野の宮においでになりました時に、吉野川のほとり...
椅子にいる神樣が御手ずから
彈かれる琴に舞を舞う女は
永久にいてほしいことだな。
それから吉野のアキヅ野においでになつて獵をなさいます時...
吉野のヲムロが嶽に
猪がいると
陛下に申し上げたのは誰か。
天下を知ろしめす天皇は
猪を待つと椅子に御座遊ばされ
白い織物のお袖で裝うておられる
御手の肉に虻が取りつき
その虻を蜻蛉がはやく食い、
かようにして名を持とうと、
この大和の國を
蜻蛉島というのだ。
その時からして、その野をアキヅ野というのです。
葛城山
――葛城山に關する物語二篇。――
また或る時、天皇が葛城山の上にお登りになりました。とこ...
天下を知ろしめす天皇の
お射になりました猪の
手負い猪のくいつくのを恐れて
わたしの逃げ登つた
岡の上のハンの木の枝よ。
また或る時、天皇が葛城山に登つておいでになる時に、百官...
春日のヲド姫と三重の采女
――三重の采女の物語を中に插んで前後に春日のヲド姫の物語が...
また天皇、丸邇のサツキの臣の女のヲド姫と結婚をしに春日...
お孃さんの隱れる岡を
じようぶな※(「金+且」、第3水準1-93-12)が澤山あつたらよい...
鋤き撥つてしまうものを。
そこでその岡を金※(「金+且」、第3水準1-93-12)の岡と名づ...
また天皇が長谷の槻の大樹の下においでになつて御酒宴を遊...
纏向の日代の宮は
朝日の照り渡る宮、
夕日の光のさす宮、
竹の根のみちている宮、
木の根の廣がつている宮です。
多くの土を築き堅めた宮で、
りつぱな材木の檜の御殿です。
その新酒をおあがりになる御殿に生い立つている
一杯に繁つた槻の樹の枝は、
上の枝は天を背おつています。
中の枝は東國を背おつています。
下の枝は田舍を背おつています。
その上の枝の枝先の葉は
中の枝に落ちて觸れ合い、
中の枝の枝先の葉は
下の枝に落ちて觸れ合い、
下の枝の枝先の葉は、
衣服を三重に著る、その三重から來た子の
捧げているりつぱな酒盃に
浮いた脂のように落ち漬つて、
水音もころころと、
これは誠に恐れ多いことでございます。
尊い日の御子樣。
事の語り傳えはかようでございます。
この歌を獻りましたから、その罪をお赦しになりました。そ...
大和の國のこの高町で
小高くある市の高臺の、
新酒をおあがりになる御殿に生い立つている
廣葉の清らかな椿の樹、
その葉のように廣らかにおいで遊ばされ
その花のように輝いておいで遊ばされる
尊い日の御子樣に
御酒をさしあげなさい。
事の語り傳えはかようでございます。
天皇のお歌いになりました御歌は、
宮廷に仕える人々は、
鶉のように頭巾を懸けて、
鶺鴒のように尾を振り合つて
雀のように前に進んでいて
今日もまた酒宴をしているもようだ。
りつぱな宮廷の人々。
事の語り傳えはかようでございます。
この三首の歌は天語歌です。その御酒宴に三重の采女を譽め...
この御酒宴の日に、また春日のヲド姫が御酒を獻りました時...
水のしたたるようなそのお孃さんが、
銚子を持つていらつしやる。
銚子を持つならしつかり持つていらつしやい。
力を入れてしつかりと持つていらつしやい。
銚子を持つていらつしやるお孃さん。
これは宇岐歌です。ここにヲド姫の獻りました歌は、
天下を知ろしめす天皇の
朝戸にはお倚り立ち遊ばされ
夕戸にはお倚り立ち遊ばされる
脇息の下の
板にでもなりたいものです。あなた。
これは志都歌です。
天皇は御年百二十四歳、己巳の年の八月九日にお隱れになり...
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