稲のたどってきた道
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稲のたどってきた道
静岡大学農学部助教授
佐藤洋一郎氏
佐藤 洋一郎
1952年、和歌山県生れ。77年京都大学農学部卒業。79年同大学...
2001年9月号掲載
身近な存在にも関わらず、意外と謎の多い植物「稲」
──先生のご著書『DNAが語る稲作文明』を、大変興味深く読ませ...
ところで先生は、やはり遺伝学の見地から稲の研究を始められ...
佐藤 育種学(※)から稲の研究に入り、今でこそDNAを使って...
──先生が研究を始められた頃、稲作の起源については、どのよ...
佐藤 インドのアッサムや中国の雲南が起源だというのが通説...
それまで稲の起源については、議論はされていても、科学的な...
──「でした」ということは・・・。
中国の慶州で発見された2000年前の稲のモミ。空気が遮断され...
中国の慶州で発見された2000年前の稲のモミ。空気が遮断され...
河姆渡遺跡から出土した7000年前の土器。猪のような動物か描...
(写真提供:佐藤洋一郎氏)
佐藤 実は「アッサム−雲南説」が発表される4年前に、中国の...
──それほどまでに、「アッサム−雲南説」が強かったともいえま...
佐藤 はい。しかしここ数年の調査で、河姆渡からは栽培稲だ...
※育種学・・・作物の選抜や交配により、有用な品種を作り出す...
水田栽培だけが稲作ではない!?高度な技術は不要?
──7000年前の稲作というのは、どのようなものだったのか、興...
佐藤 その前に、稲は、大きく分けるとインディカとジャポニ...
──インディカというのは、私達にはあまり馴染みのないもので...
佐藤 そうですね。私達に馴染み深いのは、やはりジャポニカ...
というのも長江流域というのは湿地帯ですから稲の栽培に向い...
ラオスで現在も行なわれている焼き畑による稲作(写真提供:...
ラオスで現在も行なわれている焼き畑による稲作
(写真提供:佐藤洋一郎氏)
──稲作というと水田と思いがちですが・・・
佐藤 ところが、稲作は水田でなくてもできるのです。現在の...
──何か発見があったのですか?
佐藤 はい。実は縄文時代の地層から、稲のプラントオパール...
それで1990年代に入って、ようやく縄文時代にも稲作があった...
三内丸山遺跡に見られる高度な「縄文農耕」
──縄文人が稲作をしていたということになると、学生時代に教...
佐藤 それだけではありません。皆さんご存知かと思いますが...
──その新説も随分と物議を醸したのではありませんか?
佐藤 はい。皆さん縄文人というと、狩猟などで生計を立てて...
──そこに先生が一石を投じたというわけですね(笑)。
佐藤 そういうことになりますね・・・(笑)。
なぜそういう説が成り立ったかというと、普通、野生植物の集...
さらに、ヒョウタンやマメ、ゴボウなどの栽培植物も発見され...
──なるほど。それだけの農耕ができるのであれば、稲作があっ...
佐藤 ええ、私も、確かに水田というのは、通説通り、縄文時...
しかし、私がジャポニカの起源だと考える長江流域は、案外日...
朝鮮半島には存在しない、中国固有の水稲が出土!
──ところで、弥生時代の稲作でも興味深い発見があったとか。
佐藤 1995年に、私の勤務する静岡大学近くの曲金北(まがり...
──5万−uとは、また随分広いですね。
佐藤 収穫量を計算してみたら、少なく見積っても15tくらい。...
そこでその一角の土を調べてみたところ、水田ではなく休耕田...
──せっかくの水田で陸稲を栽培していた!?
佐藤 そうなんですよ。確かに見掛けは水田ですが、やってい...
そうしたことから私は、ひょっとすると縄文晩期から作られた...
──なるほど、縄文人も外国の流行を取り入れたというわけです...
佐藤 これだけじゃないんですよ。実は、大阪の池上曽根遺跡...
中国から日本へ稲作が直接伝来した裏付けとなる「RM1-b 遺伝...
中国から日本へ稲作が直接伝来した裏付けとなる「RM1-b 遺伝...
──水稲でも、朝鮮半島経由ではない品種があったということで...
佐藤 はい、これは稲が朝鮮半島を経由せずに直接日本に伝来...
──確かに、有力な証拠ですね。
佐藤 求められるのはいつもそこですから(笑)。実際、柳田...
──お話を伺って、縄文時代だけでなく、弥生時代のイメージも...
佐藤 余談になりますが、私は卑弥呼も弥生人ではなく縄文人...
──そういわれてみると、卑弥呼がお酒を飲んでいたという記述...
本日は、大胆な仮説の数々を大変楽しく伺わせていただきまし...
佐藤 日本中のいろいろな時代のいろいろな遺跡の稲のDNAを調...
これまでいくつかの新説を発表してきましたが、周囲からは最...
──いやいや、今後も新しい発見を伺うのを楽しみにしておりま...
近著紹介
『DNAが語る稲作文明』(日本放送出版協会)
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稲のたどってきた道
静岡大学農学部助教授
佐藤洋一郎氏
佐藤 洋一郎
1952年、和歌山県生れ。77年京都大学農学部卒業。79年同大学...
2001年9月号掲載
身近な存在にも関わらず、意外と謎の多い植物「稲」
──先生のご著書『DNAが語る稲作文明』を、大変興味深く読ませ...
ところで先生は、やはり遺伝学の見地から稲の研究を始められ...
佐藤 育種学(※)から稲の研究に入り、今でこそDNAを使って...
──先生が研究を始められた頃、稲作の起源については、どのよ...
佐藤 インドのアッサムや中国の雲南が起源だというのが通説...
それまで稲の起源については、議論はされていても、科学的な...
──「でした」ということは・・・。
中国の慶州で発見された2000年前の稲のモミ。空気が遮断され...
中国の慶州で発見された2000年前の稲のモミ。空気が遮断され...
河姆渡遺跡から出土した7000年前の土器。猪のような動物か描...
(写真提供:佐藤洋一郎氏)
佐藤 実は「アッサム−雲南説」が発表される4年前に、中国の...
──それほどまでに、「アッサム−雲南説」が強かったともいえま...
佐藤 はい。しかしここ数年の調査で、河姆渡からは栽培稲だ...
※育種学・・・作物の選抜や交配により、有用な品種を作り出す...
水田栽培だけが稲作ではない!?高度な技術は不要?
──7000年前の稲作というのは、どのようなものだったのか、興...
佐藤 その前に、稲は、大きく分けるとインディカとジャポニ...
──インディカというのは、私達にはあまり馴染みのないもので...
佐藤 そうですね。私達に馴染み深いのは、やはりジャポニカ...
というのも長江流域というのは湿地帯ですから稲の栽培に向い...
ラオスで現在も行なわれている焼き畑による稲作(写真提供:...
ラオスで現在も行なわれている焼き畑による稲作
(写真提供:佐藤洋一郎氏)
──稲作というと水田と思いがちですが・・・
佐藤 ところが、稲作は水田でなくてもできるのです。現在の...
──何か発見があったのですか?
佐藤 はい。実は縄文時代の地層から、稲のプラントオパール...
それで1990年代に入って、ようやく縄文時代にも稲作があった...
三内丸山遺跡に見られる高度な「縄文農耕」
──縄文人が稲作をしていたということになると、学生時代に教...
佐藤 それだけではありません。皆さんご存知かと思いますが...
──その新説も随分と物議を醸したのではありませんか?
佐藤 はい。皆さん縄文人というと、狩猟などで生計を立てて...
──そこに先生が一石を投じたというわけですね(笑)。
佐藤 そういうことになりますね・・・(笑)。
なぜそういう説が成り立ったかというと、普通、野生植物の集...
さらに、ヒョウタンやマメ、ゴボウなどの栽培植物も発見され...
──なるほど。それだけの農耕ができるのであれば、稲作があっ...
佐藤 ええ、私も、確かに水田というのは、通説通り、縄文時...
しかし、私がジャポニカの起源だと考える長江流域は、案外日...
朝鮮半島には存在しない、中国固有の水稲が出土!
──ところで、弥生時代の稲作でも興味深い発見があったとか。
佐藤 1995年に、私の勤務する静岡大学近くの曲金北(まがり...
──5万−uとは、また随分広いですね。
佐藤 収穫量を計算してみたら、少なく見積っても15tくらい。...
そこでその一角の土を調べてみたところ、水田ではなく休耕田...
──せっかくの水田で陸稲を栽培していた!?
佐藤 そうなんですよ。確かに見掛けは水田ですが、やってい...
そうしたことから私は、ひょっとすると縄文晩期から作られた...
──なるほど、縄文人も外国の流行を取り入れたというわけです...
佐藤 これだけじゃないんですよ。実は、大阪の池上曽根遺跡...
中国から日本へ稲作が直接伝来した裏付けとなる「RM1-b 遺伝...
中国から日本へ稲作が直接伝来した裏付けとなる「RM1-b 遺伝...
──水稲でも、朝鮮半島経由ではない品種があったということで...
佐藤 はい、これは稲が朝鮮半島を経由せずに直接日本に伝来...
──確かに、有力な証拠ですね。
佐藤 求められるのはいつもそこですから(笑)。実際、柳田...
──お話を伺って、縄文時代だけでなく、弥生時代のイメージも...
佐藤 余談になりますが、私は卑弥呼も弥生人ではなく縄文人...
──そういわれてみると、卑弥呼がお酒を飲んでいたという記述...
本日は、大胆な仮説の数々を大変楽しく伺わせていただきまし...
佐藤 日本中のいろいろな時代のいろいろな遺跡の稲のDNAを調...
これまでいくつかの新説を発表してきましたが、周囲からは最...
──いやいや、今後も新しい発見を伺うのを楽しみにしておりま...
近著紹介
『DNAが語る稲作文明』(日本放送出版協会)
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