試論(Historical)
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[[大宝以前の逸年号-逸年号論序説-(Historical)]]
2.試論
さて、ここからは、実在性の高いと思われる順に、各年号につ...
2-1.「法興」
まずは、「法興」だ。
これは、「法隆寺釈迦三尊像」銘に見える。
法興元卅一年、歳次辛巳十二月、鬼前太后崩。明年正月廿...
また、『釈日本紀』に引く「伊予温湯碑」にも、見えている。
法興六年十月、歳在丙辰。我法王大王、与恵[公/心]法師及...
前述したように、この「法興」年号は、『二中歴』を始めとし...
これも、『二中歴』系列の年号群の中に、無理やり取り込もう...
従って、他の「逸年号」群とは、孤立した存在だ。
また、六国史やその他の書物にも一切現れない。(ただし、「...
従って、この二史料から、「法興」年号について考えることと...
両史料には、年号に加えて「干支」が付せられている。これに...
だが、問題は「崇峻天皇四年」という中途半端さだ。
『日本書紀』には、この年に格別「法興」年号建元を思わせる...
従来から、この年を「元年」とする「法興」年号に対し、様々...
たとえば、伴信友は、法興寺起工の年を崇峻四年とし、これに...
「法興寺」との関連に注目した説であり、同様の主張をする論...
だが、この説は所功の指摘するように(「大宝以前の公年号」...
(崇峻元年)是歳、百済国、使并せて僧恵総・令斤・恵[穴...
という記載にも合わない。また、「元興寺縁起」などにも全く...
むしろ、逆に、実在し実用されていた「法興」年号にちなんで...
やはり、「法興寺」建立と同年代に、「法興」年号がすでに実...
正確には「法興寺」命名の時期だ。崇峻元年から、推古四年の...
「法興」年号にちなむ命名の可能性は充分に考えられるのだ。
さて、「法隆寺釈迦三尊像」について、古田武彦は、ここに示...
私も大方この説に賛同したい。
今、その論点を簡単に紹介しよう。
1、「法皇」「太后」「王后」
いずれも、「天子」にまつわる用語だ。「太后」は「天子の母...
従って、終生「太子」のままで世を去った聖徳太子ではない。
2、没年
聖徳太子は、『日本書紀』によれば、推古二十九年二月五日に...
二十九年春二月己丑朔癸巳(五日)、半夜に厩戸豊聡耳皇...
一方、「上宮法皇」は、法興三十一年の明年の二月二十一日、...
没年も一年ずれており、命日も異なる。
金石文たる「法隆寺釈迦三尊像銘」を採って『日本書紀』を捨...
なぜなら、まさに、「両者は同一人物か否か」が、今、問題だ...
「不一致がある」という事実を確認すればよい。
『日本書紀』にしても、聖徳太子という主役級の(しかも、た...
3、「法興」年号
古田は、さらに「法興」年号が「九州年号」の一端に属すこと...
その論証は、前述した『襲国偽僭考』の「一説」(実は『和漢...
つまり古田は、『襲国偽僭考』に「法興」が見えることのみに...
だから、ここでの論証に「使える」のだが、今は、「法興」が...
4、推古天皇不在
銘文には、「推古天皇」が登場しない。「鬼前太后」が亡くな...
これらを踏まえ、「上宮法皇」が決して「聖徳太子」に当り得...
(『隋書』[イ妥]国伝の記載が天皇家ではなく「九州王朝」を指...
さて、私は、古田の論証のうち3の部分を差し引いても、充分...
だから、古田とは逆に、「上宮法皇=多利思北孤」の立場から...
当然ながら「九州王朝の天子の冥福」を祈るこの「像」に記さ...
(なお、例えば1の問題や4の問題を「逆手にとって」聖徳太...
2-2.「白鳳」「朱雀」
次は「白鳳」「朱雀」の両年号だ。
(神亀元年、七二四)十月丁亥朔、治部省奏言、勘検京及...
(神亀元年十月丁亥朔、治部省、奏して言わく「京及び諸...
七二四年の聖武天皇の詔報に、「白鳳」「朱雀」の両年号が使...
この「白鳳」「朱雀」については、「白雉」「朱鳥」という『...
事実、『大織冠伝』や『古語拾遺』などに現れる「白鳳」年号...
白鳳五年秋八月、詔曰、尚道任賢、先王彝則、[衣+臼]功報...
(白鳳)十二年冬十月、(斉明)天皇幸于難波宮、即随福...
故以白鳳五年歳次甲寅(六五四)、随聘唐使、至于長安、...
至于難波長柄豊前(孝徳)朝、白鳳四年、以小花下諱部(...
だが、「白雉」(六五〇~六五四)、「朱鳥」(六八六)とい...
また、「白鳳」年間は明らかに「白雉」よりも長い。天智の期...
従って、「白雉」「白鳳」の年号は全く同一というわけではな...
坂本は、「白鳳」を「白雉」の異称と見なした上で、「白雉」...
だが、そうであれば、「白鳳」だけが十数年も続くという史料...
世人が「白雉」=「白鳳」年号の継続を信じたのであれば、「...
実際は、「白雉」は明らかに五年で終わりだ。「白鳳」だけは...
やはり、「とってつけた」解釈の観は拭えない。
また、「白雉」の異称が「白鳳」と言うが、そのような事例が...
勿論、中国や朝鮮にも「忌避字」の関係で別字で代用した例は...
さて、これとは異なる「白鳳」「朱雀」年号を記載する史料が...
(1)厩坂寺。天武天皇即位元年、白鳳十二(癸未)(六...
(2)元年壬申八月、天皇幸野上宮、立年号為朱雀元年。...
(3)大嘗会。天武天皇御宇白鳳二年癸酉十一月始之但歌...
(4)其年の八月に御門は野上の宮に移り給たりしに、つ...
(5)天武 十五年(元年壬申)(中略)又年号アリ。朱...
(6)天武元年七月ニ彼皇子ヲ被誅キ、同八月ニ太宰府ヨ...
(7)宮(天武)名乗テ憑マントオボシテ、丸ハ浄見原ノ...
(8)後記(千満撰)云、或説云(中略)或説云、天智六...
(9)コレヨリサキニ、孝徳ノ御代ニ大化・白雉、天智ノ...
(1)~(8)は、「白鳳」元年、「朱雀」元年を共に天武天...
これらを総合すると、天武元年にまず「朱雀」年号が建てられ...
「白雉」=「白鳳」や「朱鳥」=「朱雀」から見れば、「白鳳...
次に(9)は、また異説だ。天智の時に「白鳳」、天武の時に...
これは、『二中歴』にも一致する記載だ。
また、(1)は、割註の干支が正しければ、六八三年の出来事...
反対にそのように見なければ、「天武天皇即位元年」という記...
これらの史料状況を垣間見ると、「白鳳」「朱雀」が決して「...
大きく分けて三系統ある。
1は、「白雉」「朱鳥」と同じ時代を含むもの。
2は、「朱雀」「白鳳」ともに天武初年の「祥瑞改元」とする...
3は、「白鳳」は天智。「朱雀」は天武とするもの。
『二中歴』系統の諸本と言えども同様である。
実際、「白鳳」「白雉」「朱雀」「朱鳥」の各年号については...
また、『日本書紀』に「白鳳」「朱雀」なしという事実や聖武...
これが率直なところだ。
2-3.「大化」
さて、『日本書紀』に記載のある最初の年号が、「大化」だ。
天豊財重日足姫(皇極)天皇四年を改めて、大化元年と為...
ところが、実際の孝徳朝時代の史料・金石文には、「大化」年...
このことから、その実在・実用を疑う論者が多く出ている(佐...
さて、中世文献に目を移すと、そこには、「持統朝の大化年号...
太上天皇持統天皇。大化三年譲位於軽皇太子。<藤原清輔...
大化三年八月一日、譲位於軽太子、尊号曰太上皇。凡太上...
大化三年二月に東宮とす。<藤原資隆『簾中抄』>鎌倉初...
一、持統 十年(元年丁亥)(中略)此御時年号アリ。此...
一、文武 十一年(元年丁酉)(中略)大化三年(元年戊...
いずれも、六九五年を元年とする。
これもまた、『二中歴』系統の諸本に一致するものだ。
こちらを正として、『日本書紀』の記載を訂正する論者もある...
だが、これも、奇妙である。なぜ、『日本書紀』が「持統朝の...
また、所功をはじめとして、大多数の論者は、この「持統朝の...
いずれの場合も、根本的な問題に対する回答が得られないので...
袋小路だ。
私は現在の所、孝徳朝の「大化」は、近畿天皇家制定の年号、...
少なくとも、「年号を制定し得る勢力は複数有り得る」ことを...
そうでなければ、先の「袋小路」に迷うほかは無いのだ。
2-4.「善記」「明要」「僧聴」「定居」
以下は、各「逸年号」に対し、簡単に史料を紹介し、現在の私...
まず「善記」だ。
香椎宮縁起云、善紀元年(壬寅)従大唐八幡大菩薩(傍書...
これが、私の知る「善紀」年号の最も古い出現例だ。
ここでは、「大帯姫」(息長足姫=神功皇后と同一視される)...
『ニ中歴』その他の諸本が継体の時代とするのと大きく異なる...
ここでいう「大帯姫」が本当に神功皇后その人と同一人物なの...
九州各地に存在する「大帯姫」伝承をくまなく検証する必要が...
ここでの「善紀」年号はその伝承とワンセットだ。
決して、「継体」の時代にとらわれる必要はないのである。
次に「明要」と「僧聴」だ。
明要元年(癸亥)停結縄、刻木始成文字。<宗像大菩薩御...
人王卅代欽明天皇御宇僧聴五年仁、自新羅国献釈迦金銅像...
注目されるのは、「明要」年号だ。
明要十一年(元辛酉文書始出来結縄刻木止畢)<ニ中歴>
このように、『二中歴』所載の割註の原典である可能性が有る。
ただ、干支も異なるし、『宗像大菩薩御縁起』によれば、「明...
抑聖徳太子御誕生之時代相尋上古侍レハ、年号ハ異説金光...
『聖徳太子伝記』には「金光」のほかに「勝照」「端政」の各...
いずれも、聖徳太子伝説の一環として記載されているが、もと...
琳聖太子(中略)本朝ニ渡ラセ玉フ此ハ推古天皇十九年辛...
誠ニ由来ヲ申セバ、百済国ノ王子琳聖太子ト申セシガ、日...
戦国の大内氏が、「百済王子」の血を引く(と伝えられる)こ...
この「定居」年号は、通常、推古天皇の時代とされるが、それ...
ここに、『ニ中歴』系統が「法興」を脱落させた要因があるよ...
私は、「定居」年号は干支一巡遡った、欽明時代の年号と考え...
私は、『ニ中歴』のような「年号表」の類でなく、こういった...
従って、今はまだ、全てが保留だ。
今後のより詳細な研究を待つほかは無いのである。
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2.試論
さて、ここからは、実在性の高いと思われる順に、各年号につ...
2-1.「法興」
まずは、「法興」だ。
これは、「法隆寺釈迦三尊像」銘に見える。
法興元卅一年、歳次辛巳十二月、鬼前太后崩。明年正月廿...
また、『釈日本紀』に引く「伊予温湯碑」にも、見えている。
法興六年十月、歳在丙辰。我法王大王、与恵[公/心]法師及...
前述したように、この「法興」年号は、『二中歴』を始めとし...
これも、『二中歴』系列の年号群の中に、無理やり取り込もう...
従って、他の「逸年号」群とは、孤立した存在だ。
また、六国史やその他の書物にも一切現れない。(ただし、「...
従って、この二史料から、「法興」年号について考えることと...
両史料には、年号に加えて「干支」が付せられている。これに...
だが、問題は「崇峻天皇四年」という中途半端さだ。
『日本書紀』には、この年に格別「法興」年号建元を思わせる...
従来から、この年を「元年」とする「法興」年号に対し、様々...
たとえば、伴信友は、法興寺起工の年を崇峻四年とし、これに...
「法興寺」との関連に注目した説であり、同様の主張をする論...
だが、この説は所功の指摘するように(「大宝以前の公年号」...
(崇峻元年)是歳、百済国、使并せて僧恵総・令斤・恵[穴...
という記載にも合わない。また、「元興寺縁起」などにも全く...
むしろ、逆に、実在し実用されていた「法興」年号にちなんで...
やはり、「法興寺」建立と同年代に、「法興」年号がすでに実...
正確には「法興寺」命名の時期だ。崇峻元年から、推古四年の...
「法興」年号にちなむ命名の可能性は充分に考えられるのだ。
さて、「法隆寺釈迦三尊像」について、古田武彦は、ここに示...
私も大方この説に賛同したい。
今、その論点を簡単に紹介しよう。
1、「法皇」「太后」「王后」
いずれも、「天子」にまつわる用語だ。「太后」は「天子の母...
従って、終生「太子」のままで世を去った聖徳太子ではない。
2、没年
聖徳太子は、『日本書紀』によれば、推古二十九年二月五日に...
二十九年春二月己丑朔癸巳(五日)、半夜に厩戸豊聡耳皇...
一方、「上宮法皇」は、法興三十一年の明年の二月二十一日、...
没年も一年ずれており、命日も異なる。
金石文たる「法隆寺釈迦三尊像銘」を採って『日本書紀』を捨...
なぜなら、まさに、「両者は同一人物か否か」が、今、問題だ...
「不一致がある」という事実を確認すればよい。
『日本書紀』にしても、聖徳太子という主役級の(しかも、た...
3、「法興」年号
古田は、さらに「法興」年号が「九州年号」の一端に属すこと...
その論証は、前述した『襲国偽僭考』の「一説」(実は『和漢...
つまり古田は、『襲国偽僭考』に「法興」が見えることのみに...
だから、ここでの論証に「使える」のだが、今は、「法興」が...
4、推古天皇不在
銘文には、「推古天皇」が登場しない。「鬼前太后」が亡くな...
これらを踏まえ、「上宮法皇」が決して「聖徳太子」に当り得...
(『隋書』[イ妥]国伝の記載が天皇家ではなく「九州王朝」を指...
さて、私は、古田の論証のうち3の部分を差し引いても、充分...
だから、古田とは逆に、「上宮法皇=多利思北孤」の立場から...
当然ながら「九州王朝の天子の冥福」を祈るこの「像」に記さ...
(なお、例えば1の問題や4の問題を「逆手にとって」聖徳太...
2-2.「白鳳」「朱雀」
次は「白鳳」「朱雀」の両年号だ。
(神亀元年、七二四)十月丁亥朔、治部省奏言、勘検京及...
(神亀元年十月丁亥朔、治部省、奏して言わく「京及び諸...
七二四年の聖武天皇の詔報に、「白鳳」「朱雀」の両年号が使...
この「白鳳」「朱雀」については、「白雉」「朱鳥」という『...
事実、『大織冠伝』や『古語拾遺』などに現れる「白鳳」年号...
白鳳五年秋八月、詔曰、尚道任賢、先王彝則、[衣+臼]功報...
(白鳳)十二年冬十月、(斉明)天皇幸于難波宮、即随福...
故以白鳳五年歳次甲寅(六五四)、随聘唐使、至于長安、...
至于難波長柄豊前(孝徳)朝、白鳳四年、以小花下諱部(...
だが、「白雉」(六五〇~六五四)、「朱鳥」(六八六)とい...
また、「白鳳」年間は明らかに「白雉」よりも長い。天智の期...
従って、「白雉」「白鳳」の年号は全く同一というわけではな...
坂本は、「白鳳」を「白雉」の異称と見なした上で、「白雉」...
だが、そうであれば、「白鳳」だけが十数年も続くという史料...
世人が「白雉」=「白鳳」年号の継続を信じたのであれば、「...
実際は、「白雉」は明らかに五年で終わりだ。「白鳳」だけは...
やはり、「とってつけた」解釈の観は拭えない。
また、「白雉」の異称が「白鳳」と言うが、そのような事例が...
勿論、中国や朝鮮にも「忌避字」の関係で別字で代用した例は...
さて、これとは異なる「白鳳」「朱雀」年号を記載する史料が...
(1)厩坂寺。天武天皇即位元年、白鳳十二(癸未)(六...
(2)元年壬申八月、天皇幸野上宮、立年号為朱雀元年。...
(3)大嘗会。天武天皇御宇白鳳二年癸酉十一月始之但歌...
(4)其年の八月に御門は野上の宮に移り給たりしに、つ...
(5)天武 十五年(元年壬申)(中略)又年号アリ。朱...
(6)天武元年七月ニ彼皇子ヲ被誅キ、同八月ニ太宰府ヨ...
(7)宮(天武)名乗テ憑マントオボシテ、丸ハ浄見原ノ...
(8)後記(千満撰)云、或説云(中略)或説云、天智六...
(9)コレヨリサキニ、孝徳ノ御代ニ大化・白雉、天智ノ...
(1)~(8)は、「白鳳」元年、「朱雀」元年を共に天武天...
これらを総合すると、天武元年にまず「朱雀」年号が建てられ...
「白雉」=「白鳳」や「朱鳥」=「朱雀」から見れば、「白鳳...
次に(9)は、また異説だ。天智の時に「白鳳」、天武の時に...
これは、『二中歴』にも一致する記載だ。
また、(1)は、割註の干支が正しければ、六八三年の出来事...
反対にそのように見なければ、「天武天皇即位元年」という記...
これらの史料状況を垣間見ると、「白鳳」「朱雀」が決して「...
大きく分けて三系統ある。
1は、「白雉」「朱鳥」と同じ時代を含むもの。
2は、「朱雀」「白鳳」ともに天武初年の「祥瑞改元」とする...
3は、「白鳳」は天智。「朱雀」は天武とするもの。
『二中歴』系統の諸本と言えども同様である。
実際、「白鳳」「白雉」「朱雀」「朱鳥」の各年号については...
また、『日本書紀』に「白鳳」「朱雀」なしという事実や聖武...
これが率直なところだ。
2-3.「大化」
さて、『日本書紀』に記載のある最初の年号が、「大化」だ。
天豊財重日足姫(皇極)天皇四年を改めて、大化元年と為...
ところが、実際の孝徳朝時代の史料・金石文には、「大化」年...
このことから、その実在・実用を疑う論者が多く出ている(佐...
さて、中世文献に目を移すと、そこには、「持統朝の大化年号...
太上天皇持統天皇。大化三年譲位於軽皇太子。<藤原清輔...
大化三年八月一日、譲位於軽太子、尊号曰太上皇。凡太上...
大化三年二月に東宮とす。<藤原資隆『簾中抄』>鎌倉初...
一、持統 十年(元年丁亥)(中略)此御時年号アリ。此...
一、文武 十一年(元年丁酉)(中略)大化三年(元年戊...
いずれも、六九五年を元年とする。
これもまた、『二中歴』系統の諸本に一致するものだ。
こちらを正として、『日本書紀』の記載を訂正する論者もある...
だが、これも、奇妙である。なぜ、『日本書紀』が「持統朝の...
また、所功をはじめとして、大多数の論者は、この「持統朝の...
いずれの場合も、根本的な問題に対する回答が得られないので...
袋小路だ。
私は現在の所、孝徳朝の「大化」は、近畿天皇家制定の年号、...
少なくとも、「年号を制定し得る勢力は複数有り得る」ことを...
そうでなければ、先の「袋小路」に迷うほかは無いのだ。
2-4.「善記」「明要」「僧聴」「定居」
以下は、各「逸年号」に対し、簡単に史料を紹介し、現在の私...
まず「善記」だ。
香椎宮縁起云、善紀元年(壬寅)従大唐八幡大菩薩(傍書...
これが、私の知る「善紀」年号の最も古い出現例だ。
ここでは、「大帯姫」(息長足姫=神功皇后と同一視される)...
『ニ中歴』その他の諸本が継体の時代とするのと大きく異なる...
ここでいう「大帯姫」が本当に神功皇后その人と同一人物なの...
九州各地に存在する「大帯姫」伝承をくまなく検証する必要が...
ここでの「善紀」年号はその伝承とワンセットだ。
決して、「継体」の時代にとらわれる必要はないのである。
次に「明要」と「僧聴」だ。
明要元年(癸亥)停結縄、刻木始成文字。<宗像大菩薩御...
人王卅代欽明天皇御宇僧聴五年仁、自新羅国献釈迦金銅像...
注目されるのは、「明要」年号だ。
明要十一年(元辛酉文書始出来結縄刻木止畢)<ニ中歴>
このように、『二中歴』所載の割註の原典である可能性が有る。
ただ、干支も異なるし、『宗像大菩薩御縁起』によれば、「明...
抑聖徳太子御誕生之時代相尋上古侍レハ、年号ハ異説金光...
『聖徳太子伝記』には「金光」のほかに「勝照」「端政」の各...
いずれも、聖徳太子伝説の一環として記載されているが、もと...
琳聖太子(中略)本朝ニ渡ラセ玉フ此ハ推古天皇十九年辛...
誠ニ由来ヲ申セバ、百済国ノ王子琳聖太子ト申セシガ、日...
戦国の大内氏が、「百済王子」の血を引く(と伝えられる)こ...
この「定居」年号は、通常、推古天皇の時代とされるが、それ...
ここに、『ニ中歴』系統が「法興」を脱落させた要因があるよ...
私は、「定居」年号は干支一巡遡った、欽明時代の年号と考え...
私は、『ニ中歴』のような「年号表」の類でなく、こういった...
従って、今はまだ、全てが保留だ。
今後のより詳細な研究を待つほかは無いのである。
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