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24-Dec-2001
今日は、「神話」のお話です。
記紀神話を読んでいると、気がつくことがあります。
記紀神話と一言で言いますが、もしも、現実のお話だったら、...
皇祖皇考、乃神乃聖にして、慶を積み暉を重ねて、多に年...
故、日子穂穂手見命は、高千穂の宮に五百八十歳坐しき。...
とありますから、非常に長い年月が経っている、という認識を...
(ここの「一百七十九万二千四百七十余歳」という数字は仏典...
さて、例えば「伊邪那岐」や「伊邪那美」は、隠居したり、亡...
記紀神話では、神も「死ぬ」のです。
「邇邇芸」や「山幸」も当然のように、亡くなります。
従って、記紀神話の中には、「世代交代」という概念がありま...
「皇統」で言えば、「伊邪那岐」→「天照大神」→「邇邇芸」→「...
ここまでは、非常にわかりやすい。
記紀神話の神様と言うのは、我々人間と同じように、寿命があ...
そして、そのような時間の流れの中で記紀は語られている、と...
(ギリシア神話の話で)
ところが、これに反した現象も、ままある。
例えば、天照大神は、「神武記」にも現れます。
神武に「布都御魂剣」を与えるという、重要な場面です。
天照大神と神武は「世代的」には、かなり離れています。
系図のとおりなら、「ひいおじいちゃんのおばあちゃん」です...
まともに考えれば、会えるわけありません。
でも、古事記をよく読んでみると、納得しました。
古事記では、神武と天照大神が会った、なんて書いてありませ...
故、天つ神の御子、その横刀を獲し所由を問へば、高倉下...
このように、あくまで「夢」の中の話でした。
要するに、神武は自分の「東征」が「天照大神」の意思である...
それを示すのがこのエピソードであり、実物としての「剣」で...
神武が実在の人物で、天照大神が神武の当時からの「神」であ...
さて、崇神記にも神様が現れます。
「大物主神」です。
この神は、記紀神話の外の神です。
「大国主神」と同一視されますが、大国主は出雲の、大物主は...
この大物主という神、崇神記では、すくなくとも、非常に恐ろ...
祟る神です。
また、「意富多々泥古」の祖でもあります。
所謂「美和山神話」です。
共通して言えることは、「姿が見えない」ことだと思います。
「天照大神」は、例えば「誓約神話」や「天岩屋戸」では、は...
ところが、大物主は姿が見えない。
この天皇の御世に、役病多に起こりて、人民死にて尽きむ...
ここでもまた「夢」です。
美和山神話の方では、「壮夫」の姿をしていたと言いますが、...
このような「神」の有り様はどのように考えたらいいでしょう...
神武や崇神の時点では、もはや「神の時代」は過ぎ「人の時代...
このような説明は、割りと良く聞かれますが、わたしはもっと...
「天岩屋戸」や「誓約」のころの「天照大神」は現役時代。
「神武東征」の時点では、既に現役は退き(死という表現が良...
こういうと、我々も「故人」に対して同じような見方をし得る...
これが、「神」のひとつの「原点」だと思っています。
(勿論、「自然界への畏怖」の神格化、というものもあります...
何が言いたいのかと言うと、「神」とか「神話」と一口に言っ...
お話によっては、「現役」の時代かもしれませんし、お話によ...
そして、この差をじっくり見比べてみると、面白い発見が出来...
実際、「天孫降臨」の時点の「天照大神」は微妙な位置に居ま...
また、「高皇産霊尊」は、私が見たところでは、常に「故人」...
ギリシア神話でも、例えば、ゼウスは、「クロノスの息子食い...
美和山神話と同じく「故人」的な説話と言えるかもしれません...
これによって、或は「神の編年」が可能かもしれません。
(ただ、「説話上古い」ことと「実際に歴史上語られた時代が...
08-Dec-2001
今日は、「日本の女帝」について、お話したいと思います。
皇太子妃雅子さまに、女の赤ちゃんが生まれ、にわかに、「女...
現在の「皇室典範」では、天皇になれるのは皇族の男子だけ、...
このように決まったのは、明治時代のことで、「大日本帝国憲...
歴史上は、ご存知のように、日本には何人かの「女性天皇」が...
推古天皇(554-628 位592-628)
皇極天皇(594-661 位642-645)
斉明天皇(皇極重祚 位655-661)
持統天皇(645-702 位686-697)
元明天皇(661-721 位707-715)
元正天皇(680-748 位715-724)
孝謙天皇(718-770 位749-758)
称徳天皇(孝謙重祚 位764-770)
明正天皇(1623-1696 位1629-1643)
後桜町天皇(1740-1813 位1762-1770)
以上の十代八人です。
さて、明正・後桜町両天皇は、江戸時代の例です。
それ以外は古代の例となります。
古代の例で、忘れてはならないのが、『魏志』の卑弥呼・壹与...
彼女達はどのような背景で、天皇(女王)となったのでしょう...
それを少し考えて見ます。
さて、日本古代の女帝については、シャーマン(巫女)的要素...
これらを念頭に置きながら、順番に見ていきましょう。(上田...
(1)天照大神(前一世紀頃?)
さて、最初は「女帝」の名にはふさわしくないかもしれません...
彼女は記紀神話において、もっとも重要な、中心の神です。
そもそも、神話における中心の神が女性である、という事実を...
記紀が書かれたのは、元明・元正の両女帝の時代でした。
これが関係しているのだ、との見解もありますが、むしろ、卑...
所謂「国譲り」や「天孫降臨」が、古代の黎明期の史実を反映...
「国譲り」や「天孫降臨」は、その説話内容から、弥生時代の...
従って、天照大神は、弥生時代まで遡り得る神だと思われます。
彼女が現れた背景には、縄文以来の女神信仰があると考えられ...
(土偶などの大半は女性であることなどから、縄文時代には女...
縄文~弥生の女王の繁栄の時代を反映したものだろうと思われ...
(2)卑弥呼(三世紀前半)
彼女は所謂天皇家の一員ではないと考えられますが、日本列島...
卑弥呼の当時、倭国では既に男王の時代でした。
倭国の戦乱の中で、彼女が担ぎ出され「共立」されたのは、彼...
彼女は確かにシャーマン的な要素を多く持っていますが、同時...
従って、祭政一致体制の女王と言うことが出来ます。
彼女は、「年已長大、無夫壻」<魏志>とあるように未婚でし...
「未婚であること」が、巫女の必須条件かどうかは、一概には...
(3)壹与(三世紀中葉)
卑弥呼の死後、再び男王が即位しましたが、また国は乱れ、卑...
彼女がどのような女王だったのかは、ハッキリとはわかりませ...
彼女は未婚だったかどうか、わかりません。
彼女の後、倭の五王の時代には、倭国はまた男王に戻ったよう...
(4)神功皇后(四世紀前半)
彼女は天皇ではありません。記紀がそのような体裁で描いてい...
ですが、夫・仲哀天皇の死後、子・応神天皇の即位までの間、...
彼女は神懸りをする正真証明のシャーマンでした。
また、予定された天皇である応神天皇の即位までの間の「中継...
また、当然ながら、彼女は既婚者です。
(5)飯豊女王(五世紀後半)
雄略天皇の子・清寧天皇の死後、清寧天皇に皇子がいなかった...
そこで、飯豊女王という女性が一時皇位についた、とも読める...
於是問日継所知之王、市辺忍歯別王之妹、忍海郎女、亦名...
(ここに日継知らす王を、市辺忍歯別王の妹、忍海郎女に...
その後、彼女が雄略天皇に殺された市邊忍歯別王の遺児・顕宗...
ここでは、単純に女王であったとは言えませんが、皇位継承に...
巫女的な性格を強く持っていると考えられますが、彼女は未婚...
また、伝承から言って「中継ぎ」と見なすことも出来ます。
(6)推古天皇(七世紀前半)
彼女は欽明天皇の皇女であり、かつ敏達天皇の皇后でもありま...
異母兄弟の崇峻天皇が蘇我氏によって暗殺された後、皇位につ...
彼女の時代には、聖徳太子という、優秀な皇太子がいました。
そこで、政治の実権は皇太子である聖徳太子や大臣・蘇我馬子...
彼女の即位の前に起こった、崇峻天皇暗殺と言う大事件。
また、物部氏の滅亡。
これらの事件の後です。
蘇我氏全盛の時代に入ったとはいえ、まだまだ不安定な情勢で...
そこで、担ぎ出されたのが推古天皇だと思われます。
彼女の「欽明天皇の皇女、かつ敏達天皇の皇后」という出自と...
その意味では、聖徳太子は、まだ役不足だったのかもしれませ...
傀儡というよりは、象徴的な権威として、そのカリスマ性を必...
単なる「中継ぎ」と見なすことは正しくないでしょう。
(7)皇極天皇・斉明天皇(七世紀中葉)
彼女もまた、皇族にして前代舒明天皇の皇后という出自と経歴...
舒明天皇の死後、皇位継承争いが起こりました。
聖徳太子の子・山背大兄王と古人大兄王です。
この情勢の中で、時の大臣・蘇我蝦夷は、山背大兄王の擁立に...
ここでも危機を回避するための象徴として、彼女の出自と経歴...
さて、彼女は、「大化改新」の際に、弟・孝徳天皇に譲位しま...
孝徳天皇の時代は、皇太子であった中大兄皇子(天智天皇)が...
そして、譲位した皇極天皇は、政治の表舞台から遠のきます。
孝徳の死後、再び即位した斉明天皇には、既に実権は無く、皇...
(8)持統天皇(七世紀後半)
彼女も天智天皇の皇女にして天武天皇の皇后です。
天智天皇の死後、大友皇子(弘文天皇)と大海人皇子(天武天...
子・草壁皇子を皇太子とし、自らも政治に積極的に参加したと...
天武天皇が亡くなると、天武天皇の遺言を背景に「称制」し、...
天武天皇の皇子・大津皇子が、草壁皇子にとっての障壁だった...
つまり、草壁皇子が天皇になる為の準備期間、というわけです。
ところが、大津皇子を排し、準備が整う頃には、草壁皇子は没...
草壁皇子には軽皇子(文武天皇)という皇子がいましたが、幼...
そこで、持統天皇は即位し、軽皇子が成人すると、譲位したの...
その意味では、「中継ぎ」と言えなくもありません。
ですが、持統天皇は天武皇后時代から積極的に政治に参加し、...
ですから、彼女はまさに「女帝」にふさわしい存在でした。
また、譲位後も影響力を発揮しつづけ、はじめて「太上天皇」...
(9)元明天皇(八世紀前半)
さて、文武天皇は二十五歳という若さで亡くなってしまいます...
そういう状況で、天智天皇の皇女で草壁皇子妃(文武天皇の母...
首皇子が予定される次の天皇で、当然、元明天皇は「中継ぎ」...
(10)元正天皇(八世紀前半)
元明天皇は、「予定されていた」首皇子(聖武天皇)には譲位...
元明天皇が「中継ぎ」の存在であれば、このような譲位は起こ...
この指摘は正しいでしょう。
首皇子の即位を望まない勢力に対する元明天皇の深謀遠慮だと...
ただ、元正天皇は、結局、首皇子に譲位し、やはり、「中継ぎ...
(11)孝謙天皇・称徳天皇(八世紀中葉)
孝謙天皇は、聖武天皇の皇女です。
彼女は史上初の、女性皇太子となりました。
皇太子となった彼女は未婚で、当然皇子もいません。
従って、彼女は「中継ぎ」と見なすことは出来ません。
さて、彼女には皇子が居なかった。
このことが、未曾有の事件へと発展します。
「道鏡事件」です。
淡路廃帝(淳仁天皇)の後、再び皇位についた称徳天皇は、僧...
彼女は、道鏡を天皇にしてもいいと考えていたようです。
勿論、道鏡が天皇となれば、「易姓革命」となるわけで、今ま...
孝謙(称徳)天皇自身も、即位の際や淡路廃帝の際には自らの...
結局、天智天皇の系統の光仁天皇が即位することとなります。
「皇統」と「女性皇太子」という矛盾の中で、苦悩した天皇だ...
さて、ここまで、古代の女帝を見てきました。
(明正天皇は徳川秀忠の娘と後水尾天皇との間に生まれた女性...
では、現代に目を転じましょう。
「女性天皇」には、問題(それも根本的な問題)が潜んでいる...
それは「皇統」の問題。
現代では、それほど表立っては言われませんが、やはり、天皇...
「天皇」とは、単なる称号に過ぎないもの(本当は誰がなって...
「女性天皇」問題は、図らずも、天皇制そのものに対する根本...
せっかくの機会です。
どうせなら、徹底的に論じ合うのがいいのかもしれません。
もしも、「皇族が増える」とか「継承のルールが複雑になる」...
25-Nov-2001
今日は「七支刀」銘文についてです。
先日、西さんから、遠藤順昭「石上神宮七支刀の銘字について...
これは、七支刀銘文の詳細な調査報告とも言うべきもので、こ...
遠藤論文によれば、釈文は、
泰和四年五月十六日丙午正陽造百練[金[四/止]](「鋼」の...
先世[口人]来未有此刀百済王世子奇生聖晉故為[尸/[二/大]...
としています。
文字の判読については、今まで「倭王」と読まれてきた裏面第...
(ただし、遠藤氏が「□月」(表面第五字)を、一度は「現段階...
さて、遠藤氏はこれに続けて、読み下しと口語訳を載せていま...
読み下し(遠藤)
泰和四年五月十六日丙午正陽(最も陽の日)に百練(何回...
先世(前代)以来未だこの刀有らず。百済王の世子(侯王...
漢文としてあまり正確な読みではないようです。
勿論、所謂「読み下しのルールや慣例」に全て従う必要はなく...
そこで、かわにしなりに、読み下してみます。
読み下し(かわにし)
泰和四年五月十六日丙午正陽。百練の鋼の七支刀を造る。...
先世以来未だ此の刀有らず。百済王世子、聖晉に寄生す。...
口語訳(かわにし)
泰和四年五月十六日丙午正陽に、百練の鋼の七支刀を造る...
先世以来、このような刀はなかった。百済王の世子は、聖...
さて、今、遠藤釈文に従って一応読み下してみましたが、二点...
一つは、「七月十日作」です。
なぜなら、文頭で、製造日を「泰和四年五月十六日」と明記し...
福山敏男氏は、「七月十日」を「□□□□」として、全て不明の文...
私も、そのほうがより自然な文章となる気がします。
「七月十日」と遠藤氏が推定した個所は、かなり不明瞭な個所...
遠藤氏は、他の銘文に制作日を示したものがあるから、という...
もう一つは、「故為[尸/[二/大]]王旨造」です。
ここを「倭王」でなく「侯王」とする点は、私も納得なのです...
一応、「侯王旨」で「侯王の旨(命令)」と見ても良さそうで...
表面の「宜しく侯王に供供すべし」も、「(この刀は「百兵を...
従って、この「七支刀」の製造理由については、もう少し考え...
17-Nov-2001
今日は、原田実『幻想の多元的古代』についてです。
原田実氏は、一時、古田氏の説を支持し、また、昭和薬科大で...
「和田家文書」騒動以後(厳密にその時期は知りませんし、「...
(「和田家文書」騒動ってのは、故・和田喜八郎氏所蔵の『東...
・・・で、原田氏も、この時に、結構書いてます(笑)。
古田氏も結構応酬しているので、「まぁ、勝手にやってくれ」...
この本も、原田氏の論文集なのですが、その収載論文の執筆時...
これはこれで、「原田実の史料批判」としては、面白い徴候で...
でも、まぁ、私としては、それが読み取られてしまう、という...
疑われてしまうんです。
「論者の心情・信条が如実に反映された論説なんじゃないの?...
これは、非常にもったいない。
論考自体は、冷静かつ公正な判断の上に立っておられるのでし...
(まぁ、古田氏自身もかなり「心情」のこもった論文を書く人...
さて、内容の方に入っていきます。
まず、「「多元」と「王朝」」で、古田氏が好んで使う「多元...
「古田氏が本来唱えていた「多元史観」とは、日本列島を代表...
これでは藤間氏の説いた多元国家のモデルと大差ないものにな...
として、古田氏が当初用いていた「王朝」の意義が、現在では...
また、古田氏によって提示された「王朝の定義」が、古田氏自...
<王朝の定義>(古田武彦「邪馬壹国論争(上)」による)
1)一つの領域が一定の文化特徴を共有する政治的な文明圏を...
2)そのなかで質量ともにもっとも集中して、政治的な文化特...
3)それがその圏内の焦点、すなわち王朝の存在を示す。
これに対し、原田氏によれば、古田『関東に大王あり』の時点...
<古田氏の王朝命名の方法>(原田実『幻想の多元的古代』)
「中国により国として承認された(と古田氏が解釈した)勢力...
まさにおっしゃるとおりだと、私も思います。
なぜなら、「九州王朝説」は中国側同時代史書を基礎として形...
原田氏は古田『失われた九州王朝』で、
「ある論者は言うかもしれない。”要するに中国側は九州の豪族...
とあるのをもって、古田氏の「真の王朝命名法」が実は「中国...
この問題は、非常に難しく、非常に深い問題だと思われます。
「王朝」とは何か、「国家」とは何か、「日本人」とは何か、...
単なる用語問題などではなく、非常に根の深い問題です。
「地域国家」や「地方政権」への関心が強まった昨今、この問...
「地域」「地方」ってなんでしょう。
その時に、「中国側に認められた」というのは、一つの国際社...
原田氏の指摘は、この点に対して現在の古田氏があまりにも無...
さて、『幻想の多元的古代』の前半は、
1)「多元」と「王朝」
に続いて、
2)六世紀の新羅来寇記事について
3)二つの日向国
4)万世一系イデオロギーの中国的受容
5)記紀歌謡の伝承に関する一考察
6)木村鷹太郎の邪馬台国論をめぐって
と、古代史研究論文が続き、それぞれが非常に興味ある論考で...
特に、「木村鷹太郎の邪馬台国論をめぐって」などは、原田氏...
後半は、
7)『三夢記』親鸞真作説への疑問
8)足摺岬縄文灯台騒動・最後のまとめ
9)古田史学の未来
10)古田武彦に学ぶ強弁の研究
と、露骨に「古田氏批判」を連ねています。
確かに、古田氏は多くの「古代史ファン」への影響力を持って...
ここまで、古田武彦を知り尽くしていると言うなら、「リング...
これは、古田氏にも言えるのかもしれませんね。
場外乱闘が多過ぎる。
そういう気がしています。
7-Nov-2001
こんばんわ。
かわにしです。
さて、今日は、古田氏の最近の著作『壬申大乱』について、書...
これは、どうも古田氏の「壬申の乱」研究の序論という雰囲気...
(実際のところ、古田氏がどのように考えているのかは知りま...
良く言えば、「早く次が読みたい」という気にさせる。
まぁ、言いかえると、「ちょっと物足りなさが残る」というと...
大まかに、古田氏の所説をまとめてみましょう。
(1)万葉集や日本書紀(天武紀、持統紀)の「吉野」は「大...
その論拠として、
A.万葉集三六~三九の人麿の四歌
幸于吉野宮之時柿本朝臣人麿作歌
八隅知之、吾大王之、所聞食、天下爾、国者思毛、沢二雖...
(やすみしし、吾が大王の、聞こしめす、天の下に、国は...
反歌
雖見飽奴、吉野之河之、常滑乃、絶事無久、復還見牟
(見れど飽かぬ、吉野の河の、常なめの、絶ゆることなく...
安見知之、吾大王、神長柄、神佐備世須登、芳野川、多芸...
(やすみしし、吾が大王、神ながら、神さびせすと、芳野...
反歌
山川毛、因而奉流、神長柄、多芸津河内爾、船出為加母
(山川も、因りて奉れる、神ながら、たぎつ河内に、船出...
この四歌は、「大和の吉野」と見なした場合、多くの矛盾が生...
(「吉野には瀧がない」「船出するような水域がない」「逝き...
従って、これは、「大和の吉野」ではなく、「九州の吉野」で...
(「九州の吉野=吉野ヶ里の付近」と解せば、矛盾が無くなる)
B.持統紀
持統紀には三十一回もの「吉野御幸」が書かれている。これは...
これに対し、「九州の吉野」であれば、以下の点で矛盾が無く...
1)「吉野」は、白村江の戦いの時の、基点となった港と見な...
2)日本書紀は「景行九州遠征」のように、九州王朝の歴史を...
3)先述の万葉集三六~三九歌の後に、天皇の吉野行きを列挙...
4)(持統八年夏四月)丁亥、天皇、吉野より至る。<持統紀...
5)この「夏四月丁亥」が当てはまるのは、斉明六年(六六〇...
(2)「壬申の乱」の背景
a.日本書紀
『日本書紀』は壬申の乱(三十一日間)に対し、「天武紀上」...
「景行九州遠征」記事においても、他から浮いた「詳しさ」を...
また、「白村江」の敗戦後、筑紫には、唐の「駐留軍」がやっ...
この点も不審だ。
b.人麿の壬申の乱の歌(高市皇子への挽歌、万葉集一九九~...
この歌を「壬申の乱を歌った歌」とする解釈には矛盾がある。
壬申の乱は夏の事件である。(『日本書紀』)
ところが、この歌の示す季節は「冬」だ。
従って壬申の乱を歌ったものではない。
c.三森堯司氏「馬から見た壬申の乱」
三森氏は、騎馬の進行速度の問題から、壬申の乱に疑問を投げ...
壬申の乱の「行程記事」「行軍記事」は、問題があるのだとい...
古田氏はこれを全面的に支持している。
(3)天武天皇の歌(万葉集二五及び二七)
ここに登場する「吉野」はやはり、九州と見なすべきだ。
また、二七歌の「よき人(淑人)」は、「天武天皇より身分が...
従って、天武は「九州の吉野に郭務[小宗]に会いに行っている...
(4)以上によって、壬申の乱が実は「大和の吉野」を舞台に...
大まかに言うと、こんなところです。(3)の部分は、かなり...
正直言って、私には、まだまだ多くの”?”が消えません。
今挙げたようなパーツを組み合わせても、必ずしも同じ結論に...
私にそのように感じさせるのは、恐らく、「一貫した方法論が...
もちろん、「歌謡自身を第一に、前書きは二次史料」という方...
たとえば、
(1)『日本書紀』持統紀の「吉野」は、九州王朝からの換骨...
(2)『日本書紀』壬申紀の「吉野」は?
とか、
(1)景行紀の「天皇」は実は九州王朝の王者。
(2)持統紀の「天皇」は?
とか。
そもそも、「壬申の乱」に関して、壬申紀に対する検討が皆無...
(「信用できない」というだけで、他には何も明らかにしてい...
きっと続きがあるのだろうという気もしてはいますが、どうに...
14-Oct-2001
あの凄惨なテロから、はやくも一ヶ月以上が経過しましたね。
既に、アメリカは「報復」攻撃を開始しました。
(マスコミには「報復」という語を使わないようにしようとい...
以前もお話したことがありますが、「事実の探求」の上で、必...
「戦争」とはまさに、「大義名分」と「大義名分」の衝突。
「侵略」と書くか「征伐」と書くか。
「反乱」と見るか「革命」と見るか。
「英雄」と呼ぶか「凶賊」と呼ぶか。
このことを気にしない人間は事実を知る資格無く、こだわらな...
乱暴に、極論をすると、そのようにさえ言えると、私は思いま...
さて、この一ヶ月、正直、いろいろ考えさせられました。
今日はそれを、出来る限り吐き出してしまいたいと思います。
・・・というわけで、ここからは、デアル調で書きたいと思い...
1.「戦争」と「犯罪」について
あのテロを以って、「戦争」と見なす者が、はやくから現れた。
ブッシュ米大統領もその一人だ。
だが、あの行為自体は、まぎれもなく「犯罪」だ。
無差別大量殺人だ。
事象的には、米国でも日本でも、問題となっている、銃やナイ...
だが、ブッシュも、銃乱射事件や、その他の凶悪犯罪に対して...
持ち出せば、かえってブッシュの方が「危険人物」視されるだ...
では、なぜ今回はそのような言葉を敢えて用いたのか。
それは「政治的な意図の有無」だ。
今ある国家体制に対し、これを否定し破壊しようとする行為。
例え同じ「殺人」であっても、この意思が伴い、「国家」にと...
ブッシュはこれを感じ取ったからこそ、「戦争」という言葉を...
思えば、「オウム事件」の時もそうだった。
オウムに対して「内乱(予備)罪」の適用が叫ばれたりもした。
結局は適用はされなかったが、それほど、日本の「国家」を揺...
国内にあって国家の脅威となるものは「反乱」もしくは「内乱...
勿論、これは「国家」の側に立った表現であることを忘れては...
すなわち、米国がこれを「戦争」と見なすことは、それだけの...
さて、もう一歩進めよう。
米国が「戦争」という言葉を用いるのは、米国という「国家」...
だからこそ、イスラム・アラブ諸国の中に、反発を生じたのだ。
「今ある国家体制に対し、これを否定し破壊しようとする行為」
この行為自体は、いつ何時であっても、「悪」か。
そうではない。
全ての国家・全ての国民が、この行為の恩恵のもとに今の暮ら...
これが歴史の事実だ。
ヨーロッパ諸国の「市民革命」。
アメリカの「独立戦争」。
日本の「明治維新」。
アジア・アフリカ諸国の「自立・独立」。
いずれも「輝かしい軌跡」として、史上に名を刻んできた。
これらだけは良い。そういう「理屈」は通らぬ。
「勝てば官軍」とはよく言ったものだ。
歴史は、その繰り返しである。
ブッシュも米国も、その歴史の中のほんの一ページに、「戦争...
それ以上でもそれ以下でもない。
ブッシュは言う。
「これは正義と悪の戦いだ」と。
あまりに無邪気だ、といったら言い過ぎだろうか。
戦争とは常に「正義と正義の戦い」だ。
どこのどの兵が「悪の為に」命を賭けると言うのか。
どこのどの親が「悪の為に」自分の息子を死地に送り出すのか。
タリバンの兵もアルカイダの兵も、自分が「悪」の為に命を投...
彼等に会わずとも、これは「人間の常識」だと、私は思う。
それが、「戦争」というものである。
だが、いや、だからと言うべきだろうか、私はこのテロをあく...
「悪」として裁かれるべきは、「大量殺人」という「犯罪」だ。
米国と言う一国家に脅威を与えたことではない。
あくまで「殺人」という手段に打って出た、その点が「悪」な...
(米国自身にも、諸外国にとっても、我が国においても、この...
これは単なる「言葉の問題」ではない。米国のとった行動は果...
それとも、「戦争」の語にふさわしいものか、これが問題なの...
「犯罪」を裁くことが出来るのは、公平で公正な「法」のみだ...
その際、甘いとか甘くない等という基準は、無意味だ。
相手の強さや凶悪さによって出したり引っ込めたりするなら、...
2.「国際貢献」について
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し...
この憲法の条文を素直に読む時、以下のような事態は、この憲...
「ある2国間で戦争が起こった。日本は、そのいずれか一方だ...
私の目には、明らかに、戦争の片棒を担ぐ行為にしか見えない...
国際貢献についても、真にそれを行うのであれば、一方だけに...
これが、スジ論だ。
安保とか日米同盟とかという、問題もあるが、今はそれを置い...
両者の仲介役にまわって、「和平」を推し進めるという選択肢...
パキスタンは、タリバンとの関係が深いこともあったが、「和...
彼等の「和平」への活動を最大限に支援しようという試みは、...
(イスラム諸国においては、サウジアラビアのように、少なか...
今からでも遅くは無い。
「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」するなら、...
「テロリストとの和平などあり得るものか」
という声が聞こえてきそうだが、これこそ、「戦争」と「犯罪...
結局のところ、真の「和平」とは、彼等の「テロリズム」の源...
その上で、罪は罪として裁かれるべきなのだ。
(「罪」を犯しているのは、イスラム原理主義の過激派ばかり...
もはや、ウサマ・ビンラディンが(本当に今回の首謀者だった...
そういう状況にまで全てを追い詰めたのは、他ならぬ米国です。
私にはそう思えてなりません。
08-Oct-2001
今日は、古田史学の会ほか主催の『「邪馬台国」はなかった』...
はじめに古賀達也・谷本茂両氏の講演(古賀氏のそれは、「古...
谷本氏の講演は、『周髀算経』の研究から周代の短里の使用を...
かわにしは、篠原氏の論文を読んでおらず、また、講演の時間...
つぎに、西村俊一氏と古田氏の対談でしたが、・・・まぁ、和...
(あまりよく覚えてない・・・)
午後からは古田氏の講演でした。
前半は、周代の短里説(一里=435メートル(漢代)ではな...
有名な「千里馬」は、実は一里=435メートルだとすると、...
ところが、短里だと、76キロ。優秀な馬が頑張れば、なんと...
そんなようなお話が実はたくさんある、ということでした。
後半は、万葉集の人麿の歌が、実は九州を舞台にして歌われた...
その後、懇親会にも参加させていただき、「新・古代学の扉」...
今日は、楽しいお話をたくさん聞けて、貴重な時間を過ごすこ...
29-Sep-2001
今回は、ダル100億世さんの「邪馬台国日向説」への批判を...
というわけですから、まずは、ダルさんの説をお読みください...
さて、ダルさんはまず、「渡海」と「水行」の違いについて着...
私もこの点には大方、賛成です。
ただ、補足しますと、「水行」の本来の用法は、「川を移動す...
中国は大陸の国で、島国ではないのですから、これは、当然の...
勿論、海を知らないわけではないので、ダルさんのおっしゃる...
「水行」という言葉は割りと「便利に使える」広い意味を持っ...
だから、厳密には「海を渡る場合には水行は使っちゃダメだ」...
逆に「渡海」は文字通り、当然「川を移動する」場合や「海岸...
ですから、「水行十日陸行一月」とあるから、絶対に海をわた...
むしろ、「陸行」との対比として、船での移動全般を指してい...
ただ、「女王国から『渡海』した先にも倭人がいた」という記...
(論理的には「四国」もありですね)
本州(近畿の大和)から東に海を渡ったら、アメリカに着いて...
(北に渡ると北海道に着きますが、それもダルさんの指摘通り...
さて、より根本的な異論があります。
それは、投馬国と邪馬壹国の所に記載されている、「水行二十...
まあ、「旅日記」なら、そこらへんはこだわる必要も無いので...
「日程」というのは、厄介なもので、単純な距離とは微妙に違...
実際には、距離より便利な場合もありますが。
私たちも目的地がどのくらい遠いか近いかを考える場合、電車...
ここには、当然ながら「乗り換え」や「停車駅の数(急行と各...
だから、実生活では便利なのですが、地理的にどこに位置する...
つまり、「里程」と「日程」では、厳密には指すものも違うし...
これはごっちゃにしちゃいけません。
また、
郡より女王国に至る、万二千余里<魏志倭人伝>
とあるように、郡(帯方郡)から女王国に至るまでの総里程は...
ここで、倭人伝の最初に、
郡より倭に至るには、海岸に循いて水行し、韓国を歴るに、乍...
とあることから、一万二千里-七千里=五千里が朝鮮半島南端...
「短里説」を用いずとも、ここから言えば、朝鮮半島南端部か...
よく「誇張がある」と言われます。
これは、要するに一万二千里が常識的な「里」で考えると、遠...
ですが、実際は、その半分以上は、朝鮮半島内の距離です。
従来、この点が忘れられていたように思えます。
さて、五千里のうち、
(1)千余里 狗邪韓国→対海国
(2)方四百余里 対海国の面積
(3)千余里 対海国→一大国
(4)方三百里 一大国の面積
(5)千余里 一大国→末盧国
(6)五百余里 末盧国→伊都国
(7)百里 伊都国→奴国
(8)百里 伊都国→不弥国
という各里数値によれば、(古田説においては2と4を計算に...
千余里+千余里+千余里+五百余里+百里+百里=三千七百余...
残りは五千-三千七百=千三百里です。
「連続式」に読んだとして、不弥国から(投馬国を経て)邪馬...
これでは、日向まで届きません。
(千三百里移動するのに「水行二十日」+「水行十日陸行一月...
古田説においては、この「水行十日陸行一月」は帯方郡から女...
今は、連続的に足してみました。
今度は放射式の読み方(榎説)について考えてみましょう。
この場合、伊都国以降は、一万二千里に含めないと考えられま...
従って、千余里+千余里+千余里+五百余里=三千五百里です...
残り千五百里です。
大差ないですね。
同様のことを、古田武彦の他に榎一雄・井上光貞・奥野正男・...
こういうわけですから、「連続式は近畿説に有利。放射式は九...
(古田氏に言わせれば、この残りの「千四百里」(7を含めな...
さて、次に、「神武東征と邪馬台国東遷」についてです。
ここで、神武東征の出発地が「隼人」の地であったことを不審...
私も同感です。
ですが、私は隼人に関しては、熊襲の後裔であるという通説ど...
従って、神武が南九州の日向から出発したとすれば、むしろ「...
と、なると、当然ですが、神武東征以後も「熊襲」は九州に存...
常識的に考えれば、「熊襲」の本国は九州のままで、その一派...
主流はあくまで九州のはずです。
記紀という書の根本のテーマは、「天皇家以外に日本列島の王...
これに惑わされてはいけません。
常識的に考えれば、少なくとも神武東征の時点では、神武は非...
イギリスとアメリカのようなものです。
メイフラワー号の頃は、当然、イギリス本国の植民地でした。
決して、最初からアメリカは独立してはいませんし、イギリス...
実はここの理解の相違が、「九州王朝説」と「邪馬台国東遷説...
甘木や都城と大和との地名の類似は興味深い事実ではあります。
ただ、それも、アメリカの例でよくわかるでしょう。
「ニュージャージー」「ニューハンプシャー」の各州が英国の...
これと同じことなのかどうかはわかりませんが、「類似する=...
あくまで、本国をしのんでつけたものなのかもしれません。
要するに、ダルさんの3つの論点を結びつけても、必ずしも、...
ですが、ダルさんのおっしゃるとおり、傍流の大和勢力が本流...
その時期が来るまでは、あくまで、大和勢力は傍流だったので...
本流である九州のほうが「偉い」という時代が存在していたは...
そして、九州勢力側が、「倭王」として中国に使者を送ってい...
大和勢力は、九州の倭王の部下だったこともあるだろうし、反...
そういう「立場」を想定する必要があります。
私は、その期間は決して短くは無かったと思います。
最終的に「倭王」にとってかわったのは、大宝律令前夜でした。
狗奴国に関しても、私は狗奴国だけが「熊襲」ということでも...
九州勢力側も一枚岩ではなかったことを示すのみだと思います。
(狗奴国と女王国の対立は、恐らく、「倭国に乱有り」以降の...
金印の「委奴国」=「伊都国」説ですが、これは従えません。
理由は、以下です。
(1)魏志倭人伝の記述について
「『後漢書』に、金印を与えたという記述があるにも関わらず...
(2)女王国と伊都国の関係について
「女王国とは、先にも述べたように、女王卑弥呼が統治する連...
これこそ、中国側の命名ではないか、と考えられる。従って、...
ダル100億世説に従えば、このような推移となる。
1)かつての倭王は、現在の伊都国王だった。
2)乱が起こり、その結果、共立された卑弥呼が、本来の倭王...
3)今、倭王の地位を追われた伊都国王は、伊都国にいるが、...
明かな権力交代劇だ。しかも、つい最近の、である。
中国側にとって、こういった夷蛮諸国の権力の推移は、もっと...
外交関係に大きく関わるからである。
したがって、これを記さぬこと自体が、決定的な矛盾である。
やはり、「女王国」と呼ばれている勢力が、昔から代々(金印...
(A統属Bは、AがBに属すという語法である。逆の関係を示...
(3)「委奴国」について
古田氏の指摘の要点は、「委奴国」=「倭人国」である。
更に言えば、「委奴国王」=「倭国王」と言っているのである。
また、「委奴」=「伊都」説は、戦前から存在していたが、音...
この点への再反論が不可欠だ。
以上です。やはり、金印の「委奴国王」は「倭国王」のことで...
まぁ、「邪馬壹国王」でも「女王国王(なんか変)」でも「狗...
魏志倭人伝には、「乱有り」とは記されていても、中心勢力の...
「乱」も、どうやら、先代国王の死後の後継ぎ争いのようなも...
ダルさんの指摘、特に「神武東征と邪馬台国東遷」は、非常に...
「九州王朝説」の核心部分(と私が思っている)に、迫るもの...
そういう意味でも、ダルさんに感謝、です。
ダルさん、反論お待ちしてます。
17-Sep-2001
先日の「独り言」(9/15)を書いた後、知ったことなのですが...
ロシアやフランスが、武力行使に慎重な姿勢を見せているよう...
また、ニューヨーク・タイムズ紙にも「戦争」に対して、慎重...
その一方で、ブッシュ大統領はじめ、米国政府は、「戦争」に...
これに対するイスラム社会、アラブ社会の反発も強くなってき...
その間で微妙な立場に立たされたパキスタンは、「和平」への...
・・・まさに、「戦争」の様相を呈してきました。
それも「憎悪」渦巻く・・・。
私は、この「戦争」を巻き起こしたのは、「テロ」ではなく「...
怒りに身を任せ、ちょっとやり過ぎたんじゃないかという感じ...
まぁ、アメリカが怒りに冷静さを失うのは、しかたないとして...
こんな使い古された言葉が頭をよぎります。
「罪を憎んで人を憎まず」
15-Sep-2001
こんにちは。
先日、凄惨な「事件」が起こってしまいました。
「米国同時多発テロ事件」です。
邦人二十四人を含めた五千人近くの方が、現在もなお、行方不...
あのようなテロ行為は断じて許すことは出来ません。
ブッシュ米大統領は、「戦争」という言葉を敢えて用いて、断...
ですが、私からすると、「戦争」という言葉は用いて欲しくな...
やっぱり、これは、「犯罪」なのです。
たとえ軍隊が出動するにしても、相手は「犯罪者」。
決して「和平」も「講和」も「調停」もない。
ましてや、「敗北」など許されない。
恐らく、ブッシュ氏の考えもそうなのでしょうが、だから、「...
私が、なぜ、このような、一種「微細な」言葉の問題にこだわ...
「戦争に対しては和平を推し進める第一人者に」
「犯罪に対しては撲滅を推し進める第一人者に」
なってほしいものです。
小泉首相が、米国支持を打ち出し、出きる限りの協力は惜しま...
専門家の間では、「非対称戦争」などという言葉を使って、こ...
ウサマ・ビンラディン氏(の関与によるものなのかは知りませ...
もしも、これが、「犯罪行為」でなく「戦争行為」であれば。
米国や他の諸外国にとっては、それほど大きな違いは無いのか...
「世界の平和と秩序を守る為に戦う」
戦争を起こす時は、みんなそう思っているのです。
ですが、日本にとっては違う。
だから、わたしたち日本人はこの違いにこだわるべきだと思う...
また、「犯人」たちのグループは、犯行後、隠れたままです。
この点から言っても、彼等の行為が、「政治的な意図」を持っ...
もっとも、想像をたくましくすれば、様々な「意図」を疑うこ...
やはり、「たくさんの人を殺してやった。ざまぁみろ」程度で...
オウムの時もそうでしたが、だから、どうしたいのか、が見え...
それとも、「巨大な計画」の「ほんの一部」なのでしょうか。
何はともあれ、「憎悪だけの戦争」にはなってほしくないもの...
1-Sep-2001
どうも、です。
前回の「独り言」(28-Aug-2001)の続きです。
ちょっと、「暦」の本を調べてみました。
太陰暦:冬至を起点として、一年を十二等分したものを「中」...
「冬至」を含む月を「十一月中」として、一ヶ月づつ配分する...
従って、「春分」は必ず「二月」になる。
ただし、「朔」→「晦」は実際は29.530589日であり、必ずずれ...
太陽暦(グレゴリウス暦):平年を365日と定め、西暦を4...
ちなみに2000年は4で割りきれるが100でも割りきれ、...
(内田正男『日本暦日原典』による)
太陰暦は、つまり、「雨水」の月が必ず「正月」になります。
「旧暦」の上で、
「春」=1~3月=「雨水」「春分」「穀雨」
「夏」=4~6月=「小満」「夏至」「大暑」
「秋」=7~9月=「処暑」「秋分」「霜降」
「冬」=10~12月=「小雪」「冬至」「大寒」
となって、なるほど、キッチリ正月は「春」という季節になる。
これを今の暦に合わせると、
「春」=2~4月=「雨水」「春分」「穀雨」
「夏」=5~7月=「小満」「夏至」「大暑」
「秋」=8~10月=「処暑」「秋分」「霜降」
「冬」=11~1月=「小雪」「冬至」「大寒」
と、おおよそ、こうなります。(一月の長さが違うので一概に...
うーん、なんだか、実際の季節感と合ってるような合ってない...
結局、日本の「冬至」って、「冬真っ只中」というよりは「こ...
たしかに。
つじつまは合ってるのかなぁ。
むむ。
28-Aug-2001
こんばんわ。
今日は、私の「素朴な疑問」を書かせて下さい。
「新春」と言う言葉があります。
勿論、「正月」のことですが、正月は、季節で言うと「春」と...
「春正月」云々というのは、日本書紀にも出てきますが、
旧暦では、これが常識です。
ところが、実際の所、1月は、真冬です。
ここには、「新暦」(太陽暦)と「旧暦」(太陰暦)の違いが...
それを考慮しても、やっぱり、1月は「真冬」です。
私の素朴な疑問は、これです。
なんで、春なの?
「旧暦」にしても「新暦」にしても、閏年とか閏月とか、そう...
でも、実際の所、ずれてる。
「二十四節季」は、農業にとって重要な「節目」でした。
だからこそ、ちゃんと実際の季節に合うように調整がされてき...
でも、実際は、「正月」がずれてる。
そんな気がするのは私だけなのでしょうか。
だれか、ご存知の方がいれば、教えてください。
12-Aug-2001
今日は、神話関係のお話をいくつかしたいと思います。
初めは、「最初の人間」について。
子供の頃、こんな疑問を持った経験はありませんか。
自分には両親がいる。
お父さんのお父さんは、おじいちゃん。
おじいちゃんのお父さんは、ひいおじいちゃん。
ひいおじいちゃんのお父さんは、ひいひいおじいちゃん。
ひいひいおじいちゃんのお父さんは、ひいひいひいおじいちゃ...
:
じゃあ、一番最初は誰なんだ?
「神話」の世界では必ず、「最初の人間」が現れます。
その現れ方には、種類がありますが、「最初の人間」は必ず現...
アダムとイブだったり、パンドラだったり・・・。
(ほとんどの「大系的な神話」・・・ギリシア神話や旧約聖書...
実は、これら「最初の人間」説話の生みの親は、「子供の疑問...
きっと、「村に一人は」こんなこと言い出す子供がいた。
大人達はほとほと困ってしまうわけです。
だって、そんな「答え」わかるわけないじゃないですか。
そこで、村の長老は、あるお話をしました。
それが、「アダムとイブ」だったり、「パンドラ」だったり・...
考えてみれば、ごくごく普通のストーリーですが、こういう根...
村に一人は「最初の人間」がいても決しておかしくはない。
だから、人間が言葉を持って程なく「最初の人間」は語られた。
そういっても過言では有りません。
後に「政治的」に利用され、淘汰されていく前の話です。
次は「最初の神」です。
人間が「神」を生み出した(「発見した」という謂い回しのほ...
これもかなり古いでしょうね。
どんなところから、人間は「神」を生み出すことになったので...
私は、実は、「無宗教」と言われる現代日本人こそが、それを...
私たちは、普段「無宗教」と言いながらも、思わず「神様・・...
どこのどの「神様」なのかは知りませんが、つい、ね。
まさに「あれ」です。
特にそれを強く感じさせるケースは、「人の死」や「自然の脅...
要するに自分じゃどうにもならない、そういうものを目にし感...
何も高尚な「宗教知識」を持たなくても、「無宗教」の私たち...
私たちは「神様」という概念を知っている。でも、たとえ知ら...
太古の人間もそれを感じたに違いありません。
そう考えると、自然神信仰や、多神教、生死を司る神が最も「...
超越的な「絶対的唯一神」が、これより、遥かに「発展した」...
ここまでは、言ってみれば「架空」であることが前提とされる...
もう一方で、「実在」したのではないか、と考えられる「神話...
記紀で言えば「国譲り」「天孫降臨」などがそうですし、ギリ...
「モーセの出エジプト」なども実在した話なのかもしれません。
もちろん、「モーセが海を割った」とか「トロヤ戦争の発端は...
確認しておくべきことは、「モーセ」も「イーリアスの英雄」...
さて、記紀神話に目を転じてみましょう。
私が「実在した」可能性が有ると考えているのは、天孫とされ...
記紀神話は、他の神話(ギリシア神話など)と異なり、「神」...
「すさのお」など、「神」のようでもあり「人」のようでもあ...
「天照大神」にしても、そういう部分が見え隠れします。
特に「すさのお」と絡む時の「天照大神」と、「天孫降臨」時...
なぜなのでしょうか。
私は、これを解明するヒントは「靖国神社」にあるような気が...
「靖国」に祀られているのは、「人」です。
「人」ですが「神」です。
これが、日本古来の風習なのでしょう。
「人は死んで神になる」
これです。
「生ける天照大神」は「人」であり、「死せる天照大神」は「...
こういう状況だった可能性があります。
先の印象の違いは、これによるものなのかもしれません。
この視点は、記紀神話を読む上で重要なキーになるような気が...
28-Jul-2001
こんばんわ。
今日は、「靖国神社」についてです。
小泉首相が「靖国神社に参拝する」と言って以来、「靖国参拝...
「靖国神社」というのは、第2次大戦に関わらず、「日本にと...
ですか、「靖国参拝問題」には、「靖国神社には戦争の、A級戦...
小泉さんは、「これから平和国家として日本が頑張っていく為...
というようなことを、言っておられるようです。
「その何が悪い」というのが、小泉さんの基本姿勢です。
ですが、私に言わせれば、たかが、「靖国」程度でその「誓い...
「靖国」には、広島や長崎の犠牲者が祭られていますか?
「南京」の犠牲者が祭られていますか?
「パールハーバー」の犠牲者が祭られていますか?
朝鮮といわず、中国といわず、米国といわず、
本当に「全ての戦争犠牲者」が祭られていますか?
私にとっては、「靖国にはA級戦犯が祭られているから」どうだ...
そんなもんは、どうでもいいんです。
「A級戦犯」となった人々を、責めれば、それでいい、などとい...
「戦争責任論」に陥らず、あの「戦争」の教訓を十分に生かす...
小泉さんのような、「理屈」は正しい。
でも、その実現手段は、あまりにちっぽけだ。
それが私の感想です。
22-Jul-2001
お久しぶりの、「古代史の独り言」です(笑)。
今回は「天神様」について、です。
「天神様」と「お稲荷さん」と言えば、日本では知らない人は...
でも、記紀ではあまり馴染みのない、どちらもそういう神様で...
「お稲荷さん」については、いずれまた、お話できる時がある...
今回は、「天神様」についてお話します。
さて、「天神様」といえば、「菅原道真」とお思いの方もいら...
北野天満宮では、本来、その神様は「蛇神」であり「雷神」と...
(『大鏡』では「荒人神」だという)
また、私などのように「記紀」をずっと見てますと、どうして...
じゃあ、これと北野天満宮の「天神(てんじん)」が同じなん...
私にはそうとも見えません。
なぜなら、記紀にいう「天神(あまつかみ)」には、「雷神」...
もちろん、「天神(あまつかみ)」が「天空にいる神」という...
ちょっと、目を転じて、中国を見てみましょう。
中国では「天神」といえば、「雷神」を指します。
もともと、「申」が「天空を統括するものとしての雷」を指し...
「天神・地祇・人鬼」周礼という3すくみで言われる場合の、...
ちなみに、「天神地祇」という語は、日本にも「輸入」され、...
「天神」の代表が「伊邪那岐」「高皇産霊」や「天照大神」、...
ですが、「天神地祇」と「あまつかみ・くにつかみ」とは、別...
ともあれ、どうやら、北野天満宮の神様は「雷神」であったた...
近畿地方には「雷神」として畏れられる神様が多数います。
大物主大神、鴨神、茅鳴美神などです(志賀剛『式内社の研究...
勿論、これらの全ての神様が、「天神」と呼ばれているわけで...
むしろ、彼等は「くにつかみ」に分類されます。
北野天満宮も「荒人神」<大鏡>のままだったら、まちがいな...
一方、太宰府天満宮の方の神様は、というと、もともとは、「...
この大宰府の地こそが、「あまつかみ」祭祀の最高の中枢であ...
要するに、同じ「天神様」といっても、その経歴は全く違う、...
これは、全国の「天神様」を探求する上で、重要なポイントと...
5-Jul-2001
今日は、本当に(?)、独り言です。
「著作権」について。
私は、当HPで公開している「お話」について、
基本的に「転載は自由」という姿勢を保っています。
でも、中には、「厳正に」著作権による制約を課しているサイ...
これ自身は、私も、決して間違っているとは思わない。
私などのような、いいかげんで適当なHP管理者に比べて、
はるかに、きっちりとした「管理体制」をとられていて、いい...
私が、自らの「お話」に対して、それほど厳密に「管理」しな...
今日はお話したいと思います。
私は、「知的所有物」については、2通りのものを考えます。
一つは、「創作活動」。
「絵画」や「彫刻」や「小説」や「物語」や「随筆」や「詩」...
もう一つは、「論理」や「理屈」です。
私が「産している」のは専ら、「論理」や「理屈」です。
「著作権」は前者に対して有効なものであって、後者には有効...
これが私の「理屈」です。
なぜか、それは、簡単です。
「論理」や「理屈」というのは、基本的に、
「誰が考えてもそうならざるを得ない」
そういうものです。
この点が、前者と大きく異なります。
その人特有の、「感性」や「美意識」に影響されない。
これが根本です。
「盗作」という言葉がありますが、
私は、「私の理屈を盗作されるのは、大いに結構」と思ってい...
(「盗作された」経験はありませんが・・・)
もしも、私の名を挙げることなく、私の理屈を紹介される方が...
大いに結構なことと思います。
(「いれば・・・」の話ですが)
「もしも、私の打ち立てた「理屈」に全面的に賛同」という論...
私にとって、大いに価値あることです。
「もしも、私の打ち立てた「理屈」を理解せずとも、私の「理...
その人は、勝手に自滅するのみです。
私が絶えず「自問自答」している、「問題」に、ついに打ち勝...
ですから、私は、当HPに載せる、あらゆる「私の言」に関して...
「私の言」を十二分に消化し、「自らの言葉」としてお話でき...
どうぞご自由に、お使いください。
出来ぬなら、お使いにならないほうがいい。
自らを苦しめるのみです。
あとは、「マナー」の問題です。
(今日のお話は、あくまで「一般論」です。
むしろ、「著作権」という言葉に惑わされ、その「真意」を理...
ほんの些細で、お節介な、メッセージのつもりです)
24-Jun-2001
さて、今日は、天孫降臨です。
天孫降臨を語る際に問題となるのは、「どこからどこへ」とい...
勿論、「高天原から筑紫」なのですが。
じゃぁ、「高天原」ってどこ?
「筑紫」ってどこ?
という問題があるわけです。
「筑紫」と一口に言っても、それは九州全体を筑紫と呼んだん...
というわけです。
でも、率直に、「筑紫」といえば、福岡県でしょう。
そうでない気がするのは、神武の出発地を宮崎県と疑わなかっ...
記紀の記載をあげておきます。
日向の襲の高千穂峯に天降る。神代紀、第九段、本文
果に先の期の如くに、皇孫をば筑紫の日向の高千穂の[木患...
故、天津彦火瓊瓊杵尊、日向の[木患]日の高千穂の峯に降...
日向の襲の高千穂の[木患]日の二上の峯の天浮橋に到り、...
時に、降り到る処をば、呼びて曰く、日向の襲の高千穂の...
竺紫の日向の高千穂の久士布流多気に天降り坐す。神代記
「筑紫の」と言っているのだから、当然、福岡県なのです。
では、どこから?
それは、記紀神話で、「天」と呼ばれる領域がどこなのかと言...
詳細は省略しますが、簡単に言うと、「天」から「天」以外の...
そこで、天降る先を見てみると、「筑紫」「出雲」「新羅(韓...
すると、これら領域は「天」ではない。でも、「天」から、こ...
とすれば、これは、「壱岐」「対馬」です。
事実、対馬には「阿麻[氏/一]留神社」というのがあり、「あま...
したがって、対馬が天照大神の出身地である、という命題を指...
また、「壱岐」には「天の原」という地名があり、これが「高...
従って、天孫降臨とは、「壱岐・対馬の海洋勢力が、筑紫へ侵...
なんだ、スケールの小さい・・・と思わないでください。
壱岐・対馬勢力にとってみれば、筑紫の広大な大地を手に入れ...
記紀神話のほとんどは、弥生時代を舞台にしていますが、重要...
葦原の千五百秋の瑞穂の国は、是、我が子孫の王たるべき...
所謂「天壌無窮の神勅」ですが、つまりは、農作物の豊富な豊...
勿論、稲作の為に。
当然ながら、壱岐・対馬などの島では、充分な稲作など、無理...
「天国」側にしてみれば、まさに死活問題だったわけです。
さて、もうひとつ、「どうして天孫降臨は成功したのか」とい...
それには、壱岐・対馬の地理が重要になってきます。
縄文時代までは、日本列島では、どちらかといえば東が先進地...
また、はっきり言えば、中国側にも引けを取らない、そういう...
(「土器」という分野では、世界最高峰の文化でした。中国に...
ところが、時代が流れるにつれ、中国と日本列島の文化の優劣...
1つは「金属器」です。
もう1つは「稲作」です。
これが、日本に伝播してくる、となると、壱岐・対馬は、当然...
ここを拠点とする、海洋集団も、活躍の場を増やすこととなっ...
(モノそのものの伝播は、南方からというルートも存在する。...
これが、壱岐・対馬が出雲に対して優位に立った、要因の一つ...
また、壱岐・対馬は当然、最新の兵器・鉄の武器を多く手に入...
このことも、当時の情勢に多大な影響を及ぼしただろうと思い...
さて、このように考えてくると、「記紀神話」がいかに弥生の...
ここまでのリアリティを持つ「作り話」を造ったとするなら、...
18-Jun-2001
さて、今回は、時事ネタです。
ほんとは、書くのは、どうしようかと、悩んだんですけど・・...
あまりに、個人的な意見になってしまいそうで・・・。
・・・「心の病と犯罪について」です。
「心の病」とは、つらく、厳しいものです。
とか言いつつも、私は、味わったことは無いのですが・・・。
それは、百も承知で、あえて、書かせていただきます。
「人を殺しても罪に問われない」ほどの「心の病」とは、いっ...
私の目には、その「病」は相当な重傷のように見えます。
症状は、いろいろあるのでしょう。
「幻覚や妄想に悩まされ、近付いてきた人物が、自分の命を狙...
とか、
「カッとなると、ブレーキが効かなくなってしまい、自分でも...
とか。
もしも、こんな状態に自らが陥ったとしたら、どれだけつらい...
もしも、そのような状況で、「自分の意思ではどうにも出来な...
ですから、司法がそのことを充分に察してくれる。
それは、大変重要なことです。
でも、今はそれとは、一応、距離を置いてお話しましょう。
私は、司法によって、「心の病」だから罪に問わない、という...
なぜか。
もしも、「彼は心の病だから、たとえ人を殺しても罪には問え...
それはつまり、「彼は、町を歩けば、人を殺すかもしれない。...
じゃぁ、「社会」として、「いつ人を殺すかもしれない彼」を...
たとえば、「某殺人者」は、車で現場に降り立ちました。
彼が本当に「いつ人を殺しても仕方の無い」人物だったなら、...
酔払い運転は取り締まられる。
なぜかといえば、「酔っ払った状態で、まともな運転はできな...
でも、酔っ払った状態で人を殺したとしても、罪には問われる。
「人殺しでさえ罪に問えない」人間が、「車の運転」でミスを...
当然、「まともな」人間より、よっぽど、「危ない」。
誤解しないでくださいね。
私は、決して、「心の病」を持つ方々の人権を、損なおうと言...
でも、いたずらに、「心の病だから罪に問わない」のでは、そ...
「罪」に対する責任能力が認められているからこそ、その他の...
少年法の件でもそうでした。
中には、「罪に問われない」ことを「特権」であるかのように...
でも、それは間違いです。
罪に対する責任能力、それは、その人に、充分な「権利」が与...
「権利」はなくても「罪」には問われる、
或は、
「罪」には問われなくても、「権利」はある。
いずれも、健全なあり方ではありません。
今は、あまりにそのバランスを欠いている。
私にはそのように思えます。
9-Jun-2001
こんにちわ。
かわにしです。
さて、今日は、「神武東征」について、お話します。
まず、神武の出発地については、通常「日向(ひむか)」=宮...
以下、古事記に基づいてお話します。
・・・で、ここから出発して、宇佐の足一騰宮(あしひとつあ...
1.足一騰宮→不明
2.岡田宮→一年
3.多祁理宮→七年
4.高島宮→八年
これは、いくらなんでも、「遠征」の途中経路じゃありません。
また、これらの地域では、戦闘が行われていない。
どういう事情なのかはわかりませんが(神武という青年武将の...
で、高島宮を出ると、「速吸門」が出てきます。
「流れの非常に急な海峡」ということです。
通常、豊予海峡がそれだと言われますが、古事記のこの記述に...
ここを越えると、神武は、戦闘の連続です。
これも、弥生時代の「銅剣・銅矛文化圏」と「銅鐸文化圏」の...
つまり、「銅剣・銅矛圏」は神武の仲間、「銅鐸圏」は神武の...
こう考えると、神武がわざわざ鳴戸海峡を渡った「意味」がハ...
明石海峡では、敵に目立ちすぎるからです。
あんなに通りやすい海峡を、敵さんがすんなり通してくれるわ...
また、神武軍団が、圧倒的な武力を誇っていれば、明石海峡を...
「銅鐸圏」の中心領域に突入した際の、大敗北がそれを物語っ...
さて、鳴戸海峡を渡った神武は、一気に大阪湾から「白肩津」...
で、この「白肩津」というところは、日下(草香)つまり、今...
ところが、ここ、内陸なんですよね。
ただ、古事記の記述では、どう見ても、大阪湾(浪速渡)から...
どうも、船でそのまま、という雰囲気です。
実は、弥生時代には、現在の大阪の地域のほとんどは、海(湖...
ちょうど、「白肩津」はその境界ぐらいに当たるのです。
とすれば、これは、弥生時代の記述としては正しい、そういう...
(奈良時代だと、当然、陸地になってますから、ダメです)
・・・で、先ほども言ったように、神武はここで「登見の長髄...
この敗戦で兄を失います。相当な大敗北だったことがうかがえ...
ここで、神武は考えた(兄の死の間際の助言があったのですが...
「日に向かって戦ったから悪い」
「日を背にして戦え」
これは、平たく言えば、「大阪湾を突入するのは無理だから、...
別に「暗号」というわけではないのでしょうが、このあたりの...
こういう事情から、神武は紀伊半島を迂回して、吉野川を遡り...
神武という武将がいかに有能な武将だったかがわかります。
そうして、連戦に連戦を重ねて、大和に辿りついた。
「表」に比べて手薄な「裏」を廻ってきた神武は、ここで、一...
そうして、そのまま、神武はその生涯を終えた。
大和の地に侵入して、長髄彦との決着の為、ここで基盤を整え...
これが「神武東征」の実態です。
古事記には、大和侵入の際に神武自身が行った「大虐殺」を素...
「戦勝記録」として。
神武以前から大和の地に生まれ育った人々にとって、神武はま...
一方、天皇家にしてみれば、彼等の地位を築き上げた、尊ぶべ...
だから、ここで、神武が初代として、記紀は語られているので...
(神武の悲願は、のちの崇神・垂仁によって達成されます)
神武東征経路
今日のところは、このへんで。
27-May-2001
今日は、「古田武彦と古代史を研究する会(東京古田会)」の...
本当は、午前中は「歴史学研究会」の大会に出る予定だったん...
さて、今回の古田氏の講演は、
(1)C.エヴァンズ・B.J.メガーズ夫妻による、バルビディア...
(2)歴史教科書問題について。
(3)古田氏の中国訪問によって得られた成果について。
という内容でした。
(1)は、最近、日本考古学を代表する佐原真氏のエヴァンズ...
反論があればください。私に対してでも、古田氏に対してでも...
(2)は、いみじくも、私も最近語りましたが、古田氏の意見...
それは、以下のようです。
1.歴史学に求められるのは、正直な歴史を語ることである。そ...
2.「南京大虐殺について」。この呼称は不当である。これでは...
まぁ、他にも、様々な論点が出されましたが、大方このようで...
1.については、「だから、日本の教科書で侵略について語らな...
ということです。
2.は、要するに、もっと大事な問題があるだろう、ということ...
これは、古田氏自身が中国において、中国側の学者に語り、共...
また(3)については、そのうち詳述したいと思います。
肝心の古代史のお話については、それほど多くのことが聞けた...
本当は、「歴史学研究会大会」にも参加して楽しいお話を拝聴...
どんまい(爆)。
21-May-2001
最近、「歴史教科書問題」というのが言われています。
まぁ、ここで問題となっているのは、第二次大戦時の事件につ...
まず、「歴史学」には二つの仕事があると考えています。
1つは、「歴史事実の探求」。
もう1つは、「歴史事実への評価」です。
これはまさにマスコミのあり方に似ていて、ある事件を伝える...
この2つの「仕事」は決してごっちゃにしてはいけません。
テレビでも新聞でも雑誌でも、この2つを区別できないような...
歴史学も同じです。
さて、この2つの「仕事」。当然ながら、その性質も異なりま...
「事実の探求」の際に必要なのは、なにより、客観的な目です。
客観的な目とは、何かと言えば、つまるところ、「誰が見ても...
客観的な見方に基づく論理とは、「誰が見ても、誰が考えても...
もし仮に、私がそのようにして、Aという結論に至ったとしまし...
それを別の人物(特に「かわにしの意見に反対してやろう」と...
もし、そうなったのであれば、かわにしか、別の人物かの論理...
それを洗い出し、より洗練していく為のよき手法として、論争...
何が言いたいのかと言うと、「事実の探求」において、主義・...
もし、そのような現象が起こるのだとすれば、もはや、「学問...
そのようにさえ言いきることが出来ます。
もちろん、人間の目には、どうしても、主義や思想や宗教など...
これは事実です。ですが、それを超えて、真実を見ようとする...
もう一方の「事実への評価」に関しては、ちょっと違います。
そこに「客観的な目」が必要とされるのは、「学問」である以...
むしろ、「事実への評価」という仕事が、主義・思想・宗教・...
さて、このような点を踏まえた上で、「歴史教科書問題」を見...
そこで争われているのは、歴史の「事実の探求」という仕事で...
日本側と、中国や朝鮮側で意見が分かれているというのだから...
そこでわたくしは考えます。
教科書で、「たった1つの、事実への評価」だけを教える意味...
これです。
様々なあり方を教えればいいじゃないか。
そして、子供たち自身に、どのように感じ、何を学び、何を教...
これが私の率直で、無責任な感想です。
そうできないのは、結局、政府の「政治上の立場」を優先させ...
まぁ、きっと、様々な事情があるのでしょう。
それに深く首を突っ込むことは、控えておきます。
「歴史教科書問題」を語る人々が「事実の探求」と「事実への...
16-May-2001
今日は、孫子の兵法について、お話したいと思います。
「孫子」という本は、有名なので、皆さんご存知かとは思いま...
…で、ここに記載された内容が、優れた兵法書であるとともに、...
その「孫子の兵法」の真髄とは、何なのか、という点について...
まず、「孫子」は言います。
孫子曰く、兵は国の大事なり、死生の地、存亡の道、察せ...
つまり、戦争は国の死活問題だから、よくよく熟慮せねばなら...
兵は詭道なり。孫子、計篇
戦争とは、詭道(正常な道に反した行い)である、と。
つまり、戦争自体がまともなことではないのだと、孫子は先ず...
そうして、個々の具体的な話になっていくわけなのですが、そ...
孫子曰く、凡そ用兵の法は、国を全うするを上と為し、国...
軍を全うするを上と為し、軍を破るは之に次ぐ。
旅を全うするを上と為し、旅を破るは之に次ぐ。
卒を全うするを上と為し、卒を破るは之に次ぐ。
伍を全うするを上と為し、伍を破るは之に次ぐ。
是の故、百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。
戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。孫子、...
「軍」「旅」「卒」「伍」とは、中国における軍隊組織のこと...
つまり、戦争の勝ち方としては、戦わずして勝つことが最も良...
まぁ、これは、普通の話ですね。
では、なぜ、そうすることが良いのでしょうか。
理由は簡単です。
人が死なないからです。
10人対10人で、両者全く同じ条件で、戦ったら、どうなり...
多分、最後に1人残るまで争いつづけるでしょう?
そうすると、死者は19人。悲惨ですね。
それよりは、20人全員生き残ってたほうがいい。当たり前の...
そのためには、
孫子曰く、昔の善く戦う者は先ず勝つべからざるを為して...
といい、
凡そ戦は、正を以て合い、奇を以て勝つ。孫子、勢篇
と、どんな卑怯な手を使ってでも勝て。というのです。
つまり、
1)正々堂々勝負して、両軍限界まで戦い、敵味方19人死亡。
2)卑怯な手を使ってでも自軍に有利な状況を作り出し、敵を...
3)さらにうまいことやって、戦う前に敵を全員降伏させた。
この3拓なら、明らかに3が最良の策なわけです。
こういった理屈から、「孫子」では、「誰でも勝てる状況の作...
どんなに腕っ節が弱くても、こういう状況を作り出すことが出...
これが基本です。もちろん、こういう状況を作り出す為に必要...
一方、この論理を、格闘技に当てはめてみましょう。
すると、状況は一変します。
格闘技だから、1対1としてお話します。
1)正々堂々勝負して、両者限界まで戦い、両者ヘトヘトなが...
2)卑怯な手を使ってでも自分に有利な状況を作り出し、敵を...
3)さらにうまいことやって、戦う前に敵が降参。
この3拓なら、どれが一番望ましいのでしょうか。
当然、1ですね。
この違いは何なの?という話になります。
実は、この違いが、「孔子」と「孫子」の違いなんだと、私は...
孔子は徹底して、1を推奨しました。
これも、理解できることです。
「孫子」と「孔子」の間にはこういう違いがあります。
(今、「孔子」を持ち出したのは、単に比較の為です。孔子で...
では、なぜこれが望ましいのでしょうか。
こういう例で考えてみます。
またまた格闘技の例です。
前提として、
対戦相手は、どの場合も全く同じ「強さ」である。
自分自身も当然全く同じ「強さ」である。
「強さ」と言っているのは、腕力・体力などの身体能力+格...
対戦相手は常に、真っ向勝負でいどんでくる。決して反則...
で、こういう条件で戦ってみます。
1)真っ向勝負。正々堂々と戦う。
2)反則攻撃(目潰し、金的、凶器、何でもあり)で戦う。
さて、だとすると、結果はどうなるでしょうか。
普通に言えば、1なら、結果はわからず、2なら自分が勝ちま...
この点は、孫子の語るとおりです。きっと、孔子の目にもそう...
…で、この時、2の勝ち方をして、凄いのかといえば、だれもそ...
なぜなら、「当然勝つ」事を知っているからです。
今度は逆に、2の条件で戦ったにもかかわらず、相手が勝った...
相手に対しては皆から拍手喝さいの嵐です。
なぜか。凄いからです。
凄いというのは、「普通なら負ける状況で、それでも勝った」...
孫子は言います。
戦い勝ちて天下善なりと曰うは、善の善なるに非ざるなり...
つまり、こういう状況です。
人が褒め称えるというのは、勝てない戦いだと思ったからです。
「人がそう思うような状況で戦争を仕掛けるな」
というのが孫子の主張です。
これは正しい。
さて、反則攻撃をした自分と、正々堂々と戦った対戦相手。
相手が勝ったなら、「強い」のはどちらでしょう。
当然、相手です。
逆に言うと、相手がどんな反則を用いても、正々堂々と迎え撃...
というのが孔子や釈迦やイエスやソクラテスや一般的な「正義...
まぁ、今は格闘技のお話でしたが、もっと全般的な、「精神」...
個人の「精神」の問題です。
一方、孫子は国家の「戦略」の問題です。
どちらも重要で、決してごっちゃにしてはならない、そういう...
だーいぶ、歴史の話からはそれました。
まぁ、いいや(爆)
29-Apr-2001
さて、今回は、「蛇の神様」をテーマにしてみたいとおもいま...
実はというと、hin(カヨ)さんが掲示板にて、吉野裕子『天皇...
(影響されやすい性格なんです…。)
…で、偶然その『天皇の祭り』を店頭で見かけたので、さっそく...
今回のお話は、そこを出発点に、かわにしなりに考えられるこ...
『天皇の祭り』では、「大嘗祭」(天皇の即位の儀式)の謎を...
1つには、「北極星」を中心とした中国の陰陽五行説から、
もう1つには、「蛇神」信仰から、「大嘗祭」を考察していま...
(hin(カヨ)さんの興味を持たれた「アジマサ」の話は、「蛇...
さて、日本には「蛇」の神様が意外(?)といます。
有名なところでは、「美和之大物主大神」。「大神(おおみわ...
また、『常陸風土記』に「夜刀神」という蛇の神様が登場しま...
他にも、探してみれば、かなりの数が見つかります。
さらに、考古学上の出土としては、いわゆる「竜環刀」という...
剣の束の部分に、「竜」のような(でも「竜」にしては貧弱な...
これも「蛇神」信仰の1つと見なせます。
また、各地の神社で、「蛇」を祭るものも少なくありません。
(また、吉野氏によれば、「ウカ」「ハハ」「カカ」等も蛇を...
と、言います。かわにしとしては、そうやって、神名の一部を...
という手法は、危険であると考えます。だって、たったの二文...
「ウカ」がつけば「蛇神」である、という論法が許されれば、...
「ウカヅクヌ」(出雲国造の祖とされる)は?ときりがないわ...
だから、そういったものは、あくまで、「そうとも釈れる」程...
で、私、「意外」と言いました。
と、いうのは、記紀神話にはほとんど、「蛇」の神様は登場し...
私が「記紀神話」と言っているのは、記紀の中でも、「神代」...
神武天皇以前です。
少なくとも、記紀編者は、神武天皇以降を「歴史」と認識して...
現在の研究者がどう見ようと勝手ですが、この根本の事実を忘...
記紀編者が「神の時代」と認識していた記紀の「神代」には、...
「蛇」が登場するのは、「素戔嗚(すさのを)の八俣大蛇退治...
あとは、「大国主神」と同一視された「大物主神」くらいです。
いずれも、天照大神を中心とする「天津神」の中枢の神ではあ...
むしろ、「国津神」に分類されます。
各地の「蛇」を祭る神社では、「蛇」は重要な、尊ぶべき存在...
いや、重要な尊ぶべき存在だから、祭っているんですね。当た...
でも、記紀神話の中枢には、「蛇」の神様は出て来ない。
もちろん、記紀神話は、「蛇」の神様を知らなかったのではな...
「蛇」の神様自体は登場するのですから。
…で、記紀編者も知らなかったはずがない。
その後の「歴史」部分では、何度か「蛇」にまつわる説話を収...
でも、中枢にはいない。
これは、どういったわけでしょうか。
答えは、簡単です。
記紀神話とそれを語る人たち(とくに天皇家)にとっては、「...
こういうことです。
でも、「蛇」を信仰の対象とする人々はいて、彼らは彼らなり...
記紀神話の中枢は「太陽神」天照大神です。
ですから、日本列島の古代には、少なくとも、
1、太陽神を信仰する一派
2、蛇神を信仰する一派
の2つの神話世界が存在したことが考えられます。
奈良県を考えてみましょう。
ここは、「美和之大物主大神」の地元です。
当然、この地の土着の信仰は、「蛇」系でした。
そこへ、異なる「神話」をもつ連中が入ってきた。
「神武東征」です。
彼らの掲げたのは「天照大神を中心とする記紀神話」でした。
私はこのように考えています。
さて、吉野裕子氏をはじめ、多くの「神話学」「民俗学」「文...
どうも、「日本列島の信仰は1つ」と考えておられるようなフ...
「蛇神」信仰がある=「大嘗祭」には「蛇神」が深く関わる。
と、彼女は即座に結び付けているようですが、
そこには微妙な問題が横たわっているように思えます。
(「北極星」関連も同じ)
もし、彼女の言うように、「蛇神」信仰が、天皇の即位の儀式...
かわにしは、その背景は、大和の土着の信仰が「蛇」系だった...
いずれにせよ、非常に興味深い問題です。
25-Apr-2001
どーも。
今回は、「在位年代」について考えてみたいと思います。
わたくし、以前にこんな「公式」を紹介したことがあります。...
在位年数=退位時の年齢-即位時の年齢
=没年齢-(先代が没した時の当代の年齢) …※
=没年齢-(先代の没年齢-先代との年齢差*)
=没年齢-先代の没年齢+先代との年齢差
※:どの天皇も死没によって代替わりが起こる。
*…先代との年齢差=先代の生年-当代の生年
これは、わたくしにとって興味深い「発見」でした。
数式としては、ごくごく当たり前のものだと思っています。
…で、「先代との年齢差」は、親子や兄弟などの、先代との続柄...
これを使えば、各天皇の在位年代が推定できる、というお話で...
この認識に至るまでには紆余曲折が有って、その裏話をすると、
かわにしは、始め、「在位年数の平均」から、各天皇の在位年...
これは、安本美典という学者の行った方法です。
安本氏は、「西暦元年以後の全世界の、歴史的に在位期間が確...
在位年数の平均を求め、これを指標として、日本古代の天皇の...
かわにしは、これに影響され、かわにしもこれら諸王の在位年...
平均を求めてみようと考えました。
というのは、ここでは詳しくは語りませんが、安本氏の行った...
かわにしは疑問を感じていたからです。
そうして、諸王の在位年数や、没年齢を収集しているうちに、...
実は、こんな計算をしながら、思ったことがあります。
それは、
親は必ず子より先に死ぬ。
ということです。
もちろん、「必ず」というわけではありませんが、
普通、そうなります。
逆に考えてみましょう。
もしも、子が親より先に死んだ場合、これは、言うまでもない...
親の悲しみは計り知れません。
ですから、「親は必ず子より先に死ぬ」というのは、言ってみ...
「自然の摂理」のようなものです。
そうすると、こういう言い方も出来ます。
子は必ず親の死を経験しなくてはならない。
これも「自然の摂理」です。
人には「強い心」も「弱い心」も必要です。
私は、最低限持っていなければならない、「心の強さ」を知っ...
わたくしの親は、おかげさまで、健在です。
きっと、まだまだ、生きてくれるでしょう。
それは、願わくば、遠い未来のことであって欲しいけれども、
私は、親の死に耐えられるだけの、「強さ」を身につけたのだ...
…だいぶ、古代史の話からそれてしまいましたね。
機械的に人の死を「データ」として収集していたら、
こんな気分になってしまいました。
(世界の諸王については現在も収集を行っています)
「独り言」のコーナーだから、こんなのもいいでしょ?
(収集したデータと安本氏の在位年代推定の方法に対する批判...
20-Apr-2001
今回は、日本の古代史をちょっと離れて、
ギリシア神話についてお話したいと思います。
…と、言っても、私、ギリシア神話の専門家ではございません。
ホントに語るなら、せめてギリシア語くらい読めるようになっ...
ギリシア神話を語る原典に直接ぶつかってから、にすべきなん...
今回のお話は、あくまで、市販の「ギリシア神話」、
具体的には、岩波文庫のアポロドーロス『ギリシア神話』(高...
私なりに思ったことを、書いてみようと思います。
さて、まず、私が気のついた点は、この「ギリシア神話」には、
「人類の祖先が何パターンか紹介されている」という点です。
まず第一には、冒頭部分です。
天空(ウラーノス)が最初に全世界を支配した。大地(ゲ...
この後、大地(ゲー)によって、ティターン族と呼ばれるもの...
このあらすじは、かなり有名で、ご存知の方も多いでしょう。
ギリシア神話の骨子をなす、重要な部分です。
…で、このほかに、こんなお話があります。
プロメーテウスは、水と土から人間を象り、ゼウスに秘し...
…(中略)…
プロメーテウスに一子デウカリオーンが生れた。彼はプテ...
…(中略)…
デウカリオーンは九日九夜箱船に乗って海上を漂い、パル...
ここには、2種類の「最初の人間」が描かれています。
1は、プロメーテウスとパンドーラー。プロメーテウスは、「...
パンドーラーは、神々によって作り出された、最初の女です。...
2は、デウカリオーンとピュラー。彼らは、「神の災難」を逃...
「人間」を生み出しました。
さて、この2つの神話、『聖書』の「アダムとイブ」「ノアの...
もちろん、どちらが先か、という問題ではなく、
(おそらく、そのような問いは不当です。これは、多分中東(...
こういった形態の神話をも、「ギリシア神話」は持っている、...
さて、「アポロドーロスのギリシア神話」を読むと、そのメイ...
前述の「デウカリオーン」につづいて、「イーナコス」「アゲ...
それから、→の後ろは、その系図の最後の人物です。
1、デウカリオーン…へレーン(「ギリシア人」を意味する「ヘ...
2、イーナコス…ベレロポンテース(キマイラ退治)、ペルセウ...
3、アゲーノール…ミーノース(迷宮-ラビリンス-を持つ王)と...
4、ペラスゴス…カリストーとアルカス(大熊座の神話)
5、アトラース…アトラース(天を支える巨人)、ヘルメース(...
6、アーソーポス…→アキレウス(「アキレス腱」の人)
7、アッティカの諸王…→テーセウス
8、ペロプス…→アガメムノーン
系図の最後は、「イーリアス」の英雄でしめられます。
彼らの活躍を以って、「アポロドーロスのギリシア神話」は、...
ギリシア神話の英雄は数多いですが、それらの英雄が、一堂に...
いくつかあります。
ひとつは、有名な「アルゴー遠征」。
イアーソーンを筆頭に、カストールとポリュデウケース(双子...
そのちょっと前に、「カリュドーンの猪狩」という説話があり...
ここにも、メレアグロス、イーダースとリュンケウス、カスト...
…彼らを黄金時代として、その前後を、「アポロドーロスのギリ...
(もうひとつの「英雄」-「イーリアスの時代」は、このギリシ...
単純に、これら「黄金時代」の英雄たちが、同時代、そう仮定...
そうすると、この「ギリシア神話」の世界が、実は、壮大な年...
こういった、時間的重層性を持つものが、「神話」、つまり、...
少なくとも、この「ギリシア神話」の最終段階-「イーリアス」...
…で、あれば、「アルゴーの遠征」は?「カリュドーンの猪狩」...
それらに両方参加したとされる、ヘーラクレースは、実在の人...
本当の意味で、これが「作り話」だとも、「史実」だとも、証...
もちろん、「実在のヘーラクレース」が、不死身だったり、ヘ...
要は、そのようにして、自らの功績を語った、実在の「英雄」...
そういう思いで見ると、「ギリシア神話」も、歴史家にとって...
もちろん、同じことが「聖書」や他の神話にも言えます。
「神話」は「作り話」とバッサリ切り捨てることが、「近代的...
ちょうど、「近代」が指す時代が古くなるように。
「神話学」「比較文化学」「民俗学」大いに結構。
でも、そろそろ、「歴史学」も「神話」に参入してもいい気が...
そういう思いの「歴史家」がたくさんいることを信じて。
12-Apr-2001
はじめまして。
えー、Historicalを開設して、始めての「独り言」です。
今までは、わたくしの数少ない(苦笑)友人に、メールで書き...
他愛もない「よしなしごと」を、今後はこの場に書き綴ってみ...
さて、今回は、「魏志倭人伝の疑問」についてお話します。
すでに、古田氏が『「邪馬台国」はなかった』を著してから、...
それでもなお、「魏志倭人伝」には謎が残ります。
それを、提示してみようと思っています。
まず、「至」の用法について。
古田氏は、『三国志』の「至」の用法について、以下のように...
進行を表す動詞+「至」…主線行路。
「至」のみ…傍線行路。
大まかに言うと、こういうことです。
だから、「奴国」と「投馬国」は、傍線行路だ、と見なされて...
でも、最終目的地の「邪馬壹国」は、このように記されていま...
「南、邪馬壹国に至る。女王の都する所。水行十日、陸行一月」
これは、どういうことでしょうか。
古田氏の理解に従えば、この「邪馬壹国」も傍線行路です。
終着点だから、こういう表現なのでしょうか。
それにしても、不思議です。
「女王の都する所」以外は、前の「投馬国」とまったく同じ記...
これでは、「邪馬壹国」も実は傍線行路なんじゃないの?
という疑問が浮かんできます。
第2は、今も出てきました。「投馬国」です。
ここだけ、他と距離の記載方法が異なります。
里程ではなく、日程を示しています。
古田氏は「邪馬壹国」の直後の「水行十日、陸行一月」を、
帯方郡治→倭国の首都への総日程と見なしていますが、
「投馬国」の「水行二十日」は、部分日程なのでしょうか。
これも不思議です。
私には、正直言って、「邪馬壹国」と「投馬国」の記載方法に、
まったく違いがないことを不審に思っています。
「女王の都する所」の一句があるかないか、だけで、
両国はそんなに違うものなのでしょうか。
「邪馬壹国」と「投馬国」、いったい何が違うんだ、という疑...
両者は並列なのではないか、という、観念にとらわれます。
まあ、今回のお話は、わたくし自身にも、どうにも答えが見つ...
よくわからないところです。
ただ、奇妙だ、という印象があります。
いずれ、答えが見つかるでしょう。
それまで、ゆっくり考えるとしましょう。
31-Mar-2001
久し振りに「古代史」の話、します。
「天(あま)」と「空(そら)」の違いについて、です。
まぁ、わたしたちが通常使うのは、「空」ですよね。
でも、記紀(古事記と日本書紀)神話の世界では、
普通、「天」です。
そこには微妙な概念の違いが見え隠れしますが、
広い意味では、「天空」、どちらも指すものは同じです。
でもニュアンスは違う。
なぜなんでしょうか。
その前に、「あま」という概念のお話をします。
「高天原(たかまがはら)」と呼ばれる世界が、
記紀神話には登場します。
そこには、イザナギ・イザナミ、天照大神(あまてるおほかみ...
スサノオは悪事を働いた為に、「根国(ねのくに)」という世...
根国に行く途中、スサノオは「出雲」にたちより、そこでヤマ...
また、その時助けたスセリ姫と結婚しました。
その子孫が大国主(おほくにぬし)という神様で、出雲を支配...
その後、天照大神は、大国主に対し、「国譲り」を勧告します。
大国主はこれに従い、隠居し、天照大神の孫、ニニギが
「日向高千穂クシフル峯」に降臨しました。
いわゆる「天孫降臨」です。
…で、ニニギの子孫が「天皇家」である。
というのが、記紀神話のあらすじです。
ここでいう「高天原」「根国」「出雲」「日向」はどこか、と...
とはいえ、「出雲」だけは決定してますが。
その議論には二つの「流派」があります。
ひとつは、「地上」であるとする説。
これは、それぞれの地名は、実在する地上のどこかの地名であ...
それぞれに対しては、以下のような説があります。
高天原…大和・筑後(甘木)・壱岐・韓国・中央アジア
根国…出雲
日向…日向(宮崎県)・日向(鹿児島)・筑前
などです。
もうひとつは、「神話概念」であるとする説。
つまり、高天原は「天空」、根国は「地底」、中間の出雲・日...
で、いずれが正しいか、という議論になりがちですが、
どちらも正しいとかわにしは思っています。
実は、地上の地名である痕跡と、神話概念である痕跡、
両方が記紀神話から見出せるからです。
かわにしは、記紀神話の原型が出来あがったのは、
弥生時代だと思っています。
ついでに言うと、「天孫降臨」は、弥生時代前期の実在した事...
…で、記紀が書かれたのは7世紀。
この間、600~800年近い月日が流れています。
もちろん、神話は、その期間、伝承されてきた。
この間に、概念が整備され、世界観がより神話として洗練され...
容易に想像できます。
さて、常識的に考えてみましょう。
神様が地上にいるという概念と、天空にいるという概念、
どちらがより神話的でしょうか。
どちらがより神秘的でしょうか。
もちろん、天空に居た方が神秘的ですよね。
では、1)神様が地上にいると語る神話から2)神様が天空に...
そうすると、1)と2)では、1)の方が古いと考えることが...
これは、古田武彦の受け売りになりますが、
こういう、「神話の年代推定」は、やってみるといろいろ面白...
たとえば、「世界の起源」神話です。
こんな種類があります。
1)神話では世界が出来あがる様子は描かれていない。
→神話の冒頭から、世界には「空」や「雲」や「大地」が描...
2)世界の始めは混沌としていて、次第に「自然に」世界が形...
3)まず、神(創造主)がいて、その絶大な力によって世界が...
例えば、ギリシア神話などでは、2に近い形です。
聖書では3に近いでしょう。
これらも、例えばギリシア神話にしても、聖書にしても、
それ以前の様様な神話を土台にして、完成された世界です。
でも、「神話概念」としては、1)→2)→3)の順に「洗練さ...
(例えばギリシア神話や聖書などでも、よく読んでみれば、こ...
つまり、人間の「概念」も、日々進化しており、その痕跡によ...
例えば、「土器」の年代推定をするのと同じように、
「神話」の年代推定をしてみよう、というわけです。
(もちろん、聖書よりギリシア神話の方が古いから、聖書より...
神様自体についても同じです。
1)人間と同じ能力しかない神様。
2)不老不死・全知全能な神様。
とでは、1)の方が古いはずです。
で、だいぶ話がそれましたが、そういったわけで、
記紀世界では地上の「天」と天空の「天」が共存しています。
これとは異なる世界があって、
「そら」という概念です。
これが神話に一切出てこないのは、なぜでしょうか。
簡単ですね。「そら」は単なる「自然」だからです。
いや、正確に言うと、「そら」は出てきます。
「虚空津彦(そらつひこ)」これは、「天津彦(あまつひこ)...
古事記に出てきます。「皇太子」みたいな称号です。
ここには、明確に「天(あま)」>「空(そら)」という格付...
といったわけで、「天」と「空」の違い、お解りいただけまし...
じゃ、今日はこの辺で。
27-Mar-2001
えー、たまには、時事ネタもお話しようかと思います。
アフガニスタンのタリバン政権が、
世界的な遺産・バーミヤンの石仏を破壊したって言うニュース...
あれは、歴史に興味のある人間にとっては、衝撃のニュースで...
ハッキリ言って、「歴史犯罪」です。
表向きの理由は、「偶像崇拝」だそうです。
でも、そんなことはどうでもいいんです。
いかなる宗教上の理由であっても、あれは「犯罪」です。
それは、いかなる宗教上の理由があろうとも、
「殺人」を許さないのと同じことです。
そうです。「殺人」と同じことなんです。
たとえ、彼等にいかなる力があっても、
彼等に1500年の歴史を復活させる力がありますか?
もはや、1500年前の石仏そのものはよみがえりません。
まぁ、今の科学技術を持ってすれば、
1500年前の石仏のそっくりさんを作ることは出来るでしょうが、
「歴史」にとって、それはあまり意味のあることでは有りませ...
もう、彼等がどんなに悔やんでも、取り返しはつきません。
…悔やみそうにもないですが…。
弁償は出来ません。
これが冷酷な事実です。
きっと、彼等にはそう言う自覚はない。
今更遅い。
まあ、感情的になっても仕方有りませんね。
彼等の真の意図は、二つあるといわれます。
ひとつは、国外に、(国際的に孤立した)アフガニスタンの深...
アピールする目的があるらしいです。
もうひとつは、国内に、彼等の正統性をアピールする、つまり、
彼等の掲げるイスラム原理主義が正しいことを知らしめる、そ...
残念ながら、どちらをとっても、
わたくしには、スケールの小さいことに見えます。
貧乏だから人殺しが許されますか?
人殺しをしなけりゃ正しさがアピールできない正義があります...
…そんなことを、ここで語っても仕方ないですが、
なんとも、やりきれない気持ちです。
もう、謝っても許してあげない。
そんな感じですが、ね。
「歴史的遺産」より「現代の人の命」が優先だ、と、
彼等は言いたいらしいが、それは論理のすり替えってもんです。
国際社会には、そういう厳しい態度で臨んでもらいたいもので...
話は変わりますが、
もう、そろそろ、地下鉄サリン事件から6年の月日が流れ、
当時の被害者の方のカルテが、その保存期間を終えようとして...
どうやら、政府(厚生労働省)としては、そのカルテの処理に...
なにも指示しようとはしてないらしいです。
つまり、病院側が捨てようと思えば、別に捨ててかまわない、...
これも「歴史犯罪」だと思うんですよね。
日本にとって、いや、世界にとって前代未聞の事件です。
誤解を恐れずに言うと、医学界にとっても、「貴重な」サンプ...
他に「サリン」なんていう毒物の人体に及ぼす影響を示す史料...
今後、もしも、同様な、事件・事故に人々が巻き込まれた場合...
被害を最小限に食い止める為には、
このデータを大事に取っておく必要があるはずなんです。
少なくとも、この人類史上稀に見る「凶悪犯罪」を、
後世まで、人類の教訓として語り継ぐ為には、欠かせない、「...
再発防止の為にも、わたしたちが学ぶべきことの多い、
貴重な「歴史史料」になり得る、そういうものです。
もちろん、被害の実態解明、今後の被害者の方への保障、
そういう直接的な意味でも、最も重要なデータであることは言...
それを、廃棄する。
これは、わたしたちにとって、大きな損失です。
これを何も言わず、何もせずに、黙って見過ごす、
そんなことをこの国の政府がしようというなら、
これは、「歴史犯罪」です。
「未必の故意」というやつです。
時期としては、今や、もう、ぎりぎりのタイミングになってし...
(もちろん、保存期間が切れるのは、最後の治療から数えて、...
全部が廃棄されるわけではないですが)
ちょっと、何とかしてほしいものです。
今日は、随分、社会派な、かわにしでした。
終了行:
[[独り言(Historical)]]
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24-Dec-2001
今日は、「神話」のお話です。
記紀神話を読んでいると、気がつくことがあります。
記紀神話と一言で言いますが、もしも、現実のお話だったら、...
皇祖皇考、乃神乃聖にして、慶を積み暉を重ねて、多に年...
故、日子穂穂手見命は、高千穂の宮に五百八十歳坐しき。...
とありますから、非常に長い年月が経っている、という認識を...
(ここの「一百七十九万二千四百七十余歳」という数字は仏典...
さて、例えば「伊邪那岐」や「伊邪那美」は、隠居したり、亡...
記紀神話では、神も「死ぬ」のです。
「邇邇芸」や「山幸」も当然のように、亡くなります。
従って、記紀神話の中には、「世代交代」という概念がありま...
「皇統」で言えば、「伊邪那岐」→「天照大神」→「邇邇芸」→「...
ここまでは、非常にわかりやすい。
記紀神話の神様と言うのは、我々人間と同じように、寿命があ...
そして、そのような時間の流れの中で記紀は語られている、と...
(ギリシア神話の話で)
ところが、これに反した現象も、ままある。
例えば、天照大神は、「神武記」にも現れます。
神武に「布都御魂剣」を与えるという、重要な場面です。
天照大神と神武は「世代的」には、かなり離れています。
系図のとおりなら、「ひいおじいちゃんのおばあちゃん」です...
まともに考えれば、会えるわけありません。
でも、古事記をよく読んでみると、納得しました。
古事記では、神武と天照大神が会った、なんて書いてありませ...
故、天つ神の御子、その横刀を獲し所由を問へば、高倉下...
このように、あくまで「夢」の中の話でした。
要するに、神武は自分の「東征」が「天照大神」の意思である...
それを示すのがこのエピソードであり、実物としての「剣」で...
神武が実在の人物で、天照大神が神武の当時からの「神」であ...
さて、崇神記にも神様が現れます。
「大物主神」です。
この神は、記紀神話の外の神です。
「大国主神」と同一視されますが、大国主は出雲の、大物主は...
この大物主という神、崇神記では、すくなくとも、非常に恐ろ...
祟る神です。
また、「意富多々泥古」の祖でもあります。
所謂「美和山神話」です。
共通して言えることは、「姿が見えない」ことだと思います。
「天照大神」は、例えば「誓約神話」や「天岩屋戸」では、は...
ところが、大物主は姿が見えない。
この天皇の御世に、役病多に起こりて、人民死にて尽きむ...
ここでもまた「夢」です。
美和山神話の方では、「壮夫」の姿をしていたと言いますが、...
このような「神」の有り様はどのように考えたらいいでしょう...
神武や崇神の時点では、もはや「神の時代」は過ぎ「人の時代...
このような説明は、割りと良く聞かれますが、わたしはもっと...
「天岩屋戸」や「誓約」のころの「天照大神」は現役時代。
「神武東征」の時点では、既に現役は退き(死という表現が良...
こういうと、我々も「故人」に対して同じような見方をし得る...
これが、「神」のひとつの「原点」だと思っています。
(勿論、「自然界への畏怖」の神格化、というものもあります...
何が言いたいのかと言うと、「神」とか「神話」と一口に言っ...
お話によっては、「現役」の時代かもしれませんし、お話によ...
そして、この差をじっくり見比べてみると、面白い発見が出来...
実際、「天孫降臨」の時点の「天照大神」は微妙な位置に居ま...
また、「高皇産霊尊」は、私が見たところでは、常に「故人」...
ギリシア神話でも、例えば、ゼウスは、「クロノスの息子食い...
美和山神話と同じく「故人」的な説話と言えるかもしれません...
これによって、或は「神の編年」が可能かもしれません。
(ただ、「説話上古い」ことと「実際に歴史上語られた時代が...
08-Dec-2001
今日は、「日本の女帝」について、お話したいと思います。
皇太子妃雅子さまに、女の赤ちゃんが生まれ、にわかに、「女...
現在の「皇室典範」では、天皇になれるのは皇族の男子だけ、...
このように決まったのは、明治時代のことで、「大日本帝国憲...
歴史上は、ご存知のように、日本には何人かの「女性天皇」が...
推古天皇(554-628 位592-628)
皇極天皇(594-661 位642-645)
斉明天皇(皇極重祚 位655-661)
持統天皇(645-702 位686-697)
元明天皇(661-721 位707-715)
元正天皇(680-748 位715-724)
孝謙天皇(718-770 位749-758)
称徳天皇(孝謙重祚 位764-770)
明正天皇(1623-1696 位1629-1643)
後桜町天皇(1740-1813 位1762-1770)
以上の十代八人です。
さて、明正・後桜町両天皇は、江戸時代の例です。
それ以外は古代の例となります。
古代の例で、忘れてはならないのが、『魏志』の卑弥呼・壹与...
彼女達はどのような背景で、天皇(女王)となったのでしょう...
それを少し考えて見ます。
さて、日本古代の女帝については、シャーマン(巫女)的要素...
これらを念頭に置きながら、順番に見ていきましょう。(上田...
(1)天照大神(前一世紀頃?)
さて、最初は「女帝」の名にはふさわしくないかもしれません...
彼女は記紀神話において、もっとも重要な、中心の神です。
そもそも、神話における中心の神が女性である、という事実を...
記紀が書かれたのは、元明・元正の両女帝の時代でした。
これが関係しているのだ、との見解もありますが、むしろ、卑...
所謂「国譲り」や「天孫降臨」が、古代の黎明期の史実を反映...
「国譲り」や「天孫降臨」は、その説話内容から、弥生時代の...
従って、天照大神は、弥生時代まで遡り得る神だと思われます。
彼女が現れた背景には、縄文以来の女神信仰があると考えられ...
(土偶などの大半は女性であることなどから、縄文時代には女...
縄文~弥生の女王の繁栄の時代を反映したものだろうと思われ...
(2)卑弥呼(三世紀前半)
彼女は所謂天皇家の一員ではないと考えられますが、日本列島...
卑弥呼の当時、倭国では既に男王の時代でした。
倭国の戦乱の中で、彼女が担ぎ出され「共立」されたのは、彼...
彼女は確かにシャーマン的な要素を多く持っていますが、同時...
従って、祭政一致体制の女王と言うことが出来ます。
彼女は、「年已長大、無夫壻」<魏志>とあるように未婚でし...
「未婚であること」が、巫女の必須条件かどうかは、一概には...
(3)壹与(三世紀中葉)
卑弥呼の死後、再び男王が即位しましたが、また国は乱れ、卑...
彼女がどのような女王だったのかは、ハッキリとはわかりませ...
彼女は未婚だったかどうか、わかりません。
彼女の後、倭の五王の時代には、倭国はまた男王に戻ったよう...
(4)神功皇后(四世紀前半)
彼女は天皇ではありません。記紀がそのような体裁で描いてい...
ですが、夫・仲哀天皇の死後、子・応神天皇の即位までの間、...
彼女は神懸りをする正真証明のシャーマンでした。
また、予定された天皇である応神天皇の即位までの間の「中継...
また、当然ながら、彼女は既婚者です。
(5)飯豊女王(五世紀後半)
雄略天皇の子・清寧天皇の死後、清寧天皇に皇子がいなかった...
そこで、飯豊女王という女性が一時皇位についた、とも読める...
於是問日継所知之王、市辺忍歯別王之妹、忍海郎女、亦名...
(ここに日継知らす王を、市辺忍歯別王の妹、忍海郎女に...
その後、彼女が雄略天皇に殺された市邊忍歯別王の遺児・顕宗...
ここでは、単純に女王であったとは言えませんが、皇位継承に...
巫女的な性格を強く持っていると考えられますが、彼女は未婚...
また、伝承から言って「中継ぎ」と見なすことも出来ます。
(6)推古天皇(七世紀前半)
彼女は欽明天皇の皇女であり、かつ敏達天皇の皇后でもありま...
異母兄弟の崇峻天皇が蘇我氏によって暗殺された後、皇位につ...
彼女の時代には、聖徳太子という、優秀な皇太子がいました。
そこで、政治の実権は皇太子である聖徳太子や大臣・蘇我馬子...
彼女の即位の前に起こった、崇峻天皇暗殺と言う大事件。
また、物部氏の滅亡。
これらの事件の後です。
蘇我氏全盛の時代に入ったとはいえ、まだまだ不安定な情勢で...
そこで、担ぎ出されたのが推古天皇だと思われます。
彼女の「欽明天皇の皇女、かつ敏達天皇の皇后」という出自と...
その意味では、聖徳太子は、まだ役不足だったのかもしれませ...
傀儡というよりは、象徴的な権威として、そのカリスマ性を必...
単なる「中継ぎ」と見なすことは正しくないでしょう。
(7)皇極天皇・斉明天皇(七世紀中葉)
彼女もまた、皇族にして前代舒明天皇の皇后という出自と経歴...
舒明天皇の死後、皇位継承争いが起こりました。
聖徳太子の子・山背大兄王と古人大兄王です。
この情勢の中で、時の大臣・蘇我蝦夷は、山背大兄王の擁立に...
ここでも危機を回避するための象徴として、彼女の出自と経歴...
さて、彼女は、「大化改新」の際に、弟・孝徳天皇に譲位しま...
孝徳天皇の時代は、皇太子であった中大兄皇子(天智天皇)が...
そして、譲位した皇極天皇は、政治の表舞台から遠のきます。
孝徳の死後、再び即位した斉明天皇には、既に実権は無く、皇...
(8)持統天皇(七世紀後半)
彼女も天智天皇の皇女にして天武天皇の皇后です。
天智天皇の死後、大友皇子(弘文天皇)と大海人皇子(天武天...
子・草壁皇子を皇太子とし、自らも政治に積極的に参加したと...
天武天皇が亡くなると、天武天皇の遺言を背景に「称制」し、...
天武天皇の皇子・大津皇子が、草壁皇子にとっての障壁だった...
つまり、草壁皇子が天皇になる為の準備期間、というわけです。
ところが、大津皇子を排し、準備が整う頃には、草壁皇子は没...
草壁皇子には軽皇子(文武天皇)という皇子がいましたが、幼...
そこで、持統天皇は即位し、軽皇子が成人すると、譲位したの...
その意味では、「中継ぎ」と言えなくもありません。
ですが、持統天皇は天武皇后時代から積極的に政治に参加し、...
ですから、彼女はまさに「女帝」にふさわしい存在でした。
また、譲位後も影響力を発揮しつづけ、はじめて「太上天皇」...
(9)元明天皇(八世紀前半)
さて、文武天皇は二十五歳という若さで亡くなってしまいます...
そういう状況で、天智天皇の皇女で草壁皇子妃(文武天皇の母...
首皇子が予定される次の天皇で、当然、元明天皇は「中継ぎ」...
(10)元正天皇(八世紀前半)
元明天皇は、「予定されていた」首皇子(聖武天皇)には譲位...
元明天皇が「中継ぎ」の存在であれば、このような譲位は起こ...
この指摘は正しいでしょう。
首皇子の即位を望まない勢力に対する元明天皇の深謀遠慮だと...
ただ、元正天皇は、結局、首皇子に譲位し、やはり、「中継ぎ...
(11)孝謙天皇・称徳天皇(八世紀中葉)
孝謙天皇は、聖武天皇の皇女です。
彼女は史上初の、女性皇太子となりました。
皇太子となった彼女は未婚で、当然皇子もいません。
従って、彼女は「中継ぎ」と見なすことは出来ません。
さて、彼女には皇子が居なかった。
このことが、未曾有の事件へと発展します。
「道鏡事件」です。
淡路廃帝(淳仁天皇)の後、再び皇位についた称徳天皇は、僧...
彼女は、道鏡を天皇にしてもいいと考えていたようです。
勿論、道鏡が天皇となれば、「易姓革命」となるわけで、今ま...
孝謙(称徳)天皇自身も、即位の際や淡路廃帝の際には自らの...
結局、天智天皇の系統の光仁天皇が即位することとなります。
「皇統」と「女性皇太子」という矛盾の中で、苦悩した天皇だ...
さて、ここまで、古代の女帝を見てきました。
(明正天皇は徳川秀忠の娘と後水尾天皇との間に生まれた女性...
では、現代に目を転じましょう。
「女性天皇」には、問題(それも根本的な問題)が潜んでいる...
それは「皇統」の問題。
現代では、それほど表立っては言われませんが、やはり、天皇...
「天皇」とは、単なる称号に過ぎないもの(本当は誰がなって...
「女性天皇」問題は、図らずも、天皇制そのものに対する根本...
せっかくの機会です。
どうせなら、徹底的に論じ合うのがいいのかもしれません。
もしも、「皇族が増える」とか「継承のルールが複雑になる」...
25-Nov-2001
今日は「七支刀」銘文についてです。
先日、西さんから、遠藤順昭「石上神宮七支刀の銘字について...
これは、七支刀銘文の詳細な調査報告とも言うべきもので、こ...
遠藤論文によれば、釈文は、
泰和四年五月十六日丙午正陽造百練[金[四/止]](「鋼」の...
先世[口人]来未有此刀百済王世子奇生聖晉故為[尸/[二/大]...
としています。
文字の判読については、今まで「倭王」と読まれてきた裏面第...
(ただし、遠藤氏が「□月」(表面第五字)を、一度は「現段階...
さて、遠藤氏はこれに続けて、読み下しと口語訳を載せていま...
読み下し(遠藤)
泰和四年五月十六日丙午正陽(最も陽の日)に百練(何回...
先世(前代)以来未だこの刀有らず。百済王の世子(侯王...
漢文としてあまり正確な読みではないようです。
勿論、所謂「読み下しのルールや慣例」に全て従う必要はなく...
そこで、かわにしなりに、読み下してみます。
読み下し(かわにし)
泰和四年五月十六日丙午正陽。百練の鋼の七支刀を造る。...
先世以来未だ此の刀有らず。百済王世子、聖晉に寄生す。...
口語訳(かわにし)
泰和四年五月十六日丙午正陽に、百練の鋼の七支刀を造る...
先世以来、このような刀はなかった。百済王の世子は、聖...
さて、今、遠藤釈文に従って一応読み下してみましたが、二点...
一つは、「七月十日作」です。
なぜなら、文頭で、製造日を「泰和四年五月十六日」と明記し...
福山敏男氏は、「七月十日」を「□□□□」として、全て不明の文...
私も、そのほうがより自然な文章となる気がします。
「七月十日」と遠藤氏が推定した個所は、かなり不明瞭な個所...
遠藤氏は、他の銘文に制作日を示したものがあるから、という...
もう一つは、「故為[尸/[二/大]]王旨造」です。
ここを「倭王」でなく「侯王」とする点は、私も納得なのです...
一応、「侯王旨」で「侯王の旨(命令)」と見ても良さそうで...
表面の「宜しく侯王に供供すべし」も、「(この刀は「百兵を...
従って、この「七支刀」の製造理由については、もう少し考え...
17-Nov-2001
今日は、原田実『幻想の多元的古代』についてです。
原田実氏は、一時、古田氏の説を支持し、また、昭和薬科大で...
「和田家文書」騒動以後(厳密にその時期は知りませんし、「...
(「和田家文書」騒動ってのは、故・和田喜八郎氏所蔵の『東...
・・・で、原田氏も、この時に、結構書いてます(笑)。
古田氏も結構応酬しているので、「まぁ、勝手にやってくれ」...
この本も、原田氏の論文集なのですが、その収載論文の執筆時...
これはこれで、「原田実の史料批判」としては、面白い徴候で...
でも、まぁ、私としては、それが読み取られてしまう、という...
疑われてしまうんです。
「論者の心情・信条が如実に反映された論説なんじゃないの?...
これは、非常にもったいない。
論考自体は、冷静かつ公正な判断の上に立っておられるのでし...
(まぁ、古田氏自身もかなり「心情」のこもった論文を書く人...
さて、内容の方に入っていきます。
まず、「「多元」と「王朝」」で、古田氏が好んで使う「多元...
「古田氏が本来唱えていた「多元史観」とは、日本列島を代表...
これでは藤間氏の説いた多元国家のモデルと大差ないものにな...
として、古田氏が当初用いていた「王朝」の意義が、現在では...
また、古田氏によって提示された「王朝の定義」が、古田氏自...
<王朝の定義>(古田武彦「邪馬壹国論争(上)」による)
1)一つの領域が一定の文化特徴を共有する政治的な文明圏を...
2)そのなかで質量ともにもっとも集中して、政治的な文化特...
3)それがその圏内の焦点、すなわち王朝の存在を示す。
これに対し、原田氏によれば、古田『関東に大王あり』の時点...
<古田氏の王朝命名の方法>(原田実『幻想の多元的古代』)
「中国により国として承認された(と古田氏が解釈した)勢力...
まさにおっしゃるとおりだと、私も思います。
なぜなら、「九州王朝説」は中国側同時代史書を基礎として形...
原田氏は古田『失われた九州王朝』で、
「ある論者は言うかもしれない。”要するに中国側は九州の豪族...
とあるのをもって、古田氏の「真の王朝命名法」が実は「中国...
この問題は、非常に難しく、非常に深い問題だと思われます。
「王朝」とは何か、「国家」とは何か、「日本人」とは何か、...
単なる用語問題などではなく、非常に根の深い問題です。
「地域国家」や「地方政権」への関心が強まった昨今、この問...
「地域」「地方」ってなんでしょう。
その時に、「中国側に認められた」というのは、一つの国際社...
原田氏の指摘は、この点に対して現在の古田氏があまりにも無...
さて、『幻想の多元的古代』の前半は、
1)「多元」と「王朝」
に続いて、
2)六世紀の新羅来寇記事について
3)二つの日向国
4)万世一系イデオロギーの中国的受容
5)記紀歌謡の伝承に関する一考察
6)木村鷹太郎の邪馬台国論をめぐって
と、古代史研究論文が続き、それぞれが非常に興味ある論考で...
特に、「木村鷹太郎の邪馬台国論をめぐって」などは、原田氏...
後半は、
7)『三夢記』親鸞真作説への疑問
8)足摺岬縄文灯台騒動・最後のまとめ
9)古田史学の未来
10)古田武彦に学ぶ強弁の研究
と、露骨に「古田氏批判」を連ねています。
確かに、古田氏は多くの「古代史ファン」への影響力を持って...
ここまで、古田武彦を知り尽くしていると言うなら、「リング...
これは、古田氏にも言えるのかもしれませんね。
場外乱闘が多過ぎる。
そういう気がしています。
7-Nov-2001
こんばんわ。
かわにしです。
さて、今日は、古田氏の最近の著作『壬申大乱』について、書...
これは、どうも古田氏の「壬申の乱」研究の序論という雰囲気...
(実際のところ、古田氏がどのように考えているのかは知りま...
良く言えば、「早く次が読みたい」という気にさせる。
まぁ、言いかえると、「ちょっと物足りなさが残る」というと...
大まかに、古田氏の所説をまとめてみましょう。
(1)万葉集や日本書紀(天武紀、持統紀)の「吉野」は「大...
その論拠として、
A.万葉集三六~三九の人麿の四歌
幸于吉野宮之時柿本朝臣人麿作歌
八隅知之、吾大王之、所聞食、天下爾、国者思毛、沢二雖...
(やすみしし、吾が大王の、聞こしめす、天の下に、国は...
反歌
雖見飽奴、吉野之河之、常滑乃、絶事無久、復還見牟
(見れど飽かぬ、吉野の河の、常なめの、絶ゆることなく...
安見知之、吾大王、神長柄、神佐備世須登、芳野川、多芸...
(やすみしし、吾が大王、神ながら、神さびせすと、芳野...
反歌
山川毛、因而奉流、神長柄、多芸津河内爾、船出為加母
(山川も、因りて奉れる、神ながら、たぎつ河内に、船出...
この四歌は、「大和の吉野」と見なした場合、多くの矛盾が生...
(「吉野には瀧がない」「船出するような水域がない」「逝き...
従って、これは、「大和の吉野」ではなく、「九州の吉野」で...
(「九州の吉野=吉野ヶ里の付近」と解せば、矛盾が無くなる)
B.持統紀
持統紀には三十一回もの「吉野御幸」が書かれている。これは...
これに対し、「九州の吉野」であれば、以下の点で矛盾が無く...
1)「吉野」は、白村江の戦いの時の、基点となった港と見な...
2)日本書紀は「景行九州遠征」のように、九州王朝の歴史を...
3)先述の万葉集三六~三九歌の後に、天皇の吉野行きを列挙...
4)(持統八年夏四月)丁亥、天皇、吉野より至る。<持統紀...
5)この「夏四月丁亥」が当てはまるのは、斉明六年(六六〇...
(2)「壬申の乱」の背景
a.日本書紀
『日本書紀』は壬申の乱(三十一日間)に対し、「天武紀上」...
「景行九州遠征」記事においても、他から浮いた「詳しさ」を...
また、「白村江」の敗戦後、筑紫には、唐の「駐留軍」がやっ...
この点も不審だ。
b.人麿の壬申の乱の歌(高市皇子への挽歌、万葉集一九九~...
この歌を「壬申の乱を歌った歌」とする解釈には矛盾がある。
壬申の乱は夏の事件である。(『日本書紀』)
ところが、この歌の示す季節は「冬」だ。
従って壬申の乱を歌ったものではない。
c.三森堯司氏「馬から見た壬申の乱」
三森氏は、騎馬の進行速度の問題から、壬申の乱に疑問を投げ...
壬申の乱の「行程記事」「行軍記事」は、問題があるのだとい...
古田氏はこれを全面的に支持している。
(3)天武天皇の歌(万葉集二五及び二七)
ここに登場する「吉野」はやはり、九州と見なすべきだ。
また、二七歌の「よき人(淑人)」は、「天武天皇より身分が...
従って、天武は「九州の吉野に郭務[小宗]に会いに行っている...
(4)以上によって、壬申の乱が実は「大和の吉野」を舞台に...
大まかに言うと、こんなところです。(3)の部分は、かなり...
正直言って、私には、まだまだ多くの”?”が消えません。
今挙げたようなパーツを組み合わせても、必ずしも同じ結論に...
私にそのように感じさせるのは、恐らく、「一貫した方法論が...
もちろん、「歌謡自身を第一に、前書きは二次史料」という方...
たとえば、
(1)『日本書紀』持統紀の「吉野」は、九州王朝からの換骨...
(2)『日本書紀』壬申紀の「吉野」は?
とか、
(1)景行紀の「天皇」は実は九州王朝の王者。
(2)持統紀の「天皇」は?
とか。
そもそも、「壬申の乱」に関して、壬申紀に対する検討が皆無...
(「信用できない」というだけで、他には何も明らかにしてい...
きっと続きがあるのだろうという気もしてはいますが、どうに...
14-Oct-2001
あの凄惨なテロから、はやくも一ヶ月以上が経過しましたね。
既に、アメリカは「報復」攻撃を開始しました。
(マスコミには「報復」という語を使わないようにしようとい...
以前もお話したことがありますが、「事実の探求」の上で、必...
「戦争」とはまさに、「大義名分」と「大義名分」の衝突。
「侵略」と書くか「征伐」と書くか。
「反乱」と見るか「革命」と見るか。
「英雄」と呼ぶか「凶賊」と呼ぶか。
このことを気にしない人間は事実を知る資格無く、こだわらな...
乱暴に、極論をすると、そのようにさえ言えると、私は思いま...
さて、この一ヶ月、正直、いろいろ考えさせられました。
今日はそれを、出来る限り吐き出してしまいたいと思います。
・・・というわけで、ここからは、デアル調で書きたいと思い...
1.「戦争」と「犯罪」について
あのテロを以って、「戦争」と見なす者が、はやくから現れた。
ブッシュ米大統領もその一人だ。
だが、あの行為自体は、まぎれもなく「犯罪」だ。
無差別大量殺人だ。
事象的には、米国でも日本でも、問題となっている、銃やナイ...
だが、ブッシュも、銃乱射事件や、その他の凶悪犯罪に対して...
持ち出せば、かえってブッシュの方が「危険人物」視されるだ...
では、なぜ今回はそのような言葉を敢えて用いたのか。
それは「政治的な意図の有無」だ。
今ある国家体制に対し、これを否定し破壊しようとする行為。
例え同じ「殺人」であっても、この意思が伴い、「国家」にと...
ブッシュはこれを感じ取ったからこそ、「戦争」という言葉を...
思えば、「オウム事件」の時もそうだった。
オウムに対して「内乱(予備)罪」の適用が叫ばれたりもした。
結局は適用はされなかったが、それほど、日本の「国家」を揺...
国内にあって国家の脅威となるものは「反乱」もしくは「内乱...
勿論、これは「国家」の側に立った表現であることを忘れては...
すなわち、米国がこれを「戦争」と見なすことは、それだけの...
さて、もう一歩進めよう。
米国が「戦争」という言葉を用いるのは、米国という「国家」...
だからこそ、イスラム・アラブ諸国の中に、反発を生じたのだ。
「今ある国家体制に対し、これを否定し破壊しようとする行為」
この行為自体は、いつ何時であっても、「悪」か。
そうではない。
全ての国家・全ての国民が、この行為の恩恵のもとに今の暮ら...
これが歴史の事実だ。
ヨーロッパ諸国の「市民革命」。
アメリカの「独立戦争」。
日本の「明治維新」。
アジア・アフリカ諸国の「自立・独立」。
いずれも「輝かしい軌跡」として、史上に名を刻んできた。
これらだけは良い。そういう「理屈」は通らぬ。
「勝てば官軍」とはよく言ったものだ。
歴史は、その繰り返しである。
ブッシュも米国も、その歴史の中のほんの一ページに、「戦争...
それ以上でもそれ以下でもない。
ブッシュは言う。
「これは正義と悪の戦いだ」と。
あまりに無邪気だ、といったら言い過ぎだろうか。
戦争とは常に「正義と正義の戦い」だ。
どこのどの兵が「悪の為に」命を賭けると言うのか。
どこのどの親が「悪の為に」自分の息子を死地に送り出すのか。
タリバンの兵もアルカイダの兵も、自分が「悪」の為に命を投...
彼等に会わずとも、これは「人間の常識」だと、私は思う。
それが、「戦争」というものである。
だが、いや、だからと言うべきだろうか、私はこのテロをあく...
「悪」として裁かれるべきは、「大量殺人」という「犯罪」だ。
米国と言う一国家に脅威を与えたことではない。
あくまで「殺人」という手段に打って出た、その点が「悪」な...
(米国自身にも、諸外国にとっても、我が国においても、この...
これは単なる「言葉の問題」ではない。米国のとった行動は果...
それとも、「戦争」の語にふさわしいものか、これが問題なの...
「犯罪」を裁くことが出来るのは、公平で公正な「法」のみだ...
その際、甘いとか甘くない等という基準は、無意味だ。
相手の強さや凶悪さによって出したり引っ込めたりするなら、...
2.「国際貢献」について
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し...
この憲法の条文を素直に読む時、以下のような事態は、この憲...
「ある2国間で戦争が起こった。日本は、そのいずれか一方だ...
私の目には、明らかに、戦争の片棒を担ぐ行為にしか見えない...
国際貢献についても、真にそれを行うのであれば、一方だけに...
これが、スジ論だ。
安保とか日米同盟とかという、問題もあるが、今はそれを置い...
両者の仲介役にまわって、「和平」を推し進めるという選択肢...
パキスタンは、タリバンとの関係が深いこともあったが、「和...
彼等の「和平」への活動を最大限に支援しようという試みは、...
(イスラム諸国においては、サウジアラビアのように、少なか...
今からでも遅くは無い。
「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」するなら、...
「テロリストとの和平などあり得るものか」
という声が聞こえてきそうだが、これこそ、「戦争」と「犯罪...
結局のところ、真の「和平」とは、彼等の「テロリズム」の源...
その上で、罪は罪として裁かれるべきなのだ。
(「罪」を犯しているのは、イスラム原理主義の過激派ばかり...
もはや、ウサマ・ビンラディンが(本当に今回の首謀者だった...
そういう状況にまで全てを追い詰めたのは、他ならぬ米国です。
私にはそう思えてなりません。
08-Oct-2001
今日は、古田史学の会ほか主催の『「邪馬台国」はなかった』...
はじめに古賀達也・谷本茂両氏の講演(古賀氏のそれは、「古...
谷本氏の講演は、『周髀算経』の研究から周代の短里の使用を...
かわにしは、篠原氏の論文を読んでおらず、また、講演の時間...
つぎに、西村俊一氏と古田氏の対談でしたが、・・・まぁ、和...
(あまりよく覚えてない・・・)
午後からは古田氏の講演でした。
前半は、周代の短里説(一里=435メートル(漢代)ではな...
有名な「千里馬」は、実は一里=435メートルだとすると、...
ところが、短里だと、76キロ。優秀な馬が頑張れば、なんと...
そんなようなお話が実はたくさんある、ということでした。
後半は、万葉集の人麿の歌が、実は九州を舞台にして歌われた...
その後、懇親会にも参加させていただき、「新・古代学の扉」...
今日は、楽しいお話をたくさん聞けて、貴重な時間を過ごすこ...
29-Sep-2001
今回は、ダル100億世さんの「邪馬台国日向説」への批判を...
というわけですから、まずは、ダルさんの説をお読みください...
さて、ダルさんはまず、「渡海」と「水行」の違いについて着...
私もこの点には大方、賛成です。
ただ、補足しますと、「水行」の本来の用法は、「川を移動す...
中国は大陸の国で、島国ではないのですから、これは、当然の...
勿論、海を知らないわけではないので、ダルさんのおっしゃる...
「水行」という言葉は割りと「便利に使える」広い意味を持っ...
だから、厳密には「海を渡る場合には水行は使っちゃダメだ」...
逆に「渡海」は文字通り、当然「川を移動する」場合や「海岸...
ですから、「水行十日陸行一月」とあるから、絶対に海をわた...
むしろ、「陸行」との対比として、船での移動全般を指してい...
ただ、「女王国から『渡海』した先にも倭人がいた」という記...
(論理的には「四国」もありですね)
本州(近畿の大和)から東に海を渡ったら、アメリカに着いて...
(北に渡ると北海道に着きますが、それもダルさんの指摘通り...
さて、より根本的な異論があります。
それは、投馬国と邪馬壹国の所に記載されている、「水行二十...
まあ、「旅日記」なら、そこらへんはこだわる必要も無いので...
「日程」というのは、厄介なもので、単純な距離とは微妙に違...
実際には、距離より便利な場合もありますが。
私たちも目的地がどのくらい遠いか近いかを考える場合、電車...
ここには、当然ながら「乗り換え」や「停車駅の数(急行と各...
だから、実生活では便利なのですが、地理的にどこに位置する...
つまり、「里程」と「日程」では、厳密には指すものも違うし...
これはごっちゃにしちゃいけません。
また、
郡より女王国に至る、万二千余里<魏志倭人伝>
とあるように、郡(帯方郡)から女王国に至るまでの総里程は...
ここで、倭人伝の最初に、
郡より倭に至るには、海岸に循いて水行し、韓国を歴るに、乍...
とあることから、一万二千里-七千里=五千里が朝鮮半島南端...
「短里説」を用いずとも、ここから言えば、朝鮮半島南端部か...
よく「誇張がある」と言われます。
これは、要するに一万二千里が常識的な「里」で考えると、遠...
ですが、実際は、その半分以上は、朝鮮半島内の距離です。
従来、この点が忘れられていたように思えます。
さて、五千里のうち、
(1)千余里 狗邪韓国→対海国
(2)方四百余里 対海国の面積
(3)千余里 対海国→一大国
(4)方三百里 一大国の面積
(5)千余里 一大国→末盧国
(6)五百余里 末盧国→伊都国
(7)百里 伊都国→奴国
(8)百里 伊都国→不弥国
という各里数値によれば、(古田説においては2と4を計算に...
千余里+千余里+千余里+五百余里+百里+百里=三千七百余...
残りは五千-三千七百=千三百里です。
「連続式」に読んだとして、不弥国から(投馬国を経て)邪馬...
これでは、日向まで届きません。
(千三百里移動するのに「水行二十日」+「水行十日陸行一月...
古田説においては、この「水行十日陸行一月」は帯方郡から女...
今は、連続的に足してみました。
今度は放射式の読み方(榎説)について考えてみましょう。
この場合、伊都国以降は、一万二千里に含めないと考えられま...
従って、千余里+千余里+千余里+五百余里=三千五百里です...
残り千五百里です。
大差ないですね。
同様のことを、古田武彦の他に榎一雄・井上光貞・奥野正男・...
こういうわけですから、「連続式は近畿説に有利。放射式は九...
(古田氏に言わせれば、この残りの「千四百里」(7を含めな...
さて、次に、「神武東征と邪馬台国東遷」についてです。
ここで、神武東征の出発地が「隼人」の地であったことを不審...
私も同感です。
ですが、私は隼人に関しては、熊襲の後裔であるという通説ど...
従って、神武が南九州の日向から出発したとすれば、むしろ「...
と、なると、当然ですが、神武東征以後も「熊襲」は九州に存...
常識的に考えれば、「熊襲」の本国は九州のままで、その一派...
主流はあくまで九州のはずです。
記紀という書の根本のテーマは、「天皇家以外に日本列島の王...
これに惑わされてはいけません。
常識的に考えれば、少なくとも神武東征の時点では、神武は非...
イギリスとアメリカのようなものです。
メイフラワー号の頃は、当然、イギリス本国の植民地でした。
決して、最初からアメリカは独立してはいませんし、イギリス...
実はここの理解の相違が、「九州王朝説」と「邪馬台国東遷説...
甘木や都城と大和との地名の類似は興味深い事実ではあります。
ただ、それも、アメリカの例でよくわかるでしょう。
「ニュージャージー」「ニューハンプシャー」の各州が英国の...
これと同じことなのかどうかはわかりませんが、「類似する=...
あくまで、本国をしのんでつけたものなのかもしれません。
要するに、ダルさんの3つの論点を結びつけても、必ずしも、...
ですが、ダルさんのおっしゃるとおり、傍流の大和勢力が本流...
その時期が来るまでは、あくまで、大和勢力は傍流だったので...
本流である九州のほうが「偉い」という時代が存在していたは...
そして、九州勢力側が、「倭王」として中国に使者を送ってい...
大和勢力は、九州の倭王の部下だったこともあるだろうし、反...
そういう「立場」を想定する必要があります。
私は、その期間は決して短くは無かったと思います。
最終的に「倭王」にとってかわったのは、大宝律令前夜でした。
狗奴国に関しても、私は狗奴国だけが「熊襲」ということでも...
九州勢力側も一枚岩ではなかったことを示すのみだと思います。
(狗奴国と女王国の対立は、恐らく、「倭国に乱有り」以降の...
金印の「委奴国」=「伊都国」説ですが、これは従えません。
理由は、以下です。
(1)魏志倭人伝の記述について
「『後漢書』に、金印を与えたという記述があるにも関わらず...
(2)女王国と伊都国の関係について
「女王国とは、先にも述べたように、女王卑弥呼が統治する連...
これこそ、中国側の命名ではないか、と考えられる。従って、...
ダル100億世説に従えば、このような推移となる。
1)かつての倭王は、現在の伊都国王だった。
2)乱が起こり、その結果、共立された卑弥呼が、本来の倭王...
3)今、倭王の地位を追われた伊都国王は、伊都国にいるが、...
明かな権力交代劇だ。しかも、つい最近の、である。
中国側にとって、こういった夷蛮諸国の権力の推移は、もっと...
外交関係に大きく関わるからである。
したがって、これを記さぬこと自体が、決定的な矛盾である。
やはり、「女王国」と呼ばれている勢力が、昔から代々(金印...
(A統属Bは、AがBに属すという語法である。逆の関係を示...
(3)「委奴国」について
古田氏の指摘の要点は、「委奴国」=「倭人国」である。
更に言えば、「委奴国王」=「倭国王」と言っているのである。
また、「委奴」=「伊都」説は、戦前から存在していたが、音...
この点への再反論が不可欠だ。
以上です。やはり、金印の「委奴国王」は「倭国王」のことで...
まぁ、「邪馬壹国王」でも「女王国王(なんか変)」でも「狗...
魏志倭人伝には、「乱有り」とは記されていても、中心勢力の...
「乱」も、どうやら、先代国王の死後の後継ぎ争いのようなも...
ダルさんの指摘、特に「神武東征と邪馬台国東遷」は、非常に...
「九州王朝説」の核心部分(と私が思っている)に、迫るもの...
そういう意味でも、ダルさんに感謝、です。
ダルさん、反論お待ちしてます。
17-Sep-2001
先日の「独り言」(9/15)を書いた後、知ったことなのですが...
ロシアやフランスが、武力行使に慎重な姿勢を見せているよう...
また、ニューヨーク・タイムズ紙にも「戦争」に対して、慎重...
その一方で、ブッシュ大統領はじめ、米国政府は、「戦争」に...
これに対するイスラム社会、アラブ社会の反発も強くなってき...
その間で微妙な立場に立たされたパキスタンは、「和平」への...
・・・まさに、「戦争」の様相を呈してきました。
それも「憎悪」渦巻く・・・。
私は、この「戦争」を巻き起こしたのは、「テロ」ではなく「...
怒りに身を任せ、ちょっとやり過ぎたんじゃないかという感じ...
まぁ、アメリカが怒りに冷静さを失うのは、しかたないとして...
こんな使い古された言葉が頭をよぎります。
「罪を憎んで人を憎まず」
15-Sep-2001
こんにちは。
先日、凄惨な「事件」が起こってしまいました。
「米国同時多発テロ事件」です。
邦人二十四人を含めた五千人近くの方が、現在もなお、行方不...
あのようなテロ行為は断じて許すことは出来ません。
ブッシュ米大統領は、「戦争」という言葉を敢えて用いて、断...
ですが、私からすると、「戦争」という言葉は用いて欲しくな...
やっぱり、これは、「犯罪」なのです。
たとえ軍隊が出動するにしても、相手は「犯罪者」。
決して「和平」も「講和」も「調停」もない。
ましてや、「敗北」など許されない。
恐らく、ブッシュ氏の考えもそうなのでしょうが、だから、「...
私が、なぜ、このような、一種「微細な」言葉の問題にこだわ...
「戦争に対しては和平を推し進める第一人者に」
「犯罪に対しては撲滅を推し進める第一人者に」
なってほしいものです。
小泉首相が、米国支持を打ち出し、出きる限りの協力は惜しま...
専門家の間では、「非対称戦争」などという言葉を使って、こ...
ウサマ・ビンラディン氏(の関与によるものなのかは知りませ...
もしも、これが、「犯罪行為」でなく「戦争行為」であれば。
米国や他の諸外国にとっては、それほど大きな違いは無いのか...
「世界の平和と秩序を守る為に戦う」
戦争を起こす時は、みんなそう思っているのです。
ですが、日本にとっては違う。
だから、わたしたち日本人はこの違いにこだわるべきだと思う...
また、「犯人」たちのグループは、犯行後、隠れたままです。
この点から言っても、彼等の行為が、「政治的な意図」を持っ...
もっとも、想像をたくましくすれば、様々な「意図」を疑うこ...
やはり、「たくさんの人を殺してやった。ざまぁみろ」程度で...
オウムの時もそうでしたが、だから、どうしたいのか、が見え...
それとも、「巨大な計画」の「ほんの一部」なのでしょうか。
何はともあれ、「憎悪だけの戦争」にはなってほしくないもの...
1-Sep-2001
どうも、です。
前回の「独り言」(28-Aug-2001)の続きです。
ちょっと、「暦」の本を調べてみました。
太陰暦:冬至を起点として、一年を十二等分したものを「中」...
「冬至」を含む月を「十一月中」として、一ヶ月づつ配分する...
従って、「春分」は必ず「二月」になる。
ただし、「朔」→「晦」は実際は29.530589日であり、必ずずれ...
太陽暦(グレゴリウス暦):平年を365日と定め、西暦を4...
ちなみに2000年は4で割りきれるが100でも割りきれ、...
(内田正男『日本暦日原典』による)
太陰暦は、つまり、「雨水」の月が必ず「正月」になります。
「旧暦」の上で、
「春」=1~3月=「雨水」「春分」「穀雨」
「夏」=4~6月=「小満」「夏至」「大暑」
「秋」=7~9月=「処暑」「秋分」「霜降」
「冬」=10~12月=「小雪」「冬至」「大寒」
となって、なるほど、キッチリ正月は「春」という季節になる。
これを今の暦に合わせると、
「春」=2~4月=「雨水」「春分」「穀雨」
「夏」=5~7月=「小満」「夏至」「大暑」
「秋」=8~10月=「処暑」「秋分」「霜降」
「冬」=11~1月=「小雪」「冬至」「大寒」
と、おおよそ、こうなります。(一月の長さが違うので一概に...
うーん、なんだか、実際の季節感と合ってるような合ってない...
結局、日本の「冬至」って、「冬真っ只中」というよりは「こ...
たしかに。
つじつまは合ってるのかなぁ。
むむ。
28-Aug-2001
こんばんわ。
今日は、私の「素朴な疑問」を書かせて下さい。
「新春」と言う言葉があります。
勿論、「正月」のことですが、正月は、季節で言うと「春」と...
「春正月」云々というのは、日本書紀にも出てきますが、
旧暦では、これが常識です。
ところが、実際の所、1月は、真冬です。
ここには、「新暦」(太陽暦)と「旧暦」(太陰暦)の違いが...
それを考慮しても、やっぱり、1月は「真冬」です。
私の素朴な疑問は、これです。
なんで、春なの?
「旧暦」にしても「新暦」にしても、閏年とか閏月とか、そう...
でも、実際の所、ずれてる。
「二十四節季」は、農業にとって重要な「節目」でした。
だからこそ、ちゃんと実際の季節に合うように調整がされてき...
でも、実際は、「正月」がずれてる。
そんな気がするのは私だけなのでしょうか。
だれか、ご存知の方がいれば、教えてください。
12-Aug-2001
今日は、神話関係のお話をいくつかしたいと思います。
初めは、「最初の人間」について。
子供の頃、こんな疑問を持った経験はありませんか。
自分には両親がいる。
お父さんのお父さんは、おじいちゃん。
おじいちゃんのお父さんは、ひいおじいちゃん。
ひいおじいちゃんのお父さんは、ひいひいおじいちゃん。
ひいひいおじいちゃんのお父さんは、ひいひいひいおじいちゃ...
:
じゃあ、一番最初は誰なんだ?
「神話」の世界では必ず、「最初の人間」が現れます。
その現れ方には、種類がありますが、「最初の人間」は必ず現...
アダムとイブだったり、パンドラだったり・・・。
(ほとんどの「大系的な神話」・・・ギリシア神話や旧約聖書...
実は、これら「最初の人間」説話の生みの親は、「子供の疑問...
きっと、「村に一人は」こんなこと言い出す子供がいた。
大人達はほとほと困ってしまうわけです。
だって、そんな「答え」わかるわけないじゃないですか。
そこで、村の長老は、あるお話をしました。
それが、「アダムとイブ」だったり、「パンドラ」だったり・...
考えてみれば、ごくごく普通のストーリーですが、こういう根...
村に一人は「最初の人間」がいても決しておかしくはない。
だから、人間が言葉を持って程なく「最初の人間」は語られた。
そういっても過言では有りません。
後に「政治的」に利用され、淘汰されていく前の話です。
次は「最初の神」です。
人間が「神」を生み出した(「発見した」という謂い回しのほ...
これもかなり古いでしょうね。
どんなところから、人間は「神」を生み出すことになったので...
私は、実は、「無宗教」と言われる現代日本人こそが、それを...
私たちは、普段「無宗教」と言いながらも、思わず「神様・・...
どこのどの「神様」なのかは知りませんが、つい、ね。
まさに「あれ」です。
特にそれを強く感じさせるケースは、「人の死」や「自然の脅...
要するに自分じゃどうにもならない、そういうものを目にし感...
何も高尚な「宗教知識」を持たなくても、「無宗教」の私たち...
私たちは「神様」という概念を知っている。でも、たとえ知ら...
太古の人間もそれを感じたに違いありません。
そう考えると、自然神信仰や、多神教、生死を司る神が最も「...
超越的な「絶対的唯一神」が、これより、遥かに「発展した」...
ここまでは、言ってみれば「架空」であることが前提とされる...
もう一方で、「実在」したのではないか、と考えられる「神話...
記紀で言えば「国譲り」「天孫降臨」などがそうですし、ギリ...
「モーセの出エジプト」なども実在した話なのかもしれません。
もちろん、「モーセが海を割った」とか「トロヤ戦争の発端は...
確認しておくべきことは、「モーセ」も「イーリアスの英雄」...
さて、記紀神話に目を転じてみましょう。
私が「実在した」可能性が有ると考えているのは、天孫とされ...
記紀神話は、他の神話(ギリシア神話など)と異なり、「神」...
「すさのお」など、「神」のようでもあり「人」のようでもあ...
「天照大神」にしても、そういう部分が見え隠れします。
特に「すさのお」と絡む時の「天照大神」と、「天孫降臨」時...
なぜなのでしょうか。
私は、これを解明するヒントは「靖国神社」にあるような気が...
「靖国」に祀られているのは、「人」です。
「人」ですが「神」です。
これが、日本古来の風習なのでしょう。
「人は死んで神になる」
これです。
「生ける天照大神」は「人」であり、「死せる天照大神」は「...
こういう状況だった可能性があります。
先の印象の違いは、これによるものなのかもしれません。
この視点は、記紀神話を読む上で重要なキーになるような気が...
28-Jul-2001
こんばんわ。
今日は、「靖国神社」についてです。
小泉首相が「靖国神社に参拝する」と言って以来、「靖国参拝...
「靖国神社」というのは、第2次大戦に関わらず、「日本にと...
ですか、「靖国参拝問題」には、「靖国神社には戦争の、A級戦...
小泉さんは、「これから平和国家として日本が頑張っていく為...
というようなことを、言っておられるようです。
「その何が悪い」というのが、小泉さんの基本姿勢です。
ですが、私に言わせれば、たかが、「靖国」程度でその「誓い...
「靖国」には、広島や長崎の犠牲者が祭られていますか?
「南京」の犠牲者が祭られていますか?
「パールハーバー」の犠牲者が祭られていますか?
朝鮮といわず、中国といわず、米国といわず、
本当に「全ての戦争犠牲者」が祭られていますか?
私にとっては、「靖国にはA級戦犯が祭られているから」どうだ...
そんなもんは、どうでもいいんです。
「A級戦犯」となった人々を、責めれば、それでいい、などとい...
「戦争責任論」に陥らず、あの「戦争」の教訓を十分に生かす...
小泉さんのような、「理屈」は正しい。
でも、その実現手段は、あまりにちっぽけだ。
それが私の感想です。
22-Jul-2001
お久しぶりの、「古代史の独り言」です(笑)。
今回は「天神様」について、です。
「天神様」と「お稲荷さん」と言えば、日本では知らない人は...
でも、記紀ではあまり馴染みのない、どちらもそういう神様で...
「お稲荷さん」については、いずれまた、お話できる時がある...
今回は、「天神様」についてお話します。
さて、「天神様」といえば、「菅原道真」とお思いの方もいら...
北野天満宮では、本来、その神様は「蛇神」であり「雷神」と...
(『大鏡』では「荒人神」だという)
また、私などのように「記紀」をずっと見てますと、どうして...
じゃあ、これと北野天満宮の「天神(てんじん)」が同じなん...
私にはそうとも見えません。
なぜなら、記紀にいう「天神(あまつかみ)」には、「雷神」...
もちろん、「天神(あまつかみ)」が「天空にいる神」という...
ちょっと、目を転じて、中国を見てみましょう。
中国では「天神」といえば、「雷神」を指します。
もともと、「申」が「天空を統括するものとしての雷」を指し...
「天神・地祇・人鬼」周礼という3すくみで言われる場合の、...
ちなみに、「天神地祇」という語は、日本にも「輸入」され、...
「天神」の代表が「伊邪那岐」「高皇産霊」や「天照大神」、...
ですが、「天神地祇」と「あまつかみ・くにつかみ」とは、別...
ともあれ、どうやら、北野天満宮の神様は「雷神」であったた...
近畿地方には「雷神」として畏れられる神様が多数います。
大物主大神、鴨神、茅鳴美神などです(志賀剛『式内社の研究...
勿論、これらの全ての神様が、「天神」と呼ばれているわけで...
むしろ、彼等は「くにつかみ」に分類されます。
北野天満宮も「荒人神」<大鏡>のままだったら、まちがいな...
一方、太宰府天満宮の方の神様は、というと、もともとは、「...
この大宰府の地こそが、「あまつかみ」祭祀の最高の中枢であ...
要するに、同じ「天神様」といっても、その経歴は全く違う、...
これは、全国の「天神様」を探求する上で、重要なポイントと...
5-Jul-2001
今日は、本当に(?)、独り言です。
「著作権」について。
私は、当HPで公開している「お話」について、
基本的に「転載は自由」という姿勢を保っています。
でも、中には、「厳正に」著作権による制約を課しているサイ...
これ自身は、私も、決して間違っているとは思わない。
私などのような、いいかげんで適当なHP管理者に比べて、
はるかに、きっちりとした「管理体制」をとられていて、いい...
私が、自らの「お話」に対して、それほど厳密に「管理」しな...
今日はお話したいと思います。
私は、「知的所有物」については、2通りのものを考えます。
一つは、「創作活動」。
「絵画」や「彫刻」や「小説」や「物語」や「随筆」や「詩」...
もう一つは、「論理」や「理屈」です。
私が「産している」のは専ら、「論理」や「理屈」です。
「著作権」は前者に対して有効なものであって、後者には有効...
これが私の「理屈」です。
なぜか、それは、簡単です。
「論理」や「理屈」というのは、基本的に、
「誰が考えてもそうならざるを得ない」
そういうものです。
この点が、前者と大きく異なります。
その人特有の、「感性」や「美意識」に影響されない。
これが根本です。
「盗作」という言葉がありますが、
私は、「私の理屈を盗作されるのは、大いに結構」と思ってい...
(「盗作された」経験はありませんが・・・)
もしも、私の名を挙げることなく、私の理屈を紹介される方が...
大いに結構なことと思います。
(「いれば・・・」の話ですが)
「もしも、私の打ち立てた「理屈」に全面的に賛同」という論...
私にとって、大いに価値あることです。
「もしも、私の打ち立てた「理屈」を理解せずとも、私の「理...
その人は、勝手に自滅するのみです。
私が絶えず「自問自答」している、「問題」に、ついに打ち勝...
ですから、私は、当HPに載せる、あらゆる「私の言」に関して...
「私の言」を十二分に消化し、「自らの言葉」としてお話でき...
どうぞご自由に、お使いください。
出来ぬなら、お使いにならないほうがいい。
自らを苦しめるのみです。
あとは、「マナー」の問題です。
(今日のお話は、あくまで「一般論」です。
むしろ、「著作権」という言葉に惑わされ、その「真意」を理...
ほんの些細で、お節介な、メッセージのつもりです)
24-Jun-2001
さて、今日は、天孫降臨です。
天孫降臨を語る際に問題となるのは、「どこからどこへ」とい...
勿論、「高天原から筑紫」なのですが。
じゃぁ、「高天原」ってどこ?
「筑紫」ってどこ?
という問題があるわけです。
「筑紫」と一口に言っても、それは九州全体を筑紫と呼んだん...
というわけです。
でも、率直に、「筑紫」といえば、福岡県でしょう。
そうでない気がするのは、神武の出発地を宮崎県と疑わなかっ...
記紀の記載をあげておきます。
日向の襲の高千穂峯に天降る。神代紀、第九段、本文
果に先の期の如くに、皇孫をば筑紫の日向の高千穂の[木患...
故、天津彦火瓊瓊杵尊、日向の[木患]日の高千穂の峯に降...
日向の襲の高千穂の[木患]日の二上の峯の天浮橋に到り、...
時に、降り到る処をば、呼びて曰く、日向の襲の高千穂の...
竺紫の日向の高千穂の久士布流多気に天降り坐す。神代記
「筑紫の」と言っているのだから、当然、福岡県なのです。
では、どこから?
それは、記紀神話で、「天」と呼ばれる領域がどこなのかと言...
詳細は省略しますが、簡単に言うと、「天」から「天」以外の...
そこで、天降る先を見てみると、「筑紫」「出雲」「新羅(韓...
すると、これら領域は「天」ではない。でも、「天」から、こ...
とすれば、これは、「壱岐」「対馬」です。
事実、対馬には「阿麻[氏/一]留神社」というのがあり、「あま...
したがって、対馬が天照大神の出身地である、という命題を指...
また、「壱岐」には「天の原」という地名があり、これが「高...
従って、天孫降臨とは、「壱岐・対馬の海洋勢力が、筑紫へ侵...
なんだ、スケールの小さい・・・と思わないでください。
壱岐・対馬勢力にとってみれば、筑紫の広大な大地を手に入れ...
記紀神話のほとんどは、弥生時代を舞台にしていますが、重要...
葦原の千五百秋の瑞穂の国は、是、我が子孫の王たるべき...
所謂「天壌無窮の神勅」ですが、つまりは、農作物の豊富な豊...
勿論、稲作の為に。
当然ながら、壱岐・対馬などの島では、充分な稲作など、無理...
「天国」側にしてみれば、まさに死活問題だったわけです。
さて、もうひとつ、「どうして天孫降臨は成功したのか」とい...
それには、壱岐・対馬の地理が重要になってきます。
縄文時代までは、日本列島では、どちらかといえば東が先進地...
また、はっきり言えば、中国側にも引けを取らない、そういう...
(「土器」という分野では、世界最高峰の文化でした。中国に...
ところが、時代が流れるにつれ、中国と日本列島の文化の優劣...
1つは「金属器」です。
もう1つは「稲作」です。
これが、日本に伝播してくる、となると、壱岐・対馬は、当然...
ここを拠点とする、海洋集団も、活躍の場を増やすこととなっ...
(モノそのものの伝播は、南方からというルートも存在する。...
これが、壱岐・対馬が出雲に対して優位に立った、要因の一つ...
また、壱岐・対馬は当然、最新の兵器・鉄の武器を多く手に入...
このことも、当時の情勢に多大な影響を及ぼしただろうと思い...
さて、このように考えてくると、「記紀神話」がいかに弥生の...
ここまでのリアリティを持つ「作り話」を造ったとするなら、...
18-Jun-2001
さて、今回は、時事ネタです。
ほんとは、書くのは、どうしようかと、悩んだんですけど・・...
あまりに、個人的な意見になってしまいそうで・・・。
・・・「心の病と犯罪について」です。
「心の病」とは、つらく、厳しいものです。
とか言いつつも、私は、味わったことは無いのですが・・・。
それは、百も承知で、あえて、書かせていただきます。
「人を殺しても罪に問われない」ほどの「心の病」とは、いっ...
私の目には、その「病」は相当な重傷のように見えます。
症状は、いろいろあるのでしょう。
「幻覚や妄想に悩まされ、近付いてきた人物が、自分の命を狙...
とか、
「カッとなると、ブレーキが効かなくなってしまい、自分でも...
とか。
もしも、こんな状態に自らが陥ったとしたら、どれだけつらい...
もしも、そのような状況で、「自分の意思ではどうにも出来な...
ですから、司法がそのことを充分に察してくれる。
それは、大変重要なことです。
でも、今はそれとは、一応、距離を置いてお話しましょう。
私は、司法によって、「心の病」だから罪に問わない、という...
なぜか。
もしも、「彼は心の病だから、たとえ人を殺しても罪には問え...
それはつまり、「彼は、町を歩けば、人を殺すかもしれない。...
じゃぁ、「社会」として、「いつ人を殺すかもしれない彼」を...
たとえば、「某殺人者」は、車で現場に降り立ちました。
彼が本当に「いつ人を殺しても仕方の無い」人物だったなら、...
酔払い運転は取り締まられる。
なぜかといえば、「酔っ払った状態で、まともな運転はできな...
でも、酔っ払った状態で人を殺したとしても、罪には問われる。
「人殺しでさえ罪に問えない」人間が、「車の運転」でミスを...
当然、「まともな」人間より、よっぽど、「危ない」。
誤解しないでくださいね。
私は、決して、「心の病」を持つ方々の人権を、損なおうと言...
でも、いたずらに、「心の病だから罪に問わない」のでは、そ...
「罪」に対する責任能力が認められているからこそ、その他の...
少年法の件でもそうでした。
中には、「罪に問われない」ことを「特権」であるかのように...
でも、それは間違いです。
罪に対する責任能力、それは、その人に、充分な「権利」が与...
「権利」はなくても「罪」には問われる、
或は、
「罪」には問われなくても、「権利」はある。
いずれも、健全なあり方ではありません。
今は、あまりにそのバランスを欠いている。
私にはそのように思えます。
9-Jun-2001
こんにちわ。
かわにしです。
さて、今日は、「神武東征」について、お話します。
まず、神武の出発地については、通常「日向(ひむか)」=宮...
以下、古事記に基づいてお話します。
・・・で、ここから出発して、宇佐の足一騰宮(あしひとつあ...
1.足一騰宮→不明
2.岡田宮→一年
3.多祁理宮→七年
4.高島宮→八年
これは、いくらなんでも、「遠征」の途中経路じゃありません。
また、これらの地域では、戦闘が行われていない。
どういう事情なのかはわかりませんが(神武という青年武将の...
で、高島宮を出ると、「速吸門」が出てきます。
「流れの非常に急な海峡」ということです。
通常、豊予海峡がそれだと言われますが、古事記のこの記述に...
ここを越えると、神武は、戦闘の連続です。
これも、弥生時代の「銅剣・銅矛文化圏」と「銅鐸文化圏」の...
つまり、「銅剣・銅矛圏」は神武の仲間、「銅鐸圏」は神武の...
こう考えると、神武がわざわざ鳴戸海峡を渡った「意味」がハ...
明石海峡では、敵に目立ちすぎるからです。
あんなに通りやすい海峡を、敵さんがすんなり通してくれるわ...
また、神武軍団が、圧倒的な武力を誇っていれば、明石海峡を...
「銅鐸圏」の中心領域に突入した際の、大敗北がそれを物語っ...
さて、鳴戸海峡を渡った神武は、一気に大阪湾から「白肩津」...
で、この「白肩津」というところは、日下(草香)つまり、今...
ところが、ここ、内陸なんですよね。
ただ、古事記の記述では、どう見ても、大阪湾(浪速渡)から...
どうも、船でそのまま、という雰囲気です。
実は、弥生時代には、現在の大阪の地域のほとんどは、海(湖...
ちょうど、「白肩津」はその境界ぐらいに当たるのです。
とすれば、これは、弥生時代の記述としては正しい、そういう...
(奈良時代だと、当然、陸地になってますから、ダメです)
・・・で、先ほども言ったように、神武はここで「登見の長髄...
この敗戦で兄を失います。相当な大敗北だったことがうかがえ...
ここで、神武は考えた(兄の死の間際の助言があったのですが...
「日に向かって戦ったから悪い」
「日を背にして戦え」
これは、平たく言えば、「大阪湾を突入するのは無理だから、...
別に「暗号」というわけではないのでしょうが、このあたりの...
こういう事情から、神武は紀伊半島を迂回して、吉野川を遡り...
神武という武将がいかに有能な武将だったかがわかります。
そうして、連戦に連戦を重ねて、大和に辿りついた。
「表」に比べて手薄な「裏」を廻ってきた神武は、ここで、一...
そうして、そのまま、神武はその生涯を終えた。
大和の地に侵入して、長髄彦との決着の為、ここで基盤を整え...
これが「神武東征」の実態です。
古事記には、大和侵入の際に神武自身が行った「大虐殺」を素...
「戦勝記録」として。
神武以前から大和の地に生まれ育った人々にとって、神武はま...
一方、天皇家にしてみれば、彼等の地位を築き上げた、尊ぶべ...
だから、ここで、神武が初代として、記紀は語られているので...
(神武の悲願は、のちの崇神・垂仁によって達成されます)
神武東征経路
今日のところは、このへんで。
27-May-2001
今日は、「古田武彦と古代史を研究する会(東京古田会)」の...
本当は、午前中は「歴史学研究会」の大会に出る予定だったん...
さて、今回の古田氏の講演は、
(1)C.エヴァンズ・B.J.メガーズ夫妻による、バルビディア...
(2)歴史教科書問題について。
(3)古田氏の中国訪問によって得られた成果について。
という内容でした。
(1)は、最近、日本考古学を代表する佐原真氏のエヴァンズ...
反論があればください。私に対してでも、古田氏に対してでも...
(2)は、いみじくも、私も最近語りましたが、古田氏の意見...
それは、以下のようです。
1.歴史学に求められるのは、正直な歴史を語ることである。そ...
2.「南京大虐殺について」。この呼称は不当である。これでは...
まぁ、他にも、様々な論点が出されましたが、大方このようで...
1.については、「だから、日本の教科書で侵略について語らな...
ということです。
2.は、要するに、もっと大事な問題があるだろう、ということ...
これは、古田氏自身が中国において、中国側の学者に語り、共...
また(3)については、そのうち詳述したいと思います。
肝心の古代史のお話については、それほど多くのことが聞けた...
本当は、「歴史学研究会大会」にも参加して楽しいお話を拝聴...
どんまい(爆)。
21-May-2001
最近、「歴史教科書問題」というのが言われています。
まぁ、ここで問題となっているのは、第二次大戦時の事件につ...
まず、「歴史学」には二つの仕事があると考えています。
1つは、「歴史事実の探求」。
もう1つは、「歴史事実への評価」です。
これはまさにマスコミのあり方に似ていて、ある事件を伝える...
この2つの「仕事」は決してごっちゃにしてはいけません。
テレビでも新聞でも雑誌でも、この2つを区別できないような...
歴史学も同じです。
さて、この2つの「仕事」。当然ながら、その性質も異なりま...
「事実の探求」の際に必要なのは、なにより、客観的な目です。
客観的な目とは、何かと言えば、つまるところ、「誰が見ても...
客観的な見方に基づく論理とは、「誰が見ても、誰が考えても...
もし仮に、私がそのようにして、Aという結論に至ったとしまし...
それを別の人物(特に「かわにしの意見に反対してやろう」と...
もし、そうなったのであれば、かわにしか、別の人物かの論理...
それを洗い出し、より洗練していく為のよき手法として、論争...
何が言いたいのかと言うと、「事実の探求」において、主義・...
もし、そのような現象が起こるのだとすれば、もはや、「学問...
そのようにさえ言いきることが出来ます。
もちろん、人間の目には、どうしても、主義や思想や宗教など...
これは事実です。ですが、それを超えて、真実を見ようとする...
もう一方の「事実への評価」に関しては、ちょっと違います。
そこに「客観的な目」が必要とされるのは、「学問」である以...
むしろ、「事実への評価」という仕事が、主義・思想・宗教・...
さて、このような点を踏まえた上で、「歴史教科書問題」を見...
そこで争われているのは、歴史の「事実の探求」という仕事で...
日本側と、中国や朝鮮側で意見が分かれているというのだから...
そこでわたくしは考えます。
教科書で、「たった1つの、事実への評価」だけを教える意味...
これです。
様々なあり方を教えればいいじゃないか。
そして、子供たち自身に、どのように感じ、何を学び、何を教...
これが私の率直で、無責任な感想です。
そうできないのは、結局、政府の「政治上の立場」を優先させ...
まぁ、きっと、様々な事情があるのでしょう。
それに深く首を突っ込むことは、控えておきます。
「歴史教科書問題」を語る人々が「事実の探求」と「事実への...
16-May-2001
今日は、孫子の兵法について、お話したいと思います。
「孫子」という本は、有名なので、皆さんご存知かとは思いま...
…で、ここに記載された内容が、優れた兵法書であるとともに、...
その「孫子の兵法」の真髄とは、何なのか、という点について...
まず、「孫子」は言います。
孫子曰く、兵は国の大事なり、死生の地、存亡の道、察せ...
つまり、戦争は国の死活問題だから、よくよく熟慮せねばなら...
兵は詭道なり。孫子、計篇
戦争とは、詭道(正常な道に反した行い)である、と。
つまり、戦争自体がまともなことではないのだと、孫子は先ず...
そうして、個々の具体的な話になっていくわけなのですが、そ...
孫子曰く、凡そ用兵の法は、国を全うするを上と為し、国...
軍を全うするを上と為し、軍を破るは之に次ぐ。
旅を全うするを上と為し、旅を破るは之に次ぐ。
卒を全うするを上と為し、卒を破るは之に次ぐ。
伍を全うするを上と為し、伍を破るは之に次ぐ。
是の故、百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。
戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。孫子、...
「軍」「旅」「卒」「伍」とは、中国における軍隊組織のこと...
つまり、戦争の勝ち方としては、戦わずして勝つことが最も良...
まぁ、これは、普通の話ですね。
では、なぜ、そうすることが良いのでしょうか。
理由は簡単です。
人が死なないからです。
10人対10人で、両者全く同じ条件で、戦ったら、どうなり...
多分、最後に1人残るまで争いつづけるでしょう?
そうすると、死者は19人。悲惨ですね。
それよりは、20人全員生き残ってたほうがいい。当たり前の...
そのためには、
孫子曰く、昔の善く戦う者は先ず勝つべからざるを為して...
といい、
凡そ戦は、正を以て合い、奇を以て勝つ。孫子、勢篇
と、どんな卑怯な手を使ってでも勝て。というのです。
つまり、
1)正々堂々勝負して、両軍限界まで戦い、敵味方19人死亡。
2)卑怯な手を使ってでも自軍に有利な状況を作り出し、敵を...
3)さらにうまいことやって、戦う前に敵を全員降伏させた。
この3拓なら、明らかに3が最良の策なわけです。
こういった理屈から、「孫子」では、「誰でも勝てる状況の作...
どんなに腕っ節が弱くても、こういう状況を作り出すことが出...
これが基本です。もちろん、こういう状況を作り出す為に必要...
一方、この論理を、格闘技に当てはめてみましょう。
すると、状況は一変します。
格闘技だから、1対1としてお話します。
1)正々堂々勝負して、両者限界まで戦い、両者ヘトヘトなが...
2)卑怯な手を使ってでも自分に有利な状況を作り出し、敵を...
3)さらにうまいことやって、戦う前に敵が降参。
この3拓なら、どれが一番望ましいのでしょうか。
当然、1ですね。
この違いは何なの?という話になります。
実は、この違いが、「孔子」と「孫子」の違いなんだと、私は...
孔子は徹底して、1を推奨しました。
これも、理解できることです。
「孫子」と「孔子」の間にはこういう違いがあります。
(今、「孔子」を持ち出したのは、単に比較の為です。孔子で...
では、なぜこれが望ましいのでしょうか。
こういう例で考えてみます。
またまた格闘技の例です。
前提として、
対戦相手は、どの場合も全く同じ「強さ」である。
自分自身も当然全く同じ「強さ」である。
「強さ」と言っているのは、腕力・体力などの身体能力+格...
対戦相手は常に、真っ向勝負でいどんでくる。決して反則...
で、こういう条件で戦ってみます。
1)真っ向勝負。正々堂々と戦う。
2)反則攻撃(目潰し、金的、凶器、何でもあり)で戦う。
さて、だとすると、結果はどうなるでしょうか。
普通に言えば、1なら、結果はわからず、2なら自分が勝ちま...
この点は、孫子の語るとおりです。きっと、孔子の目にもそう...
…で、この時、2の勝ち方をして、凄いのかといえば、だれもそ...
なぜなら、「当然勝つ」事を知っているからです。
今度は逆に、2の条件で戦ったにもかかわらず、相手が勝った...
相手に対しては皆から拍手喝さいの嵐です。
なぜか。凄いからです。
凄いというのは、「普通なら負ける状況で、それでも勝った」...
孫子は言います。
戦い勝ちて天下善なりと曰うは、善の善なるに非ざるなり...
つまり、こういう状況です。
人が褒め称えるというのは、勝てない戦いだと思ったからです。
「人がそう思うような状況で戦争を仕掛けるな」
というのが孫子の主張です。
これは正しい。
さて、反則攻撃をした自分と、正々堂々と戦った対戦相手。
相手が勝ったなら、「強い」のはどちらでしょう。
当然、相手です。
逆に言うと、相手がどんな反則を用いても、正々堂々と迎え撃...
というのが孔子や釈迦やイエスやソクラテスや一般的な「正義...
まぁ、今は格闘技のお話でしたが、もっと全般的な、「精神」...
個人の「精神」の問題です。
一方、孫子は国家の「戦略」の問題です。
どちらも重要で、決してごっちゃにしてはならない、そういう...
だーいぶ、歴史の話からはそれました。
まぁ、いいや(爆)
29-Apr-2001
さて、今回は、「蛇の神様」をテーマにしてみたいとおもいま...
実はというと、hin(カヨ)さんが掲示板にて、吉野裕子『天皇...
(影響されやすい性格なんです…。)
…で、偶然その『天皇の祭り』を店頭で見かけたので、さっそく...
今回のお話は、そこを出発点に、かわにしなりに考えられるこ...
『天皇の祭り』では、「大嘗祭」(天皇の即位の儀式)の謎を...
1つには、「北極星」を中心とした中国の陰陽五行説から、
もう1つには、「蛇神」信仰から、「大嘗祭」を考察していま...
(hin(カヨ)さんの興味を持たれた「アジマサ」の話は、「蛇...
さて、日本には「蛇」の神様が意外(?)といます。
有名なところでは、「美和之大物主大神」。「大神(おおみわ...
また、『常陸風土記』に「夜刀神」という蛇の神様が登場しま...
他にも、探してみれば、かなりの数が見つかります。
さらに、考古学上の出土としては、いわゆる「竜環刀」という...
剣の束の部分に、「竜」のような(でも「竜」にしては貧弱な...
これも「蛇神」信仰の1つと見なせます。
また、各地の神社で、「蛇」を祭るものも少なくありません。
(また、吉野氏によれば、「ウカ」「ハハ」「カカ」等も蛇を...
と、言います。かわにしとしては、そうやって、神名の一部を...
という手法は、危険であると考えます。だって、たったの二文...
「ウカ」がつけば「蛇神」である、という論法が許されれば、...
「ウカヅクヌ」(出雲国造の祖とされる)は?ときりがないわ...
だから、そういったものは、あくまで、「そうとも釈れる」程...
で、私、「意外」と言いました。
と、いうのは、記紀神話にはほとんど、「蛇」の神様は登場し...
私が「記紀神話」と言っているのは、記紀の中でも、「神代」...
神武天皇以前です。
少なくとも、記紀編者は、神武天皇以降を「歴史」と認識して...
現在の研究者がどう見ようと勝手ですが、この根本の事実を忘...
記紀編者が「神の時代」と認識していた記紀の「神代」には、...
「蛇」が登場するのは、「素戔嗚(すさのを)の八俣大蛇退治...
あとは、「大国主神」と同一視された「大物主神」くらいです。
いずれも、天照大神を中心とする「天津神」の中枢の神ではあ...
むしろ、「国津神」に分類されます。
各地の「蛇」を祭る神社では、「蛇」は重要な、尊ぶべき存在...
いや、重要な尊ぶべき存在だから、祭っているんですね。当た...
でも、記紀神話の中枢には、「蛇」の神様は出て来ない。
もちろん、記紀神話は、「蛇」の神様を知らなかったのではな...
「蛇」の神様自体は登場するのですから。
…で、記紀編者も知らなかったはずがない。
その後の「歴史」部分では、何度か「蛇」にまつわる説話を収...
でも、中枢にはいない。
これは、どういったわけでしょうか。
答えは、簡単です。
記紀神話とそれを語る人たち(とくに天皇家)にとっては、「...
こういうことです。
でも、「蛇」を信仰の対象とする人々はいて、彼らは彼らなり...
記紀神話の中枢は「太陽神」天照大神です。
ですから、日本列島の古代には、少なくとも、
1、太陽神を信仰する一派
2、蛇神を信仰する一派
の2つの神話世界が存在したことが考えられます。
奈良県を考えてみましょう。
ここは、「美和之大物主大神」の地元です。
当然、この地の土着の信仰は、「蛇」系でした。
そこへ、異なる「神話」をもつ連中が入ってきた。
「神武東征」です。
彼らの掲げたのは「天照大神を中心とする記紀神話」でした。
私はこのように考えています。
さて、吉野裕子氏をはじめ、多くの「神話学」「民俗学」「文...
どうも、「日本列島の信仰は1つ」と考えておられるようなフ...
「蛇神」信仰がある=「大嘗祭」には「蛇神」が深く関わる。
と、彼女は即座に結び付けているようですが、
そこには微妙な問題が横たわっているように思えます。
(「北極星」関連も同じ)
もし、彼女の言うように、「蛇神」信仰が、天皇の即位の儀式...
かわにしは、その背景は、大和の土着の信仰が「蛇」系だった...
いずれにせよ、非常に興味深い問題です。
25-Apr-2001
どーも。
今回は、「在位年代」について考えてみたいと思います。
わたくし、以前にこんな「公式」を紹介したことがあります。...
在位年数=退位時の年齢-即位時の年齢
=没年齢-(先代が没した時の当代の年齢) …※
=没年齢-(先代の没年齢-先代との年齢差*)
=没年齢-先代の没年齢+先代との年齢差
※:どの天皇も死没によって代替わりが起こる。
*…先代との年齢差=先代の生年-当代の生年
これは、わたくしにとって興味深い「発見」でした。
数式としては、ごくごく当たり前のものだと思っています。
…で、「先代との年齢差」は、親子や兄弟などの、先代との続柄...
これを使えば、各天皇の在位年代が推定できる、というお話で...
この認識に至るまでには紆余曲折が有って、その裏話をすると、
かわにしは、始め、「在位年数の平均」から、各天皇の在位年...
これは、安本美典という学者の行った方法です。
安本氏は、「西暦元年以後の全世界の、歴史的に在位期間が確...
在位年数の平均を求め、これを指標として、日本古代の天皇の...
かわにしは、これに影響され、かわにしもこれら諸王の在位年...
平均を求めてみようと考えました。
というのは、ここでは詳しくは語りませんが、安本氏の行った...
かわにしは疑問を感じていたからです。
そうして、諸王の在位年数や、没年齢を収集しているうちに、...
実は、こんな計算をしながら、思ったことがあります。
それは、
親は必ず子より先に死ぬ。
ということです。
もちろん、「必ず」というわけではありませんが、
普通、そうなります。
逆に考えてみましょう。
もしも、子が親より先に死んだ場合、これは、言うまでもない...
親の悲しみは計り知れません。
ですから、「親は必ず子より先に死ぬ」というのは、言ってみ...
「自然の摂理」のようなものです。
そうすると、こういう言い方も出来ます。
子は必ず親の死を経験しなくてはならない。
これも「自然の摂理」です。
人には「強い心」も「弱い心」も必要です。
私は、最低限持っていなければならない、「心の強さ」を知っ...
わたくしの親は、おかげさまで、健在です。
きっと、まだまだ、生きてくれるでしょう。
それは、願わくば、遠い未来のことであって欲しいけれども、
私は、親の死に耐えられるだけの、「強さ」を身につけたのだ...
…だいぶ、古代史の話からそれてしまいましたね。
機械的に人の死を「データ」として収集していたら、
こんな気分になってしまいました。
(世界の諸王については現在も収集を行っています)
「独り言」のコーナーだから、こんなのもいいでしょ?
(収集したデータと安本氏の在位年代推定の方法に対する批判...
20-Apr-2001
今回は、日本の古代史をちょっと離れて、
ギリシア神話についてお話したいと思います。
…と、言っても、私、ギリシア神話の専門家ではございません。
ホントに語るなら、せめてギリシア語くらい読めるようになっ...
ギリシア神話を語る原典に直接ぶつかってから、にすべきなん...
今回のお話は、あくまで、市販の「ギリシア神話」、
具体的には、岩波文庫のアポロドーロス『ギリシア神話』(高...
私なりに思ったことを、書いてみようと思います。
さて、まず、私が気のついた点は、この「ギリシア神話」には、
「人類の祖先が何パターンか紹介されている」という点です。
まず第一には、冒頭部分です。
天空(ウラーノス)が最初に全世界を支配した。大地(ゲ...
この後、大地(ゲー)によって、ティターン族と呼ばれるもの...
このあらすじは、かなり有名で、ご存知の方も多いでしょう。
ギリシア神話の骨子をなす、重要な部分です。
…で、このほかに、こんなお話があります。
プロメーテウスは、水と土から人間を象り、ゼウスに秘し...
…(中略)…
プロメーテウスに一子デウカリオーンが生れた。彼はプテ...
…(中略)…
デウカリオーンは九日九夜箱船に乗って海上を漂い、パル...
ここには、2種類の「最初の人間」が描かれています。
1は、プロメーテウスとパンドーラー。プロメーテウスは、「...
パンドーラーは、神々によって作り出された、最初の女です。...
2は、デウカリオーンとピュラー。彼らは、「神の災難」を逃...
「人間」を生み出しました。
さて、この2つの神話、『聖書』の「アダムとイブ」「ノアの...
もちろん、どちらが先か、という問題ではなく、
(おそらく、そのような問いは不当です。これは、多分中東(...
こういった形態の神話をも、「ギリシア神話」は持っている、...
さて、「アポロドーロスのギリシア神話」を読むと、そのメイ...
前述の「デウカリオーン」につづいて、「イーナコス」「アゲ...
それから、→の後ろは、その系図の最後の人物です。
1、デウカリオーン…へレーン(「ギリシア人」を意味する「ヘ...
2、イーナコス…ベレロポンテース(キマイラ退治)、ペルセウ...
3、アゲーノール…ミーノース(迷宮-ラビリンス-を持つ王)と...
4、ペラスゴス…カリストーとアルカス(大熊座の神話)
5、アトラース…アトラース(天を支える巨人)、ヘルメース(...
6、アーソーポス…→アキレウス(「アキレス腱」の人)
7、アッティカの諸王…→テーセウス
8、ペロプス…→アガメムノーン
系図の最後は、「イーリアス」の英雄でしめられます。
彼らの活躍を以って、「アポロドーロスのギリシア神話」は、...
ギリシア神話の英雄は数多いですが、それらの英雄が、一堂に...
いくつかあります。
ひとつは、有名な「アルゴー遠征」。
イアーソーンを筆頭に、カストールとポリュデウケース(双子...
そのちょっと前に、「カリュドーンの猪狩」という説話があり...
ここにも、メレアグロス、イーダースとリュンケウス、カスト...
…彼らを黄金時代として、その前後を、「アポロドーロスのギリ...
(もうひとつの「英雄」-「イーリアスの時代」は、このギリシ...
単純に、これら「黄金時代」の英雄たちが、同時代、そう仮定...
そうすると、この「ギリシア神話」の世界が、実は、壮大な年...
こういった、時間的重層性を持つものが、「神話」、つまり、...
少なくとも、この「ギリシア神話」の最終段階-「イーリアス」...
…で、あれば、「アルゴーの遠征」は?「カリュドーンの猪狩」...
それらに両方参加したとされる、ヘーラクレースは、実在の人...
本当の意味で、これが「作り話」だとも、「史実」だとも、証...
もちろん、「実在のヘーラクレース」が、不死身だったり、ヘ...
要は、そのようにして、自らの功績を語った、実在の「英雄」...
そういう思いで見ると、「ギリシア神話」も、歴史家にとって...
もちろん、同じことが「聖書」や他の神話にも言えます。
「神話」は「作り話」とバッサリ切り捨てることが、「近代的...
ちょうど、「近代」が指す時代が古くなるように。
「神話学」「比較文化学」「民俗学」大いに結構。
でも、そろそろ、「歴史学」も「神話」に参入してもいい気が...
そういう思いの「歴史家」がたくさんいることを信じて。
12-Apr-2001
はじめまして。
えー、Historicalを開設して、始めての「独り言」です。
今までは、わたくしの数少ない(苦笑)友人に、メールで書き...
他愛もない「よしなしごと」を、今後はこの場に書き綴ってみ...
さて、今回は、「魏志倭人伝の疑問」についてお話します。
すでに、古田氏が『「邪馬台国」はなかった』を著してから、...
それでもなお、「魏志倭人伝」には謎が残ります。
それを、提示してみようと思っています。
まず、「至」の用法について。
古田氏は、『三国志』の「至」の用法について、以下のように...
進行を表す動詞+「至」…主線行路。
「至」のみ…傍線行路。
大まかに言うと、こういうことです。
だから、「奴国」と「投馬国」は、傍線行路だ、と見なされて...
でも、最終目的地の「邪馬壹国」は、このように記されていま...
「南、邪馬壹国に至る。女王の都する所。水行十日、陸行一月」
これは、どういうことでしょうか。
古田氏の理解に従えば、この「邪馬壹国」も傍線行路です。
終着点だから、こういう表現なのでしょうか。
それにしても、不思議です。
「女王の都する所」以外は、前の「投馬国」とまったく同じ記...
これでは、「邪馬壹国」も実は傍線行路なんじゃないの?
という疑問が浮かんできます。
第2は、今も出てきました。「投馬国」です。
ここだけ、他と距離の記載方法が異なります。
里程ではなく、日程を示しています。
古田氏は「邪馬壹国」の直後の「水行十日、陸行一月」を、
帯方郡治→倭国の首都への総日程と見なしていますが、
「投馬国」の「水行二十日」は、部分日程なのでしょうか。
これも不思議です。
私には、正直言って、「邪馬壹国」と「投馬国」の記載方法に、
まったく違いがないことを不審に思っています。
「女王の都する所」の一句があるかないか、だけで、
両国はそんなに違うものなのでしょうか。
「邪馬壹国」と「投馬国」、いったい何が違うんだ、という疑...
両者は並列なのではないか、という、観念にとらわれます。
まあ、今回のお話は、わたくし自身にも、どうにも答えが見つ...
よくわからないところです。
ただ、奇妙だ、という印象があります。
いずれ、答えが見つかるでしょう。
それまで、ゆっくり考えるとしましょう。
31-Mar-2001
久し振りに「古代史」の話、します。
「天(あま)」と「空(そら)」の違いについて、です。
まぁ、わたしたちが通常使うのは、「空」ですよね。
でも、記紀(古事記と日本書紀)神話の世界では、
普通、「天」です。
そこには微妙な概念の違いが見え隠れしますが、
広い意味では、「天空」、どちらも指すものは同じです。
でもニュアンスは違う。
なぜなんでしょうか。
その前に、「あま」という概念のお話をします。
「高天原(たかまがはら)」と呼ばれる世界が、
記紀神話には登場します。
そこには、イザナギ・イザナミ、天照大神(あまてるおほかみ...
スサノオは悪事を働いた為に、「根国(ねのくに)」という世...
根国に行く途中、スサノオは「出雲」にたちより、そこでヤマ...
また、その時助けたスセリ姫と結婚しました。
その子孫が大国主(おほくにぬし)という神様で、出雲を支配...
その後、天照大神は、大国主に対し、「国譲り」を勧告します。
大国主はこれに従い、隠居し、天照大神の孫、ニニギが
「日向高千穂クシフル峯」に降臨しました。
いわゆる「天孫降臨」です。
…で、ニニギの子孫が「天皇家」である。
というのが、記紀神話のあらすじです。
ここでいう「高天原」「根国」「出雲」「日向」はどこか、と...
とはいえ、「出雲」だけは決定してますが。
その議論には二つの「流派」があります。
ひとつは、「地上」であるとする説。
これは、それぞれの地名は、実在する地上のどこかの地名であ...
それぞれに対しては、以下のような説があります。
高天原…大和・筑後(甘木)・壱岐・韓国・中央アジア
根国…出雲
日向…日向(宮崎県)・日向(鹿児島)・筑前
などです。
もうひとつは、「神話概念」であるとする説。
つまり、高天原は「天空」、根国は「地底」、中間の出雲・日...
で、いずれが正しいか、という議論になりがちですが、
どちらも正しいとかわにしは思っています。
実は、地上の地名である痕跡と、神話概念である痕跡、
両方が記紀神話から見出せるからです。
かわにしは、記紀神話の原型が出来あがったのは、
弥生時代だと思っています。
ついでに言うと、「天孫降臨」は、弥生時代前期の実在した事...
…で、記紀が書かれたのは7世紀。
この間、600~800年近い月日が流れています。
もちろん、神話は、その期間、伝承されてきた。
この間に、概念が整備され、世界観がより神話として洗練され...
容易に想像できます。
さて、常識的に考えてみましょう。
神様が地上にいるという概念と、天空にいるという概念、
どちらがより神話的でしょうか。
どちらがより神秘的でしょうか。
もちろん、天空に居た方が神秘的ですよね。
では、1)神様が地上にいると語る神話から2)神様が天空に...
そうすると、1)と2)では、1)の方が古いと考えることが...
これは、古田武彦の受け売りになりますが、
こういう、「神話の年代推定」は、やってみるといろいろ面白...
たとえば、「世界の起源」神話です。
こんな種類があります。
1)神話では世界が出来あがる様子は描かれていない。
→神話の冒頭から、世界には「空」や「雲」や「大地」が描...
2)世界の始めは混沌としていて、次第に「自然に」世界が形...
3)まず、神(創造主)がいて、その絶大な力によって世界が...
例えば、ギリシア神話などでは、2に近い形です。
聖書では3に近いでしょう。
これらも、例えばギリシア神話にしても、聖書にしても、
それ以前の様様な神話を土台にして、完成された世界です。
でも、「神話概念」としては、1)→2)→3)の順に「洗練さ...
(例えばギリシア神話や聖書などでも、よく読んでみれば、こ...
つまり、人間の「概念」も、日々進化しており、その痕跡によ...
例えば、「土器」の年代推定をするのと同じように、
「神話」の年代推定をしてみよう、というわけです。
(もちろん、聖書よりギリシア神話の方が古いから、聖書より...
神様自体についても同じです。
1)人間と同じ能力しかない神様。
2)不老不死・全知全能な神様。
とでは、1)の方が古いはずです。
で、だいぶ話がそれましたが、そういったわけで、
記紀世界では地上の「天」と天空の「天」が共存しています。
これとは異なる世界があって、
「そら」という概念です。
これが神話に一切出てこないのは、なぜでしょうか。
簡単ですね。「そら」は単なる「自然」だからです。
いや、正確に言うと、「そら」は出てきます。
「虚空津彦(そらつひこ)」これは、「天津彦(あまつひこ)...
古事記に出てきます。「皇太子」みたいな称号です。
ここには、明確に「天(あま)」>「空(そら)」という格付...
といったわけで、「天」と「空」の違い、お解りいただけまし...
じゃ、今日はこの辺で。
27-Mar-2001
えー、たまには、時事ネタもお話しようかと思います。
アフガニスタンのタリバン政権が、
世界的な遺産・バーミヤンの石仏を破壊したって言うニュース...
あれは、歴史に興味のある人間にとっては、衝撃のニュースで...
ハッキリ言って、「歴史犯罪」です。
表向きの理由は、「偶像崇拝」だそうです。
でも、そんなことはどうでもいいんです。
いかなる宗教上の理由であっても、あれは「犯罪」です。
それは、いかなる宗教上の理由があろうとも、
「殺人」を許さないのと同じことです。
そうです。「殺人」と同じことなんです。
たとえ、彼等にいかなる力があっても、
彼等に1500年の歴史を復活させる力がありますか?
もはや、1500年前の石仏そのものはよみがえりません。
まぁ、今の科学技術を持ってすれば、
1500年前の石仏のそっくりさんを作ることは出来るでしょうが、
「歴史」にとって、それはあまり意味のあることでは有りませ...
もう、彼等がどんなに悔やんでも、取り返しはつきません。
…悔やみそうにもないですが…。
弁償は出来ません。
これが冷酷な事実です。
きっと、彼等にはそう言う自覚はない。
今更遅い。
まあ、感情的になっても仕方有りませんね。
彼等の真の意図は、二つあるといわれます。
ひとつは、国外に、(国際的に孤立した)アフガニスタンの深...
アピールする目的があるらしいです。
もうひとつは、国内に、彼等の正統性をアピールする、つまり、
彼等の掲げるイスラム原理主義が正しいことを知らしめる、そ...
残念ながら、どちらをとっても、
わたくしには、スケールの小さいことに見えます。
貧乏だから人殺しが許されますか?
人殺しをしなけりゃ正しさがアピールできない正義があります...
…そんなことを、ここで語っても仕方ないですが、
なんとも、やりきれない気持ちです。
もう、謝っても許してあげない。
そんな感じですが、ね。
「歴史的遺産」より「現代の人の命」が優先だ、と、
彼等は言いたいらしいが、それは論理のすり替えってもんです。
国際社会には、そういう厳しい態度で臨んでもらいたいもので...
話は変わりますが、
もう、そろそろ、地下鉄サリン事件から6年の月日が流れ、
当時の被害者の方のカルテが、その保存期間を終えようとして...
どうやら、政府(厚生労働省)としては、そのカルテの処理に...
なにも指示しようとはしてないらしいです。
つまり、病院側が捨てようと思えば、別に捨ててかまわない、...
これも「歴史犯罪」だと思うんですよね。
日本にとって、いや、世界にとって前代未聞の事件です。
誤解を恐れずに言うと、医学界にとっても、「貴重な」サンプ...
他に「サリン」なんていう毒物の人体に及ぼす影響を示す史料...
今後、もしも、同様な、事件・事故に人々が巻き込まれた場合...
被害を最小限に食い止める為には、
このデータを大事に取っておく必要があるはずなんです。
少なくとも、この人類史上稀に見る「凶悪犯罪」を、
後世まで、人類の教訓として語り継ぐ為には、欠かせない、「...
再発防止の為にも、わたしたちが学ぶべきことの多い、
貴重な「歴史史料」になり得る、そういうものです。
もちろん、被害の実態解明、今後の被害者の方への保障、
そういう直接的な意味でも、最も重要なデータであることは言...
それを、廃棄する。
これは、わたしたちにとって、大きな損失です。
これを何も言わず、何もせずに、黙って見過ごす、
そんなことをこの国の政府がしようというなら、
これは、「歴史犯罪」です。
「未必の故意」というやつです。
時期としては、今や、もう、ぎりぎりのタイミングになってし...
(もちろん、保存期間が切れるのは、最後の治療から数えて、...
全部が廃棄されるわけではないですが)
ちょっと、何とかしてほしいものです。
今日は、随分、社会派な、かわにしでした。
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