小田翔子、Isabel Reynolds
2023年7月3日 11:15 JST
ＩＡＥＡのグロッシ事務局長、４日から日本を訪問
海は「日本の私的な下水道ではない」－中国外務省報道官
東京電力福島第一原子力発電所のタンクに保管されている100万立方メートル余りの処理水を海洋に放出する計画について、日本政府は規制当局の許可を得る見通しだ。放出を巡っては中国を含む近隣諸国でも物議を醸している。

　　国際原子力機関（ＩＡＥＡ）のグロッシ事務局長は４日から日本を訪問し、海洋放出プロセスの安全性に関する評価を盛り込んだ包括報告書を岸田文雄首相に提出するほか、林芳正外相らと会談する予定。日本の原子力規制委員会も放出設備の使用前検査を開始し、最終確認を行っている。

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処理水を保管するタンクPhotographer: Philip Fong/AFP/Getty Images
　　ＩＡＥＡと原子力規制委員会の安全性に関する評価は、東京電力が計画する海洋放出を後押しするものとなりそうだ。放出される処理水は五輪の競泳用プールの約500杯分に相当する。2011年の東日本大震災と津波によって破壊された同原発の廃炉を進める上で海洋放出は必要な措置だと日本政府は説明している。

　　日本は他の国々に海洋放出の安全性を保証し、業界の慣行に沿ったものだと説明。約1000基の保管タンクが24年初めに満杯になるため必要だとしている。だが日本の外交的取り組みにもかかわらず、放出計画は一部の国々との関係を複雑化させている。

海洋放出は一般的
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出典：環境省、経済産業省

　　中国外務省の汪文斌報道官は先月、海は「日本の私的な下水道ではない」と述べ、海洋放出は近隣諸国や太平洋の島しょ国にリスクを突き付けると警告した。韓国では放出による海洋汚染で将来の供給に影響が出るとの懸念から消費者が海塩の買いだめに走り、需要が急上昇した。

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　　韓国政府は放出計画に公に反対してはいないが、読売新聞と韓国の韓国日報が５月に実施した世論調査では、回答者の84％が反対と答えた。オーストラリアやフィジーなど18カ国で構成する太平洋諸島フォーラム（ＰＩＦ）は日本に対し、海洋放出の代替策の検討を要請するとともに、リスクに関するさらなる議論を呼び掛けた。　

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ソウルで行われた海洋放出に反対するデモPhotographer: Anthony Wallace/AFP/Getty Images
　　日本政府は放出開始の具体的な日時はまだ設定しておらず、懸念を和らげるため漁業関係者を含む地元住民らとの話し合いを続けるとしている。公明党の山口那津男代表は２日、海洋放出する時期に関し、「直近に迫った海水浴シーズンは避けた方がよい」と述べたと、日本経済新聞が３日付朝刊で報じた。