電動キックボード法改正で免許不要に

電動キックボード法改正で免許不要に 事業者にはとまどいも【WBS 角谷キャスター追跡】

7/10(月) 8:28配信
テレ東BIZ

電動キックボードに乗る角谷キャスター

7月1日に改正道路交通法が施行されました。新たに特定小型原動機付自転車という枠組みが設けられ、最高時速20キロ以下など一定の条件を満たした電動キックボードを16歳以上であれば、運転免許がなくても運転できるようになりました。事業者にとっては利用者が増えるなど、ビジネスチャンスが期待できるはずですが、手放しで喜んでいるというわけではないようです。

7月最初の日曜日、東京池袋の公園で行われていたのは、電動キックボードの安全講習会です。主催は電動キックボードなどのシェアサービスを展開する「Luup」と池袋警察署。新しい交通ルールを広く知ってもらうことが目的です。

Luupの池上翔さんは「これまでのルールと違う乗り方になるわけですし、まずは安全性を確保して、安心して乗れる乗り物に育てていくことが重要」と話します。

今回の法改正の最大のポイントは、16歳以上であれば運転免許なしで電動キックボードに乗れるようになったことですが、安全性に問題はないのでしょうか?

角谷暁子キャスターが訪れたのは「SQUARE Mobility」。神奈川の湘南エリアで電動キックボードのシェアサービスを行っています。年齢などを確認するため電動キックボードを借りる際に、顔写真入りの身分証明書が必要です。さらに、交通ルールを学ぶテストを受ける必要があります。

テストの問題は、「一方通行標識に『自転車を除く』と表記されているとき、特定小型原動機付自転車は一方通行標識にしたがわなければならない」といったもので、など全部で12問。全問正解しないと手続きができない仕組みです。

「面倒だと利用をやめてしまう人もいるのでは?」(角谷キャスター)

「交通安全テストは最低限必要なことなので、ぜひこなしてもらいたい」(シェアサービスを運営するサンオータスの中村直取締役」)

また、ヘルメットの着用は努力義務ですが、SQUARE Mobilityでは安全性を高めるために着用をすすめています。法改正で一定の条件を満たせば、自転車の走行が許可された歩道も走れますが、このシェアサービスでは、自主的に車道のみの走行を義務付けています。
現場では期待と戸惑い

「SWALLOW」では商品を発送する際に交通ルールが分かるDVDやリーフレットを同梱している

安全性確保のため、工夫を重ねるシェア事業者。しかし、それ以上に難しい対応を迫られているのが、販売事業者です。電動キックボードを販売する「SWALLOW」では新ルールに合わせたモデルの出荷を7月1日から始めました。

「商品を発送する際に、交通ルールが分かるDVDやリーフレットを必ず同梱するように決められている。これを急きょ作成して1台1台梱包して、送っている」(SWALLOWの金洋国代表社員)

運転免許という担保がないため、交通ルールの周知は販売事業者の役目です。

「販売店の責任が今回かなり大きくなっているので、負担はやはり大きくなっている」(金代表社員)

電動キックボードを開発しているメーカーも、市場が広がる期待とともに不安ものぞかせます。

「免許の手続きを踏んでいないので、交通ルールを勉強する機会がない。ルールを知らないので、もしかしたら悪い方向の世論だけ広がってしまうのではと危惧している」(glafitの鳴海禎造社長)

現場に期待と戸惑いをもたらしている今回の法改正。なぜ『免許不要』が認められることになったのでしょうか?

「今までの道交法上の車両の区分に必ずしも当てはまらない新しい乗り物が出てきたときに、イノベーションを阻害しないことが目的。電動キックボードのうち、性能上の最高速度と車体の大きさが自転車並みであるなど、一定の基準を満たすものに限って自転車と同様の交通ルールを課すことになった」(警察庁交通局交通企画課の田中真実理事官)

小型モビリティが広がる中、規制によって、その発展を妨げないことを考慮したといいます。

「今回の法改正では、特有のルールを定めているので、正しく周知することでルールが明確化。交通安全教育・取り締まりをしっかりと進めていきたい」(田中理事官)

※ワールドビジネスサテライト


認証コード(5470)

a:5 t:1 y:0