韓国、中国、そして日本のマスコミ…原発処理水

韓国、中国、そして日本のマスコミ…原発処理水「反対したいだけの人たち」のヤバすぎる思考回路

科学的な知見を無視

福島第一原発の処理水放出をめぐっては、中国や韓国の野党、国内の一部勢力などが反対してきた。夏にも放出開始とされるが、科学的な知見を無視して反対を続ける背景は何か。

処理水放出については、7月4日国際原子力機関(IAEA)が最終的な報告書を公表した。

その報告書で、IAEAは、日本の一連の処理は国際的な安全基準と整合的で、処理水の海洋放出は人及び環境に与える放射線の影響は無視できるものと結論付けた。

まず、「汚染水」と「処理水」は異なる。「汚染水」は、多くの放射性物質を含み事故後原発建屋内で発生したものだが、「処理水」は、ALPS(多核種除去設備)などを用いて浄化処理を行うことによってトリチウム以外の放射性物質について環境放出の際の規制基準を満たすまで浄化した水だ。意図的なのか、一部のマスコミは両者を混同して表記していた。

問題があるとすれば除去しにくいトリチウムだ。除去しにくいのは一般的な水素と同じように酸素と化合して水分子を構成するからだ。実際身の回りでは水分子に含まれるかたちで存在するものが多く、大気中の水蒸気、雨水、海水、水道水にも含まれている。

ただ、トリチウムは放射線の一種であるベータ線を出すが、エネルギーは非常に弱く空気中を5mmしか進むことが出来ず紙一枚で遮蔽が可能だ。また、トリチウムを含む水は、生物学的半減期が10日で、体内に取り込んだ場合も速やかに体外に排出され、特定の臓器に蓄積することもない。なお、物理的半減期も12年と短い。

このため、韓国や中国を含め世界中の原子力施設から、福島の処理水より高濃度のものが現に放出されている。それによる健康被害は報告されていない。
外交プロパガンダを垂れ流す

次の資料は、筆者が7月8日に放送されたABC「正義のミカタ」に使った資料だ。それとともに、トリチウムの健康への影響が少ないことも、物理の授業風に説明した。

ここまで説明すれば、科学的な問題のないことがわかるが、さらに念には念を入れ、政府は、IAEA(国際原子力機関)の専門家らにも安全性の検証を要請してきた。

これまでの検証作業でも問題はないが、5月29日から6月2日まで最終的な報告に向けて、IAEAはアルゼンチン、オーストラリア、カナダ、中国、フランス、韓国、マーシャル諸島、ロシア、米国、英国、ベトナム出身の11名の国際専門家からなる調査団を福島に派遣して総括的な調査を行なった。

その包括的調査を踏まえてIAEAは、冒頭に述べたように7月4日に最終的な報告書を公表した。

しかし、中国だけはまだ反対している。対抗措置として日本の農産物の輸入を制限する要だ。さすがに韓国はトーンダウンしてきた。もはや中国の反対派は科学でなく、単に日本の風評を貶めるという、外交戦、外交プロパガンダだ。

日本政府は、『中国は科学のわからない国』であると、猛烈に反撃しなければいけない。でないと、日本の国益が確保できない。
反対すること自体が存在意義に

また、IAEAによる最終的な報告書が出ても、一部の左派国内活動家は反対し続けている。それはもはや科学でなく、反対すること自体が活動家としての存在意義と化している。

連鎖するように、一部の関係者は受け取る賠償を引き上げる「公金チューチュー」の類もいる。いずれにしても、原発に関連することはなんでも反対することが「活動」だからだ。

ここには、一部マスコミも加担している。言ってみれば、風評被害を拡大しているわけで「イジメ」と同じ構造だ。これまでどのようなジャーナリストやマスコミが何をやってきたのかを検証することも必要だろう。

7月8日の東京新聞は酷い。「原発処理水の放出にお墨付き…IAEAは本当に「中立」か 日本は巨額の分担金、電力業界も人員派遣」という記事だが、前提となる事実が間違っている。日本の分担金は加盟国中第2位と書かれているが、データが古すぎる。

正確には日本は米国、中国に次ぐ3位である。中国が分担金を払っていると、記事の根拠がなくなるので、意図的に古いデータにしたのかしれない。いずれにしても、デタラメのデータで書かれた記事だ。

さらに、公明党山口那津男代表の7月2日の発言「公明 山口代表“処理水放出の開始 海水浴シーズン避けるべき”」も酷かった。まるで、山口氏が風評加害者になっている。この発言について、山口氏は取り消しすら行わず、趣旨が違うと弁明したまでだが、トリチウムのプールに山口氏を放出し泳いでもらわなければ、風評被害は挽回できないだろう。

筆者は、中国が徹底抗戦するので、それを政権内から山口氏が側方支援したのではないかと邪推している。この発言にはさすがに自民党内や財界からも批判が出た。

いずれにしても中国の仕掛ける外交戦に、国内の親中勢力の政治家、マスコミは連動しているのであろう。
中国が狙う「日本国内分断」

中国の外交戦は処理水問題だけでない。河野洋平元衆院議長と玉城デニー沖縄県知事を招いて「国内分断」を狙っている。

7月5日、河野氏が会長を務める日本国際貿易促進協会の代表団が訪中し、沖縄県の玉城デニー知事も参加した。李強首相と面会したことが報じられた。

河野氏と玉城知事は共に李強首相と面会したが、同行筋によると玉城氏は日中の友好強化、アジアの繁栄と安定に貢献したいとし、尖閣問題に言及せず李氏からも尖閣の領土主張はなかったという。

玉城知事は中国訪問に必要な査証(ビザ)取得の手続き緩和や中国-沖縄間の直行便の再開を要請。李首相は前向きな姿勢を示したという。

玉城知事が周祖翼福建省書記と会談後 「交流の重要性を改めて確認した。互いが理解し、交流し合う事で平和な環境を作り出し、維持していく」とした。

一連の出来事は中国にとって好都合だ。沖縄県知事なら尖閣海域侵入で抗議するのが当然だが、自分達には頭を下げ海域侵入の黙認をした。一方で、沖縄の在日米軍や自衛隊にはあまり好意的でない。

孫子の兵法に「百戦百勝は善の善なるものにあらざるなり。 戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」 という言葉がある。これが有名な「戦わずに勝つ」だ。
政府は甘い

そのためには、まず日本で影響力のある人に親中政策を働きかけ、次に親中政策を実施して中国なしでは存続できないような関係を作り、最終的には中国の属国化(植民地)又は一部(併合)とならざるを得なくなるように仕向けるのだろう。

さらに、沖縄は海洋進出を企てる中国の覇権主義には重要な要衝だ。歴史的にも中国の影響下だった時代もあるので、中国にとっては与し易いのだろう。その沖縄の県知事が玉城氏である。

玉城氏が日本国際貿易促進協会の訪中団に参加するのは2回目だが、前回2019年には胡春華副首相に会ったが、今回は李首相に格上げになった。相当な厚遇だ。

当面の話として、台湾有事もある。これも中国は「戦わずに勝つ」戦略だろうが、それが叶わない時には台湾有事はあり得る。その場合、日本有事でもある。その時沖縄県での自衛隊基地や在日米国基地が重要になる。

行政権を持つ県知事が各種手段を行使すれば、それらの活動に支障が出ないともいえない。

そうした場合に備えての今回の玉城知事に対する中国側の厚遇と見れなくもない。少なくとも政府と沖縄県を二分するような揺さぶりであることは明らかだ。

しかしながら、政府は甘い。松野博一官房長官は6日の記者会見で、今回の河野洋平氏と玉城沖縄県知事が訪中し李強首相と会談したことに関し「歓迎する」としている。「歓迎」ではなく、「地方知事の行動にはコメントしない」とすべきだった。
安倍元首相の暗殺から1年

米政府は、中国渡航について四段階のうちレベル4(渡航不可)の次のレベル3(渡航再考)として警戒している。その理由は、中国の反スパイ法であり、その恣意的な執行により不法拘禁のリスクがあるからだ。

しかし、日本政府がビザ手続き簡素を「歓迎」というのはあまりに国際感覚としてズレているだろう。

7月8日は安倍晋三元首相が暗殺されてから1年になる。安倍元首相は毅然として中国の外交戦と闘った政治家だった。今の状況をみると、日本に本当に必要な人であることがわかる。惜しい政治家を失ったものだ。


認証コード(5420)

a:7 t:1 y:0