6時間以下なら、徹夜と同じ!?睡眠時間と作業効率の関係

6時間以下なら、徹夜と同じ!?睡眠時間と作業効率の関係

6時間以下なら、徹夜と同じ!?睡眠時間と作業効率の関係

以前、「寝不足になると老廃物が脳に溜まって、アルツハイマーの引き金になる」という神経科学者ジェフ・イリフ氏のスピーチが話題になったが、ここで紹介するのは「ELITE DAILY」に掲載された、より詳しい「睡眠」についての記事。

寝不足のレベルに応じて、どの程度能力に影響が出たのかを計測したというものだ。

例えば、6時間睡眠と聞くとどう感じるだろう?実は毎日睡眠をとっていても、2日間徹夜している人間の判断力と変わらないほど能力が落ちているのだそうだ…。

必要な睡眠時間を調査

ペンシルベニア大学とワシントン州立大学で行われた実験では、1日平均7~8時間睡眠をとる健康な男女を48名集め、4つのグループに分けた。1組目は3日間眠らずに過ごしてもらい、それ以外に関しては、4・6・8時間とそれぞれ決まった睡眠時間をとって生活してもらった。

彼らの心身の状態を2週間にわたり記録したところ、睡眠不足になる具体的な時間がどれくらいなのかがわかった。

調査の結果、8時間しっかり睡眠をとった人々は、実験の14日間、認知機能・注意力・運動神経ともに全く低下しなかった。一方で、4時間と6時間のグループはというと、日を追うごとに着実に身体機能が低下していった。

最も能力低下が大きかったのは4時間睡眠のグループだったが、6時間睡眠のグループもさほど大差はなかった。その内容を分析することで2つの注目すべき発見があった。

1つ目は、寝不足が累積されるということ。睡眠不足は「神経」の疲弊でもある。1週間もたつ頃には、6時間睡眠のグループは1日中、睡魔に襲われながら過ごすようになった。

2週間後、6時間睡眠のグループのパフォーマンスは2日間徹夜で過ごしたグループと同じレベルまで低下した。

もし、6時間以下の睡眠を毎日続けているのであれば、あなたの精神と身体能力は、2日間寝ないで過ごした後の状態と同じということになるのだ。

2つ目は、能力の低下には自分で気づくことが出来ないということ。能力低下は最初の数日のみではなく、日に日にどんどん落ちていった。寝不足が進んでいくと、自分自身でも問題のあるジャッジをするようになった。自分では気づかずとも、パフォーマンスは確実に落ちていくのだ。

寝不足の代償は

年間1000億ドル

多くの人が仕事のために睡眠不足に陥り苦しんでいる。しかし、皮肉なことに長い時間働くことに価値はないのかもしれない。能力を落としているだけだから。

アメリカに限って言えば、睡眠不足で生産効率を落とすがゆえに失われている金銭的価値は、毎年1000億ドル(およそ12兆4000万円)にも及ぶと言われている。

ワシントン州立大学の睡眠調査センターのディレクターGregory Belenky氏はこう語る。

「考えなくてもいい仕事をしていない限り、睡眠不足で働くことに意味は無い。能力を犠牲にして生み出した時間を使っているだけなのだから」

では、どうやって寝不足を判断すればいいのか。多くの調査を俯瞰して見てみると、7時間から7時間半程度の睡眠時間が鍵になっている。95%の科学者によって語られる適切な睡眠時間は、7?9時間だ。7時間以下の場合、精神的にも身体的にもパフォーマンスは落ちると言えるだろう。

レム・ノンレム睡眠は

心身ともに影響アリ

スタンフォード大学のバスケットボールプレイヤーを調査した結果がある。通常8時間ほどの睡眠をとっている選手たちに、5週間、10時間睡眠をとってもらった。その上で、パフォーマンスの正確さや、スピードを測定した。

結果、フリースローの成功率は9%向上、スリーポイントの成功率は9.2%向上、80mのスプリントでは0.6秒時間が縮んだ。ノンレム睡眠が呼吸を整え、血圧を下げ、筋肉を修復したり、細胞を活性化させているようだ。もしもシビアに身体能力を問われる環境であれば、ノンレム睡眠の長さはとても重要になるのだとか。

一方、レム睡眠はというと精神に強い影響がある。脳が活発に動いているため、夢を見たり、外部の情報を認識して、過去24時間以内の体験と連動させて必要のない情報を消し、重要度の高い記憶を強化する。

これが正常に行われないと、頭の中が霞がかかったようにモヤモヤする感覚に襲われる。心拍数や血圧にも影響があるため、免疫が弱くなり、感染症にかかりやすくなり、体重が増え、糖尿病や高血圧、心臓病、精神疾患のリスクも上がる。最悪の場合は死に至ることも。

いい睡眠をとるには?

いくつか良質な睡眠を取るためのヒントもある。

まず、寝付きの悪さを改善するために一番最初にするべきことは、カフェインを断つこと。どうしても朝の1杯がないと仕事に行けないという人は、正午以降は控えるようにしよう。ベッドに入るときには効果も十分に薄れているはず。

そして、ストレスを溜めないことも大切。不眠症の原因の50%は感情やストレスによるものだそうだ。はけ口を見つけてストレスを溜め込まないことが吉。

次にできることは、寝室の環境づくり。暗くて涼しくて、静かなのがいい睡眠に必要な条件だ。温度は18-21度がよく、テレビやラップトップはもちろん、電気を消して本も読まないこと。ベッドルームに入ったらすぐに寝ることが大切だ。

もうひとつ、ベッドに入る時間を決めることも大切。人間の身体は習慣を好むので寝る時間と起きる時間を揃えてあげよう。

さらに、睡眠の質を上げる努力をしたら、今度は朝対策だ。1番の方法は十分な睡眠時間を取ることだが、他にできることといえば、大きなカップ1杯の水を飲むこと。単純に6時間以上も水分を摂っていない状態なので、気だるさやフラつきがあるときは、脱水状態であることもある。だから、冷たい水を一杯飲むだけでスッキリ起きれることも多いものだ。

その他、朝日を浴びることもコーヒー以上に効果が見込めるはず。

これまでも様々な調査や研究結果があるが、どれ見ても答えはシンプル。よりよい生産性を望むのであれば、やるべきことはただひとつだ。もっと寝よう!


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