前2年の課税売上高が1000万円以上で納税義務 #author("2025-04-23T10:14:31+09:00","default:massy","massy") みなさんも買い物をするときに払っている消費税ですが、これは商品やサービスを購入したときに課税される国の税金です。事業主は、消費者が払った消費税を、彼らに代わって納める義務を負います。 ただし、前々年度(基準期間という)の課税売上高が1000万円以下の場合は、納税の義務はありません。つまり、新規に開業してから2年間は、たとえ課税売上高が1000万円を超えていたとしても、納税しなくてよいことになります(免税事業者)。 課税事業者となったときは、所轄の税務署に「消費税課税事業者届出書」を提出します。提出期間については、課税事業者となったらただちに届け出をしてください。 納税者になると、それまで消費者から預かった消費税は自由に使えなくなります。その分資金繰りも難しくなることを覚悟しましょう。 ※免税事業者と思っていても、課税事業者だった親の事業を相続したケースでは、初年度から納税義務を負う場合もあるので注意しなければなりません。 消費税の非課税取引 基本的に取引のほとんどが消費税の課税対象になりますが、いくつかの例外があります。個人事業者は覚えておくとよいでしょう。 1つ目は「不課税取引」です。例えば、国外取引や対価を得て行うことに当たらない寄付・寄贈、出資に対する配当などがあります。 2つ目は「非課税取引」です。こちらのほうが重要なので覚えておきましょう。非課税取引とは、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等であっても、「消費税の課税対象としてなじまない」「社会政策的配慮」などの理由から、消費税を課税しない取引のことを指します。 非課税取引は法律で定められていて、全部で16種類あります。詳しくは以下の通りです。 土地の譲渡・貸付 有価証券等の譲渡、支払手段の譲渡 預貯金の利子、保証料、保険料 郵便切手類の譲渡、印紙の譲渡、証紙の譲渡 商品券、プリペイドカードなどの譲渡 国等が行う一定の事務に係る役務の提供 外国為替業務に係る役務の提供 社会保険医療の給付等 介護保険サービスの提供 社会福祉事業等によるサービスの提供 出産費用 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供 一定の身体障害者用物品の譲渡、貸付 一定の学校の授業料、入学金 教科用図書の譲渡 住宅の貸付 消費税の記帳方法 消費税額を記帳する場合、次の2つの方法があります。課税事業者ではいずれかの方法を選ぶことができます。 税込方式・・売上に消費税額を含めた額で記帳する方法 税抜方式・・消費税額と売上を分けて記帳する方法 税込方式は、記帳が楽ですが、少額減価償却資産や修繕費の判定の際に不利になることがあります。一方の税抜方式では、仮受消費税や仮払消費税などとして処理するため記帳の手間がかかりますが、所得や消耗品費の判定の際に有利になるというメリットがあります。 どちらも一長一短があるので、自分に合った記帳方法を選ぶようにしましょう。 消費税の計算 消費税の原則課税方式 消費税の計算は、次のような式で求めます。 消費税額 = 課税売上高×5% - 課税仕入高×5% これを原則課税方式といいます。このとき、売上高に課税売上高以外の売上高が含まれていても、課税売上割合(課税売上の総売に対する割合)が95%以上の場合は、上の計算式で求めることができます。 しかし、この割合が95%未満の場合は、課税仕入にかかる消費税額の全額を控除することはできません。控除できるのは課税売上に対応する部分のみになります。 消費税の簡易課税方式 原則課税方式の計算式自体はとてもシンプルなものなのですが、実際に消費税額を計算して記帳するのは、個人事業主には大きな負担になります。 そこで、小規模事業者の負担を軽減する目的で、基準期間の課税売上高が5000万円以下の場合には、計算がグンと楽になる簡易課税方式を選択することが認められています。その計算式は以下の通りです。 消費税額 = 課税売上高×5% - (課税仕入高×5%×みなし仕入率) みなし仕入率とは、業種別の仕入についての推定値のようなものです。事業を5つに区分して、90%から50%まで定められています。詳しくは以下の表を参照ください。 消費税のみなし仕入率 卸売業 90% 小売業 80% 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気ガス業 70% 飲食業、金融保険業 60% 不動産業、運輸通信業、サービス業 50% 計算例:課税売上高1500万円の小売業者が簡易課税方式で納付税額を求めた場合 (1500万円×5%)-(1500万円×5%×80%)=15万円(納付税額) なお、簡易課税方式を選択するときは、適用を受けようとする年の前年末までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要があります。 そして、一度選択したら2年間は変更できません。 ※事業が複数あるときは、業種ごとに売上を区分し、それぞれ定められたみなし仕入率をかけて、最後に合計して算出します。ただし、特例があり、1つの業種の課税売上高が75%以上であれば、そのみなし仕入率を他の業種にも適用することができます。