【実録】12年落ち“格安中古リーフ”を買ってみたら…自動車ライターの失敗から学ぶ、メディアが書かないEV最大の「弱点」 2025.05.16 11:45掲載 carview! 文:鈴木ケンイチ 382 “格安中古EV”を買ってみたら… 多くのBEVに試乗し、そのレポートをしているのですが、ある日ふと気づきました。「そういえば、BEVのオーナーになったことがないな」と。 そこで、とりあえず手近なところからということで、安価な中古BEVを購入することにしました。今から約2年前の話です。その中古BEV購入の顛末をレポートします。 これまで私がBEVを購入しなかった理由は、自宅が賃貸の集合住宅で、充電設備がなかったためです。しかし、世間には同じような境遇(充電設備なし)でもBEVのオーナーになる人も多くいます。 彼らは、外出先の急速充電器を利用して充電を賄うのです。私の自宅の近くにもクルマで5分ほどのところに日産のディーラーがあり、急速充電が可能です。 そこに通って充電すればよいと覚悟を決め、知人のクルマ屋さんに「中古で安いBEVを探してほしい」とお願いしました。 満充電で100kmも走ればなんとかなるでしょ? この中古BEV購入にあたって、私の妻は、「古い家電は買わないほうがいいんじゃないの?」と言っていましたが、その忠告を無視しての購入となりました。自宅に届いた12年落ちの初代リーフをチェックすると、バッテリー容量を示すメーターは“12分の7セグ”でした。 つまり、新車時の6割ほどのバッテリー容量しかありません。新車の初代リーフは、24kWhのバッテリーを搭載し、一充電当たりの航続距離は200km(JC08モード)です。 バッテリーの性能が6割ほどに落ちたとすると、約120kmの航続距離が想定されます。「満充電で100kmもあれば、なんとかなるでしょ」と意気揚々と中古BEVライフが、2023年夏にスタートしました。 30分充電で20kmちょいしか走れない…!? しかし、想定外の問題が発生しました。それが、1回30分の急速充電で3~4.5kWhしか充電できないということです。 一般的な急速充電器は50kWのパワーがあります。ですから30分で最大の25kWh…とはいかなくても10kWhくらいは充電してほしいもの。 ですが、愛車のリーフは、ゆっくりとしか充電してくれません。おそらく、バッテリーを保護するために、充電時の電力を落としているのでしょう。これが大きな痛手でした。 愛車のリーフの実電費は、1kWhあたり約6kmでした。カタログ値が8kmですから、まずまずといったところ。12年落ちでもそれほど電費が悪いわけではありません。 ですが、1回の充電で3~4.5kWhしか充電できませんから、1回30分の急速充電で得られる走行距離はわずか18~27km分。これでは少し遠出をするたびに充電が必要となります。 また、充電にかかる費用は電力量ではなく時間に基づいて計算されるため、充電時間が長いほど費用がかさみます。充電プランにもよりますが、これほど充電が遅いとエンジン車よりもランニングコストが割高になってしまいます。 12年落ちのリーフは…いろんな意味で残念だった 結局、購入から1年も経たずに手放すこととなりました。売却額はおよそ5万円です。正直に言えば、これはBEV購入の失敗例と言えるでしょう。 ただし、これは自宅に充電設備がなかったのが理由です。自宅に交流充電設備があれば、一晩かけて充電を行い、手間や費用も削減できたでしょう。最近ではバッテリー交換の技術も出てきています。 また、もっと新しいBEVを選んでいれば、バッテリーがフレッシュですから、短い時間で大きな充電量が可能だったでしょう。充電の頻度も減り費用も安くなっていたはずです。 結論として、BEVを買うなら「自宅に充電設備がないと辛い」、「バッテリーが劣化していないフレッシュなBEVの方が楽」ということを実感しました。そのどちらも、少しBEVについて知識があれば常識的なものですが…。 ですから、私のBEV購入は、やる前から失敗するとわかっていて、やっぱり失敗してしまった…そんな残念な顛末となったのです。皆さんもBEVを購入する際は、前提条件をしっかりと考えてください。私の失敗を思い出していただければ幸いです。 (終わり) 2025-05-20 (火) 10:05:37
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