土地と建物の取得価格
■■■ 土地と建物の取得価格 (消費税、所得税、法人税) ■■■
☆質問
『会社で事務所用に中古マンションを1室購入しました。税務上の扱いを教えてください』
★回答
中古マンションを購入したら、まず購入価格を建物の価格と土地の価格に分けなければなりません。
消費税は建物の売買にはかかりますが、土地の売買にはかかりません。
ですから、まず不動産の売買契約書において、消費税の記載があるかどうかを確認する必要があります。
売買契約書に消費税の記載があれば、その金額は建物の売買金額にかかる消費税ということになります。
消費税の金額が50万円とされていれば、50万円を消費税率の5%で割った1千万円が建物の売買金額であることになります。
☆質問
『なるほど・・・しかし、会社で買った中古マンションの売買契約書には売買金額2千万円とあるだけで、消費税の記載はありません』
★回答
そうですか。
それでは、建物の売買金額を消費税から逆算する方法はとれません。
しかし、2千万円で購入した中古マンションを「土地いくら」「建物いくら」と分けないと、会社での消費税の計算や、建物に対する減価償却の計算もすることができません。
☆質問
『では、どうしたらよいのですか?』
★回答
このような場合、2つの方法が考えられます。
まず、購入価格である2千万円を土地の固定資産税評価額と建物の固定資産税評価額の割合で土地と建物に分ける方法です。
☆質問
『土地と建物の固定資産税評価額はどのように調べるのですか?』
★回答
市区町村役場で「固定資産税評価証明書」を発行してもらいます。
何百円かの手数料がかかりますが、入手できます。
たとえば、土地の固定資産税評価額が1千万円で建物の固定資産税評価額が6百万円としましょう。
土地の金額は購入価格2千万円に1千万円(土地の評価額)を掛けて16百万円(土地と建物の評価額合計)で割った金額です。
すなわち、1,250万円が土地の購入金額になります。
同様に、建物の購入金額は2千万円に6百万円を掛けて16百万円で割った金額である750万円になります。
☆質問
『なるほど。こうやって中古マンションの購入金額を土地と建物に分けるのですね。ところで、もうひとつの方法も教えてください』
★回答
これは、国土交通省が発表している「建築統計年報」による方法です。
建築統計年報には、「建物の標準的な建築価額」の表があり、建物の構造と建築年数ごとに平米あたりの建築費が定められています。
☆質問
『会社で買ったマンションは平成3年築で、鉄筋コンクリート造りで、面積は40平米です。』
★回答
平成3年築で鉄筋コンクリート造りですと、「建物の標準的な建築価額」は、平米246,800円になります。
建物が40平米ですから40平米×246,800円=9,872,000円が平成3年のマンション建築時の建物の額となります。
しかし、平成16年にこの中古マンションを取得したわけですから、すでに13年も経過しています。
当然、この13年間で建物の価値は下がっていますので、その減価分を計算すると、約170万円になります(一定の計算式が税法で定められています)。
すると、この方法での建物の価格は9,872,000円から13年分の減価額1,700,000円を差し引いた8,172,000円となります。
☆質問
『はじめの方法での建物の価格は7,500,000円で、後の方法での建物の価格は8,172,000円と計算されました。いずれか有利の方を選択しても構わないのですか?』
★回答
いずれも、一般的に認められている方法ですから、税金が有利な方法を選択しても問題ないと思います。