無線LANの接続が不安定

無線LANの接続が不安定
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無線LANに対する障害物の影響
無線LANのチャンネル干渉
無線LANで接続されてはいるものの、その通信が非常に不安定だというケースが少なくありません。
具体的には、無線LANに関して、以下のような現象が起こります。
• 突然、接続が切れる
• IPアドレスを取得できないことがある
• つながったり、切れたりを繰り返す
• 接続できるときと、接続できないときがある
一度でもその無線LANを通じて接続できたことがあるのであれば、
設定が間違っているから接続できないというような、根本的な問題ではありません。
かといって、使用している無線LAN機器が悪いというわけでもありません。
無線LANを使用する環境に対して、現在使用している機器が適切なのか、
接続できることはあっても、その設定が最適なのかは、
今一度考えてみる必要があります。
問題が発生したときには、その原因を理解する必要があります。
でも、無線LANの設定を機械まかせにしているような状況では、原因の特定さえ困難です。
少なくとも、無線LANの基本的な仕組みを理解しておく必要があります。
ここでは、無線LANの接続が不安定になってしまう理由を、その原因から考えていきます。
電波強度が足りない
無線LANの接続が不安定だと、真っ先に原因として疑いたくなるのが、電波強度の不足です。
実際に、通信距離が遠い、障害物が多い等の理由で、電波強度が低いために、
無線LANの接続が不安定になることがあります。
ちなみに、下記は木造2階建ての住宅において、
無線LANクライアントを移動させていった場合の電波の受信状況をまとめたものです。
無線LANに対する障害物の影響
このときは、「IEEE 802.11a」での通信だったこともあり、
無線LANの接続が完全に切れてしまうようなことは終始なかったのですが、
それでも、距離が遠く、障害物が増えるにつれ、通信速度は安定しなくなります。
ただし、無線LANが不安定になるすべての原因が電波強度の不足にあるわけではありません。
特に気をつけなければならないのは、
無線LANの接続が不安定になるそもそもの原因は、電波の受信状態がよくないことにあるという点です。
電波の出力が弱いことではありません。
無線LANの電波は、信号をやりとりするために使われています。
弱い電波しか受信していなくても、それに対するノイズが小さければ、
信号を正しく受け取ることができます。
逆に、強い電波を受信していても、それに対するノイズも大きければ、
何が本来の信号なのか、判別できなくなってしまいます。
いわゆる、S/N比というものを考える必要があります。
つまり、受信している電波強度だけで無線LANの通信状態を判断するのは、間違っているのです。
無線LANの電波干渉
個人的に、無線LANの接続が不安定になる最大の原因が、この電波干渉だと考えます。
2.4GHz帯は電子レンジ等の他の家電製品とも電波干渉することが知られていますが、
それどころの話ではありません。
無線LANの電波干渉で最も問題になるのは、他の無線LAN機器です。
詳しくは、下記ページで解説しています。
無線LANのチャンネル干渉
このような場合、接続できないからといって、
無線LAN機器の電波出力を高くすればいいという話ではありません。
電波が弱いことが原因ではないからです。

近くにある他の無線LAN機器の発する電波が、こちらの無線LAN機器にとってのノイズとなり、
最悪の場合、通信できなくなります。
それは、相手にとっても同じことです。
お互いに好ましくない状態です。
特に、ほとんどの無線LAN機器が対応しているにも関わらず、
周波数帯の独立したチャンネルを選べない「IEEE 802.11b/g」では、
電波干渉は避けられない問題になってきています。
無線LANの接続が不安定な環境に、どう対応するか
以上書いてきた内容で、おわかりいただけると思いますが、
無線LANに関する問題は、その機器が置かれている環境を含めて考える必要があります。
環境によって、問題点が違うからです。
この製品を使って、こういう設定にしておけば大丈夫、というようなものではありません。
ただ、今現在、実際に無線LANの接続が不安定だとして、これを安定させるためにどのような方法があるか、
具体例を挙げてみます。
• 「IEEE 802.11a」で接続する
• 電波強度だけで通信規格を選択しない
• 無線LANアクセスポイントの場所を変更する
以下、個別に説明します。
「IEEE 802.11a」で接続する
無線LANのチャンネル干渉問題に対して、「IEEE 802.11a」の効果は絶大です。
身を持って実感しています。
今現在、私が無線LANで主に使っているのも、「IEEE 802.11a」です。
空いている無線LANチャンネルを探し、それに変更しようという考えもよくわかりますが、
チャンネル干渉のページでも書いたとおり、
「IEEE 802.11b/g」では、空いている周波数帯を選べないというのが実状なのです。
「IEEE 802.11a」への切り替えには、無線LAN機器側も対応している必要があります。
もちろん、無線LANアクセスポイント(親機)、クライアント(子機)共にです。
でも、「IEEE 802.11a」対応無線LANルーターも1万円以下で購入できるようになったので、
個人的には、「IEEE 802.11a」への切り替えを強くおすすめします。
電波強度だけで通信規格を選択しない
「IEEE 802.11a」に対応している無線LAN機器は、「IEEE 802.11b/g」にも対応しているのが普通です。
そして、無線LANクライアント側から見ると、
「IEEE 802.11a」よりも、「IEEE 802.11b/g」のほうが、受信している電波強度が高いはずです。
「IEEE 802.11b/g」のほうが、使っている電波の周波数が低く、障害物に強いからです。
だからといって、「IEEE 802.11b/g」のほうが安定した通信ができるかというと、
必ずしもそういうわけではありません。
これまでにも書いてきたとおり、
無線LANの電波強度と電波干渉は、相互に考えなければならない問題だからです。
このことが、大きな落とし穴になっています。
電波強度の高い「IEEE 802.11b/g」では、同時に電波干渉によるノイズも多いため、
信号に対するノイズレベルを考えると、圧倒的に不利になる場合があります。
通信の安定性でいうと、表示されている電波強度の低い「IEEE 802.11a」のほうが、
実際には安定して通信できることが多いのです。
無線LANアクセスポイントの場所を変更する
無線LANアクセスポイントの場所を変更するのは、原始的なようで、意外に効果があります。
無線LANクライアントの場所は、実際にパソコンを使用している場所だったりするので、
変更できないことが多いでしょう。
でも、無線LANアクセスポイントの場所は、通信状態さえ良ければ、本来どこでもいいはずです。
壁面だろうと、廊下だろうと、階段だろうと、
通信状態のいい場所に動かせるのであれば、そうすべきです。
繰り返しになりますが、重要なのは、発信力ではなく、受信しやすさです。
無線LAN環境を不安定にしたくないのであれば、ひたすら電波強度で競争するのはやめましょう。
隣で鳴ってるラジカセがうるさいからテレビのボリュームを上げて、
今度はテレビがうるさいからラジカセのボリュームを上げて、
ってやってるのと同じです。
結局お互いにうるさいだけで、聞き取りにくい状況は何も変わってないという。
PLCという選択肢
無線LANは便利ですが、万能ではありません。
環境によっては、無線LANの使用が適さない状況も多いはずです。
たとえば、1階から2階へ、しかも直線距離が長く、間に壁を複数枚挟んでいるような状況では、
本来は「IEEE 802.11b/g」を使用したいところです。
でも、すでに周囲に「IEEE 802.11b/g」のアクセスポイントが多数あり、電波干渉がひどい場合、
仮に電波が届いたとしても、接続不安定で通信が切断されることが予想されます。
かといって、障害物に弱い「IEEE 802.11a」では、
電波強度の低下が著しく、十分な速度が得られないかもしれません。

そんなときの最終手段が、PLCです。
すでに無線LANですらないんですが、
壁で隔てられ、しかも離れた部屋に置かれたパソコンとLAN環境を構築するという目的には、
無線LANよりも、PLCのほうが向いている可能性が高いです。
PLCは、「Power Line Communication」の略で、日本語で電力線通信です。
一般に用いられているAC100Vの配線を使って、通信します。
つまり、100Vのコンセントが、LANケーブルの差し込み口に変わるイメージです。
同じ分電盤にぶらさがっているコンセントであれば、そこからPLCアダプタを通じてLANを構築できます。
ユーザー側から見るとハブのようなもので、無線LANのように複雑な設定項目はありません。
別途、イーサネットのハブを内蔵しているPLCアダプタもあります。
正直、PLCにはPLCの問題があるので、積極的に使おうというほどのものではありません。
個人的にも、無線LANで接続できるのなら、それに越したことはないと思って、
無線LANの解説を長々としているというのがあります。
でも、無線LANで接続できなくてどうしようもないのなら、PLCで接続する選択肢もあるよ、
ということです。

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