高級外車の「売却益」隠し続出 転売の儲けはいくらから申告が必要?

高級外車の「売却益」隠し続出 転売の儲けはいくらから申告が必要?
高級外車の「売却益」隠し続出 転売の儲けはいくらから申告が必要?
2024年(令和6年)提出 確定申告まとめ
▽提出期限

2024年2月16日(金)~ 2024年3月15日(金)

※上記は2023年 / 令和5年分の申告を行う期間です(参考記事はこちら)
※令和6年能登半島地震に際して、申告期限等の延長の措置が発表されています(国税庁サイトはこちら)
▽まずはこの記事

確定申告とは?やり方と流れを全く分からない人向けに解説』

初心者から経験者まで、毎年多く読まれている記事です。確定申告の必要性、やり方、簡単に済ます方法についてまるっと図解で解説しています。
▽2024年の変更点を知りたい方は(参考)

『2024年提出(令和5年分)の確定申告の9つの変更点まとめ』

フェラーリなど高級外車の売却益をめぐり、約20の法人と個人が所得隠しや申告漏れを指摘されていたことが分かりました。読売新聞によると、国税当局から指摘を受けた個人らは「申告義務があるか分からなかった」などと答えているそうです。

どんなものが売却益の申告対象になるのか、また売却益がいくらになったら税務申告しなければならないのかなど、公認会計士で税理士の鈴木泰浩さんに聞きました。
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   売却益はいくらから税務申告が必要なの?
   メルカリでブランド品を転売。売却益が出たら申告が必要?

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売却益はいくらから税務申告が必要なの?

――そもそも売却益とは何を指しているのでしょうか?

鈴木さん:資産を売却する際に、売却価額から取得費と売却費用を差し引いた金額を売却益といいます。取得費とは、一般的に購入代金のことですね。
売却価額-(取得費+売却費用)=売却益

この取得費ですが、長期での使用や経年劣化によって「価値が減っていく資産(減価償却資産)」に関しては、減価償却費相当額を控除した金額が取得費となります。
購入代金-減価償却費相当額=取得費

例えば、車両は「減価償却資産」なので、車両の購入価額から、毎期一定金額を減価償却費として差引き、当該差引き後の金額が取得費となります。

――高級車の売却にも税務申告が必要ということを知らない人も少なくないようです。ほかに売却益の申告対象になる資産はどのようなものがありますか?

鈴木さん:法人や個人事業主の方で、事業用資産として資産を使用していれば、売却益は課税の対象となります。なので、今回の高級外車の売却益は、「法人所得」や「個人所得」として申告する必要がありますね。

一方、「個人」の場合は少し違ってきます。個人が普段の生活で使用している動産は、売却しても課税の対象とされません。例えば、家具や衣類などが当てはまります。

ただ、「個人」の方でも売却時に課税対象となる資産もあります。金、宝石、絵画、骨董品(1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡)など、いわば贅沢品ですね。

――売却益(転売益)の申告はいくらから必要になるなど、規定はありますか?

鈴木さん:法人や個人事業主の方で、事業用資産として資産を使用していれば、決算の申告や確定申告が必要になるため、全ての売却損益を申告しなければなりません。

一方で「個人」の場合は、生活で使用している動産以外を売却し、その利益が合計50万円を超える場合は「譲渡所得」として確定申告が必要になります。

譲渡所得は50万円の特別控除がありますので、これを超える売却益となる場合のみ申告が必要となります。
メルカリでブランド品を転売。売却益が出たら申告が必要?

転売による利益の申告漏れ。ツイッターでは「メルカリでブランド品を売ったら、買値より高くなった場合も所得隠しになるのか」などの疑問を投げかけるユーザーも。

――この場合も所得隠しになるのでしょうか?

鈴木さん:ブランド品を実際に使用しており、生活で使用しているものを売却する場合であれば、課税の対象とされません。

しかし、前述のとおり1個または1組の価額が30万円を超えるものを売却する場合には、譲渡所得課税の対象となります。ただ、売却益が計50万円を超えない場合には、譲渡所得は0となるため、課税対象ではありますが申告は不要となります。

一方、ブランド品を転売目的で仕入れて販売した結果利益を出せば、申告の対象となるでしょう。これについては、事業規模として認められるのであれば事業所得、副業レベルであれば雑所得として申告することになるでしょう。

【取材協力】鈴木 泰浩(すずき やすひろ)
公認会計士・税理士/税理士法人オリナス・パートナーズ
一橋大学卒業後、株式会社NTTドコモに入社。2008年に公認会計士2次試験合格し、新日本有限責任監査法人に入所。2012年に公認会計士登録。2017年に税理士登録。同年、税理士法人オリナス・パートナーズを開設。スタートアップ、ベンチャー企業の会計・税務業務からIPO支援業務を行っている。