天照大神

天照大神

あまてらすおおみかみ
別:○天照大御神、天照大日霎尊(おおひるめむちのみこと)、天照御魂神(みたまのかみ)、天照坐大神(いますおおかみ)
父:◇伊耶那岐神
子:天忍穂耳尊天穂日命(出雲氏へ)、天津彦根命、活津彦根命、熊野杼樟日命

太陽神、高天原の主神、皇祖神、日本の総氏神、八百万の神々の中でもトップに位置する女神。
伊耶那岐神が御祓をしたときに、光を表す左目から生まれたとされる三貴神の一柱。
あらゆる生命にとって必要な太陽を象徴する神である。日本では古くから太陽を「日の神」として信仰し、天照大神ももともとはそうした太陽信仰から発展した神霊である。ただ、ほかの信仰と違い、古代日本人は太陽神そのものを信仰するほかに「日の神」に民族の祖神というイメージを重ねて祀った。そうした二重の性格を備えた神が天照大神である。
天照大神についての神話としては、「天岩戸隠れ」が有名である。天照大神が岩戸に隠れたために、世の中は光を失い、悪霊が満ち、災いが起こる。このことは日照時間が減ることによる不作、あらゆる生命の衰弱、そのことによる飢饉、餓死、疫病などを指しているのだろう。さらに「太陽が隠れる」ことには、古代の人々は冬至の頃とイメージを重ねていたようだ。その時期には、人々は太陽の再生を願って神祭りを行った。これは太陽の”死と再生”の儀式でもあった。「天岩戸隠れ」には、こうした農耕儀礼が反映されている。このことから、天照大神は大地の豊穣性を体現する母なる女神ともいえる。
一方、地上で乱暴狼藉を働いていた素盞鳴尊が高天原を訪ねてきたとき、「高天原の支配権を奪いにきたのでは」と警戒してすぐさま武装した。まず髪を角髪(みずら)という男性のものに結い直し、手や髪それぞれに五百もの勾玉を糸に通した飾りを巻き、さらに千本の矢が入る靭(ゆぎ)を背負い、五百本の矢が入る靭を腹に抱え、大変な強弓を手にした。そのように武装すると、四股を踏むように両足を大地にめり込ませ、素盞鳴尊を威嚇したのである。弓矢というのは、古来軍事力を象徴する道具であった。天照大神は、男性的な側面もある軍事を象徴する神でもあったといえるだろう。


伊耶那岐神━┓
伊邪那美命━╋━金山姫神━━━金屋子神
      ┣━金山彦神
      ┣━国御柱神
      ┣━天御柱神
      ┃(住吉三神)
      ┣━底津綿津見神
      ┣━中津綿津見神
      ┣━上津綿津見神
      ┣━石土毘古神
      ┣━罔象女神
      ┣━稚日女神
      ┣━月読神
      ┃ 素盞鳴尊━┓
      ┣━天照大神━╋━天忍穂耳神
      ┗━保食神  ┣━天穂日神
             ┗━天津彦根神


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