日本パスポート最強時代の終焉?
「日本パスポート = 最強」時代の終焉? 国際ランク首位から3位へ、陥落のデメリットあるのか
2023.7.26
加藤舞(航空経済ライター)
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「日本パスポート = 最強」時代の終焉? 国際ランク首位から3位へ、陥落のデメリットあるのか
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飛行機, パスポート
日本のパスポートは2018年から5年間、世界で最も強いパスポートとしてトップの座に君臨していた。しかし2023年、その座をシンガポールへと明け渡すこととなった。その影響のほどは。
5年ぶりに首位陥落
日本のパスポート(画像:写真AC)
日本のパスポート(画像:写真AC)
日本のパスポートは2018年から5年間、世界で最も強いパスポートとしてトップの座に君臨していた。しかし2023年、その座をシンガポールへと明け渡すこととなった。
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国際航空運送協会(IATA)のデータ(2023年6月時点)を基に、英コンサルティング会社のヘンリー&パートナーズが発表した
「パスポートごとに、ビザなしで訪問できる目的地の数」
のランキングで、日本は2022年よりふたつランクを下げて、韓国やオーストリア、フィンランドと同率の3位となった。
1位となったのは、シンガポールで192か国。次いで、ドイツ、スペイン、イタリアが190か国で2位に続く。
日本は2022年より4か国減少して、189か国となった。また、日本人が事前にビザ取得の必要がある国は37か国である。この数字には入国時に空港で申請取得可能なアライバルビザや、米国入国に必要なESTA(エスタ)などの電子渡航認証はカウントされていない。
つまり、入国に関して「何らかの手続きが必要」という意味では、実際には37か国以上あることも記しておきたい。
日本のパスポートは2018年から5年間、世界で最も強いパスポートとしてトップの座に君臨していた。しかし2023年、その座をシンガポールへと明け渡すこととなった。その影響のほどは。
中国にもビザ必須に
最新パスポートランキング(画像:ヘンリー&パートナーズ)
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ビザなし渡航ができなくなる国で、日本と最もつながりが強いのは中国だろう。
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2020年3月まで、中国は日本人に対して、15日以内の短期滞在に対するビザを免除していた。しかし、現在は事前のビザ取得が求められているので、中国への旅行・出張などを控えている人たちは注意が必要だ。この措置は中国のみで、台湾や香港への訪問はこれまで通り90日以内の滞在は、ビザ免除となっている。
コロナウイルスの感染拡大が進んだ2020年3月から、中国はビザ免除措置を一時停止した。2022年末、コロナがようやく落ち着いたとして中国への入国規制は解除され、2023年3月15日からは観光を含む全てのビザ申請が可能となったが、免除措置に関してはいまだに再開されていない。
中国は以前より、他国に対して
「対等なビザ免除」
を主張していたが、日本、シンガポール、ブルネイの3か国に対しては、相互主義を撤廃する特別措置を取っていた。
7月26日より、日本を除く2か国に対して免除措置を再開しているが、コロナ禍での日本の中国に対する特別入国措置や、台湾問題など両国関係の冷え込みで、日本のビザ免除復活は見えていない。
日本~中国間のフライトも少しずつ戻ってきていることもあり、日系企業が多く進出している中国へは日本からの短期出張も多く、このままビザ免除が停止されたままでは、経済面にも影響が大きい。
10月よりブラジルのビザ免除も注意
成田空港(画像:写真AC)
成田空港(画像:写真AC)
今回のパスポートランキングにはカウントされていないが、ブラジルへの渡航も2023年10月からビザが必須となる。2019年より適用されていた、日本国籍者へのビザ免除措置、2023年9月末を持って終了となるためだ。。
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今回の変更は、2023年1月よりブラジル新大統領に就任したルラ氏が、ミラー外交(相互協定)を強化した影響を大きく受けた。ブラジル国籍者は日本への渡航時にビザ取得が必須となっていることから、日本がビザを要求するなら、ブラジルも同様の措置を取るとして、今回のビザ免除の撤廃となった。
今回のビザ免除から対象外となるのは、
・日本
・米国
・カナダ
・オーストラリア
の4か国である。
2022年7月時点で、ビザの取得方法の詳細は明らかになっていないが、米国はブラジル観光客の多くの割合を占めていることからも、ESTAのように比較的楽に取得可能な「電子渡航認証制度」を導入するのでは、と考えられる。
しかし、詳細はまだ発表されていないので、10月以降、ブラジルへの渡航予定がある人は取得方法をしっかりと確認する必要がある。
欧州への訪問は電子渡航認証必須に
機内からの眺め(画像:写真AC)
機内からの眺め(画像:写真AC)
ほとんどの国に対してビザなし(あるいはアライバルビザ)で入国できる日本パスポートだが、旅行者が見落としがちな注意点がある。それは電子渡航認証の申請だ。
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最も有名なものには、先に述べた米国のESTAがある。これは、90日以内の短期滞在や旅行を目的とする際の入国審査制度で、日本人はビザ取得の代わりにESTAを事前取得する必要があるというものだ。これは米国経由の「乗り継ぎ」でも必要なので、米国経由で中南米へ行く場合も必ず取得しなければならない。
ESTAについては聞いたことのある人も多いと思うが、実は
・オーストラリア(ETAS。イータス)
・カナダ(eTA。イータ)
・韓国(K-ETA。ケーイーティーエー)
でも、事前の電子渡航認証の取得が必須となっている。
代理店やツアー会社などを通さずに、チケットを自分で購入して旅行や出張をする際に知らなかったり、うっかり忘れてしまったりして、飛行機に当日乗れなかった……という話は、少なくない。韓国のK-ETAは、2024年12月31日まで日本に対して免除措置が取られている。2024年からは欧州連合(EU)加盟国(27か国)への訪問の際にも、新たに必須となるので、特に注意が必要だ。
パスポート保有率はたったの17%
オーストラリア(画像:写真AC)
オーストラリア(画像:写真AC)
今回、首位の座から陥落してしまった日本パスポートだが、それでも世界のほとんどの国をビザなし、あるいはアライバルビザで訪問可能だ。
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パスポートの強さは、世界から見る
「国の信用度の強さ」
である。世界のほとんどの国と地域に受け入れられているという事実は、すなわち日本への信用度が高いということを表している。
しかし、日本人のパスポート保有率はたったの17%だ。しかも年々、その保有率は減少傾向にある。世界でもトップクラスに強いパスポートを持つのに、そのメリットを利用している人は少ない。
国もパスポートの保有率アップを推進しており、2023年からはパスポートのオンライン申請も可能となった。仕事などで時間が取れず更新を先延ばしにして、気づいたら失効してしまっていた――なんてことを予防するためにも、窓口に行かずとも気軽にオンラインで手続きをできるよう電子化を進めている。
ランクがふたつ下がっても、いまだ
「日本パスポートは最強」
であることには変わりない。面倒な手続きや申請料を支払わなくとも、世界の多くの国へビザなしで渡航できるのだ。せっかくのメリットをぜひ享受してほしい。
2023-09-05 (火) 14:45:34
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