役員退職金の計算方法役員退職金の計算の目安皆さんの会社では「役員退職慰労金規程」は整備されていますか? 先日、ある会社を買い取り、被買収会社の社長には勇退退職をしてもらう決議を行いました。しかし、当社が提示した退職金の額が、あまりにも少なすぎると社長ともめてしまったのです。 その際、当社の役員退職金の算定方法について社長にご説明し、最後には納得していただいた根拠が今回のテーマです。 役員退職金の計算方法さて役員退職金算出の目安ですが、在任年数などの変数を加味して、次のような計算式で求めるのが一般的です。(中小企業の場合) 役員退職金(勇退退職金)=(退職時の役員報酬月額×役員在任年数×功績倍率)+功労加算 尚、功労加算金は一般的に退職慰労金の30%を超えない範囲とされています。 役位別功績倍率の例としては、
というのがごく一般的です。 実際は法人の資本金・業種・従業員数により様々です。 役員退職金支給時の注事項資金繰りの問題
これらのことを検討しないと、税務で否認される前に、会社の財務状況が悪化してしまいますので、経理担当者は注意しなければなりません。 規程の整備をしておく税務上は、勇退・死亡退職金は過大な額の場合、損金算入できないことがあります。税務調査で問題(争点)になり、否認されるケースが数多くあります。 役員退職金も役員報酬同様、株主総会の決議によって決定されますが、その際、過大と判断されない算出基準を明確にするためにも「役員退職慰労金規程」を制定しておくのが良いと思われます。規程がないと、総会で株主の中から反対者が出て、支払いができなくなるということもあるでしょう。 税法には役員退職金の計算方法の規定がない例えば、最終月額報酬が50万円の社長で在職年数が10年だとしますと、先ほどの一般式により 50万円×10年×3.0=1,500万円(プラス功労加算金) となりますが、会社自体の状況、業界の実態、そして受け取る本人が実際にやっていた仕事内容などによって変わる「個別対応」ですので、顧問税理士と良く相談して、資料整備をしておきましょう。また、功績倍率についても、上記の功績倍率は一般的なもので、個別事例により幅があります。 しかも、役員退職金の計算方法は、あくまでも一般的とされているだけで、法律には一切うたわれていないのはご存知でしょうか? その為、税務調査では適正額について争いがおこることが良くあります。 そのうち、功績倍率について争われた、過去の例を参考までにお知らせします。「年度」、「判断した役所」、「認定された功績倍率」の順で示しますと、
功績倍率といいましても、平成になってからだけでもこれだけ差があることがお分かりになるでしょうか。 まとめ個別事情により差はありますが、「役員退職金の注意点」をまとめますと、 ①功績倍率は「○倍までなら大丈夫」という考えは無い。 ということになります。 その役員が常勤か非常勤かによっても変わりますので、注意が必要です。 社歴が若い会社であっても、いずれは役員退職金の問題が発生します。 経理担当者の皆様の腕の見せ所ですね。 |