使用済み太陽光パネル再生へ一歩…岡山の協会「確立すればエネルギー問題で苦しまなくてすむ」

9/22(金) 12:00配信
読売新聞オンライン

岡山県

 昨年8月に設立され、使用済み太陽光パネルの再生(リボーン)を目指している「PVリボーン協会」(岡山県西粟倉村、藤井尊久代表理事)が、廃棄パネルを解体したうえで組み立て直し、再び発電させることに成功した。今後は光を受けて発電する「太陽電池セル」から銀やシリコンなどの原料を抽出し、その原料で新たなパネルを製造するというリサイクルの確立を目指す。(竹上史朗)

【写真】再生した太陽光パネルに光を当て、ファンを回す佐久本社長(右)と藤井代表理事

 同協会によると、パネルは複数の「太陽電池セル」を保護ガラスやプラスチックシートで挟み、樹脂などの封止剤で固めている。再生には封止剤をきれいに除去することが重要で、同協会は「新見ソーラーカンパニー」(岡山県新見市、佐久本秀行社長)とともに、電気で熱した高温の水蒸気で気化させる手法を開発した。

 太陽光発電は東日本大震災後の2012年に、再生可能エネルギーで発電した電気の「固定価格買い取り制度」を国が始めてから急速に普及した。太陽光パネルの寿命は25年前後とされており、産業廃棄物として処理されることになる。
 環境省は、30年代以降には最大年80万トンが寿命を迎えると推計。産廃として処分する量を減らして再利用やリサイクルを増やすことが課題で、同省は今年4月から「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会」を月1回のペースで開いている。

同協会によると、寿命を迎えたパネルは破砕して再利用することが多い。しかし、特に封止剤の除去が難しく、道路の路盤材など別の用途の材料として使われることが多いという。
 高温の水蒸気で熱分解し、封止剤を除去する手法なら、透明度の高いガラスを取り出せるといい、取り出したガラス越しにセルに光を当てたところ発電し、ファンを回すことにも成功した。今後、セルから銀やシリコンなどの原料に加え、電気を通す銅線も取り出し、再利用できるように研究を続ける。
 同協会はこのパネル分解を行う業者と、抽出した原料を精錬する業者、ソーラーパネルのメーカーと販売業者とともに、「リボーンパネル」のリサイクルシステム構築を目指す。全国各地に工場が集まった「リボーンパーク」をつくることが最終目標だ。

 藤井代表理事は「寿命を迎えたパネルを新品に再生できれば、人がエネルギー問題で苦しまなくてすむ。多くの人の協力を得ながら実現させたい」と意気込み、佐久本社長は「ようやく一歩を踏み出せた。このパネル再生事業が商業的にも持続可能なシステムになるよう研究を重ねたい」と話している。

2024-04-09 (火) 10:19:08
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Last-modified: 2024-04-09 (火) 10:19:08