便利になる一方、罰則は強化…電子取引データ保存が“義務化”される「改正電子帳簿保存法」とは? 対象者は何をすればいい? 専門家が解説

10/11(水) 19:11配信
TOKYO FM+

※写真はイメージです

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。10月5日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「電子取引データ保存が義務化される『改正電子帳簿保存法』」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
◆請求書などのデータ保管が義務化

新型コロナ禍のリモートワークを経て、契約書や領収書、請求書などのやり取りを電子メールやインターネット、クラウドなどを介しておこなう「電子取引」に切り替えた事業者の方も多いのではないでしょうか? その電子取引に関わる法律が「電子帳簿保存法」です。

電子帳簿保存法とは、税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律です。2022年1月の法改正により、電子取引における電子データの保存が義務化されています。

義務化に関しては、2023年12月31日までの猶予期間が設けられていますが、電子取引をおこなっているすべての事業者は、年内に対応しなければなりません。

ユージ:あらためて「電子帳簿保存法」について、教えていただけますか?

塚越:「電子帳簿保存法」は1998年から施行されたもので、国税関係の帳簿や書類について、電子での保存を認める法律です。これまでは紙の保存が原則でしたが、紙での保存にはさまざまな意味でコストがかかるので、電子で保存することもOKにするというものです。

保存方法は3つあります。1つ目は、会計ソフトなどで作成した請求書の控えや、パソコンなどで作成したデータをそのまま保存する「電子帳簿等保存」。

2つ目は、取引先から受け取った紙の請求書や領収書、自社で用紙作成したものを、スキャナで読み取って(PDFなどで)電子保存する「スキャナ保存」。

3つ目は「電子取引」。電子データ(メール)でやり取りした請求書などの書類を、自社・取引先発行のどちらも電子データで保存するというものです。

先に紹介した2つは任意になりますが、特に重要なのが3つ目の「電子取引」です。電子取引データ保存は、申告所得税・法人税に関して帳簿・書類の保存義務が課されている全ての人の対応が必要ということになっています。
◆さまざまな条件が緩和された一方、罰則は強化

吉田:どのような方が「電子帳簿保存法」の対象になりますか? また、該当する電子取引は、どのようなものでしょうか?

塚越:法人税を納める普通法人、公益法人、そして所得税の納税義務がある個人事業主が対象です。保存する電子取引はいろいろあるのですが、国税庁の資料によると、メールで送られてきた請求書や領収書のデータ(PDFなど)です。

あとは、インターネット上でダウンロードした請求書や領収書のデータ、クラウドサービスを利用した電子請求書や電子領収書、クレジットカードや交通系IC利用のダウンロードデータなどです。他にも細かい規定があるのですが、こうしたものが「電子取引」の対象となります。

ユージ:2022年に法改正された「電子帳簿保存法」。どのような点が改正されたのでしょうか?

塚越:まず、「事前承認制度」が廃止となりました。今までは、電子保存する時期の3ヵ月前までに税務署に書類を出す必要がありましたが、これが廃止になるので「承認は不必要」になりました。

もう1つは、電子帳簿の保存要件が緩和されました。データの不正や改ざんを防ぐ目的があったのですが、大幅に緩和されました。例えば、データの日付です。改ざんされていないことを示すため、電子保存の際にタイムスタンプが必要になります。これまでは「3営業日以内」に必要だったのですが、改正によって「最長2ヵ月と概ね7営業日以内」に延長。

さらに、クラウドサービスなどを使用した場合、不正できないようにするためのタイムスタンプが不要になりました。

そして、これまでは書類を検索できるようにするため、さまざまな項目を設定する必要がありましたが、法改正によって「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3つを設定するだけでよくなりました。

便利になる一方、罰則は強化しています。不正があった場合、通常課される重加算税に加えて、さらに10%の金額が加算されることになります。いろいろとやりやすくなったのですが、紙ではなく電子保存になるので、個人事業主の方が特に大変になります。今年の12月31日までに対応しなければいけません。
◆対象事業者が年内にするべきことは?

吉田明世、塚越健司さん、ユージ

吉田:「改正電子帳簿保存法」のメリットは何でしょうか?

塚越:電子データなので、やはり経理のデジタル化が進みますし、日付や取引先で検索ができるので書類が探しやすくなります。紙が必要なくなるので、エコでもあります。経理担当者もテレワークで対応できるので、生産性向上に繋がります。あとは、セキュリティレベルが上がるため、盗難やさまざまなリスクに対応できるのもメリットだと思います。

ユージ:対象の事業者や個人事業主が、年内にやるべきことは何でしょうか?

塚越:デジタル化はメリットがあるのは事実で、いずれにせよ対応しなければいけません。まずは、会計ソフト導入の検討や、税理士への相談も考えてみてください。

中小企業、小規模事業者などは「IT導入補助金」というのがあるので、そちらの活用も考えてください。便利になるのは良いことなのですが、やることが増えると、さらに苦労が増えるので補助が必要になってくると思います。

(TOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」10月5日(木)放送より)

2024-04-09 (火) 10:19:08
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Last-modified: 2024-04-09 (火) 10:19:08