<追跡>日本の水産物禁輸 現場で広がる“脱中国”の態勢づくり【WBS】 9/11(月) 17:00配信 中国の禁輸措置の影響でホタテの価格に値下がりの可能性が出ている 今、中国との間で大きな火種となっているのが福島第一原発の「処理水」をめぐる動きです。処理水の海洋放出とともに、中国による日本の水産物の全面禁輸が始まってから、7日で2週間となります。水産物をめぐる現場では、中国に依存しない態勢づくりが始まっています。現場を取材しました。 【動画】水産業支援へ総額1,000億円超 国内の加工を強化 7日、都内にある鮮魚店「魚屋シュン」を訪ねると、店内には、豊洲市場などで朝に仕入れた新鮮な魚介類およそ30種類が並んでいました。福島第1原発の処理水の海洋放出が始まってから2週間となりますが、同店の渡部博店長は「この店の仕入れ値で変化が出ているものは今のところあまりない」と、旬のサバやカンパチをはじめ、魚の価格に大きな変化はないといいます。 ただ、一部では変化の兆しも出ています。 「北海道産のホタテの貝柱でおよそ1カ月前から、ちょっと下がった感じがある。保管用の冷凍庫がいっぱいになり、国内向けに出回るようになると、多少は安くなると思う」(渡部店長) これまで中国への輸出が多かったホタテは、今後国内での流通量が増えるとみられ、来月以降、値下がりする可能性があるというのです。実際、水産庁が今月5日までに行った調査では、中国への輸出が多いホタテやナマコの取引価格は、禁輸措置の前と比べて一部の地域で1割ほど下落しました。 一方で、福島県産のヒラメをはじめ、ブリやクロマグロなどの価格には大きな変化は見られていないとしています。消費者からは「産地は全然気にしていない。福島や三陸でも構わない」と声が上がります。 ワタミでは11日から漁業応援キャンペーンをスタートさせる こうした中、中国による禁輸の影響を少しでも抑えようと、新たな動きが始まっています。 外食大手ワタミの社内で調理されていたのは、北海道産のホタテです。 7日、テレビ東京のインタビューに応じたワタミの渡邉美樹会長兼社長は、新メニューの背景に取引先の水産業者からの相談があったといいます。 「とにかくホタテが余ってる、ホタテを売ってもらえると嬉しいという声があった」(渡邉会長) また、今後の計画についても明らかにしました。 「次はマグロをやってくれと今朝、電話で言われ『わかりました』ということで、今度はマグロのメニューをやる。10月以降、第3弾はナマコを応援したい」(渡邉会長) 国内の水産業者を支援する一方で、今回の中国の対応で、ワタミ自身も打撃を受けました。 ワタミは香港で海鮮丼を提供する日本食レストランなど22店舗を運営。 改めて顕在化したといえる”チャイナリスク”。渡邉会長は、今後中国でのビジネスの仕方を抜本的に見直す必要があると明言しました。 「香港についてもどんどん出店するのではなくて、少し抑える。こういう状況だと香港からシンガポールに拠点を移さざるを得ない。理屈の通らない判断をするところとは付き合うのはリスクが大きい」(渡邉会長) 同じく、中国とのビジネスを見直し始めたのは、ミールキットの販売を手がける「ヨシケイ」です。魚の切り身などが入った食材のセットが自宅に届くサービスで、価格は1食およそ600円から。全国でおよそ50万人が利用しています。 年末年始に向けた商品として売り出すのが、北海道産のホタテとイクラ。おせち用の特別商品として販売する予定で、その後も通常販売したいとしています。 一方で今、懸念しているのが、ミールキットの食材として使っている魚の切り身の仕入れです。 「1本1本、骨を抜く作業、こういった細かい作業は中国でしかできない。中国にお願いすることが多い」(ヨシケイ開発の重松晃さん) ミールキットで使用しているサバやイワシなどの一部は日本で水揚げされた後、中国にある工場で、切り身などに加工されています。しかし、中国の禁輸措置を受け、中国での加工が中断。国内での加工を増やすことを考えていると言いますが、「人手不足が問題になっていて、国内の加工場に商品を持ち込むことは難しい」(重松さん)といい、今後はタイやベトナムなどでの加工を増やすことを視野に、対応していきたいとしています。 「供給がストップすることは、やはりリスク。他国でも製造できるようなリスクヘッジをしておくことが必要」(重松さん) ※ワールドビジネスサテライト 2024-04-09 (火) 10:19:32
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