2023年「年末調整」がそろそろ開始。書き方は?必要書類や扶養控除・保険料控除も

10/24(火) 17:52配信
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写真:LIMO [リーモ]

毎年、今ごろの時期になると会社から「年末調整に向けた書類の準備のお知らせ」のアナウンスがあるのではないでしょうか。

【書類の例】2023年年末調整の書き方は?年末調整では書類がたくさん!誰が何をどのように書く?

年末調整とは、従業員などの給与を受け取っている人が年末に行う手続きで、1年間の収入に対して支払う所得税の過不足を精算する行為のことをいいます。

年に1回だけなので、忘れていることも多く、準備には手間取る方もいるかもしれません。

今回は、年末調整の書類を記入する際の確認事項、必要書類などを紹介します。

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年末調整には4種類の申告書の記入が必要

通常、会社員や公務員など給与をもらっている人の所得税は、会社または官公庁が、給料や賞与から天引きして、個人に代わって納税しています。

しかし、この時点の所得税は、概算額にすぎません。

正しい税額は、その年の12月分の給料が支払われた後に再度計算しなおす必要があります。

その際、会社や官公庁は、すでに納めた概算の所得税と、正確な所得税を比較し、納め過ぎているようなら還付を行い、不足しているようなら追加徴収します。

このように、会社員や公務員などが1年間で納めるべき所得税を計算して精算する手続きを年末調整といいます。

年末調整を行うための必要書類として、個々の必要に応じて、以下の書類(4種類)に記入が必要です。

●1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
書類名に「扶養控除」と入っていますが、扶養家族がいない独身者も提出します。

●2. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
この書類の名称はとても長いですが、3つの申告が1枚でできるようになっています。

基礎控除申告書では、本人の給与収入や所得から受けられる基礎控除額を計算します。

配偶者控除等申告書では、配偶者の収入などを記載して、配偶者控除額、または配偶者特別控除額を計算します。

所得金額調整控除申告書の記入が必要なのは、給与の収入金額が850万円を超えている人が、23歳未満(2001年1月2日以降生まれ)の子どもを扶養している、もしくは、本人または扶養親族(配偶者・親・子ども等)に障害者がいる場合です。

●3. 給与所得者の保険料控除申告書
給与所得者の保険料控除申告書では、生命保険や医療保険などに加入している人が受けられる控除額を計算します。

●4. 住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除)
個人が住宅ローンを利用し、マイホームの新築・取得などを行った人が対象になります。

初年度のみ確定申告をして、2年目以降からが年末調整の対象になります。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方のポイント

「源泉控除対象配偶者」は、配偶者の給与収入が150万円(所得金額95万円)以下の場合に記入します。

しかし、配偶者が所定以下の所得でも、本人の給与収入が1095万円(所得金額900万円)以上であれば、配偶者控除が受けられなくなるため、記入の必要はありません。

「控除対象扶養親族」には、16歳未満(2008年1月1日以降生まれ)は含まれません。

また国外に住んでいる親族を扶養親族として申告するには、国内居住親族と同じように、所得者と生計を一にする親族で、給与収入が103万円(所得金額48万円)以下という条件があります。

しかし2023(令和5年)からは、「年齢30歳以上70歳未満の人」は、「留学」「障害者」「38万円以上の支払」のどれかに該当しない限り、扶養控除の適用から外されます。

そのため、「非居住者である親族」欄に細かなチェック項目が増えました。
給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書の書き方のポイント

配偶者がいる人が「配偶者控除・配偶者特別控除」に該当するかどうかは、次の要件を満たしているかどうか確認しましょう。

 ・本人の収入・所得条件:本人の給与収入が1195万円(所得金額1000万円)以下
 ・配偶者の収入・所得条件:配偶者の給与収入が201万5999円(所得金額133万円)以下
しかし、妻または夫が産休・育休を取得している場合には注意しましょう。

というのも、通常は収入が多く「配偶者控除・配偶者特別控除」には該当しない方も、産休・育休などでは収入が減ります。

そうなれば、上記の条件に該当するかもしれません。

「いつもと同じ」と思わず、今年の状況を振り返りながら記載しましょう。
給与所得者の保険料控除申告書の書き方のポイント

生命保険料控除、地震保険料控除には、加入している保険情報を記入します。

記入する情報は、保険会社から発行される「生命保険等や地震保険の控除証明書」に記載されています。

書類と一緒に控除証明書も忘れず添付しましょう。

もし、紛失した場合は、保険会社に連絡すれば再発行が可能です。

社会保険料控除は、給与から天引きされている社会保険料以外で支払ったものがあるときに記入します。

たとえば、転職をしているのであれば、一時的に国民年金保険料を支払う期間があったかもしれません。

また、生計が同一の配偶者や20歳以上の子などの国民年金保険料を本人に代わり支払うことがあるかもしれません。

どちらの場合も、支払った保険料は控除対象になります。
年末調整は余裕を持って

会社からの年末調整の案内はそろそろ開始となりますが、書類提出の締め切りまでには、1カ月ほどの期間があるはずです。

いまから必要な書類の収集をしっかり行い、余裕を持って提出するようにしましょう。
参考資料

 ・国税庁「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
 ・国税庁「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
 ・国税庁「給与所得者の保険料控除申告書」
 ・国税庁「住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除)」
 ・国税庁「令和5年度 年末調整についてのお知らせ」
 ・国税庁「No.2672 年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき」

舟本 美子


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Last-modified: 2024-04-09 (火) 10:20:10