5.委員会設置会社について
5.委員会設置会社について
改正前は、大会社(みなし大会社を含む)でなければ、委員会設置会社になることができなかったが、機関設計の柔軟化により、改正後は、すべての会社で委員会設置会社になることができるようになった。(会社法326条2項。ただし、会社法327条1項3号・5項により取締役会と会計監査人の設置義務が生じる。)
委員会設置会社は、業務執行は執行役が行い、執行役による業務執行の監督を取締役会が行う制度である。
したがって、委員会設置会社の取締役は、執行役の監督をするのが職責であり、原則として業務を執行することができない(会社法416条)ことになっている。
ところが、取締役は執行役と兼務でき(会社法402条6号)また、改正前は監査委員会の委員のみ支配人その他の使用人を兼ねることができない旨の規定があるだけだった(会社法400条4号)ので、監査委員会の委員以外の取締役は、支配人その他の使用人も兼ねることができるかどうか疑義があった。
取締役と支配人その他の使用人の兼務を認めた場合、執行役の指揮命令を受ける支配人その他の使用人が、当該執行役を監督するということになり、執行と監督を分離して、コーポレート・ガバナンスを強化するという委員会設置会社の制度趣旨に反することになる。
そこで、会社法では、委員会設置会社の取締役は、当該委員会設置会社の支配人その他の使用人を兼ねることができない(会社法331条3項)旨の規定を置いた。
これに対して、執行役と支配人その他の使用人との兼務は禁止されていない。
委員会設置会社では、報酬委員会が執行役等の個人別の報酬等の内容を決定することになっている。(会社法404条前段)
一方、支配人その他の使用人の報酬は、執行役が定めることになっている。
したがって、執行役が支配人その他の使用人を兼務する場合は、執行役の報酬は報酬委員会が決定して、支配人その他の使用人としての報酬は、執行役が決定することになる。
これでは、委員会設置会社の制度趣旨に反する面があるので、会社法では、報酬委員会は、執行役が委員会設置会社の支配人その他の使用人を兼ねているときは、当該支配人その他の使用人の報酬等の内容についても決定する(会社法404条3項後段)と規定している。
したがって、報酬委員会は、支配人その他の使用人として受ける報酬も考慮して執行役の報酬を決めることになる。
▲ 新会社法の改正ポイント
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