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Windows 7のインストール方法

Windows 7のインストール方法

Windows 7のインストールプロセスはシンプルで迷うことなく作業を進められる。しかしインストールをはじめる前に知っておくべきことは多い。ここからは、Windows 7を実際に導入する際に注意すべきポイントを紹介していく。


■ 実は3 種類もあるWindows 7のインストール方法

 Windows 7を実際にインストールするにあたり、事前に検討しておきたいことの一つがインストール方法である。

 インストール方法は3種類ある。一つはまっさらなHDD、あるいはパーティションにWindows 7をインストールする「クリーンインストール」。二つ目は従来使っていたOSが入っているHDD(パーティション)に、Windows 7を新規にインストールするやり方だ。本特集では、クリーンインストールと区別するため、これを「準クリーンインストール」と呼ぶ。この方法を選んだ場 合、これまでの「Windows」や「Program Files」といったフォルダの中身はすべて「Windows.old」というフォルダに移動されるが、旧OSの設定は引き継がれない。

 三つ目は「アップグレードインストール」で、従来のOSの設定を引き継いだ状態でWindows 7がインストールされる。環境を構築し直す手間がなく、スムーズにWindows 7環境に移行できるのがメリットだが、アップグレードインストールを行なうにはいくつかの条件をクリアしなければならない。

 まず事前に使っていたOSがWindows XPの場合は、エディションにかかわらずアップグレードインストールは利用できない。また、現在32bitのWindows Vistaを使っていて、64bitのWindows 7に移行する、あるいはその逆で64bit Vistaから32bit 7という場合もアップグレードインストールは行なえない。

 ここまでの条件をクリアしても、エディションによってはアップグレードインストールができないので注意したい。たとえばWindows Vista Ultimateからインストールメディアを立ち上げ、Windows 7 Home Premiumなど下位エディションにアップグレードインストールしようとしても、エラーメッセージが表示されて実行できない。

 ちなみにWindows Vista Home Basic/Home Premiumから、Windows 7 Professionalへのアップグレードパスは用意されていない。ただ、どうしてもProfessionalを使いたい場合は、まずWindows 7 Home Premiumにアップグレードしてから「Windows Anytime Upgrade」でProfessionalに移行する方法がある。

 このようにWindows 7のアップグレードインストールの条件は複雑になっている。Windows Vistaからのアップグレードを考えている場合には、まず自分の環境がアップグレードインストール可能かどうかを事前に確かめてほしい。


Windows 7アップグレードチャート
現状使っているOSのバージョンとエディション、そして移行先のWindows 7のエディションでアップグレードインストールが可能かどうかをまとめた

「1」USBメモリを使ったインストールメディアの作成

 Windows 7のインストールメディアはDVDで提供される。そのため、光学ドライブを内蔵しないPCには、そのままではインストールできない。そこでぜひ試したいのが、USBメモリによるインストールだ。

 必要なものは、Windows 7のインストールメディアの内容がすべて収められる4GB以上のUSBメモリ。また、インストールするPCがUSBメモリからのブートに対応している必要 がある。BIOS画面で確かめられるので、チェックしてほしい。ここ2、3年以内に発売されたPCであれば、大半がサポートしている。

 USBメモリを使ってPCを立ち上げるためには、ブートセクタをUSBメモリに書き込まなければならない。そのためのコマンドとして、Windowsに は「bootsect」というコマンドがあり、これを利用すれば起動可能なUSBメモリを作成できる。ただ、コマンドラインで作業する必要があり煩わしい のが難点で、さらに間違えるとWindowsが立ち上がらなくなる危険性も伴う。そこで今回は、フリーソフトを使ってWindows 7のインストールに使えるUSBメモリを作成してみよう。

 利用するのは「A Bootable USB」というフリーソフトだ。これを使えば簡単にWindows 7をインストールできるUSBメモリを作成できる。

 作業手順は、まず利用するUSBメモリを指定してフォーマットする。続けてWindows 7のインストールメディアを選択すれば、ファイルのコピーとブートセクタの書き込みが自動的に行なわれて完了する。

 Windows 7インストール用のUSBメモリが作成できたら、実際にインストールするPCのBIOSでUSBメモリから起動するように設定しよう。USBメモリを装着して電源を投入すれば、DVDと同様にWindows 7のインストールプロセスが始まるはずだ。


BIOSを設定
起動ドライブの設定で、USBデバイスを最優先にする。なおPCによっては、BIOSの設定とは別に起動ドライブを選択できる


「1」A Bootable USBのメイン画面
「Check USB」をクリックすると、PCに接続されているUSBメモリを認識する

 

「2」USBメモリを選択
Windows 7のインストールメディアとして使うUSBメモリをリストの中から選択。別のメディアを選択しないように注意したい

 

「3」フォーマットを実行
「Format USB」を押して、USBメモリをフォーマットする。データが入っているのなら、事前に待避しておくこと

 

「4」メディアを選択
「Check DVD」を押すと、光学ドライブ内のメディアが認識される。事前にインストールディスクを入れておこう

 

USBメモリを作成
最後に「Start DVD」を押すと、ファイルのコピーとブートセクタの書き込みが行なわれる。これでA Bootable USBでの作業は完了だ

	 

Windows 7のインストール方法

	 

TEXT:宇野貴教

「2」クリーンインストールの手順

■ Windows Vistaと同様のインストールプロセス

 ここでは、Windows 7のクリーンインストールの手順を紹介していく。ただ、その前に下準備をしておきたい。まず現在のOSが動作している間に、ネットワークアダプタのドライ バをダウンロードし、USBメモリなどにコピーしておこう。Windows 7インストール後にネットワークアダプタが使えなかった場合、必要なドライバをインターネットからダウンロードできないからだ。

 ストレージの接続に、RAIDカードなど特殊なデバイスを用いる場合は、こちらも事前に準備しておく。AHCI対応のHDDやSSDとチップセットを使用しているのであれば、BIOSでAHCIモードに変更しておこう。

 Windows 7のメディアを使ってPCをブートすると、インストールが開始される。まずキーボードや言語、IMEの選択画面が表示される。基本的に変更する必要はない のでそのままウィザードを進めていく。続けてソフトウェアライセンス条項が表示されるので、目を通した後に先に進もう。次に既存OSからのアップグレード と新規インストールのいずれかの選択が求められるので、ここで「新規インストール」を選択する。

 先に進むと、Windows 7をインストールするストレージの選択画面が表示される。もしRAIDカードなど別途ドライバが必要なデバイスを使っている場合は、「ドライバーの読み込み」でドライバをインストールする。

 ストレージを選択すると、「拡張」と「削除」でパーティションの作成と削除、「フォーマット」でストレージのフォーマットが行なえる。なお、システムド ライブのパーティションとは別に、OSが使う約100MBの専用パーティションが作られる。OSをインストールするドライブおよびパーティションを選択し たら、「次へ」ボタンをクリックする。ここまで作業すると、インストールメディアからHDDへのファイルのコピーと展開が行なわれる。10~30分ほどか かるのでしばらく待っていよう。


■ ネットワーク環境などを設定してインストール完了

 ファイルのコピーと再起動の後、ログインユーザー名とネットワーク上のコンピュータ名を設定する。必要であれば、次の画面でパスワードを設定する。

 さらにプロダクトキーの入力が求められるが、省略して進めることもできる。その場合、インストール完了後にコントロールパネルの「システムとセキュリティ」-「システム」で入力すればよい。

 その後はWindows Vista/XPでもおなじみの自動更新や時刻と日付、ネットワークゾーンを設定していく。ネットワークゾーンは自宅で使う「ホームネットワーク」、会社 で使う「社内ネットワーク」、ホットスポットなど公共ネットワークで使う「パブリックネットワーク」の三つから選択する。選択した内容に応じてネットワー クやセキュリティの設定が変わるので、利用場所に応じて選択してほしい。この設定はインストールが完了してから変更することもできる。

 インストールの操作はここで終了だ。あとはデスクトップの設定などが行なわれ、少し待てばWindows 7のデスクトップ画面が表示される。


「1」最初はキーボードやIMEの設定
Windows 7のDVDから起動すると、最初にキーボードやIMEの設定画面が表示される。適切なものを選んで「次へ」を押す

 

「2」インストールの初期画面
そのまま「今すぐインストール」で次に進もう。ちなみにOSが起動しなくなった場合は「コンピュータを修復する」で回復を試みることが可能

 

「3」ライセンス条項の確認
Windows 7を利用する際に重要となるライセンス条項が表示される。とくに初めてのインストールの際は目を通そう

 

「4」インストールの種類を選択
現在のOSをアップグレードするか、それともクリーンインストールを行うかの選択画面。ここでは「新規インストール」を選択

 

「5」ストレージの設定
まっさらなHDDを使うなら、ここでパーティションの設定や、フォーマットを行なう。パーティションを分割しないなら「次へ」をクリック

 

「6」システム専用のパーティション
環境によって、ここでシステムが利用する専用のパーティションが作成される。誤って削除しないように注意しよう

 

「7」インストールするパーティションを選択
Windows 7をインストールするパーティションを選択して「次へ」ボタンをクリックすると、ファイルコピーが開始する

 

「8」10~30分ほどファイルコピーが続く
ファイルのコピーや展開の作業は時間がかかる。10~30分程度で終わるので、しばらく待っていよう

 

「9」ログインユーザーの設定
ファイルコピーが終わると、管理者アカウントの作成が求められる。ユーザー名とコンピュータ名を入力しよう

 

「10」パスワードの設定
先ほど入力したユーザーのパスワードを設定する。忘れた場合に備えて、パスワードのヒントを入力する欄も用意される

 

「11」プロダクトキーの入力
25文字のプロダクトキーを入力する。Windows Vistaと同様、空欄で進めてインストール後に入力しても構わない

 

「12」自動更新の設定
自動更新の設定を選択する。推奨設定を指定しておけば、重要な更新がリリースされると自動的にインストールされる

 

「13」時刻と日付の確認
時刻と日付、タイムゾーンを確認する。インストール後でも修正できるが、念のため間違っていないか確認しておこう

 

「14」ネットワークの選択
PCを設置しているネットワーク環境を、ホーム、オフィス、パブリックの三つから選ぶ。自宅であればホームでよい

 

「15」インストール完了
デスクトップの構築など数分ほどの設定作業が行なわれた後にWindows 7が起動し、インストール作業は完了だ

	 

Windows 7のインストール方法

	 

TEXT:宇野貴教

「3」以前のファイルを残せる準クリーンインストール

 Windows XP上からWindwos 7のインストールを開始した場合や、Windows 7のインストールウィザードで「新規インストール(カスタム)」を選択し、インストール場所としてすでにWindowsがインストールされているドライブ を指定した場合、既存OSのファイルを残したままWinows 7がインストールされる。

 具体的には、既存のWindowsやProgram Filesフォルダ内のファイルが「Windows.old」フォルダにすべてコピーされて、新たに作られたWindowsフォルダにWindows 7がインストールされる。Windows.oldフォルダ内のファイルは以前のファイルを単にコピーしただけであり、設定が引き継がれるわけではなく、イ ンストールしていたプログラムも利用することはできない。インストールされるWindows 7は、クリーンインストールされたものと同様というわけだ。これが、本特集で「準クリーンインストール」と呼んでいる方法だ。

 準クリーンインストールで注意したいのは、Windows.oldフォルダはかなり大きくなること。事前の環境にもよるが、場合によっては数十GBの巨 大なフォルダになる。「ディスククリーンアップ」で削除できるので、ディスク容量を圧迫しているのならWindows 7への移行が完了してから消してしまえばよい。


既存OSの有無は自動で判断される
Windows 7をインストールしようとするドライブにすでにOSがあると、そこで使われていたファイルを残すことについてダイアログが表示される


Windows.oldフォルダの内容
Windows.oldフォルダには、以前のOSにあったシステムフォルダ、ユーザーフォルダ、Program Filesなどが保存される


インストール前に使いたい「Windows 7 Upgrade Advisor」

Microsoftが配布している「Windows 7 Upgrade Advisor」は、現在の環境からWindows 7にアップグレード可能かどうかを検査してくれるツールだ。具体的には、アップグレードインストールの可否やWindows Aeroを利用できるかどうかなどが分かる。現在インストールされているアプリケーションやドライバも、Windows 7に対応、あるいは非対応が正式にアナウンスされているものがリストアップされる。Windows 7をインストールする前にこのツールでチェックしておきたい。


32bitと64bitの両方を報告
インストール済みのハードウェアのドライバやアプリケーションをチェックし、Windows 7との互換性を報告してくれる


システム要件をチェック
すべてのシステム要件を表示させたところ。Windows Aeroが使えるか、CPUやメモリ、HDDは要件を満たしているかが確認できる

「4」アップグレードインストールの方法

 前バージョンであるWindows Vistaの設定やアプリケーション、周辺機器のドライバなどを引き継いでWindows 7をインストールする方法がアップグレードインストールである。システムの再設定やアプリケーションの再インストールが不要なため、スムーズに Windows 7を使い始められる。ただ、すでに述べたようにインストール元のVistaとWindows 7のエディションなどの組み合わせによってはアップグレードインストールを利用することはできない。

 アップグレードインストールを開始できたとしても安心できない。問題があるアプリケーションやドライバが存在する場合でも、アップグレードインストールは行なえないからである。

 ただ、これらはセットアップ中にチェックが行なわれ、問題があれば警告とその対処法を表示してくれる。なお、最新のサービスパックが適用されていないな ど、現在使っているOSが問題となるケースもある。Windows 7をアップグレードインストールするときは、Windows Updateを実行してVistaを最新の状態にしておきたい。

 実際にアップグレードインストールを行なうには、Windows Vista上でWindows 7のインストールメディアをマウントしてセットアップを実行する。インストールプロセスはクリーンインストールや準クリーンインストールと大きな違いはな いが、「インストールの重要な更新プログラムの取得」や、前述したアプリケーションやドライバの互換性の問題をチェックした結果を表示する「互換性のレ ポート」といったステップが追加されている。

 ちなみに32bitのWindows Vista/XPから64bitのWindows 7をインストールしようとしたケースなどではインストーラ自体が起動せず、エラーダイアログが表示されてしまう。またWindows Vista UltimateからWindows 7 Home Premiumなど、下位エディションにアップグレードインストールしようとした場合や、そもそもアップグレードパスが用意されていないエディションに アップグレードしようとすると、インストーラでアップグレードインストールを選択した時点でエラーダイアログが表示される。


Windows Vistaからセットアップ実行
アップグレードインストールは、動作中のWindows VistaからWindows 7のセットアップを実行する

 

メニューでアップグレードを選択
インストール中の画面。この「インストールの種類」で「アップグレード」を選択すると、アップグレードインストールになる

 

最新のアップデートを入手
セットアップの最中にインターネット経由で最新のアップデートを入手できる。問題回避のためにも、入手しておこう

 

問題点のチェックと回避方法
インストール前にシステムのチェックが行なわれ、問題がある場合は画面上にレポートが表示される。対処法も記されているので、それに従って作業を進めていこう

 

インストーラが起動しない
32bitのWindows Vistaで、64bitのWindows 7のインストーラを立ち上げようとしたところ。このようなダイアログが表示されて、インストーラ自体が立ち上がらない

 

インストールの途中でエラー
下位エディションへの移行、あるいは上位エディションの移行でもアップグレードパスがない場合などは、インストーラの途中でこのエラーが表示されてしまう

	 

Windows 7のインストール方法

	 

TEXT:宇野貴教

「5」Windows 7とVista/XPを共存させる

 Windows 7とWindows Vista/XPを共存させるには、マルチブート環境を構築すればよい。注意しなければならないのは、それぞれのOSをインストールする順番である。最初 にWindows Vista/XPをインストールし、その後Windows 7をインストールしなければならない。この順番を間違えると、古いOSのブートマネージャーがWindows 7のブートマネージャーを上書きしてしまい、Windows 7が起動できなくなってしまうのだ。古いOSが先、新しいOSが後の順番で行なうと覚えておけばよい。

 このポイントさえ注意すれば、マルチブート環境を構築するのは難しくない。インストールも現在のWindowsがインストールされていないパーティショ ンを選択し、クリーンインストールを行なうだけだ。こうして別パーティションにWindows 7をインストールすれば、起動時にブートメニューが表示されるようになり、どのOSで起動するかが選択可能になる。どれか一つのOSを集中的に使うという ことであれば、Windows 7のシステムのプロパティにある「起動と回復」で、デフォルトで起動するOSや、ブートメニューの表示時間を短く設定することで素早く起動できる。

 古いOSを使うことがなくなったなどの理由でマルチブート環境からWindows Vista/XPを削除する場合、単にそれらがインストールされているパーティションからWindowsフォルダを削除する、あるいはフォーマットするだ けでは不十分だ。ブートマネージャーに以前のOSの設定(ブートエントリー)が残り、一つしかOSがインストールされていなくても、起動のたびにブートメ ニューでOSの選択を求められてしまうからだ。

 この問題を解消するためには、ブートマネージャーから削除したいOSのブートエントリーを消す必要がある。Windows 7/Vistaには「bcdedit」というコマンドが用意されており、これを利用することでブートエントリーを削除できるが、コマンドプロンプト上での 操作のため敷居が高い。

 そこで使いたいのが「EasyBCD」とい うフリーソフトだ。このソフトはブートマネージャーの内容をGUIで編集できるツールで、コマンドプロンプトを使わずにブートエントリーをカスタマイズす ることができる。これを使ってWindows Vista/XPのブートエントリーを削除するわけだ。ちなみにWindows Vistaと7のデュアルブート環境でWindows 7を削除したい場合でも、EasyBCDを使ってWindows 7のブートエントリーを削除できる。

 なお、Windows XPと7のデュアルブート環境でWindows 7を削除するには、EasyBCDやbcdeditではなく、Windows XPの「fixmbr」コマンドを利用する。作業手順としては、まずWindows 7のシステムとプロパティで「起動と回復」を選択し、Windows XPをデフォルトのOSに変更する。その上でWindows XPのインストールディスクでPCを起動して「回復オプション」を選択した後、コマンドラインから「fixmbr」を実行すれば、XPのみが起動するよう にブートマネージャを書き換えられる。


既存OSと別のパーティションを選択
マルチブート環境を構築するには、既存OSとは別のパーティションにWindows 7をインストールすればよい

 

起動メニューが表示される
マルチブート環境になると、OS起動時にどちらのOSを起動するかを選択するメニューが表示されるようになる

 

起動メニューのカスタマイズ
システムのプロパティにある「起動と回復」で、標準のOSとメニューを表示する時間の設定が行なえる


EasyBCDでブートメニューを編集
フリーソフトの「EasyBCD」を使えば、「Add/Remove Entries」でWindows 7をブートエントリーから削除できる

「6」VHDにWindows 7をインストールする

 「VHD」(Virtual Hard Disk)とは、Microsoftの仮想PC環境である「Virtual PC」や「Hyper-V」において使われている仮想的なHDDの仕組である。実態は拡張子が「.vhd」のファイルであり、仮想環境上のOSはこのファ イルをHDDと見立ててデータの読み書きを行なう。

 従来このVHDを使うのは仮想環境上のOSであり、実環境のOSからは単なるファイルでしかなかった。しかしWindows 7では、このVHDを実際のHDDと同様に扱う仕組が追加されている。具体的には、「コンピュータの管理」にある「ディスクの管理」から、VHDを物理ス トレージと同じようにマウントしたり、パーティションを変更したりできるようになった。これにより、たとえば1パーティションで利用しているHDD内に VHDを作成し、それを別のHDDとしてマウントし、二つのドライブとして使うといったことが可能になる。VHDのサイズは作成時に任意で指定できるの で、ディスクサイズも思いのまま。マウントしなければただのファイルなので、バックアップが容易なこともメリットだ。

 さらにWindows 7ではVHDへのOSのインストールが可能で、ブートマネージャでVHDを起動ドライブとして指定できる。つまりVHDにWindows 7をインストールし、それを起動ドライブに指定すれば、VHDを使ってPCを立ち上げられるわけだ。こうして動作するWindowsは、仮想環境上で動作 するわけではないため、CPUやビデオカードのパフォーマンスを存分に引き出せる。

 VHDにWindows 7をインストールする手順は、まずWindows 7のDVDからブートし、「システム回復オプション」でコマンドプロンプトを起動する。続けて「diskpart」コマンドを使ってVHDを作成し、そこ にWindows 7をインストールすればよい。

 なおブートマネージャーでVHDを指定した場合に、起動できるOSはWindows 7またはWindows Server 2008 R2のみとなっている。たとえばVirtual PCなどを使ってWindows Vista/XPをインストールしたVHDを作成しても、残念ながらそれを使ってPCを立ち上げることはできない。


VHDの作成とマウント
VHDファイルの作成やマウントはディスクの管理の「操作」メニューから行なう。作成直後には初期化とフォーマットが必要だ


Windows 7入りのVHDを作成
Windows 7のDVDからブートし、「今すぐインストール」のボタンが表示される画面で、「コンピュータを修復する」を選択する

 

コマンドプロンプトを選択
「システム回復オプション」が表示されるので、この中から「コマンドプロンプト」を選択する

 

コマンドでVHDを作成
diskpartコマンドを使い、VHDファイルを作成してマウントする。ファイルを作成する場所に注意しよう

d:¥>diskpart
diskpartユーティリティを起動する

DISKPART> create vdisk file=D:¥win7vhd.vhd maximum=15000
VHDファイルを作成する。「file=」に続けてVHDを作成する場所とファイル名、
「maximum」に続けてディスクサイズをMB単位で指定(例では15GB)

DISKPART> select vdisk file=D:¥win7vhd.vhd
「file=」に続けて、作成したVHDファイルを指定してVHDを選択

DISKPART> attach vdisk
選択したVHDをマウント

DISKPART> exit
diskpartユーティリティの終了

d:¥>setup
インストールプロセスを再実行

VHDの作成とマウント
Windows 7のインストールメディアで、コマンドプロンプトを使ってVHDを作成し、そのままマウントする。なおドライブレター(「d:」と「D:」)は環境によっ て変化するため、自身の環境に応じて読み換えていただきたい。インストールプロセスが再開された後、インストール先のドライブとしてVHDを選択すればイ ンストールが行なわれる

	Windows 7対応周辺機器&アプリケーションリスト

 Windows 7はWindows Vistaと高い互換性を持ったOSだ。とはいえ、Vista対応の周辺機器やアプリケーションがWindows 7でも確実に動くという保証はなく、動作自体はするものの一部の機能が無効になってしまったり、まったく動作しなかったりするものもある。

 一番確実なのは「Compatible with Windows 7」ロゴを取得している製品を使うことだ。メーカーによってはWindows 7の対応状況Webサイトで公開しているので、まずは現在自分が使用している周辺機器やアプリケーションについて確認してみよう。

 ここでは、主要メーカーのメジャーなジャンルの製品に絞って、Windows 7対応状況をリストにまとめてみた。ここに掲載している以外のものは、メーカーのWebサイトやMicrosoftのWindows 7対応情報サイト、ユーザーコミュニティなどを利用し、対応情報を入手してほしい。


Windows 7対応状況を公開しているメーカーもあるので、Webサイトで対応機器やアプリケーションをチェックできる

ハードウェア

入力デバイス

メーカー名 主な対応機種 対応状況 備考

		32bit	64bit	

Microsoft Laser Mouse 6000、SideWinder X8 Mouse、Wireless Entertainment Desktop 8000ほか ○ ○ Compatible with Windows 7ロゴ取得
Razer Belkin n52:te、DeathAdder、Mamba、Naga、Lycosa、Pro|Type、Tarantulaほか ○ ○ 一部製品はWindows 7発売後に対応
ロジクール G9x Laser Mouse、G15 Gaming Keyboard、MX Revolutionほか ○ ○ 最新対応状況をTwitterで配信
ワコム Bambooシリーズ、Cintiqシリーズ、DTUシリーズ、Edioシリーズ、Intuosシリーズ、PLシリーズほか ○ △ 64bit版はUSB接続のみ対応

プリンタ

メーカー名 主な対応機種 対応状況 備考

		32bit	64bit	

HP Photosmart Aシリーズ、Photosmart Cシリーズ、Photosmart Dシリーズ、Photosmart Premiumシリーズ、Photosmart Proシリーズほか ○ ○ 一部機種はWindows 7標準ドライバおよび、Windows Updateにて対応
エプソン販売 Colorio PM-Dシリーズ、PM-Gシリーズ、PXシリーズ、マルチフォトColorio EPシリーズ、PMシリーズ、PXシリーズほか ○ ○ 一部機種はCompatible with Windows 7ロゴ取得。CCシリーズは非対応
キヤノン PIXUS iP100、iP2600、iP4700 、iX7000、mini360、MP270、MP490、MP540、MP640、MP990ほか ○ ○ 一部機種はCompatible with Windows 7ロゴ取得予定

ネットワーク関連

メーカー名 主な対応機種 対応状況 備考

		32bit	64bit	

NECアクセステクニカ Aterm WL54GU、WL54SE2、WN300NC、WR4100N、WR6600H、WR7850S、WR8100N、WR8500Nほか ○ △ USBおよびPCカード版の無線LANアダプタは64bit版のWPS機能には非対応
バッファロー Airstation WHR-AMPG、WHR-HP-GN、WLI-CB-AGHP、WLI-UC-AG、WLI-UC-AG300N、WZR-HP-G300NHほか ○ ○ AirStation倍速設定ツールは非対応
プラネックス コミュニケーションズ BLW-54CW3、GW-EC300N5P、GW-US54Mini2G、GW-USMicroN-G、MZK-W300NAGほか ○ △ WPS非対応。Xlink Kaiは32bit版のみの対応および対応予定で、64bit版は非対応

マルチメディア

メーカー名 主な対応機種 対応状況 備考

		32bit	64bit	

アイ・オー・データ機器 GV-MVP/HS、GV-MVP/HZ2W、GV-MVP/RZ3、GV-MVP/VS、GV-SC200M、GV-SC400ほか ○ △ 一部製品は64bit非対応。Windowsガジェット非対応
エスケイネット MonsterTV HDP2 Gold、MonsterTV HDPS、MonsterTV HDU2、MonsterTV HDUCほか ○ ○
オンキヨー SE-90PCI、SE-150PCI、SE-200PCI、SE-U33GXV、SE-U55SX ○ ○ SE-U33GXV付属ソフトはWindows 7非対応
クリエイティブメディア PCI Express Sound Blaster X-Fi Titanium 、Sound Blaster Audigy 4、Sound Blaster X-Fi Digital Audioほか ○ ○ 動作確認が取れているが、サポートは対象外
ピクセラ PIX-DT090-PE0、PIX-DT096-PE0 ○ ○ 10月18日時点の対応製品はPIX-DT090-PE0とPIX-DT096-PE0の2モデル

そのほか

メーカー名 主な対応機種 対応状況 備考

		32bit	64bit	

玄人志向 ATA133RAID-LPCIe、PeSATA-PCIe、SATA2E2-PCIe、USB2.0N+1394T-PCI、USB5+eSATA-PCIほか ○ ○ OS標準ドライバで対応
プリンストンテクノロジー PTM-UBT5、PPF-OVO、PWC-1300AFSほか ○ - 64bit版は動作確認中
ラトックシステム REX-PE30S、REX-PE50F、SA-DK2EU-R、SA-RC1PE-LGほか ○ △ 一部製品は64bit非対応

アプリケーション

システムユーティリティ

メーカー名 主な対応機種 対応状況 備考

		32bit	64bit	

Acronis True Image Home 2009 △ △ アップデートで対応予定
アーク情報システム CD革命/Virtual Ver.1.1、HDD革命/Virtual Ver.9 × × 現状では対応せず
ソースネクスト B's Recorder Windows 7対応版 ○ ○
ライフボート LB ブートマネージャー+LB パーティションワークス13 ○ ○

セキュリティ対策

メーカー名 主な対応機種 対応状況 備考

		32bit	64bit	

ALWIL Software Avast! 4 Home Edition ○ ○
McAfee トータルプロテクション 2009 ○ ○ 2010年度版パッケージは正式対応。2009年度版は要アップデート
Microsoft Security Essentials ○ ○ Compatible with Windows 7ロゴ取得
Symantec ノートンインターネットセキュリティ 2010/2009 ○ ○ 2010は正式対応。2009は自動アップデートで対応
Trend Micro ウイルスバスター 2010/2009/2008 ○ ○ 2010は正式対応。2009/2008は2010への無償アップグレードで対応
ソースネクスト ウイルスセキュリティ ZERO △ △ Windows 7非対応版は有償アップデートにて対応

ビジネスソフト

メーカー名 主な対応機種 対応状況 備考

		32bit	64bit	

Adobe Systems Adobe Reader 9 ○ ○
Microsoft Office 2007/2003/XP ○ △ 64bit版Windows 7では32bitエミュレータ(WOW64)上にて動作
ジャストシステム ATOK 2009/2008/2007 △ △ 一部の機能が正常に動作せず

マルチメディア

メーカー名 主な対応機種 対応状況 備考

		32bit	64bit	

Adobe Systems Creative Suite 4 ○ ○ 10月18日時点では検証で問題なしとされている
CyberLink PowerDVD 9、PowerDirector 8 ○ ○ Compatible with Windows 7ロゴ取得
LoiLo LoiLoScope、LoiLoTouch、Super LoiLoScope ○ ○ Compatible with Windows 7ロゴ取得
ペガシス TMPGEnc 4.0 XPress ○ ○ Ver.4.4.2.238以降

fileWindows 7のインストール方法.docx

fileWindows 7のインストール方法-1.pdf

fileWindows 7のインストール方法-2.pdf