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国生み 1:最初に生れたのは淡路島そして4つの顔を持つ島だった

伊邪那岐神(いざなきのかみ)と伊邪那美神(いざなみのかみ)は結婚をやり直して、改めて夫婦の契りを交わしたところ、今度はちゃんとした子供が沢山生まれました。

子供といっても、最初に生んだのは沢山の島々で、これらは現在の日本列島にあたります。
次に生んだのが沢山の神々で、これらの神々が日本に宿る八百万の神々となりました。

伊邪那岐神伊邪那美神が日本の島々を生んだことを「国生み」、神々を生んだことを「神生み」といいます。
どのように島々を生んだのか、どのように神々を生んだのか、古事記にはとても細かく載っています。
まずは「国生み」から、紹介していきましょう。

最初に生まれた国は、淡道之穗之狹別島(あはぢのほのさわけのしま)でした。
これは、淡路島のことです。

次に生まれたのが、伊豫之二名島(いよのふたなのしま)です。
これは、四国地方のことです。

四国地方は四つの面があるとされていて、それぞれ別々の名前がついております。
それぞれ次のような名前がついてます。

 1 伊予の国(愛媛県)
 名前は「愛比売」(えひめ)です。
 愛媛県が「えひめ」という起源は古事記にあり、可愛い女性という意味を持ちます。

 2 讃岐の国(香川県)
 名前は「飯依比古」(いいよりひこ)です。
 米や粟などを生み出す男性、という意味を持ちます。
 古事記は西暦712年に編纂されましたが、この当時から既に「讃岐の国」といわれてました。

 3 粟の国(徳島県)
 名前は「大宜都比売」(おおげつひめ)です。
 大宜都比売は偉大な食物の女神であり、穀物の神様でもあります。

 4 土佐の国(高知県)
 名前は「建依別謂」(たけよりわけ)です。
 勇敢な力が宿る男性という意味を持ちます。
 香川県の讃岐と同様、この当時から高知県も「土佐の国」といわれていました。

3番目に生まれたのが、隱伎之三子島(おきのみつごのしま)です。
これは、島根の隠岐諸島のことです。

隠岐諸島は島前と島後に分かれていて、島前は3つの島の集まりです。
島後を「親」として、島前を「子」として、一人の親と三人の子供に見立てているため、「隱伎之三子島」という名前になったといわれています。
ちなみに隱伎之三子島は別の名前があって、天之忍許呂別(あまのおしころわけ)といいます。

日本の国々や神々は、このように複数の名前を持っていることがあります。
例えばひとくちに「明け方」と言っても、明け(あけ)・夜明け(よあけ)・暁(あかつき)・東雲(しののめ)・曙(あけぼの)・黎明(れいめい)・払暁(ふつぎょう)・彼誰時(かわたれどき)と様々な名称に分かれます。
1柱の神に複数の名前があるのには、このような物事を多角的に捉える日本人らしい繊細な感受性が宿っているのです。
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国生み 2:日本列島の起源、大八島国生れる

伊邪那岐神(いざなきのかみ)と伊邪那美神(いざなみのかみ)は、淡路島、四国地方、隠岐諸島に続いて筑紫島(つくしのしま)を生みました。
筑紫島は、九州地方のことです。

九州地方も4面があり、それぞれ次のような名前がついてます。
 1 筑紫国(福岡県)
 名前は「白日別」(しらひわけ)です。
 統治する太陽のような男性という意味があります。

 2 豊国(大分県と福岡県の一部)
 名前は「豊日別」(とよわけ)です。
 光豊かな太陽のような男性という意味があります。

 3 肥国(熊本県・佐賀県・長崎県)
 名前は「建日向日豊久士比泥別」(たけひむかひとひとよくじひねわけ)です。
 太陽に向かう勇敢な神秘的な力に溢れている男性という意味があります。

 4 熊曽国(南九州)
 名前は「建日別」(たけひわけ)です。
 勇敢な太陽の男性という意味があります。

5番目に生んだのが伊伎島(いきのしま)で、これは長崎県の壱岐島のことです。
この島は、天比登都柱(あめひとつばしら)という別名を持っています。
別名は、天に接しているひとつ柱という意味があります。

6番目に生んだのが津島(つしま)で、対馬のことです。
この島も、天之狭手依比売(あめのさでよりひめ)という別名を持っています。
別名は、霊的な力がよりつく天の女性という意味があります。

7番目に生んだのが、新潟県の佐渡島である佐度島(さどのしま)です。

8番目に生んだのが大倭豊秋津島(おほやまととよあきづしま)で、これが本州であるといわれています。
この島は別名を持っていて、御虚空豊秋津根別(あまつみそらとよあきづねわけ)といいます。
別名は、天の空に蜻蛉が群れを飛ばす男性という意味があります。

このように伊邪那岐神伊邪那美神
 1 淡道之穗之狹別島(淡路島)
 2 伊豫之二名島(四国)
 3 隱伎之三子島(島根県隠岐諸島)
 4 筑紫島(九州)
 5 伊伎島(長崎県壱岐島)
 6 津島(長崎県対馬)
 7 佐度島(新潟県佐渡島)
 8 大倭豊秋津島(本州)
という順番で8つの島を生みました。

これらの島々を大八島国(おおやしまぐに)と呼び、日本列島誕生の起源となります。
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国生み 3:日本の国土完成

日本列島の起源である大八島国(おおやしまぐに)を生んだ伊邪那岐神(いざなぎのかみ)と伊邪那美神(いざなみのかみ)は、一旦は淤能碁呂島(おのころじま)に帰ろうとします。
でも、やっぱりまだまだ国を生むことにします。

さらに続けて、6島生みます。

最初は吉備兒島(きびのこしま)で、岡山県の児島半島です。
建日方別(たけひかたわけ)という別名を持っています。
「日方」の解釈は諸説ありますが、勇猛な太陽の方角を向いた男性という意味を持つと思われます。

次に生まれたのが小豆島(あづきしま)で、淡路島の西にある小豆島です。
別名は、大野手比売(おおのでひめ)です。
大きな野の女神という意味を持ちます。

さらに大島(おおしま)を生みます。これは、山口県にある周防大島です。
別名は、大多麻流別(おおたまるわけ)です。
船が停泊することの偉大なる男神、という意味を持ちます。

続けて女島(おみなしま)を生みます。
これは、大分県の国東半島の東北にある姫島です。
別名は、天一根(あめひとつね)です。
天に接するひとつの根、という意味を持ちます。

最後に知訶島(ちかのしま)と両児島(ふたごのしま)を生みました。
知訶島は長崎県にある五島列島で、両児島は長崎県の男女群島です。

知訶島の別名は天之忍男(あめのおしお)で、両児島の別名は天両屋(あめふたや)です。
天之忍男は、威力のある天の男神という意味を持ちます。
天両屋は、天空にかかる二つの屋根という意味を持ちます。

こうして大八島国の他に6島生んで、日本の国土がようやく完成しました。

ここまでを、「国生み」と呼びます。
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