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北元

北元(読み)ほくげん(英語表記)Pei-yüan
北元 ほくげん
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

中国における朝の崩壊後,モンゴルの地に引続き存続した朝勢力に対する明側の呼称。 1368年の最後の皇帝トゴン・テムル (→順帝) は上都を追われ,70年に応昌の地で死んだ。その子アーユシュリーダラ (愛猷識理達臘)が跡を継いだが明軍に追われ,カラコルムに逃亡。ここで旧の勢力の回復をはかったが,馮勝,李文忠らの率いる明軍に絶えず脅かされ,その意を果さぬまま 78年に死んだ。のちその弟のトクズ・テムル (脱古思帖木児)が即位したが,87年に北元の東部地域を支配していたナガチュ (納哈出) が明と戦って敗れてくだるに及び,トクズ・テムルはこれを助けようとしてブイルノール付近にまで来た。しかし藍玉に率いられた明軍に敗れ,カラコルムへ逃れようとしたが,その途中同族のイェスデル (也速迭児) のため殺され (1388) ,北元皇帝の権威はこれ以後地に落ちた。 16世紀初めダヤン・ハン (達延汗)が現れ中興し,その後も命脈を保ち,1634年最後の大皇帝リンダン (林丹)が満州に興った後金の太宗ホンタイジ (皇太極)の攻撃を受けて西方へ逃れ,途中で病死して北元のハン位は終った。
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デジタル大辞泉の解説
中国、明初に中国本土を追われモンゴルに退いたの残存勢力の称。明の洪武帝(朱璋)による再三の攻撃により、1388年に滅亡した。
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百科事典マイペディアの解説

中国,朝の後身。明朝によって1368年中国を追われ,モンゴルに退き,ここで朝の再興をはかり,明と対抗したが1388年明軍に討たれて滅亡。
→関連項目(王朝)|洪武帝
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大辞林 第三版の解説
中国、朝が1368年に滅亡してのち明に追われてモンゴル地方に退いたの残存勢力。88年、明の北征をうけて衰亡。
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

中国、明(みん)代の初めにモンゴル地方に退いたの残存勢力。1368年明軍が大都(北京(ペキン))に迫るや、の順帝は戦わずして上都開平府(内モンゴル自治区)に逃れた。これ以後を北元という。翌年9万の明軍が上都に迫ったので、順帝は応昌(おうしょう)(内モンゴル自治区)に逃れ、この地で病死した。これを知った明軍は応昌に迫り、北元軍の大部分を降したが、順帝の子アユルシリダラ(昭宗)は数十騎を率いてカラコルムに逃れた。甘粛(かんしゅく)方面での領土を守っていたククテムルもこのころカラコルムに移り、アユルシリダラを助けて北元勢力の回復に努め、宣光と改した(1371)。明は翌72年、15万の大軍を三道に分けて北征させ、天山方面との連絡を絶つことに功した。78年アユルシリダラの死後、弟のトグステムルがたち、天と改した。当時、満州北部はその臣ナハチュの支配下にあって北元の左翼勢力を形しており、朝鮮半島の高麗(こうらい)も北元と連携していた。明はまず東(りょうとう)を経略して高麗を孤立させ、87年大軍を送ってナハチュを降し、翌年フルンブイル地方に進み、北元の本隊を壊滅させた。トグステムルはカラコルムへ敗走の途中、反臣エスデルに殺され、モンゴル地方は長い混乱期に入った。[青木富太郎]
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精選版 日本国語大辞典の解説

中国、明初に蒙古地方に退いた朝の残存勢力。主としてカラコルムに拠ったが、明軍の数次にわたる攻撃により二〇年ほどで崩壊した。
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旺文社世界史事典 三訂版の解説
1371〜88
明によって中国からモンゴルに追われた朝の残存勢力
朝最後の皇帝順帝の子アユルシリダラ(昭宗)はカラコルムに拠って年号を宣光と定め,朝再興につとめた。彼の死後,弟のトグス=テムルが即位したが,その後,明軍に大敗し,1388年反臣に殺されて,北元は滅亡した。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

⇒鴨北元(かも-ほくげん)
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世界大百科事典内の北元の言及
【モンゴリア】より
… 1368年(至正28),朝は明によって滅びたが,モンゴリアはその後20年にわたり,朝の末裔によって支配された。明はこれを北元と呼んだ。その後,西モンゴルのオイラートの勢力が浸透し,とくにトゴン,エセンの活躍が目だっている。…

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