歴史・人名

インカ帝国

 1200年頃、ケチュア族(インカ族)のマンコ・カパックが、ペルー南部のクスコにクスコ王国を建国した。この王国はインカ帝国の前身で、クスコ周辺から海岸部へと勢力を拡大していった。

 1438年に即位した第9代皇帝パチャクテクは、周辺諸国を次々に征服し、エクアドルからチリにおよぶ広大なインカ帝国(Inca)を作り上げた。インカ帝国はケチュア語を公用語とし、太陽を崇拝した。皇帝は太陽の化身として専制的な権力をふるい、数多くの神殿や要塞、道路を建設した。

 特に道路はエクアドルからペルー、チリ中部まで帝国を縦断していた。谷には吊り橋がかかり、石畳の道や階段が整備された。この道路は帝国の発展に大きく貢献したが、スペイン人の侵略の手助けにもなった。沿道にはチャスキと呼ばれる飛脚が配備され、クスコまで走って情報を伝えた。伝達は口頭によるものだったが、キープと呼ばれる結縄も使われた。

 急峻な地形のため人力あるいはリャマ、アルパカに載せて物資を輸送するしかなく、車輪は発明されなかった。