歴史・人名

冥王代

冥王代

先カンブリア時代冥王代、始生代(太古代)、原生代に分けられます。

冥王代はいちばん古く、地球誕生から40億年前までの約5億年間を指します。

この時代に地球が形成され、地殻と海ができ、有機化合物の化学進化の結果、最初の生命が誕生したと考えられています。

化石どころか岩石自体もほとんど残っていないため、地質学的証拠がほとんどない時代です。実態が闇に包まれているところから、ギリシャ神話の冥界の神ハーデースにちなんで名づけられました。

では、岩石もほとんどない時代のことをどのように知ることができたのでしょうか。

これは、太陽系内の他の星や隕石の研究によって可能になりました。

なので、地球の情報だけしか得られなかった1970年代までは、この時代における地球の進化はわからなかったのです。

冥王代の地球

この時代の地球には多くの小惑星の衝突があったと考えられています。
NASA率いる国際研究チームは、直径960km以上の小惑星が1~4回衝突したことで地球全体が大きく変化し、さらに直径480km以上の小惑星が3~7回衝突したことで海が沸騰して干上がったと推測しています。

恐竜を絶滅に追い込んだとされる隕石が直径約10kmということを考えると、直径がその48~96倍もの大きさに当たり、いかに冥王代の地球に衝突した小惑星が大きかったのかが推察されます。

その小惑星の衝突で地球の一部はマグマの海と化すいっぽうで、その反対側には青い穏やかな海が広がっていたのです。

この時代に生物が存在していた可能性も示唆されていますが、その証拠は見つかってはいません。
この過酷な環境で、もし生物が存在するとすれば地中深く、もしくは海底地殻深くに生息していたのではないかと考えられています。

生物の遺伝子分析によれば最も古い生物は熱に強い好熱菌や超好熱菌に分類されるので、もしかすると隕石衝突を生き抜けたのかもしれません。

月の誕生―ジャイアント・インパクト説―

この時代の数ある衝突の1つから月が誕生したとするのが「ジャイアント・インパクト説」です。

これは、約45億年前、地球が誕生して1億年くらい経ったときに火星ほどの大きさの原始惑星「ティア」が衝突して、飛び散った破片から月が生まれたのではないかというものです。この衝突エネルギーはとても大きく、衝突後の地球と月は双方とも全体が溶解状態であった可能性が高いとされています。

カリフォルニア大学の地質学者エドワード・ヤング博士の研究グループは、「アポロ12号」「アポロ15号」「アポロ17号」が月から持ち帰ってきた7つの月岩石サンプルをハワイ諸島やアリゾナで発見された火山性岩石と比較、分析したところ、酸素同位体に違いがみられなかったとしています。

これは、その比率から惑星の由来を知るいわゆる指紋のようなもので、火星や木星など他の太陽系の惑星は、ほとんど異なる同位体を持っています。

つまり、地球と月は同じ惑星が由来なのではないかと考えられるのです。