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エジプト第1中間期

エジプト史

エジプト第1中間期

時代・文化
公開日 2016-10-26  最終更新日 2019-07-15
古代エジプト / 気候変動

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エジプト第1中間期 紀元前2180年頃 – 紀元前2040年頃 古代エジプト史における時代区分。通常第6王朝の崩壊から第11王朝による再統一までの時代を指す。長期間にわたって安定した統治を続けていた古王国の崩壊とその後の戦乱によって社会的、思想的、政治的に大きな変化をもたらした。

目次

エジプト第1中間期
メンフィスを中心としたエジプト古王国の統一権力は第6王朝の王ペピ2世の治世末期に急速に弱体化し、各地の州(ノモス)を統治した州侯達の自立傾向が高まった。 中東全域で長期に及ぶ乾燥化が始まっており、エジプトでは第1中間期を通して食糧難が民衆と支配層を苦しめた。
エジプト第7王朝
紀元前2180年前後? 首都:メンフィス エジプト第6王朝の王ペピ2世の長期にわたる在位の間にエジプト古王国の中央集権体制は瓦解した。第6王朝の数名の短命王の後に第7王朝が開かれたとされるが、その歴史についてはほとんど何もわかっていない。
エジプト第8王朝
紀元前2180年頃 – 紀元前2160年頃? 第7王朝時代から続く混乱の中で短命王が続き、短期間のうちに終焉を迎えた。
遺構
第8王朝のカカラー王が建設した小さなピラミッドがサッカラの南から発見され、内部からピラミッド・テキストも発見されている。
エジプト第9王朝
紀元前2160年頃 – 紀元前2130年頃 ネンネス(ヘラクレオポリス)は上エジプト第20県(ナルト・ケンテト)の首都であり、ここに拠点を置く州侯は統一王朝の弱体化につれて次第に強大化した。 メンフィスを拠点とした伝統的な統一国家が崩壊する中で自立勢力となったヘウト・ネンネス(古代エジプト語:Hwt-nen-nesu)侯の政権を指して第9王朝と呼ぶ。
エジプト第10王朝
紀元前2130年頃 – 紀元前2040年頃? ヘウト・ネンネスを拠点にエジプト全域に勢力を拡大した第9王朝の地位を継承したが、南部ではテーベ侯が第11王朝を建て、これと激しく争った。
気候変動
エジプト第6王朝のペピ2世の死後社会が混乱した時期には中東全域で長期に及ぶ乾燥化が始まっており、エジプトでは第1中間期を通して食糧難が民衆と支配層を苦しめた。 グリーンランドの氷床やアンデス山脈の氷河から採取されたコアの調査により、紀元前2200年頃に大量の火山灰が広範な地域に降り注いだことがわかっている。これによりヨーロッパでは寒冷化、中東では乾燥化がもたらされた。 同じ時期にエルニーニョ現象が発生し、アフリカからインド洋に吹いていた季節風が非常に弱まり、エチオピア高原に干ばつをもたらした。ナイル川の水量は減少し、川の氾濫も勢いを弱めると深刻な飢饉が起き、長年に渡る社会の荒廃を助長することになった。